» まぜ麺マホロバ  サラリと食べられる野菜たっぷりの汁なし油そば

まぜ麺650円

 

 

はじめに素早く豪快によく混ぜて。食べる。

 

程よく食べたらお好みで、柚子こしょう、秘蔵ラー油を少しずつ足す。
味をガラリと変えて楽しむ。お酢や粗刻みニンニクも無料サービス。

 

まぜ麺焦がしチーズ750円

 

まぜ麺マホロバのまぜ麺は、オーナーの大谷宜生(おおたによしお)さんが作ったオリジナルの麺料理。スープはなく調味料で和えて食べるラーメンの一種・油そばを、より食べやすくアレンジしている。料理が生まれたきっかけを宜生さんはこう話す。

 

「自分が麺を好きだから、麺料理を作りたいと試作を重ねました。旅先のアジアで食べたさまざまな麺料理を思い出しながら、麺に野菜や香辛料を足していったんです。するとある時、あれ?これは美味しい、これならいける!っていう手ごたえがあったんです」

 

この試作品がまぜ麺の原型となった。味の決め手となる香味オイルは、沖縄県産100%の豚肉のラードと香味野菜を弱火で煮込み、魚介の出汁とゴマをブレンドした。

 

「油そばというとギトギトしたイメージがありますが、女性でもサラリと食べられるような、油そばを作りたかったんです」

 

宜生さんにすすめられ、特製の香味オイルが絡みついた太めの麺を口の中へとすべりこませると、香辛料の香りが鼻をぬけ、脂の旨味が舌の上にじんわりと広がった。ツルツルとした滑らかな麺の舌触りも手伝って、次から次へと箸が進んで止まらない。

 

テーブルの上には、秘蔵ラー油と柚子コショウ、酢があり、これらを混ぜると味は七変化する。十数種の香辛料を調合した秘蔵ラー油は、焦がしチーズと相性抜群。タイ風のマホロバ風冷やし中華は、酢を入れるとまろやかな味になる。次は何を入れようか、これを入れるとどんな味になるんだろう。選ぶ楽しみ、想像する楽しみ、食べる楽しみで心がワクワクとしてくる。

 

 

宜生さんはいつも、カウンター越しにお客さんの様子をさりげなく見守る。聞けば飲食店歴は10年以上に及ぶという。だからなのか、遠すぎず、近すぎず、距離の取り方がうまい。

 

愛知県刈谷市の寿司屋に生まれ、子供のころから将来当然のように自分もお店を開くものと思っていたという。17歳でイギリスへ留学し、帰国後24歳の時に、地元で焼き芋屋を始めた。

 

「理想の店は、子供の頃、野球の帰りによく行っていた駄菓子屋です。壺の中に焼きイモが入っていてね、あのイモが美味しかった。作るなら、あんなお店がいいなあと思っていました。焼き芋屋は自分次第でオマケや割引ができて、子どもからおじいちゃんにまで喜ばれる、こんないい商売はないと思ったんです」

 

同時に音楽イベントのオーガナイズも行っていた際、歌手の喜納昌吉さんと出会った。
「地元にはあまり文化やお祭りがなかったから、沖縄の文化や音楽への憧れがありました。喜納さんの沖縄県外でのライブやイベントには僕が車を運転して、一緒にまわりました。長時間一緒にいても、熱さが伝わってきて、エネルギーが爆発している感じがすごかった。こんな面白い人はいないと思いました」

 

喜納さんが参議院選挙に出る際も、焼き芋カ―を選挙カーに改造して手伝った。そして、そのご縁で2005年、焼き芋カーに全ての荷物を詰め込んで沖縄に移住した。

 

しかし、意気込んできたものの「さてどうしようか」。考え込んだ末に、「沖縄は風が気持ちいいから、屋台をしよう」と車を改造して、屋台猫舌をオープンした。ところがどこに行っても駐車場を貸してもらえず、三越裏、てんぶすの裏、新都心と点々とまわり、やっと県庁裏に落ち着けた。お客さんとゆっくり話ができて、沖縄の風を感じられる屋台は、宜生さんにとって「最高で最強の場所だった」という。

 

毎晩お客と飲み明かす充実した日々が続いた。その楽しさは、「僕は騒ぎすぎちゃうから駐車場の大家さんによく怒られました。だから何度も‘ここにいさせてください’って手紙を書いては謝っていました」と笑いながら振り返るほど。

 

 

その頃、お客さんの紹介で妻となるあかりさんと出会い、30歳を前にして猫舌を友人に譲って、ふたりで旅に出た。(猫舌は現在も2代目猫舌として県庁前で営業している)。アジア、中東、ヨーロッパを旅して帰沖。そして、2012年9月にマホロバをオープンした。

 

猫舌時代との大きな違いは、隣にとびきりの笑顔のあかりさんがいるということ。結婚してから、店でも家でも一度もケンカをしたことがない。

 

「店が暇な時でも、ふたりでバカを言いながら楽しくやっています。多分あかりは、腹が立つことがあると思うんですけどね」と宜生さん。あかりさんは、「何かあっても、ちょっと我慢して受け流すようにしている」とニッコリ。

 

群馬県出身のあかりさんは、元美容師で移住するまで沖縄に来たことがなかった。

 

「私にとって、沖縄はお嫁にきたような感じ。旅の途中で具体的な店の話はしてなかったが、何かは一緒にやることになるんだろうなとは思っていました。いつかはまた美容師をやりたいけれど、今は宜生さんを支える時期かなと店を手伝っています。いい意味で、これからは誰も保証してくれないから、自分が生きたいように生きようと思っています」と、笑顔の中にも、覚悟を見せる。

 

冷やし中華 まぜ麺

 

宜生さんは将来的に海外で事業を興したいと考えている。その第一歩として、急激に経済発展が進むカンボジア・プノンペンに店をオープンさせた。メニューはマホロバとほとんど同じ。スタッフは沖縄の人が2人、現地の人が7人。

 

宜生さんは目を輝かせて話す。

 

「カンボジアに行くたびに、日本の常識とか固定観念がくつがえされるんです。日本の戦後のようなパワーに圧倒されるんですよね。自分はこれまで何でも‘やっちまえ、やっちまえ’って生きてきて、修業もせずにお店を開いちゃって。本当はもっと修業をするべきだとも思っていたんです。逆に長い修業を経たベテランの職人さんはもっと挑戦したらいいのにとも思っていたけれど。でもカンボジアに行くと、そんなこと全部関係ないって感じなんですよね。もっともっとハングリーに生きている人がたくさんいる。だから自分も、これからももっと面白いことをやろう、そんなエネルギーをもらいます」

 

「マホロバ」の名は、古事記に収められている和歌「ヤマトは国のまほろば」からとった。ふるさとの美しさを詠み、国を偲ぶ歌だ。紆余曲折を経たふたりが作った店も、訪れる人々の日々の心のよりどころ、小さなふるさととなれる場所。那覇を拠点に、これからも世界中にその土地土地のマホロバを作っていくのだろう。

 

写真・文 CALEND編集部

 


まぜ麺マホロバ
那覇市牧志1-2-17
tel 090-9894-8339
open 11:30~14:30 17:30~22:30(LO22:00)
close 火