» noguchi bijoux「ゆらぎ」に見る美

 

写真・文 田原あゆみ

 

 

 

ある記事に美人とかイケメンと認識される一番の条件は顔が左右対称であるということが書かれていた。なるほど、確かに知人で綺麗だなと感じる方の顔を見ていると左右対称に近かった。ほほう・・。
では、私の好みはどうかというと、見つめる対象の中にいろいろな要素が潜んでいるものに惹かれる。顔もそうかもしれないが、生きている人間の顔を巷でそんなに長くしげしげと見つめる機会はあまりないし、それをやると相手からかなり気持ち悪がられてしまうだろう。

 

ものを選ぶときに、何故か目が行ってしまうもの。そしてそれをたくさんのものの中から選んで自分のものにする時のことを思うと、そのものの中に様々な要素が潜んでいるということが多い。

 

左右対称よりも、非対称のもの。「ゆらぎ」を感じるところに私の目と心は惹かれる。金属でも、手で打った形跡が波のように柔らかくその物体を包んでいるようなもの。陶器でもその表面に現れた貫入の、人には計算できない模様にこそ美を感じるし、土と火と人の手の跡が調和して形を保っているものにどうしようもなく目が行くのだ。そして主張してくるというよりも、気がつくとともに呼吸をしてるような感覚になるもの、まるで生きているかのように見えてくるものが好きだ。

 

冒頭の写真はnoguchi BIJOUXのブラウンダイヤモンドの指輪のどアップ。石にも、金属の肌合いにも繊細な「ゆらぎ」を感じる。たまらないのは「柔らかさを感じる塊」であるところ。

 

 

 

 

世の中には色々な好みの人がいて、ある程度はカテゴライズできるのだろう。
自分自身がどのカテゴリーに所属しているのかはわからないけれど、自分でタイトルを付けてみると「自然体の美しさと、繊細な美を壊さない技術を併せ持つもの」が好きなようだ。もちろんゆらぎマジックは必須。

 

好みというものも、自分の選ぶ嗜好に意識を向けて客観的な観察を長年続けてはじめて分かってくることだ。私もまた半世紀がかりでやっと自分の好みが分かってきた。それでもまだまだ意外な好みを自分の中に見出すこともあるのだから、人生も人間も底や終着点がないのが興味深い。くじけることもあるけれど、やめられないのは意外なことや意図しない出来事達が人生のスパイスになっているから。

 

私とnoguchのジュエリーとの出会いについては2年前に書いた記事に集約されているので、興味のある方は、以下のURLをクリックしてどうぞ。

 

「日常を美しさを思い出す noguchi のジュエリー」
https://calend-okinawa.com/life/aessay/noguchijewelry201611.html

 

 

 

 

「ゆらぎある美」。それは、移ろいゆく繊細な変化がその対象の中に息づいている様子。どこか儚さや有限なる命を瞬時にその中に感じるものごとの中に在る。ゆらぎの中に自然の調和と死生観を同時に見出す心こそが「美」そのものなのかもしれない。

 

その「いつか終わる」ことを感じさせる影が対象に光を当て、美しくするのだ。

 

花は左右対称のものが多い。そして美の象徴でもある。けれど、彼らが咲き誇る時間は短く儚い。そこにもやはり「ゆらぎ」を感じる。季節の変化を美しく紅葉した落ち葉に見る。夏には緑色でさわさわと風と戯れていた葉が終わる姿に、有限の生命の移ろいゆく美がある。終わるからこそ美はいっそう際立つ。

 

私達日本人の多くは自然の繊細な変化に気づき、その変化やある季節の終わりをも愛おしむ感性を持っているのではないか。

 

 

 

なんの先入観も持たずに、もしくは先入観を持たないことを意識して対象をただ見つめる。そこに自身の感覚と調和を感じれば感じるほど、長く見つめる事ができるということに気づく。時は止まり、見つめている対象に光が生まれたように感じ、その瞬間世界と自分自身が溶け合うような幸せを感じることもある。

 

それはお茶を飲んでいるときに茶杯や急須の美しさに気がついて起こることもあるし、庭仕事をしていて小さな花に目が止まり微笑んでいるときに起こることもある。

 

 

 

 

2年前のこと、普段指輪をするのが得意ではないのに、誕生石のダイアモンドが細やかにちらちらと光る佇まいの指輪を見つけて熟考の末購入を決めた。実際は、迷い迷って心変わりを散々したあと
やっと決めたのがその指輪だった。
noguchi BIJOUXの小さなグレイダイアモンドが並んでいるシンプルなデザイン。ちょっとかっこつけたいときや、大事な時間だな、と感じると私はそれを身につける。
すると、つけていない時よりも気持ちが落ち着く。なんだか守られているような安心感があるのだ。
そこには、身につけることで補える感覚があるのだろう。大丈夫、今日はいつもよりイケている。とか、自己満足を満たすような感覚のときもあれば、自分のために買えたことが嬉しい、大人な自分を認識して地に足がついているような気分になるときもある。小さいけれど、ちらちらと光るダイアモンドの光でちょっとした魔除けのバリアが張れるような気もするのだ。人が身にまとうものにももちろん、肌につけるジュエリーにはそんな要素があるのではないだろうか?

