2012 9月

大きな魚をつかまえよう
四月社 ¥1,890/OMAR BOOKS
 
―「ひらめき」の種明かし―
  
 この人の頭の中は一体どうなっているんだろう?
とんでもない作品を見たり、聞いたりしたときそんな疑問が湧く。
小説然り、音楽然り。そして映画でもまたそんな出会いがある。
 
映画ファンなら知らない人はいない、デヴィッド・リンチ。
代表作は『エレファントマン』『ブルーベルベット』『ツインピークス』(こちらはテレビドラマ)『マルホランド・ドライブ』他多数、とあまり映画は見ないという人でもどれか一つは聞いたことがあるはず。
これらの作品が世に衝撃を与え、特にその後のアート全般に及ぼした影響は大きい。
  
とにかく不可思議な、独特な世界に見る人を引きずり込むのがリンチ作品の魅力。
見るたびにほんと驚かされる。映画監督としては敬意を表するけれど、個人的にはあまり近づきたくないタイプかもしれない。
そう思っていたら、この本を読んでがらりと彼に対する印象が変わってしまった。
  
今回ご紹介する『大きな魚をつかまえよう』ではこれまで彼がどうやって作品を作ってきたか、が種明かしのように語られる。
生みの苦しみがあるのは当然で、その手助けになったのが、TM(トランセンデンタル・メディテーション)という瞑想方法だという。
 
瞑想、というとつい敬遠しがちな人も多いけれど、宗教ではなく、技術として広く知られているTM(トランセンデンタル・メディテーション)という瞑想を生活に取り入れることが、彼自身に良い作用を与えたのは事実。
そこで彼がその経験で得たのは、アイディア(ひらめき)は魚のようなもの。以下、引用。 
 
―小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。でも大きな魚をつかまえるには、深く潜らなければならない。
  
アイディアは実は自分の中にあってそれをうまくつかまえるコツみたいなものがいる。
それをシンプルな文章で、自身の映画の裏側を例に出しながら説明してくれる。
 
アクシデントの効用(トラブルの回避方法など)についてでは、考え方次第でそれが最大の結果を生むということを教えてくれる。
 
またストレスフルなことの多い日々の生活。セルフ・ケアにも役立つとリンチさんは太鼓判を押す。子どもの教育にもいいとして財団を設立するほど。
 
それはそれとして、カラフルな付箋紙(ポストイット)が並んでいるような本の装丁にも惹かれたのもこの本を手にした理由の一つ。表紙カバーをめくるとまたかっこいいのです。
 
「明かりを点ければ闇も消える。」
 
今何かに煮詰まっている人、この本を読んでみることをお勧めします。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

2012 9月


 
 
海岸の風景の中に自然素材を使ってアート作品を創り、自
然を芸術と科学の両面で観る講座です。講師:田代 豊(名桜大学)・中山秀一
(現代美術家) 参加費:無料(船賃・宿泊費等は各自負担)問合せ・申込み:名
桜大学総合研究所(担当:金城) TEL:0980-51-1107 FAX:0980-51-1136

 
開催日:9月29日(土)
時間:12時~16時
場所:渡名喜島東浜集合
http://pub.ne.jp/namonaki/

 
 

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2012 9月


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「ハロウィンパーティーで盛り上がりましょう~!」
 
大人も子供も楽しめるハロウィンパーティーのテーブルをご提案
そして 秋のおもてなしにぴったりな 
大木流・簡単・美味しい・おしゃれな料理を
デモンストレーション形式でご紹介します
レッスンの後は 試食パーティーで盛り上がりましょう!
 
 
(日時)2012年9月30日(日)10:30~12:30
(会場)沖縄県男女協同参画センターてぃるる3F
(受講料)賛助会員3,000円/一般3,500円
(定員)20名様
 
(講師)大木綾子 Jr.野菜ソムリエ 食空間コーディネーター
沖縄タイムスカルチャースクール 
ホテルロイヤルオリオンなどでセミナー開催
テーブルから広がる幸せ空間を提案している
         
(申し込み・問合せ先)   
Eメール bigtree@kyi.biglobe.ne.jp
Blog http://ayastablestyle.ti-da.net
 
