赤木智子の生活道具店に寄せて

写真・文 田原あゆみ

 

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6月26日(金)から7月5日(日)までの10日間、赤木智子の生活道具店をShoka:で開催する。

 

フライパンや、たわし・ちりとり・洗い桶・湯呑み・ガベ・スプーンに靴下・スカート・サロン・ポストカードに片口・いろいろエトセトラ。
ラインナップを見ていると、私たちの生活を楽しく支えてくれる道具たちがこんなにたくさんあることに胸がワクワクしてくる。

 

 

日常、暮らし、生活、どんな言い方をしても、その言葉の中には様々な人の営みがみえてくる。
衣食住にまつわる雑事。

 

食べるために植物を育てたり、お買い物に行ったり、仕込んだり、料理、盛り付け、お片づけ。
掃除洗濯、お仕事と、私たちの暮らしの中には様々な活動がいっぱい。
そして、その活動を支えているのが生活道具たち。

 

 

巻頭の写真はある春の初めに訪れた赤木家の台所。
赤木智子さんの料理は美味しいと聞いていたので、私は内心小躍りをしながらシャッターを切った。
智子さんの手際はとても良くって、次々に料理が仕上がって運ばれてゆく。
シンプルなお料理は、素材と調味料と手際と熱加減が良くないと美味しくならない。
毎日毎食作っている人の手際の良さはまるでワルツを踊っているかのような軽やかさがある。

 

 

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料理をする時、私たちの身の回りにあるものを改めて見て欲しい。
鍋、土鍋、レンゲ、おたま、菜箸、鍋敷き、調味料、フライ返し、まな板、
と、いろいろな道具たちが私たちの作業を支えてくれている。
いろんなメーカーが様々な用品を作っていて、その作り手の規模も様々。
大量に作れる工場を持つメーカーだったり、小さな工場で手作りしていたり、さらに道具を作る作家さんまで実に様々な道具たちが世の中にはあるのだ。
その中から私たちは自分の嗜好に合わせて、選んだ結果今の家の中の現状が成り立っている。

 

 

智子さんの台所を見ていると、本当に毎日何度もお料理をしたり、お茶を入れたりしていることが見て取れる。
台所がいつも起きている感じ。いつでもいらっしゃいと、コンロはいつでも火を吹く準備ができていて、とても元気そうだ。
そして、調味料やお鍋やいろいろの配置が賑やかで、使われる準備万端。隅々に智子さんが料理をした痕跡が残っている。

 

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年季の入ったまな板たちには、今までのお料理の記憶が刻まれている。
ひっきりなしに使っているのがうかがえる。
なんだかまな板たちが誇らしげに胸を張っているように見えてくる。
いつでもこい!と。

 

 

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片時も休む暇なく使われているような台所。
そこから生まれる様々なお料理たちは、シンプルで、素材の味が生きていて、そして美味い。

 

 

 

 

夕暮れに集まった8人分の夕食を一人でせっせと作ってくれた智子さんの手料理の数々。
どれもこれも美味しくて、箸で口に運ぶたびに「ん、んーーーーっ」と顔がほころぶ。
器も赤木家で智子さんがひいきにしているものばかり。

 

 

何だろうかこの感じ。
智子さんの人柄が、家の隅々にまで染み込んでいる感じ。
自然体で飾らない雰囲気だ。置いてあるものたちはどれも機能性と、ぬくもりのバランスがちょうどいいくらい。

 

きっと智子さんのものを選ぶときの感覚がとても健康的なバランスなのではないだろうか。
好きという感覚と、手に馴染んだり使い勝手を測る感覚にブレがないのだろう。
道具たちのどの子を見ても、ちゃんと手にとって使われている体温が残っているから、食器棚も、居間の隅までも空気がちゃんと流れていて生き生きとしている。

 

そのぬくもりある空気は来訪者を優しく包む。

 

「いっぱい食べてもいいよ~」
「のんびりしていいのよ~~」
「少しくらい酔っ払っても気にしないわよ~~」

 

そんな感じがした。勝手な私の感覚なのだが。

 

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熱々の土鍋を何度も置いているのだろう。黒く焦げ付いた鍋敷きは、温かな夕餉が何度もあったことを物語っている。

 

 

 

お豆や唐辛子も、今か今かと出番待ち。

 

お腹も心も満タン。お皿の上はすっからかん。

 

 

 

出番待ちの急須もいろいろ、どれもこれも愛嬌があるかたち。
世の中にはたくさんの急須があるけれど、その中から出会って選んだものを見ていると、選んだ人の人となりが伝わってくるようだ。
智子さんの暮らしの中で愛用されている道具達は、使い勝手が良くて、温もりがある。

