» soi(ソイ)タイ風カレーにフォー。沖縄食材で作る本格エスニック料理。

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ぴりりとした辛味はあるものの、素材のあじわいが優しい「やんばる鶏の無農薬ハーブ&チリ炒め目玉焼き添え」。
プレートメニューにはたっぷりのサラダと野菜の副菜2品が付く。
 
「野菜をもりもり食べて頂きたいので、たっぷり使うようにしています。副菜を何にするかは、買い付け先の市場に出ている野菜を見てから決めていますね。
素材はできる限り沖縄産のものを使うようにしていて、それが入手できない場合は九州以南で生産されたものを選んでいます。スパイスはすべてオーガニックです」
 
soi のメニューはどれも、フレッシュな野菜の持つ力強さを感じる。
今帰仁産のしょうがで作ったシロップのソーダ割りも逸品。きりっとしたしょうがの風味が爽やかで、スパイシーな料理との相性も抜群だ。
 
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沖縄産のハーブとオーガニックスパイスをふんだんに使った「自家製ドライトマトとチキンのココナッツカレー」は、タイ風の味わい。
 
「からだに優しいカレーが好きなので、乳製品や小麦粉を使わないようにしています。そうすると胃に負担がかからないんですよ。
また、タイカレーって一般的には唐辛子や生姜、にんにくなどさまざまな香辛料をベースにペーストを作るのですが、当店ではお子さんやお年寄りでも楽しめるように唐辛子を別にしてペーストを作っています。そうすれば辛さを調節することができますから」
 
具沢山なカレースープの中には、ドライトマト、玉ねぎ、いんげん、人参、茄子、からしな…。風味はタイ風だが、使われているのはどれも身近な野菜ばかりだ。
 
「せっかく沖縄にいるのだし、沖縄にはおいしい野菜や食材がたくさんありますからそれを生かしたくて」
 
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カフェとしては珍しく、オープンは朝9時と早い。
「モーニング・フォー」と称し、「桜島鶏のフォー」「トムヤムクンのフォー」を準備している。
 
じんわりからだに染みわたるスープは、つるりとしたフォーの麺にマッチ。しっかりと煮込まれた桜島鶏はぷるぷるっとした食感がたまらない。
このままなら子どもでも食べられるし、香辛料やレモンを加えれば本場の味に一層近づく。
 
那覇の朝、壺屋のカフェ、ハーブたっぷりのエスニック料理。
 
なんと魅力的な組み合わせだろう。
 
「ベトナムの一日は屋台で食べるフォーから始まるんです。当店も、ベトナム屋台のように朝ご飯をさっと食べられる場所にしたくて。
僕らが旅行で沖縄を訪れたとき、早く出かけたいのに朝ご飯を食べられる店をなかなか見つけられなくて大変だったこともあり、朝から店を開けています。
また、コーヒーも気軽に飲めるお値段にでご用意していますよ」
 
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自慢のコーヒーは、栄町の「potohoto」の豆を使っている。(関連記事:コーヒーが苦手だった店主、自家焙煎豆の美味しさの基準は「甘さ」
 
「ホットコーヒーのフレンチプレスは、カップ約2杯分の量が楽しめて300円。せっかくおいしいコーヒーだから、がぶがぶ飲んでほしくてたっぷりお出ししています」
 
朝のうちからおいしいコーヒーをゆっくり堪能できる、個人営業のカフェを見つけるのは難しい。
一日の始まりすっきりと迎えたいひとにも、旅先でゆったりとモーニングコーヒーを味わいたい人にも嬉しいサービスだ。

また、コーヒーや酵素スカッシュ、ミントシロップソーダなどのドリンクだけでなく、食事メニューもすべてテイクアウトすることができる。
 
「天気が良い日はここで買ってそのへんの公園で食べるのも素敵ですよね。
お外で食べるのって気持ちいいですから」
 
近隣ならばデリバリーも可能だと言う。
 
「具体的にどこまでと決まっているわけではありませんが、お気軽にご相談ください」
 
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スイーツメニューも卵、乳製品を使用せずに作っている。
「3種のアイスとショコラケーキのパフェ」は食べごたえ十分だが、ボリュームたっぷりのスイーツを食べたあとに感じやすい胃もたれをまったく感じない。
 
「当店のメニューには卵や乳製品などアレルギー物質を含む食品を極力使わないようにしています。
使用しているものは、その旨をメニューに表記しています」
 
食材にこだわっている理由の一つは、オーナーである尚(たかし)さん、由佳さん夫妻の子ども達がそれぞれアレルギーを持っていることにある。
 
「乳製品と卵のアレルギーがあるんです。最初は小麦もダメで。
なかなか外の食事を食べられないから、徐々に外食が遠のいて自分たちですべて作るようになりました。
私たちはもともとカレーが好きだったのですが、市販のルーだと子どもが食べられないものが色々と入っている。だから、『カレーも自分たちで作ろう!』と」
 
自作のカレーは子ども達に大好評。
すぐに好物の一つになった。
 
「胃への負担が大きい小麦を使わないことで、優しい味わいのカレーができました。
僕らも年とともに胃が弱くなってきたこともあり、子どもと一緒に小麦粉抜きのカレーを食べています(笑)」
 