沖縄野菜プロジェクト協同組合  
☎098-951-0831 
Eメール oyasaipro@gmail.com
 

2012 9月

沖縄料理教室 冬瓜
 
うちは家族みんな冬瓜が大好きなのよ。
このおつゆは冬瓜と豚肉があればできるし、手順も簡単。
子どもたちも好きでよく食べるよ。
すぐなくなるから沢山作るんだけど、今日は一家族ぶんくらいにしようね。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
豚肉は食べやすい大きさに切って。
うちの場合は一口カツと同じくらいの大きさかな。あまり小さく切らないんだけど、好みの大きさでいいよ。適当でいいの。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
かつお節でだしをとります。
だしが出るのを待つ間に冬瓜を切ろうね。 
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜って大きいけど、おいしいし、色んな料理に使えるからすぐなくなるのよね。
昔は義父が畑で作っていたのよ。だからすぐ手に入ってよかったけどね〜。今はスーパーに買いに行ってるさ。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜の種はこんなふうに、リンゴの種を取るような要領で取り除いて。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜も大きめで大丈夫よ。
うちの義母は煮る前に塩をふっていたけどね、しんなりさせるために。
今は減塩、減塩と言うでしょう。だからふってないよ。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
一煮立ちしたらかつお節をとってね。
使う水の量もあとから調整できるから適当でいいよ。シブイからも水が出てかさが増すしね。 
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
先にお肉だけ入れます。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
やわらかくなるまでふたをして炊くよ。10分くらいかねぇ。
 
このおつゆはお嫁に来てから義母に習ったの。
だから子どもたちが小さい時からよく作っているよ。
甥や姪たちが遊びに来たときにも出したことがあるんだけど、家に帰ってから
「なんか、お肉が入ったお味噌汁が出たよ、おいしかった」
とお母さんに報告しよったって。
嬉しいね〜。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
肉から出るアクはとってね。
しばらくしたら箸を刺してかたさを確かめて。やわらかくなっていたら冬瓜を入れます。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜は火が通ったら透き通ってくるから、それくらいまで炊くよ。
またふたをして、さらに10分〜15分くらいかな。
沖縄料理は煮込むものが多いから、結構時間かかるね。でも、普段はその間にもう一品作れるからそんなに手間とは感じないよね。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
彩りのためにチリビラー(ニラ)を入れようね。
私、ニラも大好きなのよ、チャンプルーでもなんにでも入れる。
お肉がないときはシブイとチリビラーだけの簡単なみそ汁を作ることもあるよ。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
シブイに火が通ってきたら、ちょっと味をみてね。
物足りないときは少しだけだしの素を入れてもいいよ。
でも、かつお節とお肉から良いだしが出てるからね、何も入れなくても大丈夫。
これくらい透き通ってきたらオッケー。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
味噌を入れて…
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
チリビラーを入れたら、ふたをして火をとめてしばらく置いておくの。
冷める時に素材に味がしみるからね、できたてよりしばらくしてから食べたほうがおいしいのよ。 
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
私は豚で作るけど、牛肉でもいいと思うよ。
彩りに使う野菜もあるものでいいの。
冬瓜がなくなる季節まで、うちの食卓にはよく登場する人気の一品だよ。
食材は豚肉と冬瓜、調味料はかつお節と味噌さえあればできるからぜひつくってみてね〜、簡単よ〜。

 

2012 9月


 
+*+* はんまよー糸満!隠れた魅力、あります。 +*+*
手作り商品の販売(食品は除く)
開催日:9月22日(祝)秋分の日 
時間:11時~18時(一部16時まで)
場所:道の駅いとまん
ブログ:http://yurariitoman.ti-da.net
 
☆おトクな通信販売!
http://shop.yukura.jp
 
★ブログ更新しています!
「はんまよー糸満!道の駅へめんそーれ♪」
http://yurariitoman.ti-da.net
 

2012 9月


 
池上永一氏のベストセラー。琉球王朝の黄昏を舞台に、激動する時代を駆け抜けた人々の物語を、ドラマ・リーディングで。角川書店の承諾を得て、脚色版を紡ぎました。第1巻「若夏」より、聞得大君と孫寧温の物語を中心にお送りします。小説・テレビ・映画とは違う、「テンペスト」をお楽しみください。
 
開催日 2012年9月22日(土)
時間  開場19:30/開演20:00
場所:ハリジャンカフェ
住所:那覇市真嘉比339-6
   興南高校近く
   中山外科胃腸科医院裏 
電話:877-3999
ブログ:http://himitsukessha.ti-da.net
※要ワンドリンクオーダー(投げ銭歓迎♪)
nakamuraya1983@gmail.com
 
 

