カフェの名前「naminami」は、「なみなみと盛る!」のなみなみ?そう思ってしまうほど、色とりどり、贅沢に、たっぷり盛られたプレートはご飯とメイン以外になんと、付け合わせ5品!さらにお味噌汁までついてお値段は800円というから驚き。
最初はその豪華さに面食らうが、口に運ぶとその本格的な味に更に驚く。かしこまったいわゆるおしゃれなカフェ飯とは違うが、全ての料理が、愛情を込めて、丁寧に、本当に丁寧に作られているのがきちんと伝わって来る。ぱっと思い浮かぶのは、「お料理上手なお母さんのご飯」。
大根の煮物はおでん風、優しい味のおつゆがしっかり大根にしみて、汁まで全部飲み干せる。サラダのドレッシングも自家製。レシピを訊いてみると想像以上に多くの調味料を使っていて、その複雑な味わいに納得。メインの竜田揚げ、糸満で獲れた新鮮なマグロを、高温でからっと一気に揚げ歯触りはさくさく、マグロはふかふか。
どれもこれもが親しみや懐かしさを感じる味わいながら、丁寧に作り込まれている料理ばかりで、一口食べたが最後、あまりの美味しさに「三角食べ」ができなくなり、ついつい一品集中、無心に食べ、完食してから次に移る・・・という、「お料理上手なお母さん」からは「こらっ」と怒られてしまいそうな食べ方になってしまう。
こんな贅沢なプレートランチが毎日食べらるカフェを、2人の女性が糸満公設市場内でオープンさせ、もうすぐ5年が経つ。
5年前、二人が力を合わせて自分たち好みの空間に作り上げたカフェは、何度かスタッフが入れ替わり、現在はオープンさせた2人の姿はなく、5名のスタッフが切り盛りしている。
オープン当初に苦労を重ねたnaminami、県外出身者2名で始めたということもあり、最初は様々な壁にぶつかった。転勤族が多く、今まで何度かスタッフが入れ替わったが、これまで働いてきたメンバーの苦労や喜びを包み込み、吸収してきたnaminamiの、壁や天井、椅子、テーブル、その全てが、スタッフたちを優しく見守っているように見える。
メニューに沖縄料理の名前が載ることは無い。沖縄料理では市場のあんまーたちには敵わない。
「かといって、別にすごいおしゃれなカフェメニューを作ろうっていう気持ちは無いんです。」
naminamiのコンセプトは「自分の家族に食べさせたい、体と心にやさしいほっとする料理」。
「普通におうちで食べるようなメニューが多いですよ、生姜焼きとか出したりもするし。」
確かに、「マグロの竜田揚げ」からもそのコンセプトはしっかり伝わって来た。
公設市場という、糸満の中でもかなり「糸満色」の濃い場所にnaminamiはある。まちぐゎーには、ベンチに腰掛けてゆんたくに興じるおばあ達の姿。カフェにやって来そうな人たちは見当たらないのに、オープンと同時に、どこからともなく常連さん達がやってきて、「こんにちわ〜」と、入って来る。
カウンターと奥のキッチンで手際良く料理を作りながら、お客さんとの会話も楽しむスタッフのmisaさんとリカさん。
「○○さん、(今日の付け合わせの)日本そば、食べれます〜?」
「あい、何言ってる、わたしは面(麺)食いよ〜」
気心の知れた常連あんまー達とのやりとりはまるで漫才!
ケーキセットに「琉球チャイ」をチョイス。ウコンがブレンドされているため、すこしスパイシーな香りと味わい。普通のチャイのすこしもったりした感じが苦手な私にはぴったり、味わいはこくがあって深いけれど、後味はすっきり。手作りパウンドケーキとも相性抜群。
人気の「マグロのなかおちランチ」。この日は残念ながら海がしけてマグロが獲れなかった為、メニューには載らなかった。毎日、その日獲れた新鮮なマグロを使って作るこのランチ、1日3食ほどしか出せないので、なかおちランチお目当ての方は事前に電話で予約をいれる方が無難。
10/31からは「yorunami」として火・水曜日の夜の営業も始まった。糸満の公設市場に優しく寄り添って営業を続けるカフェnaminami、5年目を迎えてなお、進化し続けている。
※yorunamiの様子も取材予定、ご期待ください。
まちぐゎ~cafe naminami
糸満市字糸満989-83(糸満公設市場内)
Tel:070-5532-0503
定休日:月曜日・祝日
OPEN◆12:00
CLOSE◆17:00頃
*ランチタイムは12:00から売り切れまで
ブログ:http://naminami.ti-da.net