MINIVELO STATION(ミニベロステーション)ゆるーく楽しめるミニベロで、散歩に出よう。沖縄初のミニベロ専門店。

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可愛い。海岸やカフェの横、どこに停めてもきっと絵になる。でも、こんなキッズの三輪車みたいな小さいタイヤでうまく走れるのだろうか。そんな逡巡を、ミニベロステーションの内間出さんはすぐに見透かす。

 

「ミニベロっていうのはタイヤが小さい自転車の総称ですけど、『このサイズじゃ、ずっとシャカシャカ漕ぎ続けないといけないんでしょ?』って、これ一番よく聞かれることですね。でも、ここのミニベロはシャカシャカ漕がなくてもいいし、疲れにくいですよ。とにかく軽くて、ラクに走るように作られてるので。電動自転車に乗ってる方でも、『電動アシストなしでこんなに走るんだ!』って驚かれるぐらいです。まずは試乗してみてください」

 

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サドルにまたがると、心許なさがスッと消える。手足とお尻がしっかりといい位置に落ち着くから。そしてペダルを踏めば、想像以上の軽やかさ。軽過ぎて空回ることもなく、漕いだら漕いだだけ誠実に前に運んでくれる実感がある。

 

「タイヤが小さいから漕ぎ出しが良くて、スピードにあっさり乗れちゃうんですよ。ただし、良いミニベロを選ばないと、この快適な乗り味は出ないんです。良いミニベロはまず軽い。重たいともう常にブレーキかかってるような状態で漕がないといけないですからね。ここにあるミニベロは総重量が10キロ切るのもありますけど、一般的に販売されている中には約18キロのものもあったりします。この差、2リットルのペットボトルなら4本分なので、かなり変わってきます。でも、とにかく軽ければいいかというとそれも違うんですよ。いくら軽くても、進まないとずっと漕ぎっぱなしになって、それも疲れますから。軽くて、なおかつ漕いだ量に対してしっかり距離が出るように作られているのが良いミニベロといえますね」

 

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疲れないミニベロ、疲れるミニベロ。その違いはどこから出てくるのだろう。

 

「良い走りができるかは、フレームの設計がどれだけ緻密かとか、ベアリングやギアなどのパーツにどれだけ良いものを使っているかとかで決まってきますね。ミニベロはピンキリの価格で出てますけど、安いものも一見それらしく作ってはあるんです。可愛いは可愛い。でも乗ってみると、すぐ差に気づくんですよね。パイプ1本にしても、見た感じは同じ直径でも内側の厚みとか、見えない部分が全然違うんですよ。しかも、しっかりしたメーカーのものは何度もテスト走行を繰り返して、走りの精度を高めていくんです。そういうところが価格に反映されるわけです。ミニベロ、1万円台からあったりしますが、満足いく走りができるものとなると、どうしても5万円台ぐらいからになると思います。でも、買ったけど疲れるから乗らなくなったじゃ意味ないので、ここにはちゃんと走るミニベロしか置いてません」

 

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ミニベロステーションには可愛いだけでなく、乗り心地もいい実力派のミニベロだけが集められている。それに…と内間さん、まるで洗濯物を畳むような何気ない手つきでミニベロを畳み始める。ただでさえ小型のミニベロが、いっそう小さくなる。

 

「ここにあるミニベロは、折り畳めるものがほとんどです。さらにコンパクトにできるんですよ。中にはA4サイズにまで畳めるミニベロもあります。もう個人ロッカーにも入っちゃうサイズですから、『会社の契約駐車場から会社まで結構歩くから、ロッカーにこのミニベロを置いとくと重宝するわ』と言われる方もいて。それに沖縄だと、外に自転車置いとくと潮風で錆びついちゃうことも多いですよね。でもこれだけコンパクトになるなら屋内にも入るし、車に積んでおくのもアリです。トランクじゃなく助手席にでも置けるサイズですから」

 

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乗るのも、置き場所も気負いは要らない。どんなひとにも取っつきやすいのがミニベロの良いところだ。

 

「ゆるーく楽しめますよ。普段着で乗れますし、体力に自信ない方にこそ乗ってほしい自転車でもあります。たとえば、『ミニベロでどこ行くのがオススメ?』ともよく相談されるんですけど、僕は名護推すんです。中南部住んでる方は『そんな遠くまで、とても走れないよー』と返されるんですけど、名護までは車で行っちゃえばいいんですよ。ミニベロは積んでね。着いたらミニベロの出番で、備瀬のフクギ並木なんて最高ですし、『こんなところにカフェできてる! 入ってみよう』ってのも気軽にできます。ロードバイクの練習で乗ってるような方々にとっては、名護は休憩場所や折り返し地点だという方が多いんですね。だいたい21世紀の森公園まで行って戻ってきて、今回のタイムどれぐらいだった?みたいな。だからロードバイクが目的地まで、いかに早く行くかの自転車だとすると、ミニベロは目的地を楽しむための自転車といえます」

 

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カスタマイズ用のサドルも各種揃う。「サドルも奥が深くて、フカフカしていればいいわけではないし、天然ゴム素材は衝撃を受けにくくて人気ありますが、全員に絶対イイものでもない。色々あるのでぜひ試してみてください」

 

