『 生活工芸 new standard crafts 』亀の子たわし、ハンガー、ボウル・・・くらしの中の「工芸品」を目利きたちが選出。

生活工芸プロジェクト・著 2,100円 リトルモア/OMAR BOOKS  
 
― 普通にいいもの ―
 
頭を使わず、お茶を飲みながらぼーっと眺めていたい本を一冊ご紹介します。
 
この本は金沢21世紀美術館で開催された『生活工芸』展に合わせて制作されたもの。
暮らしの目利きたちが選んだ生活工芸品が、淡い色合いを背景に収められている。
 
ポイントはそれらが全て生活の中で身近にあるものだということ。
木のボウル、ハンガー、ほうき、無地のトートバッグ、亀の子たわし、ボタンなど魅力的な品の数々。でもこれって普段私たちが毎日目にしているものだったりする。
 
ただ目利き(三谷龍二・深澤直人・高橋みどり・平松洋子、他14名)が選んだからとあって、選ばれた工芸品は皆、シンプルで使い勝手が良さそうで過剰な装飾がなく美しい。
  
「生活工芸」という言葉があるのかなあ、と思っていたらそれに答えるごとく、冒頭にガラス作家の辻和美さんの言葉があった。実際にそういう言葉はなく、「生活」と「工芸」を辞書で調べて合わせるとこういう意味になるそうだ
 
―暮らしの中の実用性と美的価値を備えた工作物―。
 
うーん。
でもこの展覧会のディレクションをした辻さん自身も分からないなりにやっていく中で焦点があってきたという。
この本をぱらぱらと捲っていくうちにその輪郭がなんとなく掴めてくるような気もする。
  
美術品のようにただ眺めているだけでは生活工芸品の価値は半分。
生活の中で長く使い続けて初めて本当の美しさを実感できる。
そう、美を実感出来るってことが一番大きいのでは、と思う。
 
この本のページを開いてみて、普通にいいものがこんなにある、と気付かされた。
100ものアイテムが並ぶこの本、目の保養になるのと同時に、
物の見方が変わる一冊です。
 
生活の中にお気に入りのものがひとつあるだけできっと毎日が全然違う。
自分のベスト生活工芸品をあげてみるのも面白いかもしれない。 
 
まずは身の周りにある小さなものの良さを見直して、大事にすることから始めてみよう。

OMAR BOOKS 川端明美




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