NAKAI

optico

 

なかなか自分に似合うものに出会えない。
それが理由で、メガネ屋にはなんとなく距離を感じていた。
でも、「OPTICO GUSHIKEN」の木造りのドアを開けた瞬間、目の前にずらりと並んだ個性的なメガネの数々に思わず興奮!

 

流行のまんまるフレームも可愛いし、トラッドなかっちりタイプもかっこいい。
あ! これ、メガネ姿がめちゃくちゃチャーミングな友人の愛用品と同じ形だ。こちらで買ったのか〜、素敵!

 

「うちに置いてあるメガネは、県内のよそのお店ではみかけないものばかりだと思いますよ。
最初は視力低下が理由で、必要に迫られて当店を訪れた人でも、そのうちメガネの世界にどハマりしちゃった方が結構いらっしゃいますね。
中にはメガネ屋に就職してしまった方も(笑)。
そこまで好きになって貰えたら、メガネ屋冥利に尽きますよね。巣立って行く子を見守る親のような心境ですよ(笑)」

 

店主の具志堅浩章さんは、嬉しそうに微笑みながらそう話す。

 

「良かったらぜひ、気になったものをかけてみてください」

 

optico
具志堅さん独自の視点で厳選したメガネだけが並ぶ。

 

OPTICO

 

OPTICO

 

実際にかけてみると、デザインだけでなくかけ心地の良さも実感できる。
メガネをかけ慣れていない私でも、かけていてまるで違和感がないのだ。

 

「大量生産ではなく、工房で丁寧に作られたブランドのものを選んで仕入れています。質が良く、かけていても負担にならないし、壊れにくい。長くご愛用いただけますよ」

 

これぞ!という一本が必ず見つけられる品揃えには、具志堅さんの情熱が隠されている。

 

「沖縄のメガネ業界では、売り込みにきた業者から仕入れることがほとんどなんですね。
でも僕は必ず買い付けに出向き、自分自身で選んだメガネだけを置くようにしています。

 

毎年、東京ビッグサイトで開かれるメガネの展示会へは必ず足を運びますし、カタログやファッション誌もこまめにチェックして、気に入ったものがあればこちらから積極的にアプローチします。

 

あるメガネブランドさんからは一度取り引きを断られたのですが、どうしても諦めきれず、メガネについてのレポートを引っさげて交渉に行ったこともありますよ。
猛アタックの末に晴れて取り引きしていただけることになり、すごく嬉しかったですね」

 

OPTICO

 

聞きれないブランド名ばかりなので海外製かと思いきや、多くは日本のブランドだと言う。

 

「最近、日本では安価なメガネの人気が高まっていますが、ヨーロッパなど海外では品質重視で選ぶひとが多いようです。ですから、日本のメガネブランドも国内より海外での人気のほうが高いんですね。当店にも外国人旅行者が訪れ、ブランドを指名買いしていくことが多いんですよ。

 

メガネは洋服と違い、流行変化のスパンはそれほど短くありません。早くても5年というところでしょうか。
ですから、できるかぎり質の良いものを長く使っていただくことをお勧めしています」

 

そう聞くと、長くお付き合いできる自分だけの一本に出会いたい! と強く思う。しかし、自分に似合うメガネを見つけるのは難しい…。その思いを伝えると、意外な言葉が返ってきた。

 

「自分はメガネが似合わないと思っている方が多いのですが、実は、メガネが似合わない人なんていないんです。
顔の骨格や顔立ちも少なからず影響はしますが、メガネをかけこなす上でもっと大事なことがあるんですよ。
それはね、洋服やヘアスタイルとの相性、それと気合いです(笑)!

