前菜:生湯葉ポン酢、黒豆、子持ち昆布
ふっくらと上品に仕上げられた黒豆、口に入れるとふんわり溶けるような食感が楽しい、ポン酢がツンと香る湯葉、ぷちぷちと口の中ではじけ、潮の香りが漂う子持ち昆布。睦月懐石の名にふさわしい、おめでたい顔ぶれ。
椀:焼粟麩 白みそ仕立て
作り手の心が静かに、しみじみ伝わってくる、丁寧に作り込まれたお吸い物。餅に似た食感の焼粟麩が、お正月にふさわしい雑煮椀を演出。
強肴(しいざかな):蓮根万頭
もちっとした食感にしゃきしゃきとした歯ごたえも混じる万頭の中身は煮あなご。「なに?これ、なんなの?!」つぎつぎと変わる食感と味わいに混乱するほど。ああ、家で再現なんてもちろんムリな複雑な一品、口に運ぶたびにため息がでるほどに、美味しい。
万頭のまわりにかけられたとろみのあるスープも、優しく品のある味わい。最後の一滴までスプーンですくいとって。
揚物:海老大葉巻き
見るからにサクサクな衣と、風味豊かな大葉が美味しそうな天ぷら。が、実際に食べてみると、その想像をさらにさらに超えて、おいしい。シンプルな料理だからこそ、店主の技の光る一品。
食事:島人参と里芋ごはん
ご飯がお釜に入って運ばれて来るのも嬉しい。里芋のやわらかな歯ごたえとご飯がこんなに素晴らしくマッチするとは。
1月10日で2周年を迎えたひとしずくは、大阪で約10年ほど修業なさったオーナーによる、関西風和食が食べられるお店。新鮮な食材を厳選して用い、注文して届いた食材を点検して、悪いものは返品することもあるのだとか。そうして選ばれた旬の食材を用い、毎月内容が変わるその月の名を冠した懐石ランチは、予約必至の人気メニュー。夜は魚や野菜を炭火焼きで、日本酒や泡盛だけでなくワインとも一緒に楽しめる。
水菓子:本日のデザート
子ども連れOKなのも嬉しい。「自分たちも本土から移住してきて、子どもを預かってくれる人がいなかったので連れて行く場面が多かったから。掘りごたつのように穴をあけるとお子さんが落ちちゃったりするので、あけてないんです。」本格和食を子どもと一緒に味わえる、貴重なお店。
「うつわはだいたい沖縄で作られたものを使っています。」沖縄に移り住んで八年、うつわが好きでずっと集めていたという。「お客様を見て、使ううつわを選びます。こういううつわがお好きなのではないかしら?と想像して。」
笑顔のあふれる店内。「カジュアルな店ですが、ホテルと同じようなちゃんとした接客を心がけています。」かゆいところに手が届く、目配りと心配りに心意気を感じる。
家族で、同僚と、両親と、友達と、恋人と。どんなシーンでも通え、味も本格的なお店はなかなか無い。洗練された接客で本格和食をカジュアルに楽しめる、居心地の良い空間に、誰もが常連になる。
写真・文 中井 雅代
旬肴 ひとしずく
北谷町北谷2-6-10
Tel&Fax 098-936-5539
open 12:00〜15:00(LO 14:30)/18:00〜23:00(LO 22:00)
close 日,毎月最終月曜日
blog:http://aoikaze.ti-da.net/