『彼方へ』 minä perhonen POPUP SHOP に寄せて

 

                           

 

 

 

 
2020年も年末。
信じがたいような波が世界を覆い、Webもテレビもその事案一色。

 

 

 

 
その波の中で個人的に思うのは、それでも人の営みは変わらずにつづくのだということ。

 

 
私たちはいつしか、その信じがたい波の中にいることにも慣れてきたようにすら感じる。
なんとなく思いきり笑えない日々はまだしばらく続きそうだ。

 

 
そんな日常を照らしてくれるもの。
それはささやかな願いたち。

 

 

 

 
また何処かへ旅行に行きたい。
もう一度パリの街を歩きたいな。
春がきたら、この波はきっと引くだろう。
そうしたらまた友人たちや家族と食事会がしたいな。
いつかまた、遠くのあの子に会いに行けるだろう。

 

 

 

 
だんだんと欲望は洗い流され、願いはだんだんと謙虚になってゆく。
そうして祈りにも似た願いは、やがて「希望」となる。

 

 
薄暗い水面下で、この波が引いた後の世界に希望を抱く。
その彼方にある希望が、私たちに今をやり過ごす力を与えてもいるのだ。

 

 

 

 
11月21日から始まったminä perhonen POPUP SHOP
初日に元スタッフのさやかママが10月半ばに生まれた我が子を連れてやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 
妊娠が分かってから臨月までを共に過ごしたせいか、言葉にしがたい感慨深さ。
お米ですくすく育ったから、米(ヨネ)ちゃんとニックネームをつけてみんなでお腹の外から話しかけていたっけ。

 

 
生まれてから顔を見て命名した名前は、結(ユイ)。
みんなを結ぶいい名前。
お米を手で結ぶと、お結びになる。
お米由来の、結。
なんだかとっても福々しい。

 

 

 

 
結ちゃんが着ている服は、私の姪っ子ノアが着ていたminä perhonenの子供服。
9年が経過したとは思えないその風合いを眺めていると、思い出の連なりにじんと胸が熱くなる。

 

 
様々な思い出が結ばれて今が「在る」のだ。

 

 

 

 
結ちゃん、かわいいね。
あなたは未来からきた希望そのもの。
当時私たちが抱いていた希望が、あなたをここへ引き寄せたのか?
それとも、私たちが抱いた希望があなたのいる未来へと私たちを運んだのかしら?

 

 

 

 
ここへ来てくれてありがとう。
あなたが待つ世界へ来れた私たちにもありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 
数年前のminä perhonenのコレクションでの一コマ。
今と全く状況の違うあの頃も、確かにしっかりと今へとつながっている。

 

 
minä perhonenのトリバッグの中に入っている3つの卵たち。
こうして眺めていると、中に未来の記憶が詰まっているように思えてくる。

 

 

 

 
あの頃は知る由もなかった今。
あの頃はいなかった大切な存在。
未来への希望。

 

 

 

 

 

 

 

 
POPUP SHOP初日の景色Ⅱ。
大人も子どもも光を浴びて笑っている。
マスクの下にも笑顔。

 

 

 

 
見えないところに、希望を見る。

 

 

 

 
イベントをする度に、感じることがある。
minä perhonenに触れる人々、そこで交流する人たちの顔がどんどん明るくなるのだ。
そして展示している場が、やさしい喜びで満たされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
そうそう、こうしてこの記事を書くことになったきっかけはこのドレス。
開店準備中にあるドレスの皺を取ろうと霧吹きを使っていたら、ふと目に留まった布の上の鳥の群れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
そこには光を受けて輝く鳥たちが飛んでいた。
飛ぶ鳥のイメージを線に乗せたようなシンプルな図案なのに、胸に響いてくるその羽ばたきと囀り。
皆が同じ方向を向いていることで、見ている私もその方向へと引き付けられる。

 

 

 

 
テキスタイル名を見たら「kanata」とあった。

 

 

 

 

 

 

 

 
「kanata」

 

 
まだ見ぬどこか、彼方へ向かって飛ぶ鳥たちの胸はきっと希望に満ちているのだろう。

 

 

 

 

 

 
暗い波に飲みこまれているようなこの時代。
波の下から水面の向こうの光を見たい、感じたい。

 

 

 

 
大切な存在の肌に触れ、光に向かって飛ぶ鳥たちの羽音を耳にした今、そこには確かに光が見える。
どんなに分厚い雲が垂れ込めていたとしても、その上は光で満ちていることを覚えていよう。

 

 

 

 
去る人もいれば、来る人もいる。
不安に飲まれて誰かに負のバトンを渡してしまうこともあるけれど、ふとした温もりに軸を取り戻して誰かの励みになることだってきっとある。
できたら心に陽が射すようなことをあなたに手渡したい。

 

 

 

 
今を、希望ある未来へと繋げていきたい。

 

 
世界中に不安な波が広がっている中でこのイベントを開催しているため、この一月ほどいつものように告知ができずにいた。
そんな中で、目にした「kanata」。
デザイナーの皆川明さんの描いた線から、夜明けの風が私の日常の中に流れ込んできた。
ああそうか、彼らは「kanata」へ向かって羽ばたいているのか。
思わず私の顔は綻んで、彼らと同じところを向いていた。

 

 

 

 

 

 
こうして何かを発信するとき、そこに希望が生まれるといいと私は信じる。
minä perhonenのテキスタイルやデザインの中には、いつ触れてもそれがある。

 

 
誰かの温かな発信に触れたあと、見える世界はきっと以前より明るくなるだろう。

 

 

 

 

 

 
Shoka:では12月6日(日)まで、minä perhonen POPUP SHOP開催しています。

 

 
ゆったりとした空間で、出来る限りの対策をしてお待ちしています。
どうしても外出が気になる方はどうぞインスタグラムで覗いてみてくださいね。

 

 

 

 

 

 
写真・文 田原あゆみ
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minä perhonen pop-up shop @ shoka
11月21日(土)~12月6日(日)
12:00~17:00  会期中 火・水曜日定休

 

 
2020年最後の企画展は待ちに待ったミナ ペルホネンのポップアップショップ。

 

 
国立新美術館で開催されていた「つづく」を観覧しに行った方もきっと多いことと思います。テキスタイルにも形の中にも温もりや、
希望の灯火が感じられるミナ ペルホネンの世界に触れられることに今からワクワクしています。

 

  

 

 

 

 
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暮らしを楽しむものとこと
Shoka:

 

 
http://shoka-wind.com/

 

 
沖縄市比屋根6-13-6
098-932-0791(火・水曜定休)
営業時間 12:00~17:00