石田英敬・著 岩波書店 ¥800(税別)/OMAR BOOKS
年が明けたばかりのこの時期。今年をどんな一年にしようかと思い巡らす人も多いのでは。そこでご紹介するのは『自分と未来のつくり方』。エンデの『モモ』やプラトンやデカルトに宮沢賢治の言葉を引いて、情報社会を生きるとは?を考えてみようと中高生へ行なった授業を下敷きにまとめられた、岩波ジュニア新書のシリーズの中の一冊です。
スマホを手放せない、またはネット環境に常に身を置いている大人にも読んでもらいたい本書。時間、労働、活字、メディア、テクノロジーなどを主題に、「情報」の変遷を様々な切り口で分かりやすく語っている。活字が苦手な人でも比較的読みやすい。
著者がこの本の中で提案する「情報のエコロジー」という考え方。自然のエコシステム(生態系)を保護するという意味でエコロジーという言葉が使われるけれども、情報のエコロジー(生態系)というものを考えてみようと投げかける。そして「タブラ・ラサ」(昔の哲学者がいう、すでにあるものを一度消し去ってさらの状態を作ること)という自分の中に時間と空白を持つことも同じくらい大切だと言う。
一日のうちに何度スマホを手にするか、パソコンの前でどれくらいの時間を過ごすのか、普段よく見るサイトの傾向はどうなっているか、生活の中でどんな情報に囲まれ、自身はどんな情報の回路を持っているのか、一旦見返してみる。この本ではそれを反射(reflection)と表しているが、それは確かに必要かもしれない。環境がその人を形作るのなら、情報もまたその人の未来を作ることになるのだから。
自分にフィットした新しい「情報の生態系」を考えてみる。この本を読みながら、この一年の見取り図を描いてみてはどうでしょう?
OMAR BOOKS 川端明美
OMAR BOOKS(オマーブックス)
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