2012 7月

人生で大切なことは雨が教えてくれたドミニック・ローホー 原秋子・訳 幻冬舎 ¥1,000/OMAR BOOKS
 
―ただ雨を眺めること―
  
 夏、到来。
西瓜、花火、蝉の声。
夏の風物と言われる中で好きなものに「夏の夕立」ははずせない。
真っ青な空に、じりじりと陽が照りつけ雨の気配など微塵も感じられないときでも、いつのまにか雲が現れ、あっという間に暗くなる。何かが割れるような音がしたかと思うと、地面を叩くようにして大粒の雨が昼間の熱を一気に冷やす。ジューと音が聞こえてきそうだ。足元からは雨とアスファルトの入り混じった匂いが立ち上る。そしてそれも束の間。夕立はさっと現れ、さっと消えていく。
 
「夕立つ」という日本語の持つ響きの妙。
夏の雨の唐突さがこの言葉一つで言い表わされている。
  
今回ご紹介する本はフランス人作家によるもの。
古今東西の雨にまつわる詩や俳句を引用しながら人生に重ね合わせ、雨の愉しみ方、味わい方を綴ったエッセイです。
  
簡単に言ってしまうと「ただ雨を眺めましょう」というのがこの本で著書が伝えたいこと。
自然の雨の降る様を眺めることはイコール、私たち自身の内面を見つめること。「内観」の一つの方法として提案している。
 
このドミニクさん、日本滞在の経験も長く、文中に引用されているのは松尾芭蕉、小林一茶、永井荷風、正岡子規など日本文化にも造詣が深い。
彼女は禅の思想や道教なども学んでいたことから、彼女の哲学にはその影響も大きく見られる。日本人的な感性が随所に散りばめられ、抵抗感なくとても読みやすいこの本
 
―巷に降る雨、人生の途中で必ず遭遇する雨、雨を避けては通れない。それならば、いっそのこと雨を好きになってみては?―(帯文より)。
 
雨の日、ただぼーっと何もせず部屋で過ごすことは怠惰なことではない。
雨音を聞きながら、一人で思いを巡らすことの大切さを見直させてくれる。
晴れているのに降っている。
夏の光の中、きらきら降り注ぐお天気雨のようなことは人生にだってある、そう思わせてくれる味わい深い一冊です。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

2012 7月


 
東京で活動するボサノバ・POP・ユニット “seinana”が、昨年に続き沖縄でワンマンライブをやります。
 

しかも今回は2日続けての2DAYS LIVE。限定25人ずつの ”まったり、ゆったり”でいてノリノリもある楽しい真夏の夜のひとときを・・ 
 
開催日と時間:
8月12日(日) 18:30開場 19:00開演 *2stage 入れ替えなし
8月13日(月) 19:00開場 19:30開演 *2stage 入れ替えなし
場所:cello チェロ 
住所:那覇市泉崎1-17-10
 
ブログ:http://seinanasann.blog57.fc2.com
FACEBOOK:http://www.facebook.com/#!/seinana
 

2012 7月

ペーチン屋

 

「うちのまんじゅうは冷やして食べても美味しいんですよ。昔は那覇で買う手土産だったようで、遠くまで持ち帰って冷めてしまっても美味しく食べられるよう、製法もよく考えて作られているんです。戦前は当店作りたてのまんじゅうが天妃宮まで運ばれてくるのを待ちきれず、当時工場のあった垣花まで買いにきていた人もいたそう。先日、そんな話をご年配のお客様から伺いました」

 

のーまんじゅう、山城(やまぐすく)まんじゅうとならんで沖縄の三大まんじゅうに数えられる天妃前(てんぴぬめー)まんじゅう。はったい粉(麦を煎った粉、ユーヌクとも呼ばれる)と黒糖で作る餡を小麦粉で作った薄い皮で包み、月頭の葉と蒸しあげる。その名は戦前、久米村(=現在の那覇市久米)の天妃宮(てんぴぐう)前で販売されていたことに由来し、当時同様の場所で売られていたまんじゅうの総称だと言われる。

 

中の餡がすけて見えるほど薄い皮につつまれたユーヌクは、さっぱりとした甘みが特長。ぷるんと弾力がありクセのない薄皮との相性も抜群だ。

 