2012 9月


 
美術解剖学という学問があります。絵画や彫刻などで人体を描くために、人間の体について解剖学的に研究する学問です。
 
古代ギリシア、イタリア・ルネサンスの時代にさかんに研究されましたが、日本では明治時代に東京美術学校(現在の東京藝術大学)で始められました。
 
この科学と芸術にまたがる美術解剖学の魅力について、現在、東京藝術大学で美術解剖学の講義を担当している布施英利先生が、分かりやすく解説して下さいます。
 
 
開催日:平成24年9月21日(金)
時間:19:00~20:30
※入場無料
場所:沖縄県立博物館・美術館 博物館講座室
沖縄県立博物館・美術館 HP
http://www.museums.pref.okinawa.jp/art/topics/detail.jsp?id=885
 

2012 9月

デンジャラス・ラン
 
かっこいい!!!
 
ものすごくスリリングな映画です。
 
しかも最後のほうは、涙 ホロリですよ~。大体、日本で公開されるまで待ちくたびれちゃったよ。
 
キャストが最高だし、アメリカでの評判が高かったので、今か今かと待っていて、やっと本日公開。
 
いや~、レベル高いです。
 
こう、誰も信用できない感じがよい。
 
 
デンゼルさすがに老けましたが、うまい!!!もう、うますぎる。
 
デンジャラス・ラン
 
デンジャラス・ラン
 
この監督、ダニエル・エスピノーサ。私、全然知らないんだけど、スウェーデン人なんだね。
最近、スウェーデンの監督、熱いよね。
 
すごい。
 
南アフリカが舞台なんだけど、色が、南アの感じなのよ(いったことないけど)。
 
なんだろうなあ。
 
デンゼルの圧倒的な演技は、少々悪いほうが光る。
画面を通しても、威圧感を感じるんだよね。
 
眼光がすごい。
 
この映画、みんな目だけで伝わるような演出なのか演技力なのか、目のアップが多いのか、語らずともな感じ。
 
デンジャラス・ラン
 
それでも、ドキドキする緊迫感は半端ない。
 
ライアン、、、、、素敵なんだよね。
 
アクションしてても、子犬のような表情。
 
デンジャラス・ラン
 
デンジャラス・ラン
 
デンジャラス・ラン
 
たまりませんなあ。
 
彼の苦悩も繊細に描かれていて、文句なし。
 
だんだん二人の間に絆のようなものも生まれるんだけど、お話が嘘っぽくなく、リアルに感じられるのも魅力な映画です。
 
デンジャラス・ラン
 
カーチェイスは、また恐ろしいほどの車のぶっ壊れ方です。
私、ちょっと交通事故はトラウマがあるので、怖いんだけど、この映画は大丈夫でした。
 
ムチウチにならないのか??と心配にはなりました。
 
アクション好きにはおすすめです。是非!劇場で。

KEE

 

 
<キャスト>
デンゼル・ワシントン
ライアン・レイノルズ
ヴェラ・ファーミガ

 
<ストーリー>
CIAの新米職員マット・ウェストンは隠れ家の管理という閑職に辟易していた。ある日、思いがけなく隠れ家に大物犯罪者が護送されてきた。
その男の名はトビン・フロスト。元CIAの超エリート諜報員にして、今は国家機密を密売する危険人物として世界中から指名手配を受けていた。
そんな時、隠れ家が武装した男たちに襲撃される。命からがらマットはフロストを連れ出すが……。
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
サザンプレックス
098-835-6600
島尻郡南風原町字宮城371-1
HP:http://www.startheaters.jp/southernplex
 

2012 9月

沖縄のモノづくり企業、クリエイター、流通が連携し、地域ブランド確立を進めるための機会を提供するために活動してきた「メイド・イン・沖縄・プロジェクト」は、たくさんの方々のご支援、ご協力をいただきまして、この度「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト 沖縄支部」として新たなスタートを切ることとなりました。
 
クリエイター部会では、県内で活躍されているクリエイターの皆様や地元のモノづくりを応援したいという熱い想いを抱いている方々に、クリエイティブな刺激を感じていただける場づくりを目的として活動していきます。
 
今回はキックオフイベントとして、幅広い分野で活躍されているインテリアデザイナーの神谷利徳氏をお招きし、「永く愛されるデザイン」をテーマに講演をしていただきます。第2 部では、常に刺激的なデザインを発信し続けているプラザハウス社長の平良由乃氏をゲストに迎え、時代を超えて愛されるデザインの極意についてトークセッションを行います。
 
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
 
開催日:2012年9月19日(水)
時間:17時~19時30分
場所:プラザハウス フェアモール3F 特設会議室
住所:沖縄市久保田3丁目1番12号
http://www.facebook.com/events/131868510292900/
 

2012 9月


 
気持ちの良い朝、アラハビーチでビーチクリーンしてみませんか? 
お散歩ついでの短い時間でも大歓迎です!
 
