『「自分」から自由になる沈黙入門』「愚痴は聞く相手にまずい料理を食べさせているようなもの」仏道の要素を気軽に生活に。


 
小池龍之介・著 幻冬舎 ¥1,365/OMAR BOOKS 
 
―どうでもいい、というスタンスで ―
 
年が明け、休みが終わり仕事や学校も始まっていつもの生活に戻りつつある今週。
今年一年の抱負など何かと聞かれる機会も多い。
抱負なんてそんなちゃんとしたものではなくても3kg痩せようだとか、
ジョギングを始めたり、資格を取ろうと思い立つ人など、
去年よりもいい年にしようと計画をたてるこの時期。
 
ただ問題は、「こうしよう」、「これを目指そう」、「これを止めよう」など決めたはいいけれど最初の三ヵ月続けばいい方。
その年が終わる頃にはそんなこと決めたことすら忘れている。
そして今年こそは、とまた同じことの繰り返し・・・。私も例にもれず。
それでも懲りもせず、試してみようかなと思ったのがこの本
『「自分」から自由に沈黙入門』に書かれていること。
 
1970年代生まれの現役住職の著者(他の著作に『考えない練習』など。)による、
毎日を健やかに送るための入門書的内容。
 
まずは最初の4ページを読んでみることをおすすめします。
痛たたたっと声を上げたくなるほど身につまされる(沖縄では「うちあたい」という)ことまちがいなし。
 
「自分濃度」(=自意識)が濃ければ濃いほど自分にがんじがらめになって、いいことなんか何もないと言い切る著者の手習いが、ちょっと人を食ったようなユーモラスな文章で綴られている。
著者自身による飄々としたイラストもまたかわいい。
 
「口は災いのもと、とよく言われるように極力語らないこと」、
「安易にすみませんといわない」
「愚痴は聞く相手にまずい料理を食べさせているようなもの」
など著者自身の経験をベースに噛み砕いた例えがすんなり入ってくる。
 
話さずにいるというのは、実は勇気のいること。
試しにやってみるとすぐ分かる。
仏道のエッセンスをちょっと生活に取り入れるだけの気軽さで、
いかに自分が気持ちよく、ということはつまり、周りも気持ち良く生きられるか、
が分かりやすく語られているのがこの本のいいところ。
 
「どうでもいい」という気持ちのスタンスが心を軽くする。
まるでガス抜きのようなこの本。
そっかあ、そう思えば気持ちも楽かも、といった発見も多く
がんばりすぎる友人たちの顔が目に浮かんだ。
さっそく友人ひとりにすすめたところ。
 
この本の内容を(全ては無理だとしてもせめて一つぐらいは)実践できたら
この一年はいい年になるかもしれない。
 
三日坊主にならないように、まずは何から始めよう?
 

OMAR BOOKS 川端明美




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