ペーチン屋

 

ペーチン屋
祖母の代から変わらない包装紙。「『そうそう、この包装紙につつまれたまんじゅうを探してたのよ』とおっしゃる方も」

 

ペーチン屋
月桃の葉がほのかに香る

 

創業100年近いペーチン屋をきりもりするのは上原智美さん。戦前に店を始めた初代は智美さんの母、日見子(あけみ)さんの祖母にあたる。夫の稼ぎに頼らず手に職をつけたいという思いから、曾祖母はまんじゅう屋を始めたという。

 

「とても気丈な女性だったと聞いています。曾祖母の娘である祖母も明るく元気な人だったので、わかる気がします」

 

祖母もまた、女手一人で子どもを育てた人だった。戦後まもない頃は、まんじゅうの製造販売だけで生活するには厳しい時代。商店を開いて雑貨を販売したり、貸しボート屋を経営するなどして生計を立てていたが、やがてスーパーマーケットが街を席巻するようになり、商店の経営にも暗雲が立ちこめ始めた。

 

「商店をやっていたときも『まんじゅうはないのー?』と尋ねにくるお客様が多かったんです。こんなにうちのまんじゅうを愛してくれているお客様がいるならやっぱりまんじゅう屋をやろうと、祖母と母で再度店を構えました。曾祖母が作っていたおまんじゅうというのを当時の人に分かるように、曾祖母の屋号であるペーチン(親雲人)から名前をとり店の名前にしたと聞いています」

 

母親が祖母とともに切り盛りする店を、智美さんや弟、妹も自然に手伝っていたという。

 

「祖母も母も『跡を継ぎなさい』とは一度も言いませんでしたから、自分でも跡を継ぐことを意識したことはほとんどなかったんです。単なるお手伝いという感じで。
でも、母が病気になってしまって」

 

ペーチン屋

 

看病しながら店をきりもりする日々が続いたが、15年前に母親が亡くなった。

 

「私が27歳のときでした。母は急に病を得て亡くなったので、本人もまだ私たちに後を継がせる準備もしていなかった。最後まで『(寝たきりだった)おばあちゃんをみながら私ががんばるから』と言っていたんです。その母が亡くなってしまって。でも、それからしばらくして姉弟で天妃前まんじゅうを作ってみると、意外にもスムーズに作れたんです。それまでの母の手伝わせ方がよかったんですね。普段から姉弟3人それぞれに役割分担させていたんですよ。弟はあんこ、妹は成型、私はがわを作ったり全体のバランスをみたり。3人で協力し合う事で一つのまんじゅうを作る事ができました」

 

曾祖母、祖母、母親と、図らずも長女が受け継ぎ続けているペーチン屋。智美さんはそのまんじゅう屋の4代目となったが、27歳という若きオーナーに対し、その実力を疑う声も最初はあがっていたという。

 

「私が店頭に立っているのを見て、『あなたたちが作っているの? 大丈夫ね?』『おいしいの?』と言われることも最初は多かったです。まんじゅうの世界は70〜80歳で一人前という考えですから。今もまだ若いとは言われますが、味についてはご納得いただけているように感じますし、『がんばってよ!』と応援して頂くことも増えました。私も30年ほどまんじゅうを作っていますので、それなりの経験や技術は備わっていると思っています」

 

ペーチン屋

 

2年前、約10ヶ月かけて店を改装した際、店を閉めていた期間を利用して、智美さんと妹の佑子さんは新商品の開発を行った。

 

「祖母が店をやっていたころは他にもメニューがあったそうなんです。お客様や親戚から『あなたのおばあちゃんが作るくずもちは弾力があって美味しかったのよ』という話も度々きいていたので、なんとか工夫して作れないかな? と」

 

小さいころから料理が好きで、お菓子作りも得意な佑子さんの出番となった。

 

「祖母は店を再開させる前から、『甘いものが食べたいね?』と言っては私たちにまんじゅうやお菓子を作ってくれていました。その味を再現できないかと」

 

タピオカを入れてよく練ることで弾力を出す。本葛ではなく、沖縄式の芋葛を使用する。黒糖をふんだんに使って生地に甘みを出す。

 