 

その証拠に、僕が適当にメガネをかけてみましょう」

 

optico

 

具志堅さんはそれまでかけていたメガネを外し、目についたものを片っ端からかけていく。
不思議と、どのタイプのメガネも違和感がない。具志堅さんにしっくり似合っている。

 

「骨格や顔立ちといった細かい部分よりも、全体的なバランスや印象の方が大事。ですから、ファッションや髪型を変えるだけで、それまで似合わなかったメガネが急に似合うようになったりするんですよ。

 

僕がどのメガネをかけても違和感がないのは、実は長い髪と帽子のおかげ。
顔型と合っていなくても、全体的な雰囲気と、『似合ってるだろ!』という気合いでカバーできるんです(笑)。
女性の場合は、髪を束ねたりアップにしたりするだけで、似合うメガネの種類がぐんと増えますよ」

 

もちろん、細部を意識したメガネ選びのアドバイスも行っている。

 

「頬から顎にかけての輪郭と、フレームの下部のラインが似ているものを選ぶといいんです。
ですから、顔型が四角い僕の場合、スクエアタイプのものが似合うんですよ。
気になるメガネをかけてみてください。アドバイスさせていただきます」

 

具志堅さんの言葉を受け、ずらりと並んだメガネの中からいくつかチョイスしてみることに。

 

OPTICO

 

気合いも自信も足りないのか、なんとなく違和感を感じてしまう。

 

「意外とかっちりした雰囲気のものがお好きなんですね。
こちらはいかがでしょう?
クラシックな丸いフォルムのメガネです」

 

OPTICO
OPTICO

 

OPTICO

 

鏡に映った自分の姿にびっくり。
これまでにかけたことのない形なのに、まったく違和感がない。
具志堅さんはどれにしようかと迷うことなく、さっと手に取って渡してくれたように見えた。しかしそのメガネは、全体的な私の雰囲気だけでなく、顔の輪郭や形にもしっかりと合っているように感じる。

 

「さらにお勧めなのがこちら。いかがでしょう?」

 

OPTICO

 

そう言って手渡されたのは、柔らかな雰囲気の金縁の丸メガネだ。
実はかたちが好みで気になっていた一本。でも、自分に似合うはずがないと手が伸ばせなかった。
かけてみると、嬉しさと気恥ずかしさが入り混じった不思議な気持ちになった。

 

OPTICO

 

新たな一本を求めて店を訪れた人との会話から、具志堅さんは相手の好みや生活スタイルなどを探る。さらに、その人の持つ雰囲気や印象も考慮し、2種類のメガネを提案するのだという。

 

「かけていてご自身が安心感を感じるメガネは、やはりしっくり馴染むんです。
でも、メガネ店を営む者としてはちょっと冒険もしてみてほしい。
メガネ一つかけるだけで、その人の世界が広がるんですから。
例えば、これまで似合わないと思っていた服が、急に似合うようになったりもするんです。
そこで、ご自身が違和感なくかけられそうなものと、少し意外性はあるけれど実は似合うもの。この2本を提案するようにしています。

 

また、今のスタイルでも素敵ですが、ファッションを変えるとまた違った雰囲気でお似合いになると思いますよ」

 

ふむふむ、確かにワンピじゃなく、ゆるいパンツスタイルでもいいかもしれない。
きゅっと髪をまとめあげて、できる女子風でもイケるかも?
鏡を見ながら、まだ見ぬ自分の姿をついつい想像してしまう。
メガネ一つで、こんなに世界が広がるなんて…。想像以上に強い、メガネの持つ力に驚いた。

 

OPTICO
「かけるだけでがらっと雰囲気を変えられるのもメガネの魅力。僕もタイプの違うメガネを何本か持ってるんですが、毎朝、服を選ぶようにメガネを選んでるんです。仕事の時には真面目で誠実に見えるものを、プライベートでは少し遊び心のあるものを、なんて、シーンによって使い分けるのもいいですね」

 

OPTICO
「サングラスをかけることに抵抗を感じるなら、頭に乗せることから始めてみて下さい。そのうち徐々に見慣れてくるんですよ。サングラスをかける時は、特に気合いが大事!(笑)」

 

こだわりの品々が人気を呼び、ファンを増やし続けている OPTICO 。その歴史は古い。

 

「親の代からメガネ店を営んでいました。
当時の店は今とは全く雰囲気が違い、昔ながらのメガネと時計の店だったんです。
幼い頃からなんとなく店を継ぐ気ではいたのですが、メガネに対して今のように熱い気持ちはなかったですね。
僕自身、幼い頃から視力が低くてメガネをかけていたし、家業がメガネ店だという事もあって興味はありましたが、正直に言うとマイナスイメージの方が強かったんですよ。
ファッションとしてではなく、必要に迫られてかけるものだという意識が強かったんですね」

 

大学進学を機に上京した際、具志堅さんのメガネに対する考えが一変した。

 

「東京って大都会でしょう? 街中にお洒落なメガネをかけた人が沢山いて驚きました。
ファッションとメガネが僕の中で初めて結びつき、すごく嬉しかった。テンション上がりましたよ(笑)」

 

メガネ熱に火がついた具志堅さんは、都内のお洒落なメガネ店を巡るようになり、大学卒業後は「日本眼鏡専門学校」へと進学した。

 

「メガネの加工や調整、視力検査の方法、メガネやコンタクトレンズの販売・取り扱いについてなど、幅広く学びました。
大学時代は優秀な生徒とは言えませんでしたが、専門学校では必死に勉強しましたね。講義の内容も面白かったし、同級生たちも熱心だった。当時ともに学んでいた友人の中には、今や人気のメガネショップのオーナーや、メガネデザイナーになっている人もいますよ」

 

卒業後、具志堅さんは実家へと戻って店を継いだ。
「沖縄で、お洒落で面白いメガネ店を出したい」という思いを原動力に、両親から受け継いだ店を進化させていったのだ。

 

OPTICO

 

「メガネをかけると似合う服が変わる」
「目力がアップするので、薄化粧やノーメイクの時にも便利」
「シーン別で選ぶと、その日のテンションも変わる」
などなど、具志堅さんの口から飛び出す数々のメガネ効果を聞くにつれ、これまでメガネと距離を置いてきたことをもったいないと感じ始めた。

 

それに何より、鏡に映った自分のメガネ姿が強烈だった。
少し面映ゆい。でも、意外と悪くないんじゃない?

 

シンプルな黒いフレームのメガネをかけると、普段はまず着ることのないシックな装いの自分の姿が頭に浮かんだ。少し背伸びしたような、優雅な気持ちになる。

 

繊細な金縁のメガネをかけた私は、自分でも驚くほど落ち着いた女性に見えた。持ってないけど、スーツも着こなせそう…。
本当だ、今までまったく興味がなかったジャンルの服が気になってくる…。

 

メガネって、こんなに小さいのに凄い!
だって新しい、色んな自分に出会わせてくれるのだから。

 

写真 中井雅代/文 本岡夏実

 

OPTICO
OPTICO GUSHIKEN

那覇市牧志2-7-28カカズビル1F
098-867-3204 

OPEN 11:00~21:00
CLOSE 水(祝祭日を除く)

ブログ http://optico.ti-da.net

 

NAKAI

世界のお弁当
服部直美・著 情報センター出版局 ¥1,575/OMAR BOOKS

 

風が朝夕はひんやりするようになった。季節は確実に秋に向かっている。
そろそろ巷では本格的な運動会シーズンもやってくる頃。
運動会といえば、誰もがお弁当にまつわる思い出を持っているように思う。そこで「お弁当」について、読む人の視野を広げてくれそうな本を今回はご紹介。

 

各国のお弁当事情を1冊で知ることが出来るこの本。
香港での生活がきっかけとなり食に関心を持つようになった著者が、世界各地を訪れてその地で出会った人々のお弁当を取材してまとめたもの。

 

冒頭の写真で紹介されている「お弁当のある風景」では、オフィスや海辺、移動中の列車、市場の中など様々な国の人たちの生活の一場面にお弁当があって、見ていて笑みが浮かぶ。
どれも愛情が詰まっているようなお弁当を食べている人たちの背景に、それを作ってくれた人の姿が見える気がして、とても温かい気持ちになった。
 

 

世界22のエリアの定番メニューが紹介されていて、個人的に面白かったのはブータンやブラジル、ノルウェーなどの食材や詰め方。

 

世界のお弁当

 

例えば、世界一辛いお弁当と言われているブータンのお弁当のページでは、唐辛子をスパイスとしてだけでなく食材そのものとして使うというお弁当の中身はもとより、「ポンチュー」というかわいい響きの、ざるのような編み籠を二つ合わせた容器にも惹かれた。

 

国ごとに、その風土や暮らしもふまえたコラムは、丁寧にかつ分かりやすく書かれ、読者はきっと楽しみながら読めるはず。
お弁当の中身が写真で紹介されているだけでなく、レシピもしっかり記載されているので再現しようという気になるのもこの本の良いところ。

 

なぜか日本の項目の次に、国ではないけれど沖縄があって、そこでは「ポーク卵」(缶詰のスパムやランチョンミートなどを使った、沖縄では食堂などでも定番のお肉と卵のコンビ)が入ったお弁当が紹介されていた。

 

 
その他、お弁当箱や水筒についての豆知識やお弁当にまつわる著者の体験など読み物としても楽しめる。
その中に出てきた台湾の水筒(中に茶漉しが付いていて上下どちらからでも飲める)が欲しくなってしまった。それと丸いシンプルなお弁当箱も。

 

サブタイトルにあるように、お弁当は作る人、それを食べる人がどちらも幸せを味わえる、心をつなぐ方法。
読み終えると、自分にあるいは誰かのためにお弁当が作りたくなる。

 

年代、性別問わず楽しめる一冊。
食に興味が湧くこの季節に、参考がてらぜひどうぞ。

 

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp

 

NAKAI

cadekaru cafe
cadekaru cafe

 

「うるまでパスタが食べたくなったらここ!
本格イタリアンなのにお値段は手頃でびっくりしちゃいますよ」

 

具志川育ちのミスうるま・崎枝志穂さんのおすすめは、「cadecaru cafe 」で食べるランチ。

 

「せっかくだから新作パスタにしよ! 県産の厚切りベーコンがポイントなんだって」

 

cadekaru cafe

 

「ベーコン、分厚くてめちゃくちゃジューシー!
トマトベースのソースはコクがあって、ほんの〜りスパイシーで私好み。
やっぱり、ここのパスタはハズレ無しだなぁ。
どのメニューにも島やさいがいっぱい使われていて、美味しいだけじゃなくヘルシーなんだよね」

 

cadekaru cafe

 

前菜は、うるま市にある「 Boulangerie i+plus (ブーランジェリー アイプラス)」のバゲットに乗せたパテ、ビーツ入りマッシュポテト、しぶいのオレンジソース煮込みの三種盛りだ。

 

「県産品というか…うるま市産品のオンパレードだ!
それにしても、しぶいをオレンジソースで煮込むなんて斬新だよね。
優しい味わいでクセになりそう」

 

cadekaru cafe

 

「デザート見ると、お腹いっぱいでもテンション上がっちゃうね(笑)
厨房上の黒板には、食事だけじゃなくドリンクメニューもびっしり書かれていて、どれにしようか迷っちゃう。
紅茶やハーブティーも種類豊富なんだよ」

 

cadekaru cafe

 

「茶葉が並んだ棚には、それぞれの特徴や効能も紹介されていておもしろい!
『幸せに眠れる』『前向きな気持になれる』『肌とココロに潤い』なんて、その日の気分で茶葉を選ぶのも楽しいよね」

 

cadekaru cafe

 

「併設されているスタジオでは、シェフの奥様がヨガ教室をやってるんだよ。
実は、最初にこちらを訪れたきっかけはヨガだったの。
私、骨盤もゆがんでるし肩の高さも違うみたいで、『骨格直すにはヨガがいいよ、うるまに良い教室もあるし』と知り合いに教えてもらって。
店の前をちょくちょく車で通ってて、気になってたんだよね。
でも、中に入ったらご飯が美味しそうでついついランチしちゃった(笑)」

 

cadekaru cafe

 

「スタジオにはおしゃれなヨガウェアもいっぱい!
伸縮性があるし肌触りもいいから、ヨガをしない人にも人気みたい。
しかも、値段がこれまたリーズナブル〜。
カラーバリエーションも豊富だから、色違いで欲しくなっちゃうんだよね。
ヨガスペースは、クラスが無い時間帯はカフェのお座敷席になってるの。
赤ちゃんも寝かせられるから、子連れママさんたちもゆっくりお茶できるよね。

 

そうそう、エスプレッソ用コーヒーもうるま市のコーヒー専門店から取り寄せてるんだって。まさにメイドインうるまのカフェだね。

 

