茂木健一郎・著 講談社 ¥571(税別)/OMAR BOOKS
― 赤毛の少女のように、ひたむきに ―
先週末からまた雨続き。
夜遅くまで雨音を聞きながら読書するのは至福の時。
さあ、これから読もうとたくさん積んでいた中から取り出した一冊がこの本。
脳科学者の茂木さんと「赤毛のアン」が結びつかない。
彼がモンゴメリの名作「赤毛のアン」と11歳の時に出会って以来、現在に至るまで重要な本であることに変わりはないという(何でもつい最近までこの本の愛読者だということを隠していたそうだ)。
その意外性に興味を持って読み進めるとそんな話だったんだ!と児童文学として知られている「赤毛のアン」のイメージががらりと変わった。
「アン」シリーズを読み直してみようと思わせてくれる力を持っている。
とにかくこの本を読んでみると茂木さんにとって、すごおくなくてはならない本だということがよくわかった。
誰にでも理由は分からないけれど何故か心魅かれる本、というのがある。
運命の一冊、みたいな。
その理由を探しながら読むことは「自分を読む」ことだと同じことだと最近よく思う。
だから例えば、自分にとって何が幸福かってことを考えるときに好きな本に立ち還って読むことはとても役に立つ。
この茂木さんの本はそのことを分かりやすく伝えてくれる。
「赤毛のアン」には私たちにも通用する幸福になる方法がしっかりと描かれている。
この本のキーワードをいくつかをあげると「想像力」「受容」「ひたむきさ」「偶有性」「セレンディピティ」などなど。
それらをもとに茂木さんが自身の経験にも触れながら、物語の秘密をとてもスリリングに紐解いていく。
巷にはいろんな幸福論があふれている。何を採用するかはその人の自由。で
もそれ次第で一度きりの人生の内容は大きく変わってしまう。
また必ずといっていいほど私たちはある年齢の要所要所で人生の曲がり角を迎える。
その岐路に立たされたときに揺れ動くことは当然で、まずは現実の自分を受け入れることからしか何も始まらない。
赤毛の少女から学ぶことは、ひたむきに、あきらめずに生きるその姿勢。
そうしたときに茂木さんが言うには奇跡のような「何かが来る」のだそうです。
やることをやったら前向きにどーんと構えて待つ。
ただし、楽しみながら、ね。
「赤毛のアン」を読んだ人もこれから読む人も、自分に合った幸福の形を見つけるための参考にぜひご一読を。
OMAR BOOKS 川端明美
OMAR BOOKS(オマーブックス)
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