カレーは昔から好きだったというが、最初からカレーメインのカフェをやりたいと思っていたわけではなかったと言う。
 
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「バナナとカカオニブのスムージー」。カカオニブとは、カカオ豆を発酵、乾燥、焙煎後に粉砕したもの。豆の栄養が豊富に含まれている。
 
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沖縄移住前は東京で暮らしていた尚さん。
学生時代からずっと飲食店でアルバイトをしていたと言う。
 
「最初はバーテンみたいなことから始めて。
仕事が楽しかったので和食をベースにイタリアンなど様々な店で働きました」
 
大学卒業後もしばらくは飲食店に勤め、10年ほどの経験を積んだ。
 
「でも、飲食以外の世界も見た方がいいんじゃないかなと思うようになって。
それに飲食の仕事はすごく楽しいんですけど、肉体労働だし勤務時間も長い。
そういう生活は家庭と両立できないだろうと感じていたので、結婚を機に生活スタイルを変えることにしたんです。
それで思い切って正反対の世界に身を置いてみることにしました」
 
通信系の会社に就職し、サラリーマンとして働き始めた。
その間、昔から好きだった沖縄には幾度となく旅行で訪れた。
 
「毎年のように来ていましたね。『いつか住みたいな』とは思っていたけれど全然具体的ではなくて、遠い未来のこと、老後の夢くらいに思っていました」
 
就職して6年目、思わぬ転機が訪れた。
 
「父が事故で急に亡くなったんです。
当たり前のことかもしれないけれど『人っていつ死ぬかわからない』ということを深く実感しました。
それに、サラリーマンの仕事に対してもずっと疑問は抱き続けていたんです。やりがいもあるし安定もしている。頑張って勤めていれば地位も収入も上がっていくだろうけれど、これが俺の一生やるべき仕事なのかな? と。
そんな矢先に父が亡くなり、『やっぱりやりたいことをやりたい。沖縄行く!お店やる!』と決意しました」
 
一方、妻の由佳さんも7年ほど飲食業界で働いていたが、出産を機に専業主婦となっていた。
 
「私も飲食の仕事が好きでした。接客も好きで人と話すのが楽しかったんです。
でも産後は人と話す機会がめっきり減ってしまって。なんとなく寂しく感じる日々が続いていました。
だから、主人から移住の件を相談されたときは『全然いいよ!』と即答。
たとえ失敗したとしても、夫婦二人で働けばどうにかなると思ったんです」
 
リスクについてはあまり考えなかったという二人。
 
「考え出したらキリがないし、そうやってるといつまでも動けないから」
 
そうして東京から沖縄へ。
2013年に念願の店をオープンさせた。
 
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店のメニューの決め手になったのはやはり、沖縄の野菜が持つ強い魅力だったと言う。
 
「旅行で沖縄を訪れていたときも子ども達はアレルギーがありましたから、リゾートホテルではなくウィークリーマンションを借り、毎日沖縄の野菜を買い込んで、自分たちで料理を作って食べていました。
旅先でその土地のものを使ってご飯を作るのって楽しいじゃないですか。
小さい子どもがいると、アレルギーのことがなくても外食は気を遣うし」
 
料理をしているうちに、沖縄の野菜に適したメニューが浮かぶようになった。
 
「タイカレーのようなメニューを出すお店はどうかな?と。
沖縄のにんにくや生姜はパワーがあって新鮮。野菜だけではなく沖縄は肉もおいしい。それでカレーにしようと。
でも、特にカレーだけにこだわっているわけではないので、今後もメニューは増やしていきたいと考えています」
 
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店内には広々とした座敷スペースも完備、おもちゃや絵本なども置かれている。
 
「沖縄に訪れたときに、子連れで気兼ねなく過ごせるカフェを見つけることがなかなかできなかったので、店をやるときにはキッズスペースは絶対作りたかったんです。
だからうち、子ども大歓迎!(笑)
店の奥にはおむつを替えるスペースもありますし、ベッドも置いてあります。
 
旅行者が朝からおいしいご飯を食べられるように。また、お子さん連れでものんびりとお食事を楽しんでいただけるように心がけています。
そして、子どもたちの要望にもできるだけ応えたいですね。
以前、『チャーハン食べたい!』という子が来て、ちょうど店も落ち着いていたので『いいよ、作っちゃうよ』って(笑)」
 
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豆乳アイスのコーヒーフロート
 
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今後はモーニングメニューも強化したいと言う。
「雑炊もやりたいんですよね。なるべくお安い値段でお出しできたらな、と」
 
雑貨販売も予定している。
「雑貨や真鍮のアクセサリー、エプロンやキッズ用のタイパンツなどが並ぶ予定です」
 
 
沖縄食材のトリコになったふたりが始めた店「soi」。
ここでいただけるメニューはどれもエスニックな香りをまといながらも、沖縄で暮らす私たちにとって身近な食材がしっかりと主張していて、その味わいには親近感を抱かずにはいられない。
タイカレーにこれまで縁のなかった人も、soi の味ならすんなりと受けいれ、楽しむことができるだろう。
soi を訪れる人々の年齢層は幅広く、年配の方がもあいの場として使っているのも納得できる。

 
沖縄食材は、エスニック料理とこんなにも相性がいいのだ。
 

写真・文 中井 雅代

 
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那覇市壺屋1-7-18
open 9:00~18:00
close 日・月・祝
テイクアウト、配達承ります。
 
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