いつも、ついついパスタ頼んじゃうから、次はお肉かお魚をオーダーしたいな〜」

 

cadekaru cafe
cadecaru cafe & studio nadi
うるま市石川嘉手刈149-1
098-964-4808
open 11:30~18:00(土曜のみ17:00まで)
close 木・日・祝
※ヨガのお問い合わせ
080-3462-6464

 

 

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照屋勝武三線店

 

「三線ひけない、民謡も歌えない…。でもどっちも大好きなの!」という志穂さん行きつけなのが、「照屋勝武三線店」。

 

「沖縄県の伝統工芸士にも認定された勝武さん。
一見するとコワモテだけど、優しくてお話も上手。三線についてのゆんたくが面白くて、よく遊びに来てるんだ」

 

三線作りの手を止めて、「あい、志穂ね。あがりなさい」と勝武さん。

 

照屋勝武三線店

 

志穂さんに限らず店を訪れた人はまず、こちらの居間に通される。

 

「組み立てる前の三線ばかり並んでいるから、ここに来た人は『三線がないさ』と言うよ。
でもね、結婚相談所に行ったら、みんなウエディングドレス着けて並んでるね? 違うでしょ。まずは履歴書見て、この人良いひとそうだねと思ったらお付き合いしてみる。そうして気が合ってからさ、ドレス着けさすのは」

 

照屋勝武三線店

 

「勝武さんが作る三線、どれもすごく綺麗でしょ?
腕の良さが評判になって、県外からも修理の依頼が来るんだって」
と、志穂さん。
そして、勝武さんの三線談義のはじまりはじまり。

 

「三線というのは琉球王朝時代の士族が学問として学んでいた楽器なんだよ。
だから、形も音色も材質も最高を追求ないといけない。そうでしょう?
でもさ、中にはいい加減な仕事をしてるのもいるんだよな。
僕は、どんなしたら美人な三線が生まれるかいつも考えているけれど、とんでもないヤナカーギー(=不美人)の三線もあるからね。そんなのは触りたくもないさ。
ほら、そこにあるのなんかひどいものだよ」

 

照屋勝武三線店

 

「音が鳴らないから直してほしいと内地から送られてきたんだ。
インターネットで13万で買ったと言っていたけど、うちでは4万でも売れないよ。

 

胴の部分を手にとって叩いてごらん。パーランクーみたいな音がするでしょ?
中をのぞいてごらん、接着剤がぼこぼこと外にはみでている。
こんな作り方で音が鳴るわけないよ」

 

照屋勝武三線店
照屋勝武三線店

 

「三線というのは人間と同じなんだよ。
これが顔だとすると、ここが顎。
修理依頼で送られてきた三線を見てごらん。この立ち上がり、肩のライン、真ん中に中心線を引いてみると対称じゃないでしょ?

 

厚みの出し方も全然僕のとは違うよ。すべて人の手でやすりを使って削りだすんだから、曲がり具合やため具合も徹底的に追求して、自然の水や風が流したようなカーブを作らないといけない。
大らかさ、優しさが感じられない三線は、雑な作り方をしている証拠だよ。
神経細かく心を整えて作ったかそうでないかは、その三線を見れば一目瞭然。
道歩いててもヤナカーギーはすぐわかるのと一緒さ(笑)」

 

照屋勝武三線店

 

勝武さんも三線を弾くんですよね? と尋ねると、「…ちょっとね」とあっさりした返事。
でも実は、三線と胡弓の師範免状を持つほどの腕前だ。

 

「車運転できない人が作った車が速く走れるわけないでしょう。
三線も弾けない、仕組みやノウハウもわからない人が作った三線が良い音鳴るわけないさ」
と勝武さん。

 

「ラジオから流れてくるのを聴いただけでも、どんな三線かわかりますよ」と奥さん。

 

「三線の世界って奥深いなぁ。
ファースト三線は必ずここで注文します!」
と志穂さんが意気込むと、

 

「あい、三線は弾けないほうがいいよ。弾ける人は大抵貧乏だからさ(笑)」

 

照屋勝武三線店
照屋勝武三線店
うるま市石川1-28-10
098-964-2439
http://www.sanshin-teruya.com

 

 

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Lafra

 