何度も失敗しながら試行錯誤をくりかえし、自信を持って発売できる商品が完成。その美味しさからリピーターとなる人が多く、すぐに人気商品となった。

 

ペーチン屋

 

ペーチン屋
イートインメニュー「きなっぺアイス」。「国産の上質なきなこと沖縄産黒糖を使用した黒蜜をたっぷりかけています」。紅イモ・抹茶・白玉の団子を添えて。「おじいちゃんはまんじゅう、お孫さんはきなっぺアイスというご注文もよくいただきます」

 

 

店舗建て替えの際、店内にイートインスペースを設けた。

 

「母が店をやっていた時は店内で食べられるスペースがあったんですよ。だからたぶん、母はみんなが集まる場所を作りたかったんじゃないかな? と思って。その願いを叶えてあげたかったんです」

 

100年近く続く老舗だけあり、客層も年齢層も幅広い。

 

「若い女性だけでなく、お孫さんと一緒に食べて行かれるご年配の方も多くて。逆にお孫さんが好きでおじいちゃんやおばあちゃんを連れていらしたり。そういう姿を見るとすごく微笑ましいですし、小さいお孫さんがおいしそうに召し上がっている姿をみると、受け継いできた店の歴史を感じますし、続けてきた意味があるんだなーと嬉しくなります」

 

ペーチン屋

 

「これからは、当店にいらっしゃることができないお客様にお届けする方法を考えようと思っています。昔からの味をそのままお伝えしたいので、保存料などを使って日持ちさせるのではなく、例えば真空パックとか…。受け継いだ製法を守ることは大前提だと考えていますので。

 

また、くずもちは祖母が作っていたという歴史があったので頑張って商品化しましたが、なんの土台もなくゼロから新商品を作ることは考えていません。伝統を守りつつ、今のお客様のニーズにおこたえし、欲しいと思って頂いているものをお作りしたいと思っています」

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

ずっと5個セットで販売していた天妃前まんじゅうの単品販売を始めた。
「5個入りだと一人では食べきれないというお客様がいらしたので。単価は少しあがってしまうのですが…」と、心から申し訳ないという様子で120円の値札を指す智美さん。
ペーチン屋のまんじゅうが愛され続けてきた理由は、その確かな技術と味以外にもあるのだろうと感じた。

 

最初は「姉弟の誰が欠けてもできなかった」という天妃前まんじゅう。今はそれぞれがどの工程もこなせるようになったが、それでもやはり3人で作り続ける。老舗の味とこころを伝えるために。

 

ペーチン屋
ペーチン屋
那覇市泉崎2-10-14
098-832-0912(電話注文承ります)
open 9:00〜18:00
close 日、祝祭日
ブログ http://peetin.ti-da.net

 

2012 7月


 
FUJISAN FACTORY / MABO が作るMIMURIのワンピ ースの展覧会
8月4日にはワークショップもあります。
「ワンピースを市場柄にプリントしましょ~♪」みんなで市場へ繰り出し素材集め、、、
一枚のワンピースをカラフルに♪
 
期間:2012年8月4日〜19日  
時間:13:00-19:00
場所:GALLERY point-1
 
 
ワークショップ
開催日:2012年8月4日
時間:5時~6時半頃まで
集合場所:GALLERY point-1
先着7名(要予約)
予約連絡先:info@mimuri.com
ブログ:http://gallery-point-1.com/index.02.html
 

2012 7月

2009.7南国ガーデン
 
簡単ですぐに実践できるお料理。だけどちょっと幸せのえセンスを加えたおもてなし料理のお教室です。
テーマに合ったテーブルコーディネートもお楽しみくださいませ 。
調理師、食育指導士、ジュニア野菜ソムリエお新崎亜子がとっておきのおもてなしを提案いたします。
 
8月のテーマは 持ち寄りPARTY
持ち寄り前菜を2品作ります
持ち寄りメインディッシュ
持ち寄りデザート 水羊羹
 
こちらの3点を作りましょう♪
 
開催日:
8月11日(土) 8月14日(火)
8月15日(水) 8月23日(木)
 
参加費:4000円
時間:10時~12時半
 
エプロン・筆記具・ハンドタオルご持参下さい
1週間前より50%のキャンセル料金かかります。当日は100%になります。
円滑なお教室運営のためにご理解、ご協力願いいたします。
 
場所:コザの創作キッチン IPPEI 
住所:沖縄市越来2-25-3
電話:090-4536-6492
ブログ:http://heartyparty.ti-da.net
 
紅イモ水羊羹やちむん
 

2012 7月

おおかみこどもの雨と雪
 
素晴らしい!!!
 
なんだこの素晴らしさは。
 
盛りだくさんですよ、そんなにいろいろ説明しなくても、人間を含めた自然界のすべてを語ってくれる映画です。
 
これは世界に誇れる作品ではないでしょうか?
 
 
この主人公の花。
 
おおかみおとこの子供を産んで、一人で育てるってすごいよね。
しかも二人も。
 
おおかみこどもの雨と雪
 
出産も自宅で、助産婦さんもなし。
 
病院にも行けない。何せオオカミと人間のハーフだからね。
 
人にしられたらどんなことになるかわからない。
 
しかし、花が恋に落ちるオオカミおとこが素敵なのよ。
 
おおかみこどもの雨と雪
 
「トワイライト」じゃないんだから、と思いつつも。ああ、素敵。
 
それがあんなことに。
 
一人で育てる、と覚悟を決めた花は、都会を離れ田舎暮らし。
 
しかも、人里離れたところじゃないと、子供たちがオオカミだとばれてしまう。
 
たくましいわけよ。やさしく強い。家事も全般こなし、大工仕事も畑仕事もする。頭もいいしかわいい。
これが女性の理想像だと思うなあ。
 
おおかみこどもの雨と雪
 
おおかみこどもの雨と雪
 
子供たちもかわいい。
 
おおかみこどもの雨と雪
おおかみこどもの雨と雪
おおかみこどもの雨と雪
おおかみこどもの雨と雪
 
いつしか、田舎のひとたちにも助けられ、それでも、オオカミのことは家族の秘密。
 
韮崎 のおじさん、という頑固なおじいさんがいるんだけど、この人が厳しいながらもいろいろ助けてくれるのね。
 
おおかみこどもの雨と雪
 
そして子供たちも成長して、それぞれの道を歩き始める。
 
おおかみこどもの雨と雪
 
子供も10歳とかなのに、もう、自分の道を決めるってところがオオカミなのかなあ。
 
この映画アニメなんだけど、とにかく自然の美しさが描かれていて、しかも、日本の自然なんだよね。キラキラしてる。
 
おおかみこどもの雨と雪
 
おおかみこどもの雨と雪
 
全編、無駄がまったくない。2時間あっという間でした。
 
こんなの見せられると私ってなんて、根性ないんだ!とか思うけど、そんなに素敵な人に出会えた花はやっぱり幸せだなあ、とも思う。
 
宮崎あおいちゃん、声優としても抜群ですね。おすすめ映画です。

KEE

 

 
<ストーリー>
19歳の大学生花は、あるときおおかみおとこと運命的な恋に落ち、やがて雪と雨という姉弟が誕生する。彼らは、人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとしてこの世に生まれたのだが、そのことは誰にも知られてはならなかった。人目を忍びながらも家族四人で仲良く都会の一角で暮らしていたが、ある日、一家を不幸が襲い……。
 
<声>
宮崎あおい 花
大沢たかお 彼(おおかみおとこ)
黒木華 雪(少女期)
西井幸人 雨(少年期)
大野百花 雪(幼年期)
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
サザンプレックス
098-835-6600
島尻郡南風原町字宮城371-1
HP:http://www.startheaters.jp/southernplex
 

2012 7月


 
日時:2012年8月11日(土)14:00開演(開場13:30)
場所:浦添市産業振興センター・結の街 3階大研修室
   浦添市勢理客4-13-1 TEL098-870-1123
主催:整理収納アドバイザー沖縄コミュニティ
後援:沖縄タイムス、琉球新報社
 
お問合せ 090-1364-5377(神村)
 
http://seiri.ti-da.net
チケット:前売り2,000円 当日2,500円
 

 

2012 7月


 
8月1日は「観光の日」です。沖縄県のリーディング産業である
観光について更に認識を深め、県民一丸となって観光客の皆さんを
温かく迎え入れてまいりましょう。
 
開催日:平成24年8月1日(水)
時間:13:30~15:30(開場13:00)
場所:沖縄コンベンションセンター会議場A1
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=232&id=24903&page=1
 

2012 7月

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「私、いわゆるフラワーアレンジメントはあまり好きじゃなくて…。
オアシス(吸水性スポンジ)やワイヤーもできるだけ使いたくないし。
一番好きなのは水生けなんです。
器選びや生け方次第で茎や葉の生え方をうまく利用すれば、ワイヤーを使わなくてもちゃんと固定できるんですよ」
 
Detail full の主宰であり、フラワースタイリストとして活躍する綾乃さんの意外な言葉に、ぐっと興味がわく。
 
「オアシスやワイヤーは最後はゴミになってしまうから、
もらった方が捨てるのも大変だし、できるだけゴミを出したくない。
それに、花や木にとって自然な状態で生けたいと思っているんです。
なるべく花の邪魔をしないように、まるでそこに咲いているかのように」
 
店内を見渡すと、枝ものは木の幹から伸びているかのように高い位置に飾られ、地面に根ざす観葉植物は低い場所に生けられている。
 
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月に一度、店で開く教室でレクチャーしているのも水生けが中心だ。
 
「花瓶に生けるのが難しいと感じる方が結構多いようなんです。
水生けの基本は生け花の教室で学びました。
生け花と言うと剣山に挿す方法を想像する方が多いのではないかと思いますが、『投げ入れ』といって花瓶にそのまま入れる生け方もあるんですよ」
 
それぞれの花が本来ある姿を大事にしているからこそ、その時々の季節の花を扱うことを常としている。

「季節の違う花どうしを合わせると、どうしても違和感を感じてしまうんです。
色合いが同じだからという理由だけで、例えば夏のひまわりと秋のコスモスを一つの花束の中に入れてしまうと、なんだかちぐはぐで不自然な気がして。
むりやり寄せ集めなくても、チューリップとアネモネのように同じ季節の花が1本ずつバケツに入っているだけですごく素敵に仕上がるし、たとえ同じ色でなくても季節感が合っていると自然でいいな、美しいなと感じるんです」
 
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綾乃さんが花に興味を持ったきっかけは、子どもの頃に家に飾られていた切り花だった。
綾乃さんの実家は那覇市内の密集地域にあったため、日当りが悪く、庭の草木も元気に生い茂るというわけにはいかなかったと言う。
 
「それで、買ってきた花を母が花瓶に生けていたのですが、切り花っていつの間にか花が開いてたり茎が垂れてきたりと日々変化がありますよね。それを観察するのがとても面白かったんです。
花についてもっと知りたくなり、高校生の頃には花屋めぐりをするようになりました。那覇市内をだいたい行き尽くすと、他市町村の花屋にまでバスに乗って行ってましたよ(笑)」
 
中でも、通学途中にあった「木の器」という店が気に入り、そこで行われるフラワーアレンジメント教室にも通い始めた。
  
「教室に通うことで、自分がどれだけ花が好きか試したいと思ったんです。
結局わかったのは、これから先どこかの会社に就職して、花を趣味としてだけやっていくのはいやだ! という強い思いでした」
 
花について学ぶ学校への進学を決め、様々な学校の資料を取り寄せたが、最も綾乃さんの興味をひいたのが東京のバンタンデザイン研究所 インテリア学科フラワーコーディネータコースだった。
 
「資格取得やコンテスト参加を奨励する学校ではなく、各分野のプロの方々から実際的な技術や知識を学べるというところにすごくひかれたんです。
でも、資格をとらなくても本当に大丈夫なのだろうか? と少し気になり『木の器』の先生に相談したところ、『確かに資格というのは重要だけれど、それはあなたのスタイルではないと思う』と言ってくださって。その言葉が後押しになり、バンタンへの進学を決めました」
 
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バンタン研究所の授業は日々変化に富み、またその教授方法も独特なものだったと言う。
 
「たとえば、撮影について学ぶ授業ではプロのカメラマンが講師。光量の調節やアングルなどについて教えて頂けるものと思っていたら、『そんなことは最初は考えなくていい。花が一番美しく見えるように、自分の思う通りに撮って来なさい』といきなり一眼レフを持たされて(笑)。最初は『え〜、具体的に色々教えて欲しいな』と不満に思ったこともありましたが、今になってみると当時学んだことが生かされていると感じることが多いんです。
花に当てる照明についてもインテリアとの合わせ方についても、バンタンの先生方がおっしゃっていたのは『デザインはつくるものではなく生まれるもの。必要とされることからデザインは生まれる』と。私自身、作りこまれたアーティスティックな花の見せ方よりも花の自然な姿が好きなので、授業のスタイルも自分に合っていたように思いますし、本質が学べたと感じています」
 
卒業後、沖縄に戻って勤めた花屋でご主人と出会い、結婚・出産を機に退職。
3年ほど子育てに専念していたが、その後「花・教室 ダウ」をオープンさせた。
 
「花に携わる仕事をやっぱりやりたかったんですが、子どもがまだ小さかったので教室主体でゆっくりとやっていました」

それから4年後、夫と共に「Detail full」をオープンさせた。
 
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天井が高く広々とした店内。天井に、テーブルに、床の上にと、様々な場所に花や木が飾られている。
植物のために店内の温度は低めに保たれ、窓や戸も閉められている。外の音が遮断された静謐な空間には、穏やかな音楽と花ばさみがカチカチとふれあう音だけが響く。ちょっとした異空間だ。
 
置かれているのは花だけではない。
店の奥には綾乃さんのお気に入りの品々も並んでいる。
 
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「花屋めぐりをしていた当時、花屋さんが勧めるものを使いたいなぁと思っていたんです。何を使えばいいか分からなかったし、花屋さんにあるものなら間違いない気がして(笑)。
だから自分の店にも、花仕事で使う道具だけではなく、自信を持って勧められる雑貨や衣類なども置いています」 
 
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上質なリネンを用いた「Vlas Blomme(ヴラスブラム)」の服もそろう
 
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衣類、リネン類、アクセサリー、雑貨と商品のジャンルは幅広く、そのテイストも和、洋、ナチュラル系、ジャンク系とさまざまだが、不思議な統一感がある。
 
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植物をモチーフにしたものも多い「CERASUS(ケラスス)」のジュエリー 
 
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編み物と彫金の組み合わせがマッチしてているピアスは「小山兼吉商店」のもの。「繊細な手仕事に見ほれてしまいます」
 
「共通しているのは手づくりのものであること、こだわりが感じられるもの。
たとえばリネンも、ちゃんとした素材を使って歴史のある工場で一枚一枚ていねいに作られている。そういうものにひかれます」
 
商品のセレクトに留まらず、昔からもの作りが好きな綾乃さんが目下夢中なのが編み物だという。
 
「凝りすぎちゃって、ついには糸を紡ぐ所から始めたくなって…(笑)。
糸紡ぎ機を購入し、仕事の合間をぬっては紡いでいます」
 
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ペダルを踏むたびに、綾乃さんの手元にあるリネンの束がしゅるしゅると紡がれていく
 
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「思った通りの太さに紡ぐのはなかなか難しいんです。太くなりすぎたり、細くしすぎて切れてしまったり。今はだいぶ慣れてスムーズに紡げるようになりました。あまりに楽しいので、皆でぐるっと輪になっておしゃべりしながら紡ぎたいくらい!(笑)」
 
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綾乃さんが紡いだ糸は店でも好評で、「手紡ぎのものが欲しい」と指名買いする人もいるという。
 
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「花が好き、手作りが好き。だから、いつか自分が紡いだ糸を編んだもので花を包みたいんです。ビニール製の味気ないひもで結わえたり、チラシで包んだりするのではなくて。上質なもの、大事にされるもので包みたい。
 
