**ネタばれあり**
大変上質な作品です。
心をぐっとつかまれるのは、役者のうまさと構成、脚本の良さ、
すべてのバランスがいいからだと思います。
クリスティン・スコット・トーマス、大変好きな役者です。
この人、本当に美しい。
彼女が、過去のサラを探していくうちに自分の立ち位置も確認し、未来へと向かっていく姿に、迷える誰もが共感を覚えるのではないのでしょうか?
知るべき史実を全く知らない私は恥ずかしいのですが、ドイツ軍ではなく、フランス軍にもユダヤ人は迫害されていたのですね。
途中、サラを逃がしてくれる軍人ジャックがいますが、このようなひとが本当にいたのかは疑問です。
サラ役のメリュジーヌ・マヤンス、実に賢く、凛としています。上手い!!
弟を助けることだけを心に誓い、鍵をかけてしまった部屋に戻ろうとする。
途中で心やさしい老夫婦に出会う。
このあたりのサラの話と、それを調べるジュリアの話が上手い具合に交差します。
サラのことが、何故あんなに詳細にわかったのか?
それだけがイマイチ私にはピンときませんでしたが、
他はお話に引き込まれました。
45歳でやっと妊娠したのに、夫は中絶を望む。
夫婦ともしっかりした職業をもっていて、経済的には育てられるのに、
ここが夫婦の価値観の違いだったんでしょうね。
望んで、待ち焦がれていた妊娠によって、その溝ができるなんて、皮肉な話です。
そんな揺れるジュリアは、何か答えを探すかのようにサラのストーリーを調べ続ける。
そこで彼女が知った答えとは。。。彼女の選択とは??
人生はとても不思議ですね。
自分の人生が、全く過去の関わりのない他人に大きく影響を受けることがある。
だから、迷っているときはいろんなものをみて、いろんな人と会い、
たくさんのヒントを得ることが大事だと思いました。
この映画は、やっぱり役者がみんな素晴らしいです。
エイダン・クインがでてますが、ちょっと最初気がつかなかった。
「あらなんと、ダンディな」と思ったらエイダン・クインでした。
時々、いろんな映画でこの人をみますが、
そのたび、「誰だっけ?」と思うのは何故でしょう(笑)
自分の立ち位置とどこに向かっていくかをちょっと迷っているひとにも、
今の立ち位置に満足しているひとにも、
こういう史実があったのだということを私のように知らなかったひとにも、
是非見ていただきたい映画です。
女性向けだと思います。
KEE
<ストーリー>
夫と娘とパリで幸せに暮らすアメリカ人女性記者ジュリアは、取材の中で衝撃的な事実に出会う。夫の祖父母から譲り受けたアパートのかつての住人が、アウシュビッツに送られたユダヤ人家族だったのだ。さらに長女のサラが収容所から逃亡したことを知るジュリア。 1942年のフランス警察によるユダヤ人一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに戻れると信じて―。
サラは弟を助けることができたのか?二人は今も生きているのか?次々と明かされる秘密がジュリアを揺さぶり、人生さえも変えていく。やがてジュリアは未来を左右する大きな決断を迫られるのだが―。
<キャスト>
クリスティン・スコット・トーマス
メリュジーヌ・マヤンス
ニエル・アレストラップ
エイダン・クイン
フレデリック・ピエロ
<沖縄での上映劇場>
シネマパレット(3/31より上映)
098-869-4688
那覇市久茂地1-1-1 9F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemapalette