『イギリス人の格 ―汚れた靴は人生を楽しくする!―』「ただ考え続ける」日本人が「今を立て直す」イギリス人から学ぶこと。新年を機に視点を変えるヒントになる一冊。


井形慶子・著 集英社 ¥1,575/OMAR BOOKS
 
― ただ考え続けるだけでは―
  
今年が終わりますね(年明けに読まれる方もいらっしゃると思いますが)。
2011年は誰にとっても大きな意味を持つ年だったのではないでしょうか。
そして2012年。
新年を迎えるにいたって、何か気持ちが前向きになる本を取り上げたいなと思っていたときたまたま手にしたのがこの本。
  
イギリスの暮らしから社会事情まで、
イギリスに関する著作で定評のある著者による本作は、
イギリス人の生活から仕事観、趣味・お金・街作りなど
幅広いテーマから彼らの生き方について語られたもの。
 
読みやすい文章で私たち日本人との違いが浮き彫りに。
どの章も自分の生活、生き方に参考に出来るような内容が詰まっていて読み応えがあった。
  
本の冒頭にある
「今を立て直す人、ただ考え続ける人」
とは前者がイギリス人、後者が日本人のことだと読んでいくと分かる。
 
文中のジャーナリストの言葉が耳に痛い。
「問題が起きると(日本人は)じっくり検討しなければいけないと思い、とても長い間考え続けるため決断という最終目的にたどり着けない」
って私のことじゃないの!。
 
また、
「Never mind(気にしない)がイギリス人の口癖だが、そう言いながらポイントをずらさず現実をしっかり見据え、現状を認めたうえで今度は行動を起こす」
という部分はまさに私たちの多くが苦手とすることなのでは?
読みながら思い当たる節が多々あって身を振り返ることが多かった。
 
さて、これをどう活かすかは読む人次第。
  
他にも面白かったのはイギリスにおけるオーガニックの考え方。
もともとオーガニックとは、
本質的な機能をあらわす=作物本来の姿
という意味で
イギリスでは日本や他国と比べてオーガニック人気は同じでも、
レストランオーナーから生産者まで認定が厳しく、
認められるとミシュラン以上に店の価値を高めてくれるそうだ。
 
何でもとりあえずオーガニックと付ければイメージがいい、なんていうのはとんでもない。
だからイギリスでオーガニックと聞けば信頼出来るということらしい。
 
英国式ガーデニングについての章も紹介したいのはやまやま、
あとは実際に手にして読んでもらいたい。
 
この本で言うイギリス人のいいところとしてあげているのが
目線が未来を向いている、ということ。
ないもの、起こったことを嘆くのでなくてそこから何を始めるか、
今足元にあるものから何を作りだすか。
 
新年を機に生活もしくは生き方を改善したいと思っている人はきっと多い。
今までのやり方、考え方を変えることはそう簡単ではないけれど、
こういう違った視点から見てみるとちょっとしたヒントになるかも。
 
2012年がどうぞ明るい年になりますように!
 

OMAR BOOKS 川端明美




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