青山南・安西水丸・池内紀・他 著 夏葉社 ¥1,785/OMAR BOOKS
― 記憶の中の冬と本 ―
寒くなったかと思えば、急に暑くなったり12月になっても気候はまだ不安定。
キンと張り詰めるようなあの寒さが待ち遠しい。そんなときに、ちょうどいい本が届きました。
夏葉社から出たばかりの、その名も『冬の本』。
和田誠さんの装丁による、思わずほっこりするような表紙の、これまた手頃なサイズの本。
コンセプトは、作家や書評家、翻訳家、本屋店主(おっと思うような人選が◯。青山南、角田光代、浜田真理子、高山なおみ、柴田元幸、安西水丸、町田康、堀込高樹などあげたらきりがない。那覇の古本屋うららさんも!)などの本好きな84人のあげる冬の本を集めた新しいエッセイ集。
「冬」をキーワードに選りすぐりの「冬に読んだ本」「冬になると思い出す本」「まるで冬のような本」が一冊の中にぎゅっと収められている。
ページを開くと見開き2ページ分、一人につき一冊を冬のエピソードを交えて紹介していてとても読みやすい。目次を見て気になる人のところから読み始めてもいいし、巻末の著者と本の紹介の部分から好きな本を見つけてもいい。
住む場所も年代も、通ってきたこれまでの道筋も全く違う人たちがそれぞれの個人的な冬を語る。
そしてその傍らには本がある。本当にいろんな形の冬があるもの。
子供の頃の話。別れてもう会うことのない友人の話。ある何気ない冬の一日の話。紙の上で遠い冬の記憶と読んだ記憶が交差する。
読んでいると知らずに自分の記憶の中のいくつもの冬が思い起こされいく。
初めて雪を見た年のことや、白い息を吐きながら屋外で友人と話し込んだ夜や、南半球で迎えた冬やいつかは思い出せないくっきりと見えた冬の夜空の星。
ところで今、思い浮かぶ私の冬の本は、「雪」(中谷宇吉郎・著)、ダイベックの「シカゴ育ち」、ポール・ギャリコ「雪のひとひら」といったところ。
それとまた星野道夫さんの本も外せない。
この「冬の本」もまたその一冊に加わりました。
寒い日にポっと明かりを灯してくれるような贈り物のようなエッセイ集。
この季節、大切な人にどうぞ。
OMAR BOOKS 川端明美
OMAR BOOKS(オマーブックス)
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