ビーチクリーンの後は、Talk and Brunch @ Dean’s Kitchen
ハワイにて自然保護活動を行い、伝統航海カヌーMakali’i(マカリイ)のクルーでもある菅原真樹さんの
お話会も設けました!ぜひこちらもご参加下さい。
「魂に光を!AWAKE SOUL~Hawaii の大地・海ネイティブからの伝言」
定員10名 カフェでの飲食代は各自ご負担下さい。
 
Beach Clean Up @アラハビーチ
開催日:2012/9/15 
時間:7:00~10:00
  
Talk and Brunch @ Dean’s Kitchen 
開催日:2012/9/15 
時間:10:30~
 
場所:アラハビーチ(北谷町)
   Dean’s Kitchen(北谷町北谷2-15-5)
講師のブログ:http://laie.ti-da.net
ブログ:http://dkitchen.ti-da.net
    http://ameblo.jp/kalokohouse
    http://dkitchen.ti-da.net
 

2012 9月

WRENCH
 
「高校2年くらいにはもう、自分の中で進路が決まってたんです。『店をデザインする人になりたい』って」

インテリア・プロダクトデザイナーの徳嶺さんは、石垣島で育った学生時代インテリア雑誌を読みあさり、その美しさに夢中になった。
 
「当時はミッドセンチュリーが流行っていて、イームズのチェアーなどが取りざたされていました。
そういう本ばかり読んでいたので、建築の知識はなかったけれど、家具の知識はこの時期にある程度身に付いていたとおもいます」
 
高校卒業後、専門学校の建築科インテリアコースに進学したが、建築家になりたいと思ったことはなかったと言う。
 
「職人の仕事に興味があったんです。ものづくりに携わりたいという想いが強かったんですね」
 
専門学校を卒業後は日本でも有数の家具の生産地、福岡県大川市の「丹創社」に就職した。
 
「木工職人や家具職人になりたいなと思っていたんです。木工の工場もあるのでそこに就職を決めたのですが、1年目から東京勤務になって(笑)。内装を管理する現場監督の仕事に携わることになりました。」
 
希望とは異なる部署で勤務することになったにも関わらず、徳嶺さんはくさらなかった。自分のやりたいことから遠く離れてはいないと感じたからだ。
 
「空間をデザインしたいという想いはいつも根底にありましたし、家具もその空間に含まれる要素の一つ。トータルバランスが重要なので、箱を知らないと良い家具もできないと思ったんです。だから監督という仕事をやりたくないとは思いませんでしたし、むしろ良い経験になると思いました。
それから5年間、現場監督として勤務しましたが、最初のうちは先輩から何を教わっても右から左に流れるような感じで何もわからない状態でした。それが3年目くらいから色々とわかってきて。とても楽しかったし、有意義な時間を過ごせたと感じています。
5年間というと長い期間ですが、迷いはなかったですね。道を逸れているという感じがしなかったんです。これ以外の仕事に就くことは想像できませんでしたし」
 
WRENCH
 
WRENCH
 
その後、徳嶺さんは会社を辞めて沖縄に戻り、那覇市のデザイン事務所に就職した。
 
「監督をしていた時にも図面上ではデザインにふれていたので、自分でもできるという意識はありました」
 
居酒屋や美容室といった店舗施設のデザインに携わったが、当時をふりかえると思うところがあるという。
 
「その時はもちろん最善を尽くしてデザインしてたのですが、今思うとお客様の想いより、時代やはやりを意識しすぎていたようにも思います。東京の雑誌に影響を受けてつくったり…。でも、そんな雑誌の中のデザインへの愛着や想いは、僕の中にもお客様の中にもないんですよね。
お客様が心から求めているデザインで、本当に良いものであれば、はやりすたりは関係ないはずなんです。そこにはちゃんと愛着が残りますから」
 
3年後、徳嶺さんはMIX-life style の設計室に就職した。
そこでも多くの出会いがあり、新たな価値観も生まれたと言う。
 
WRENCH
 
「プラスしていくのではなく、けずるデザインを意識するようになりました。
例えば、土間に床の材料をはるのは当たり前だと思われがちですが、コンクリートそのままでも良いと思うんです。壁もブロックむき出しだって良い。天井もそう。
その人にとって余計なものって絶対あると思うんですよ。
手をかけるところにはしっかりとかける、でもかけなくてもいいところからは引き算する。そういうメリハリをはっきりとつけることで生まれる空間の魅力を学びました」
 
