「カカオ豆から作るローチョコレート」ワークショップレポート

 

CALENDのワークショップ『カカオ豆から作るローチョコレート』。あらかじめ、講師の小田切崇さんが「カカオ豆の皮をひとつひとつ手で剥くところから始める、根気の要るチョコレートづくりです」と告げていただけあり、いらっしゃった方は皆さん、根気と好奇心にあふれる方ばかり。

 

「チョコって湯煎で作るぐらいしかしないし興味あって!」という方や「チョコビュッフェにも行くぐらいチョコ大好き。いろんなチョコを食べたい」という方、「バレンタインデーの思い出づくりで…」とカップルで参加された方、また、ローフードの専門家やカフェオーナーの方が「カカオ豆から作るイベントは珍しいから」と、さまざまな想いでご参加くださり、キャンセル待ちも出たほどでした。

 

ローチョコワークショプ

 

まず難しいこと抜きにローチョコレートの完成形を試食してみます。ローチョコレートとは、ローストしていないカカオ豆を使い、熱を加えずに仕上げたチョコレートのこと。北谷で開かれた食の祭典「OKINAWA FOOD FLEA」でも完売だったという、このローチョコ。皆さん、口にした瞬間に「おっ」という表情に。野性的なチョコとでもいうのか、ザラザラとカカオの食感がまだ活きていて、味はビター。この味を着地点に進みます。

 

カカオの生豆がそれぞれに配られます。生豆って普段あまりお目にかかれないもの。さっそく皆さん、指で触ったり、匂いを嗅いでみたり。

 

ON OFF YES NOでは質と産地にこだわったフルーツや野菜のみでジュースを作っているだけあり、このカカオ豆も選び抜かれたもの。パプアニューギニア産の、フェアトレードのものだそう。

 

小田切文代さんから、カカオ豆について世界地図を手に説明があります。

 

「コーヒー豆と一緒で、カカオ豆も産地によってやっぱり特色があるんです。ガーナのものはミルクと相性良さそうだと感じましたし、インド産は濃厚な香りの割にさっぱりとした味に仕上がりました。カカオ豆は産地や種類によって個性が出る素材なので、扱っていてとっても楽しい。まだまだいろんなカカオ豆を探して試していきたいと思っています」

 

ローチョコワークショップ

 

さて、いよいよカカオの豆をひたすら剥く地道な作業がスタート。全て手作業です。

 

カカオ豆、どうやら形によって剥きやすさ、剥きにくさがあるらしく、丸っこい豆は落花生みたいに爪を入れやすいのですが、平っぺたい形は取りつくしまもなく、キッチンバサミで切りこみを入れなければならないなどあるようです。

 

「カニの殻剥きみたいに無言になっちゃうね」
「カカオの匂いが指先について、なんか嬉しい」
「グラム単位だからいいけど、これがキロだと辛い…(笑)」

 

ローチョコワークショプ

 

ローチョコワークショプ

 

ローチョコワークショプ

 

それでも皆さん、だんだんコツをつかみ、豆を潰さずに剥けるように。キレイに剥けた豆で記念撮影される方もちらほら。最初の作業の間に打ち解け、参加者同士でおしゃべりも弾みます。

 

皮の方も捨てずに、崇さんが回収。曰く、「この皮も、後でお楽しみがあるので捨てずに残しておきましょう」とのこと。

 

ローチョコワークショプ
ローチョコワークショプ

 

小一時間も経った頃、ようやく豆剥きが終われば、次は攪拌です。もちろんローのチョコレートですから、48℃以上にならないように細心の注意を。フードプロセッサーをこまめに止めて、温度計で温度を計り、また混ぜて…の繰り返しです。これもまた根気の要る作業。しかし、ここで崇さんから驚きの一言。

 

「これも充分面倒な作業ですけど、僕、これをフードプロセッサーじゃなく擦り鉢でやったことあるんですよ。9時間かかりましたよ。もうどんな筋トレだよって、途中から楽しくなっちゃって(笑)」

 

ローチョコワークショプ
ローチョコワークショプ

 

ここで休憩がてら、先ほどあえて捨てずにおいた、カカオの皮の“お楽しみ”が。なんと、カカオの皮で淹れたお茶が出てきました。色はほうじ茶のように濃い色。味は、そう言われればカカオ風味。「タマネギの皮のお茶もあるけど、これも健康に良いのかな」なんて声があがりました。

 

文代さんからは、「カカオ豆を、泡盛とかアルコール度数20度以上のお酒につけて寝かしておくとカカオ酒になるんですよ。20度以上じゃないと悪くなっちゃうから、そこ注意ですけど、面白い味ですよ」と、さらに上級のお楽しみの紹介も。

 

ローチョコワークショプ

 

ローチョコワークショプ

 

何度も繰り返し、まろやかになってきたら、次はテンパリング。この目的は、ツヤを出すためと日持ちをさせるため。ここでも温度計とにらめっこが続きます。温度を上げて下げてまた上げてと、やってみると難しい…。

 

ローチョコワークショプ

 

そして、最後は型に入れ、冷やします。この時、参加者のパティシエの方の手さばきが見事で、拍手と歓声が起きました。

 

皆さん、疲れも見せず、「モリンガや島唐辛子入れたらアクセントになるかな」「でも塩は合わないだろうね」「豆乳を混ぜるとまろやかになる?」など、ローチョコレートのアレンジについて盛り上がります。

 

ローチョコワークショプ

 

チョコレートが冷えるのを待つ間に、文代さんからカカオの持つ力やローで作る意味について教わります。

 

「カカオの栄養といえば、よく聞くのがポリフェノール。動脈硬化やガンの予防、ストレス解消にも効果があるとされてます。チョコレートは太るとか虫歯になりやすいと言われたりもしますが、最近ではカカオそのものが太りやすい原因にならないことが分かってきてますし、カカオには緑茶みたいに虫歯菌を抑える効果もある。他にも鉄分やマグネシウムとか、30種類以上もの栄養がたっぷりなんですよ。この栄養素を損なわないように、じっくりとローで手間かけて作るんです。カカオ豆の力をぞんぶんに味わえるのが、この作り方なんですよ」

 

ローチョコワークショプ

 

ローチョコワークショプ

 

ローチョコワークショプ

 

ようやくローチョコレートができあがりました。ここまで所要時間およそ3時間。手塩にかけて育てた、ローチョコレート。試しに一粒だけ食べてみて、皆さん、すぐに満足げな表情に。

 

いただいた感想は様々。

 

「こういう酸味があるチョコレート、なかなか売ってない味だから嬉しい~」
「なぜだかアルコール入りのチョコに似た感じがする!」
「豆剥きがハードだったけど、料理教室とかではやらない部分だし面白かった」
「もうカカオ豆を手に入れるとこからして自分じゃできないから、良い経験できた」

 

完成後も皆さんでお喋りしたり、ON OFF YES NOのコールドプレスジュースも楽しんだりと、終始楽しげなワークショップとなりました。

 

CALENDでは、このようなワークショップのリクエストをお待ちしてます。面白いこと、珍しいこと…「こんなことしてみたい!」をお聞かせください。