そして、ここ沖縄こそミニベロが本領発揮できる場所だと内間さんは力をこめる。

 

「沖縄はやっぱり自動車社会ですよね。大人でも自転車乗れないって方も多いですし。ちょっとの距離でも車移動して渋滞に巻きこまれちゃうとか、運動不足に陥るとか。そういう沖縄にありがちなスタイルを変える意味でも、ミニベロいいと思うんです。地形的に細い道やアップダウン多いですけど、ミニベロならラクに走れますから。僕はずっとそう思ってたんですけど、いつまで待っても沖縄はミニベロをたくさん置く店ができないから、もう僕がやるしか!ってここを始めた感じです」

 

かくいう内間さんも、ミニベロの魅力に気づいたのは大人になって、だいぶ経ってからのこと。

 

「僕も沖縄育ちですけど、自転車は子どもの頃に遊び行く時や高校の通学で乗ってただけで、そこからは全然乗ってなかったんです。でも結婚して子ども生まれてから、ふと量販店で折り畳みの自転車買って乗ってみたんですよ。でも安かったからか、ペダル重たくて難儀して…。それで、ちゃんとしたメーカーの自転車に乗り換えたら、すごくラクで!スイスイ走っちゃうから楽しくて! 一気にハマっちゃったんです。そこから、僕はまずロードバイクやりました。レースも出て、速ければランク上がって、遅いとランク落ちちゃう勝負の世界です。それも楽しいではあったけど、そのうちにもっと、景色でも見ながらゆるーく乗りたいよなぁとなって。それでミニベロですよ。僕、ミニベロで街の探検はもちろんですけど、100キロ完走したり、荒れた道走ってみたり、色々やっては楽しんでます」

 

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ミニベロ「PECO」のハンドルにかけられるサイズに作られたオリジナルトートバッグ

 

そして2014年6月、沖縄で初めてミニベロだけを扱う専門店が誕生することとなる。ミニベロは驚きと喜びをもって受け入れられていく。

 

「自転車に乗るのは20年ぶりで、普段も運動は全然してないっていう50代の男性がミニベロを試乗して、『すみません、あまりにもラクに漕げるから坂下りて美浜まで行ってきちゃいました…』って。宜野湾のここから美浜まで結構な距離ですよ。だけど、『自転車が楽しいと思えたの、初めてで!』ってすごく良い笑顔でね。他にも、『ジムよりは景色見ながらの方が続くかなと思って買ったけど、純粋に寄り道が楽しくて精神的にもいいわ』って若い方もいます。ロードバイクとミニベロの両方を使い分けて楽しんでいる方もいますし、とにかく『楽しい』って感想が多くて」

 

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そんな感想を引き出せるのも、内間さんがそれぞれのミニベロの個性とお客さんの希望とを丁寧につないでいくから。

 

「ここのミニベロは、どれもラクな走りができるっていうのは大前提ですけど、そこからまた個性分かれるんですよ。長距離向けのミニベロ、デコボコ道が得意なミニベロ、折り畳めて、なおかつ引きずって歩くのがラクなミニベロ、サイズはそれほど小さくないけど、折り畳みの簡単さじゃ世界一かもなってミニベロとか色々。なので、通勤用に使う方と休日の散策で使う方では提案するミニベロも変わりますし、もっと言えば、美浜の方と首里の方では合うミニベロは変わると思うんですよね。そのあたりをじっくりお聞きした上で、僕も一緒に考えるんです。それに、ロードバイクだとスピードが最重要ですから、どれも無駄を削いだ感じのデザインになることが多いんですけど、ミニベロはクラシックな感じからスタイリッシュな風とか色々あって、ビジュアルだけで長時間迷う方も多いです。それに、県外だとミニベロ専門店も多いですけど、そこらと比べてもここ、試乗できる台数が多いのが自慢なので、色々乗り比べてほしいですね」

 

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あえて工具類は見える位置に置かないというこだわり。「店内をカフェっぽくして、初めての方も入りやすいようにしてます」

 

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自分のためのミニベロを見つけだした後も、内間さんの手厚いケアは続く。

 

「自転車にハマってから、僕、仕事も自転車屋に転職しちゃったんですよ。そこでメンテナンスや修理の技術を身につけたので、僕自身でミニベロの面倒しっかり見られます。どうしても乗ってるうちにギアが決まらなくなったり、ブレーキが減ったり色々出てきますけど、いつまでも無料で見るようにしてます。普通は自転車屋って半年とか1年までは無料ってところが多いみたいで、喜ばれますね。ただ、修理でなく部品交換となると実費になっちゃいますけど」

 

内間さんの願いどおり、沖縄の日常風景にミニベロが馴染みはじめた。

 

「お客さんから、『奥武山公園の産業祭でもミニベロ、何台か見たよ』とか『58号で速いミニベロ見たけど、なんか増えたよね』とか教えてもらえるんです。特徴聞くと、おそらくはここで扱うミニベロなんですよね。沖縄でもミニベロの楽しさがだんだん広がってきてるみたいで、僕それが一番嬉しいです」

 

文/石黒万祐子

写真/金城夕奈

 

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MINIVELO STATION(ミニベロステーション)
宜野湾市新城 2丁目38-9 105号室
098-896-1032
OPEN 11:00-20:00
CLOSE 水曜