『 あわいの力 』アンバランスな現代に風穴を開けてくれる。心と身体が忙しいこの季節に。


安田登・著 ミシマ社 ¥1,700(税別)/OMAR BOOKS

 

世の中には知らないだけで、ずいぶんと面白い人がいるものだなあ。
この本を読んでまず思ったこと。読まなかったら、同時代にこんな人がいる、ということは分からない。本を読む楽しみはそこにある。

 

今回ご紹介するのは能楽師のワキ方として活躍されている安田登さんの『あわいの力』。サブタイトルには「あっちとこっちをつなぐ不思議な力」と興味を惹く説明がついている。

 

ご自身が公認ロルファー(アメリカ生まれのボディワーク・ロルフィングの施術師)であり、、古代文字の研究など多分野に造詣が深く、その圧倒的な知識量に驚かされる。それは単なる暗記しただけの内容ではなく、身体に染み込んだ「経験知」といえるもの。
だからこそ読む人の好奇心を揺さぶってくれる。

 

25歳のときに高校の教師だったころ、能に出会い、能楽師になるまでのエピソードや今現在行っている活動や開いている寺子屋などについて、古典などの引用を交えながら語られる。

 

「心」や「身体」に関心がある人には特におすすめしたい。
能楽師はいわば自分の身体が道具。
呼吸がいかに大事か、読むとすんなり納得してしまう。
心と身体の密接な関係、現代で失われてしまった内臓感覚、読めばこれまでの身体への理解が変わってくるはず。
またそれに合わせて古代の文字文化や古典作品に分かりやすく触れているので、知識の幅がぐっと広がるのも魅力。

 

健康、というのは心と身体が両方うまくまわって成立するもの。
でも今はどちらかというと「心」に偏りすぎた不調が多い。
そうしたアンバランスな現代に少し風穴を開けてくれるような本書。
そのヒントはあわいの力。さて著者が言うその「あわい」とは?

 

凝り固まった心と身体を知的にほぐしてくれるこの『あわいの力』。
仕事やプライベートで何かと忙しいこの季節、ぜひたくさんの方に
おすすめしたい一冊です。

OMAR BOOKS 川端明美




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