チャールズ・M・シュルツ/著 谷川俊太郎・訳 主婦の友社 ¥1,300/OMAR BOOKS
―長年愛されるのにはちゃんと理由がある―
大きな黒い耳を持つ、どこか飄々とした出で立ちの白い犬。
スヌーピーを最初に知ったのはいつだろう?全く思い出せない。
知った時にはもうすでにこの喋る犬はスヌーピでしかなかったし、その彼の飼い主は弱音をはいているいつも何だか頼りないチャーリー・ブラウン、またそんな彼とは正反対の気の強いルーシー、といった感じで漫画『ピーナッツ』の登場人物たちを少しずつ知っていった。
他にもライナス、サリー、ペパーミント・パティにシュローダーと魅力的な人物たちが登場する。
誰でも友達同士でどのキャラクターが好き?という話をしたことがあるはず(ちなみに前はシュローダーが好きだった。今はチャーリー派)。
数多くあるスヌーピー本の中でも特におすすめしたいのが今回の『スヌーピーたちの人生案内』。原題は「GUIDE TO LIFE」。
目次には人生・自助(self-care)・用心・愛・生きる味わい、などと並んでいてその項目ごとに場面とセリフが配されている。
ウィットに富んだ言葉の数々が笑いを誘い、時にじん、とくる。
そして肩の力の抜け具合が絶妙だ。
シンプルかつ分かりやすい言葉で人生を楽しく生きるコツを伝授してくれるこの本。
訳者にも注目。
日本に漫画『ピーナッツ』が紹介されてから40年もずっと手がけている谷川俊太郎さんによる日本語訳によるところも大きい。
一見能天気で、気楽に聞こえるセリフも実は人生の深いところを突いている。
○ときにはいい気分になるためにちょっと自分を甘やかすことも必要だね/ライナス
○見つめていてもご飯皿はいっぱいになったためしがない/スヌーピー
○人生という本にはうしろのほうに答えが書いてあるわけじゃない/チャーリー・ブラウン
機嫌の悪い時には美味しいものを食べればすぐご機嫌になる彼ら。
調子のいい時もあれば、失敗して落ち込んだりもする。
それでもめげずに笑いとばして起き上がる。
スヌーピーとその仲間たちは私たちの仮の姿だ。
それがスヌーピーたちが長年愛されてきた理由。
不器用な彼らの姿に出会うとどこかほっとして、また次がんばろうかな、と思えてくる。
この本にはもう一つ、「物」としての魅力も。
コンパクトな正方形に、白黒のコントラスト、紙ざわりもいい。
ついつい何度もめくりたくなる仕様。
ちょっと元気のない友人に何か本を贈るとしたらこの本。
また自分のためにも手元に置いておきたい、人生の明るい指南書です。
OMAR BOOKS 川端明美
OMAR BOOKS(オマーブックス)
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