 

それに、単純にきれいなものを身につけることはうれしいことだ。

 

 

 

 

若く水を弾くような肌は眩しいけれど、酸いも甘いも体験した大人の肌のなかにある「ゆらぎ」。ふふふ、そう言わせてくださいな。しわや、ちょっとした模様のようないろいろは見ているとため息をつくこともあるけれど、私達が喜怒哀楽をたくさん深く味わった結果の在り様だから、そっとなでてあげたい。慈しんであげたい。ありがとうね、と指に冠や勲章を上げたい。そんな気持ちで皆さん指輪を自分の手に差し上げているのではないかしら。

 

その肌に馴染むように設計されているのが、noguchiのジュエリーの肌合いや色使い。そこはデザイナーの野口氏が意図して仕上げているのだそうだ。
ピカピカのに磨き上げた18kではなく、東洋人の大人の女性の肌に馴染むようにオリジナルでブレンドした、抑えた色合いのイエローゴールドやホワイトゴールド。その肌に寄り添うような金属を基盤に形作られているのだ。

 

そのジュエリーたちは私が感じるに、肌とその日着ている服や、気分を一つに結びつけるような存在。私のジュエリーの定番アイテムはピアス。その日しっくりと来たピアスを選び、つけ終わったときに感じる着地感が好きだ。鏡の中の自分を見つめて、よしとする。一体どこに着地するのかしら?

 

思うに、きっとその日の自分自身になのだろう。

 

 

 

恵比寿のnoguchiのショップがリニューアルされてすごくすっきりとイメージチェンジ。
こんなリニューアルもあるのかと、驚いてしまったほど。以前を知っている人ほど驚くに違いない。

 

前回のnoguchi BIJOUXの企画展から2年。お年頃で、体調を整えることに時間とお金を掛けました。おかげで、すこぶる元気な自分が戻ってきて嬉しく思っています。その記念になにかささやかなプレゼントを私に捧げたいと思っている。健康にかける以外は結構地味に抑えたのですもの、いいよね。とにやけながら自問自答。

 

後半の人生を思い残しの無いように過ごしたいと決心して、挑戦している自分自身の誓いを込めて、じっと見つめられる対象を一つ、持っていたい。
年末から来年1年を掛けてしっかりと自分の土台を再構築しようと挑戦を始めています。指輪だと手元につけて眺める機会が多いのだけど、やっぱりピアスが私は好きだ。

 

朝出かけるときに鏡を見ながらピアスを付ける。その時ほんの数分の間自分自身の感覚に集中する。夜の間にあちこちに飛び散った私のかけら達がもとに戻って、一箇所に集まってくる感覚がある。あれが好き。
そのせいなのかピアスをつけ忘れたときにはなんだか心許ない気持ちになるのかもしれない。私の朝の「私を招集する儀式」。

 

きっとそれぞれ皆さんにもあるのでしょう。
2018年の思い出や、未来の自分の希望をなにか一つのジュエリーの中に込める。それを身につけることで、そこに自然と向かう事ができるのかもしれない。惹かれたらぜひ手にとって、身につけてみてください。

 

そんな出会がありますように。

 

Shoka: オーナー田原あゆみ

 

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noguchi BIJOUXデザイナー略歴

 

『野口尚彦 Naohiko Noguchi
 

 

1968 年東京生まれ。文化服装学院テキスタイル科卒業。 テキスタイルデザインを学び、更なる技術習得ために渡伊。一時帰国の後、
1999 年よりフリーランスのアクセサリーデザイナーとしてフランス・イギリス・日本 で活動。 2004A/W に初めて noguchi としてのコレクションを発表し、
2005 年(2006S/S)からは Paris の PREMIERE CLASSE に出展。
2006 年 東京恵比寿に直営店をオープン、以後伊勢丹新宿店、髙島屋大阪店、 (*髙島屋大阪店は 2013 年 3 月クローズ)
2011 年には更に大人の女性に向けた提案として、noguchi とは異なるコレクションラインによる NOGUCHI BIJOUX 青山店をオープン。
 

 

そもそもファッションが好きで、その業界を志し学ぶ。 そしてデザイナー自身のファッション感覚から女性を見た時、装飾品であるジュエリー が、トータルコーディネイトの中でその存在を主張しすぎていることに違和感を感じ、 毎日のなにげない装いの中に 自然にとけ込み、ちょっとした華やぎを添え、いつでも 気軽に身に着けていられるような、「アクセサリー感覚」としてのジュエリーがあれば もっと似合う、もっと自然だ、という独自のバランス感に基づいて、独学で作品を作り 始めたのが、ジュエリー制作のきっかけとなる。
 

 

noguchi のジュエリーは、そのひとの肌に馴染み、服に馴染む。 微妙なゴールドの色合いや、テクスチャーによる表情、ダイヤモンドの選び方、配置の 仕方はすべて独自の感覚。自身の美意識に基づいて選んだ素材を用いて、細心のバラン ス感覚でデザインされたアイテム。 身に着けていて違和感がないけれど、女性を満足させる存在感もきちんと持っている。 同じジュエリーを着けていても、ひとたびファッションが変われば、カジュアルにもモ ードにもスタイルが変化する。 本物で遊ぶことのできる大人が身につけるのにちょうどよい、なにげないさじ加減。 新しいのにどこか懐かしさや温もりを感じさせる noguchi の作品は、 デザイナーの手の動きが見えてくるような、独特で無骨な存在感を放っている。 』

 

 

 

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企画展のお知らせ

 

 

noguchi BIJOUX ジュエリー展

 

12/8 sat ~12/16 sun〈会期中無休〉
(8・9日 noguchi BIJOUXスタッフ在廊)

 

本当にいいものってきっと持ち主にしか分からないような記憶を持ったものだろう。ふと目にした時に、美しい形や石や金属のきらめきの中に、いつかの思い出が宿っている。Shoka:では12月1日から24日まで、年末のギフトを意識した空間づくりを整えて、皆様と楽しい時間を過ごせるようにお待ちしております。
お茶を飲みながら今年の色々とこれからのときめきを語り合えたらしあわせです。

 

 

 

 

 

 

暮らしを楽しむものとこと
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