この映画を観る人は、間違いなく寿司好きなのだと思われる。
そして、この映画を観た後、間違いなく「すきやばし次郎」の寿司を食べたくなる。
食を愛する者としては、死ぬまでに一度、二郎さんの寿司が食べたくてたまらない。
年齢的にも、私より二郎さんがリタイアするほうが早そうなのですが、それまでに是非、行きたい。
この映画に登場する鮨の美しいこと。
華美な装飾はいっさいなし。シンプルな江戸前ずし。
ただ、ため息が出るほど美しい。鮨が生きているかのように、画面からおいしさを主張している。
もちろん、次郎さんの国宝級の腕もある。しかし私は、この監督と撮影クルーに頭がさがる思いである。
日本の鮨はかくも美しいのだと実感させられ、手を伸ばしてすぐに食べたいという衝動に駆られるほどのスクリーンワークは、もう拍手するしかない。
鮨に対する愛情と日本の食文化、鮨に対する大いなるリスペクトがあふれている。そうでなければ、あの絵は撮れない。
御年87歳。毎年、ミシュランの3つ星をとる名店。すしってこの店の場合はやっぱり、寿司ではなく、鮨、な感じ。
二郎さんは、まだまだ満足していない。頂点をめざしている。そして頂点っていったいどこなんだろう?
仕事に対する姿勢、仕事を愛すること。
いい料理人は、おいしい食事をいっぱい食べて、勉強する。
鋭い感覚の舌が必要だ。
味覚とは、ひとによって違うのかもしれないけど、確かにおいしいものを食べていないと、どこが頂上なのか、自分が今、どこにいるのかを見失う。
二郎さんにはふたりの息子がいて、そのふたりもこの映画に出てきます。
あととりは当然一人。
長男。
そしてあと一人は、六本木ヒルズ店をまかされている。
長男のよしかずさん。
彼のプレッシャーは、すごいものだとおもう。
長男は、長男らしい、次男は次男らしい。
厳しいながらもしっかりと育てられたのであろう。
よしかずさんが、自転車に乗っているところが印象的。
いつまでも、二郎さんがお店にいるわけではない。
思うことはいろいろあるだろう。
自分の仕事を愛し、ひたすら道を極める。
こんなことができたら、どんなに素晴らしいのだろう。
もう、迷わないのか?
私は迷ってばかりだ。
ただ、自分を信じて、生きていく。
私もまだまだ何もあきらめられない。
まっすぐ、前をみて、進んでいくしかない。
ライフワークといえる仕事にまだ出会えてないし。
それでも、信念をもって、自分を見失うことなく、目的に近づいていることには間違いない。
自分のことと重ねながら観ていたので、二郎さんの言葉のひとつひとつが、心に突き刺さった。
観る人によっていろいろ感じることができる映画です。
ドキュメンタリーとあなどることなかれ。
超一流には、それなりの理由がある。
しかし、ちょっと二郎さん、ゴラムに似ている(笑)
予約は1か月まち。これは、この映画撮影中の情報なので、今はもっと時間がかかるのかも。
寿司は、二郎さんのおまかせコースしかなく、ひたすら寿司がでてくる。
30000円から。
早い客は15分で食べ終わるらしい。
15分、30000円。
庶民には考えられない金額だが、この映画を観終わると、「高くない」ということに気が付く。
店の清潔感、米をさます際は、米が踊っているように見えた。最高級の食材。約20貫のフルコース。
奇跡の味に触れてみたい。
どうでもいいものは、食べないようにしよう。と心に誓いました。
フレンチの名店「エルブリ」が閉店したあと、「すきやばし次郎」が私の夢となった。
本物に触れるのも、時には必要です。
是非、劇場で。
KEE
<ストーリー>
銀座に店を構える「すきやばし次郎」の店主で、大正14年生まれのすし職人・小野二郎さんが握るすしは5年連続で「ミシュランガイド」三つ星を獲得し、大きな注目を浴び続けてきた。その味に魅了されたアメリカ人監督のデヴィッド・ゲルブが密着取材を行い、二郎さんの職人としての姿勢や、父を超えようと精進する2人の息子や弟子たちとの師弟関係を映していく。
<キャスト>
キャスト
小野二郎
小野禎一
小野隆士
山本益博
他
リウボウホール
那覇市久茂地1-1-1 パレットくもじ7F
098-867-1171