 

写真 雨宮秀也

                            

 

赤木家のお掃除の時に活躍する箒たちは用途に合わせて様々。
掃除機も便利だけれど、私はなんだか苦手なのでもっぱら箒とモップを愛用している。
箒ではくことで床が磨かれ艶が出るのだそうだ。
確かに昔の家の床はピカピカの飴色に光っていた。

 

今回智子さんに選ばれた生活道具たちのほとんどが手作業で作られたもの。一つ一つに愛着がわきそうな佇まい。
今回も箒がいくつか入ってきます。

 

今回の道具店の内容は以下の通り。

 

 

及源の南部鉄フライパン
白木屋伝兵衛のたわし・ちりとり
上泉秀人の大きなしのぎ湯呑み
小野哲平の小皿
大村剛の小さな片口
晴耕社ガラス工房のコップ
野田琺瑯の洗い桶
内田鋼一の小さい箱
ギャラリーONOのガベ
長谷川まみの銀のスプーンとミルクピッチャー
井畑勝江の湯呑み
新宮州三のくりもの
ヤオイタカスミのワンピースと子供服
岩谷雪子の箒
広川絵麻の湯呑みと蓋物
秋田小夜子のティーポット
壺田亜矢のそば猪口と片口
高澤ろうそく店の和ろうそく
佃眞吾の我谷盆
辻和美の大きな片口とグラス
安藤明子のガーゼのものとサロン
早川ユミのスカート
mon sakata のTシャツ
アンティパストの靴下
秋野ちひろの金属のかけら
トラネコボンボンの図録とポストカード
松林誠の版画
浅井庸佑のちょく
山田次郎の中津箒
CLASKA+彦坂木版工房のパンのノート
赤木明登のぬりもの
輪島のお菓子 ・ 輪島のほうき

 

 

私もとてもとても楽しみにしています。
今回の記事はまるで自慢のように申し訳なくなってしまいました。
きっと読んでいてお腹が空いた人もいるのではないでしょうか?

 

生活の中でも食にスポットが当たりまくった記事でしたが、ラインナップを見たらわかるように、衣食住に満遍なく渡った道具達がちゃんとやってきます。
智子さんの手料理は写真だけとなりましたが、美味しい手料理は是非ご家庭でチャレンジしてくださいね。

 

会期中はできるだけShoka:にいるようにしますので、久しぶりの方も是非遊びにいらしてくださいね。

 

 

 

 

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6月26日(金)から7月5日(日)まで。
赤木智子さんの輪島での暮らしは、おはようと朝起きてからお夕飯が終わるまで、ずっと誰かのお世話が中心。
伴侶の塗師赤木明登さんと一緒に営む漆工房を切り盛りし、家族やお弟子さんたちの食事を作り、
お洗濯にお掃除と、細くて華奢な体に元気いっぱいの笑顔で、あれやこれやと動き回る。
風通しの良い軽やかさで、みんなの間をちょこまかと。彼女のお世話は爽やかだ。
気を使わせない優しさが智子さんの魅力。
そんな赤木家の暮らしの中で使っている、お気に入りの道具たちを、智子さんが集めてくれました。
道具は好きなものを使うから、暮らしの営みが愉しくなる。料理も美味くなる。
輪島滞在中彼女の料理をほおばるたびに、うんうんと舌鼓を打ちながら、私は勝手にそう解釈したのでした。
夏本番!梅雨明けにぴったりの道具店です。

 

赤木智子さんお話し会 「思い出の道具たち」
6月26日(金)18:00 開場 18:30 開始
日時   6月26日(金)
開場   18:00
開演   18:30 ~ 20:00
会費   お茶代として500円
○お申し込み方法
1.参加者名(全員のお名前を書いてください)
2.連絡先(ご住所・携帯電話番号・メールアドレス・車の台数)
3.メールのタイトルに「お話し会参加希望」と必ず書いてください。 申し込み先 Shoka:スタッフ 金城&佐野 event@shoka-wind.com までメールにてお申し込みくださいませ。
以下の点にご注意ください
◯定員に達し次第締め切らせていただきます。けれどあきらめずにお申し込み下さいね。どうにか尽力いたします。
◯必ずメールにてお申し込みください。
◯Shoka:の展示期間中はお子様連れも大歓迎ですが、お話に集中していただきたいことから大人のみの参加とさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
◯駐車スペースが限られていますため、車でいらっしゃる方はできるだけ乗り合せのご協力をお願いします。

 

 

 

 

 

くらしを楽しむものとこと

 

Shoka:
http://shoka-wind.com

 

12:30~19:00
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791