店舗デザインをする上で、主人公として据える人物にも変化が生まれた。
 
「それまではどうしても買い物に来るお客様のことを中心に考えてデザインしていたんです。スタッフはあくまでも販売する側、というふうに捉えていました。
でも、店ですごす時間が最も長いのはオーナーやスタッフですよね。ですから、彼らを真ん中に据えてデザインすることを心がけるようになりました。働く人が過ごしやすく、居心地良い空間であれば、お客様にとってもそうなるはずだ、と考えるようになったんです」
 
来店する客の趣味・嗜好は千差万別だ。しかし一度店に足を運んだ人で、その後もリピーターとなって二度三度と来店する人は、店のコンセプトや店主の趣味などに少なからずシンパシーを感じ、「自分の好みと合う」「ここにいるとなんだか落ち着く」などと感じた人に限られるだろう。施主の想いを追求することで、施主だけでなく常連となるであろうひとびとにとっても居心地のいい空間が作れるのだということに徳嶺さんは気づいた。
 
2011年7月、徳嶺さんは独立し、那覇市泊に事務所を構えた。

 
WRENCH 
 
WRENCH
 
徳嶺さんは空間をデザインする際、コンセプトを定めるまでのステップを重視している。
 
「殆どの方がご依頼時に大まかなイメージは持っていらっしゃいます。そこでさらにつっこんでうかがい、お客様の伝えたいことを引き出します。お客様によっては『特になにもない、おまかせします』という方もいらっしゃいますが、そういう方にも必ずご希望はありますから、そこを聞き出すんです。特にお店をやりたいという人はかならずその人ならではの『アク』があります。聴いてきた音楽や観てきた映画など、お客様の背景を伺って細かな情報から分析していくんです。
コンセプトの設定にはそれだけ長い時間をかける価値があると僕は思っています。ここさえしっかり固まれば、そのあとはわりとスムーズに進みます。
僕とお客様との間にコンセプトというルールが設定されれば、そのルールからあまり外れることがないよう注意して、デザインの方向性をしぼりこめるようになるからです」
 
コンセプトが決定し、設計図が完成していざ工事が始まっても、徳嶺さんの仕事は終わりではない。デザインした空間の現場監督は、かならず自身でおこなうのが徳嶺さんのこだわりのひとつだからだ。
 
WRENCH
 
WRENCH
一軒家や集合住宅のリノベーションの依頼も多い
 
「実は、効率の観点からみるとあまりいいこだわりとは言えないのです。一人で兼務するとどうしても効率が落ちますから。
でも、お客様にとっては利点が多いと思います。デザインした本人が工事に関わることで、細かい点までおざなりにせず、しっかりこだわることができますし、職人のかたに直接直しを依頼することもできる。
また、お客様と一緒に現場をみながら『ここをこういう風に直して欲しい』というご要望があれば、その場で図面を書き直すこともできます。
デザインしてそれで終わり、というのがどうしてもできない性分なんです。最後までしっかり携わりたい」
 
しかしそれは、ひとりですべてを完成させたいという意味ではない。
 
「逆に、いろんな人たちが一緒になって一つのものをつくりあげることに興味があるんです」
 
と徳嶺さんは語る。
 
WRENCH
 
WRENCH
 
「木工職人、鉄職人、工務店、植物のプロ…。周りには様々な分野の第一線で活躍なさっているひとがいるので、そういう方々とジョイントして仕事をしたいと考えています。
一人でやるとどうしても限界がある。アイディアだって一人よりも二人のほうが出てきます。
だからといって自社スタッフを増やすのではなく、別ジャンルの方と組んだ方がおもしろいと思うんです。
もちろん予算がありますから、みんなでつくれば予算もわけることになりますが、手取りが減ってもチームでいいものを作って次に繋がる方が僕は良い。その方がクオリティが高い空間ができると思うし、やってる僕らも楽しいと思うんです」
 
新都心のティールーム「8ism(ヤイズム:関連記事「こだわりの茶葉で淹れる家庭的な紅茶をアンティークな空間で」)」の店舗デザインに携わった際、メインとなるカウンターの製作は LITTAI metal works(リッタイ メタルワークス:関連記事「ステンレスという選択」) に依頼した。
 
