世界一のフラを100円で。東北に届ける ” IMUA! “の精神 @プラザハウス


 
ハワイで毎年開催されるフラの世界大会で、毎年のように入賞を果たす実力を持つフラの教室「ハラウ・フラ・カラカウア」によるショーが100円の義援金で見られるということで、プラザハウスの広い駐車場が一杯になるほど大盛況となった。
 

 
「カヒコ」と呼ばれる伝統的な古典フラからイベントは始まった。 
 

 
「これがフラ?」と思うほど、多くの人々がイメージする陽気で楽しいフラのイメージとはかけ離れた、神聖で厳かなムードの漂う踊り。
 

舞台袖で出番を待ちながら、静かに手を合わせる。 

 

エコ先生の祈祷のようにも聞こえる歌声が低く、深く響く  
 

 

 

 
史実を語り継ぐ事が大きな目的だと言われるカヒコだが、その神聖な踊りからは「祈り」の精神も伝わって来る。
 
日本同様その周囲を海に囲まれているハワイは、古くから台風や洪水、ハリケーンといった自然災害に何度も見舞われてきた。
多くの尊い人命が自然の猛威の元に失われてきたこの島に伝わる踊り「カヒコ」は、死者の世界や神のいるところにまで届くのではと思わせる、この世と見えない世界とを繋ぐような踊りだ。
 
人ではない何か、神や霊に向けて捧げられる舞にも見える。
そしてカヒコを踊っている時のハウマナ(生徒)たちは、ダンサーというよりも神の使いや巫女のような神聖な空気をまとっている。
 
華やかな楽しい踊りではない。
しかし、踊り終わるや否や大歓声がわき起こり、惜しみない拍手がおくられる。
彼らの心が、踊りという形をとって観客にダイレクトに伝わっているのだ。
 

 
カヒコが終わると、現代フラ「アウアナ」が始まる。
カヒコとは打って変わって、陽気で楽しい南国のハッピーなムードが会場全体に満ちる。
 

 

出番を待つ表情も、穏やかで優しい。 
 

 
しかし、その音楽に注意深く耳を傾け、ハウマナ達の表情をよく観察すれば、ハッピーなだけの踊りではないことがわかる。
 
ハワイアンソングの旋律は、いつも私に沖縄を思い起こさせる。
 
カラフルな南国の風景、
のんびりとした日々の流れ、
日焼けした顔によく似合う、人懐っこい笑顔・・・
 
そんな表のイメージと背中あわせに存在する、悲しい側面のことを。
 
2つの島とそこに住む人々の心には、悲しい歴史が確かに刻まれている。
 
抑圧され、侵略をうけ、大義名分の元で犠牲になったという、永遠に消えることのない傷を抱えている。
 
人々はその深い哀しみを怒りに変えるのではなく、互いを支え合い、哀しみを受け入れた上で、歌と踊りに変えてきたのだ。
 
やり場のない感情をのみ込んで受け継いできた踊りだからこそ、幸福や快楽だけではない、強さや慈しみの心が伝わって来る。
 
その独特な憂いを帯びた雰囲気は、琉球舞踊にも通じる。  
 

 

緊張した面持ちで出番を待つ 
 

 

しかし、いざ舞台に立てばこの表情。堂々とした踊りっぷりに、会場が沸く
 
 
 

舞台袖や会場からは、かけ声や歓声が 
 


大舞台を立派に務めあげ、舞台裏ではあどけない表情を見せていた 
 

出番を待つ間、最後のチェックに余念がない
 

 


フラは女性だけの踊りではない。茶目っ気たっぷりの男性陣によるフラに大歓声が
 

最後の出番を待つ。
 

手に持った楽器「イプ」は、生徒達がそれぞれ自分で作ったもの。
 

 
ハラウ・フラ・カラカウアのフラを見ていつもハッとさせられるのは、その表情だ。
踊りや歌を覚えるだけでは、きっとこんな表情では踊れない。 
 

 
生徒達が口を揃えるように、教室ではただフラを習っているのではなく、「ハワイを学んでいる」のだろう。
歌に込められた意味を、ハワイの言葉を、歴史を、そして、その心を。
 
 
 
「どんなに辛いことがあっても、IMUA(イムア=「前進」「立ち上がれ」)の精神を忘れないで。
今回の地震によってもたらされた被害は、決してひとごとではありません。
みんなで乗り越えましょう。」
 
エコ先生と、指導をサポートしているPoliさんによるフラが、イベントの最後を飾る。
 
 
 

 

 
フラが私たちの心を打つのは、
「私たちは辛かったよ、悲しかったよ」
というメッセージに終始していないからかもしれない。
 
「辛くても、踊ろう。前に進もう。」
という強い想いが、きっとそこにはある。
その為に、支え合おう。そして、みんなで乗り越えよう。あなたは一人ではない、と。
 
それはまさに、「ゆいまーる」の精神。
 
誰もが知っているハワイの挨拶「ALOHA」には、愛、慈しみ、感謝、共感といった意味も含まれているという。
 
沖縄とハワイ。
同じ小さな南の島で生まれ、受け継がれてきた、思いやりの精神。
 
 
 

 

 
「私たちのこの気持ちが、東北に届きますように。IMUA(イムア)!!」
 
最後は観客も一緒になって手をつなぎあい、ステージの上に広がる、東北にも繋がっている空に向かって大きな声で呼びかけた。
 

滝のような汗をかいているとは思えない、この輝くような笑顔 
 
どんなことがあっても、私たちはその歩みを止めるべきではない。
 
IMUA!前へ進もう!
皆で手を取り合って。
 

写真・文 中井 雅代

 

PLAZA HOUSE(プラザハウス)
沖縄市久保田3-1-12
098-932-4480
HP:http://plazahouse.net
 
Halau Hula Kalakaua(ハラウフラカラカウア)
浦添市沢岻2丁目13番地6号
098-878-5654
*留守番電話になっていますので
御用件、お名前、お電話番号をお忘れなく吹き込んでください。
 
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