「お盆初日のウンケーに必ず作るウンケージューシー。
地域や家によって入れる具材は違うと思うけど、那覇は生姜の葉を入れるのが決まり。
香りが強いから邪気払いの理由があるというんだけど、いい匂いがするのでぜひ入れて」
「まずは、三枚肉をあぶりましょう。
表面に残った毛をしっかり焼けば皮まで使えるからね。
これはラフテーを作るときなんかも一緒ね。
直火であぶる家もあると思うけど、脂が下に落ちてコンロが汚れちゃうから、うちは魚を焼くグリルで焼いているのよ。
それに、グリルだと表面が平均的にきれいに焼けるのでお勧め」
「焦げや毛を包丁でこそげ取ったら圧力鍋でコトコト煮ます。
だしを取るときは水から、煮るときはお湯からと習ったので、わたしは沸騰してから入れるようにしているよ」
「これが大事な生姜の葉っぱ。
去年はウンケー前日に買いに行ったらどこにもなくてねぇ。
前々日には買っておかないと売り切れてしまうこともあるのよ。
買ったときにしんなりしていたら、茎から葉っぱを外して先にしばらく水につけておいて。
そして洗って水を切ってビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存しておくの。
そうすれば、パリっとして瑞々しさが戻るよ」
「葉を千切りに。
生姜の良い香りがするでしょう? これがジューシーに合うのよ」
「豚肉が中までゆであがったらとりあげて。ゆで汁も使うから捨てちゃだめよ」
「生姜の葉以外の具は1cmくらいのさいの目切りね」
「本来のウンケージューシーの具は豚肉と生姜の葉だけとシンプルらしいんだけど、にんじん入れると彩りがいいでしょう? 他にもしいたけとか刻み昆布を入れるところもあるかもね」
「さて。ここからはまたおうちによって作り方が分かれるところ。
具と調味料を炊飯器に入れてそのまま炊き込むおうちもあると思うけど、うちの場合は具に下味をつけるの。
まずは油で少し炒めて…」
「醤油、砂糖、お酒、だし汁で甘辛く味付け」
「沖縄料理の本を見ると、ざるで水気を切ったお米も一緒に炒めると書いてあるから、沖縄風ピラフね。
でもうちは炒めるのは具だけ」
「水気を切っておいたお米に、豚肉のゆで汁、鰹だし、醤油、酒、塩を加えます。酒を入れるとコクが出る気がするから入れているよ。分量? 量ったことないねぇ〜。毎年テーゲーよ〜。
でも、具から水分が出るかな? と、ここで汁を少なめにしないように。
ちゃんとお釜の内側に引いてある線まで入れないと、お米に芯が残ってしまうことがあるよ」
「具もたっぷりいれてね。入れ過ぎかな? と思うくらいでも大丈夫。遠慮すると具の少ないちょっと寂しいジューシーになってしまうのよ」
「生姜の葉も惜しみなく沢山入れてね」
「お米と具を混ぜ合わせて、あとは炊くだけ。
うちは炊飯ジャー2台使って合計11号炊くの。
あー、この瞬間は毎年緊張するね。
親戚がみんな食べに来てくれるし楽しみにしてるから、責任重大よ。
おいしく炊けますようにと祈る気持ち」
「これはわたしの旧盆ノート。
去年のページを見てみると…
『注文した重箱のターンムは上げ底、下の段は全部昆布だったのでお店にクレームの電話。来年はぜひみんなで重箱料理を手づくりしよう』
…あら、こんなこと書いてある。今年ももう注文してしまったさ(笑)。
お盆当日に見たらだめね、8月に入ったらすぐに見ないと。
炊飯器が鳴ってるね、炊けたみたい。おいしくできているといいんだけど」
「生姜の葉がほのかに香っていいでしょう? そんなに強い香りじゃないから、生姜が苦手な人でも大丈夫よ。
上から下からしっかり混ぜてね。」
「去年の旧盆ノートには『味つけが薄かった』と書いてあるけど、今年はお父さんからも合格サインが出たし、みんなおかわりしてくれたし、良かった〜。
来年もおいしいジューシー作ってご先祖さまをお迎えしないとね」