当店のテーマは “花暮らし” 。
季節を感じながら自然に、無理をせずに花との暮らしを楽しんでほしくて。
花は料理と一緒だと思うんです。無理をしないこと、自分自身が楽しめることが一番大事なんじゃないかなぁって」
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
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花はアートだと、潜在意識のどこかで思い込んでいたことに気づいてハッとした。
アーティスティックにつくりこむ花の世界も存在するし、素敵だとも感じる。
でも、それだけが花との関わり方ではない。
 
 
花屋に行って自分で花を選び、帰宅後、花瓶に生けてがっかりした経験が何度かある。一本一本は美しいのに、花瓶におさまった途端なんだかしっくりこない。花同士がよそよそしい雰囲気がある。
そのときは生け方が悪いのだと思っていた。技術が足りないのだと。
それも理由の一つには違いないのだろうが、綾乃さんの話を聞いて、季節感を無視していたことに思い当たった。
 
一方、適当に摘んだ野の花を、無造作に飾ったときの美しさといったらなかった。あれは、自然の美をそのまま花瓶の上で再現したからこそ得られた美しさだったのだ。
そのとき我が家で偶然に行われた自然の再現が、Detail full ではもっと雄大に、プロフェッショナルに行われている。綾乃さんの「そこに咲いているかのように」という言葉の通りに。
 
そして、こういう花との関わり方なら私にもできそうだなと思う。
季節によりそい、等身大で、自然のままに。
 

文・仲原綾子 写真・中井雅代

 
detail full
Detail full(ディテール フル)
那覇市金城5-8-10
098-858-2828
open 11:00〜19:00
close 不定休
ブログ:http://detailfull.ti-da.net
 

 

2012 7月


 
 
~ご案内~
 
8月もイベントたくさん参加します
 
(出店イベント)
8月3日(金)vie smile
http://vieevent.ti-da.net/
 
8月5日(日)いっさいがっ祭  NPOふれあいネットおんな
http://onna2010events.ti-da.net/
12じ~13じ 体験学習 料理教室開催 ピザ作り 会費1000円
 
8月11日(土)きとね市
http://kitone1.exblog.jp/
 
(その他)
丘の上の料理工房SARAでのなびー塾
「料理教室基礎クラス」9月~11月クラス
受付スタート
会費:6回15000円(レシピ、材料費別)
問い合わせ NPO法人ふれあいネットONNA
098-966-2893
 
 
お問い合わせ
TEL:098-982-9370
HP:090-1963-6048
 

 

 
今回のテーマは
「LOVE&PEACE」
 
毎日心配で不安なニュースばかり
平和でなければ、幸せは生まれません。。。
もちろん世界中の平和を願って
自分なりの方法で
言葉にして、行動していきたいと思っています
 
でも、まずは身近なこと小さなことから
食・手作り・癒し・リサイクル
ここ「丘の上の料理工房SARA」より
いつか「幸せの丘」と言われるような
小さいけれど身近でほっとするイベント
多くの方に訪れて頂けるよう
笑顔がたくさん生まれる
幸せがたくさん生まれる
丘の上の幸せマルシェ開催致します
 
 
伊江島も見える海
大自然の美しさで
エネルギーチャージ
ぜひお誘いあわせの上
お越しくださいませ
 
スペシャル企画
(その1)
キッズクッキング
10時半~1時間くらい
「たこ焼Party」
会費:500円/人
 
スペシャル企画
(その2)
島ピザフェアー
島やさいピザ&島フルーツピザ
あちこーこーで駐車場で販売しますよ~
島フルーツスムージーmini(300円)もご一緒にどうぞ
 
うんな祭りに皿の上の自然より
出店してお出ししてた、大好評のピザ!
丘の上の料理工房でもメニューに入りそうです
 
日時:2012年7月29日 
時間11:00~16:00
場所:丘の上の料理工房SARA 駐車場&テラス
住所:読谷村長浜1189-3 コーラルビューザンパ1F

丘の上の料理工房SARA ブログ http://okanouesara@ti-da.net/
FB http://www.facebook.com/okanouesara
(本店)皿の上の自然ブログ http://obn2008.ti-da.net/
 
open 11:30~19:00(火~日)
夜カフェ 19:00~21:00(金・土)
お休み 月曜日
 
メニューのないビストロ「皿の上の自然」
那須あきゆきによるスペシャリテ(完全ご予約制)
blogにてお料理などご案内中