「LITTAI の仲地さんにご相談し、普通の銅板ではなく独自の加工を加えようと、塩水や醤油など様々なものをかけて酸化させ、錆び方を検証するという実験を行いました。より錆びさせることで面白い雰囲気が出ると思ったんです。
その結果、一般的な亜鉛銅板とは違う、独特の質感を出すことができました」
 
店で使う椅子にはクッションを敷き、その上にレザーをかけようと考えたが、細部は LEQUIO(レキオ:関連記事「どこか崩れてて未完成。シンプルだけど遊びもあるモード服」)の嘉数さんに相談した。
 
「しっかり作りこんだカバーをかぶせるのではなく、切れっぱしのような状態で、自然にさらりとかけるほうがカッコ良くなるよ、などアドバイスしてもらいました。ボタンをつけて脱着式にするなど、僕が考えつかないようなアイディアを色々
出してくれました」
 
WRENCH
 
WRENCH
 
WRENCH
 
もともと職人になりたいと考えていた徳嶺さんは今、その想いに再度向き合っている。
 
「オリジナルの家具やプロダクトを製作しています。いずれは展示会もしたいですね。
『WRENCH』という社名も六角レンチに由来しているんです。家具を組み立てる時に最もよく使う工具ですね。
モノを作ることから離れたくないんです、いつもモノづくりのそばにいたい、携わっていたい。図面をひくだけというのは僕にとってはどうしても物足りないんです、だから現場にも出向きます。現場で実際に空間を作るのは職人さんですが、その近くにいたいので」
 
徳嶺さんの作る家具はとてもシンプルだ。
素材と素材を組み合わせただけ。そんないさぎよいシンプルさが心地よく、普段使ったり目にしている家具は、余計なものも盛りこまれていることが多いと気づかせてくれる。
 
「シンプルさを追求していくと、不必要なものが削られてていって、最終的に残るのは素材なんです。素材がよければ色をつける必要もありません」
 
今後は、プロダクトデザインの面でも他ジャンルで活躍する人々とともにとものづくりしていきたいと語る。
 
「木工職人は木材のプロ、鉄職人は鉄のプロ、そういうジャンルの違うプロが協力すればさらにクオリティの高いプロダクトができると思うんです。
そういうジョイントの組み合わせ次第では可能性は無限ですから、楽しみですね。
 
また、空間をトータルでデザインすることにもチャレンジしたいと考えています。カフェならその空間だけでなくメニュー、看板、制服…と、トータルでデザインしてみたい。
それも僕だけじゃなく、色んな人と一緒にできたらいいですね」
 
WRENCH
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
WRENCH の事務所はもちろん徳嶺さんがデザインしたものだ。
床はコンクリートそのまま。むしろ、古い質感を出したくてスポンジで黒く汚したという。
シンクを照らすシンプルなライトも手製。
工事現場などで使われるライトをアレンジした。
テーブルはシンプルな板にアイアンの足をとりつけただけ。
 
「その人にとって無駄な部分というのは必ずある」
 
という言葉が印象的だった。
空間というのは公共施設でない限り、万人に必ずしも好まれる必要はない。
そこで働く人、住まう人、訪れる人。そういうある程度限られた人々が居心地がいいことが何より大事なのだ。
 
自分にとって居心地の良い空間とはどういう場所だろう?
そんなシンプルな問題に、初めて考えを巡らせた。
 
その問題を私たちとともにじっくりと突き詰め、そして空間づくりに最後まで携わってくれる。
デザイナーであると同時に、職人でもある徳嶺さんだからこそ。
 

文 中井雅代

 
WRENCH
WRENCH(レンチ)徳嶺吉紀
那覇市泊2-21-9 1F
TEL/FAX 098-943-4297
MAIL info@6wrench.com
HP http://6wrench.com
 
 

 

2012 9月


 
日時:2012年9月19日(水)
時間:開場18:30 開演19:00
会場:ちゃたんニライセンター(カナイホール)
料金:一般2,000円 学生1,000円(全席自由)
   学生は大学生・専門学校生以下。当日券は500円増し
 
チケット取扱い
  ◎イープラス(ファミリーマート全店famiポートにて購入可)
  ◎北谷ニライセンター TEL.098-936-3492(平日9:00-17:00) 
  ◎コープあぷれ TEL.098-941-8000(10:00-19:00・日曜休日)
  ◎キャンパスレコード TEL.098-932-3801
  ◎照屋三線店 TEL.098-938-2394