「自宅のすぐ近くにあるので、ふらっと寄っておやつをゲットするのがここ、『おやつの実 Lafra(ラフラ)』。
イチオシは種類豊富なスコーン!
おいも、黒ごま、カフェモカ、枝豆チーズとお気に入りは沢山あるんだけど、季節限定品も続々登場するので見逃せないの」

 

Lafra

 

「私ね、スコーンならなんでもいいわけじゃないんです。ぱさぱさし過ぎているのは苦手で…。
こちらのは、外はカリっとしていて中はしっとり。初めて食べたときに『これだよ、これ!』って興奮しちゃった。

 

自分で作ったこともあるけど、なかなかこんな風には焼けないんだよね〜。
誰にあげても喜ばれるので、家族に買って帰ったり手土産にしたり。
ほら、言ってるそばからどんどんお客さんが買いに…。夕方には売り切れていることもあるから、確実にゲットしたいときは予約しておくべし!です」

 

Lafra

 

「自家製赤じそジュースは、さっぱりしてるからスイーツとの相性もばっちり。
シークヮーサーの風味が効いてて、美味しい〜。

 

イートインスペースもあるから、焼きたてお菓子をすぐに味わえるのも嬉しいよね」

 

Lafra

 

「スコーン以外にも、サブレ、クッキー、マドレーヌ、ちんすこう…。
焼き菓子だけでもこんなにいっぱい!
お祝いやお中元・お歳暮など、ギフト注文も受け付けてくれるんだって。
アイシングのデコレーションもすごく可愛いの。もらった人は大人も子供もきっと笑顔になっちゃうよ」

 

Lafra
Lafra

 

Lafra

 

「3人の女性スタッフさんたち、いつもにこにこ楽しそうだなーって思っていたの。
焼き菓子にもケーキにも、そんなお店のムードが表れてるよね。
これからも、私の帰宅前のオアシスでいてください(笑)」

 

Lafra
Lafra(ラフラ)
うるま市宮里201-8
098-911-3590
open 10:30~18:00頃
close 日

 

 

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ヤドカリ工房
ヤドカリ工房

 

「とんぼ玉との出会いは、ミスうるまの公務で物産展にうかがった時。
『ヤドカリ工房』さんのブレスレットをつけさせていただいたんだけど、綺麗で一目惚れしちゃって。
それ以来、いつか自分だけのトンボ玉が欲しいな〜って思ってたんだ」

 

浜比嘉島の工房を訪れると、作家の當山みどりさんがお出迎え。

 

「今日はぜひ、トンボ玉づくりを体験して行ってくださいね」との言葉に、志穂さんも大喜び!

 

ヤドカリ工房

 

「初めて作るなら、花やハート、ウェーブ(波)などの模様がおすすめですね」
と、みどりさん。

 

「可愛いマルが3つ並んだ、お花模様に挑戦します!」

 

ヤドカリ工房

 

「描く柄を決めたら、好きな色のガラス棒を選んでね。
それをガスバーナーで溶かして作っていきます」

 

「みどりさんが作るトンボ玉はどれも涼しげだけど、作業している時はこんなに暑いんだ」
と、志穂さん。

 

「普段は3名並んで作業しているのでもっと暑いですよ、蒸し風呂状態!
丸く成形したら、模様を描いていきましょうね〜」

 

ヤドカリ工房
ヤドカリ工房

 

「わ〜、想像以上に細やかな作業!
描くだけでも難しいのに、常に高温をキープするよう気をつけないといけないし…。頭がパニックになりそう」

 

「志穂さんすごくお上手ですよ。初めてとは思えないくらい!
模様を描き、透明なガラスでコーティングしたら出来上がり。
しばらく冷やしたら完成です。
他のトンボ玉と組み合わせて、ネックレスやブレスレット、ストラップなどにしてお持ち帰り頂きます」

 

「まさに自分だけのトンボ玉ですねー。
観光客の方だけじゃなく、私たちウチナンチュも楽しめちゃう。
そういえば、トンボ玉って沖縄だけのものなんですか?」

 

「トンボ玉自体は世界各国にあるんですよ。
でも、沖縄で工芸品として認められるようになったのは10年ほど前からかな。
私は当時からトンボ玉を作っていたんだけど、思い立って沖展のガラス部門に応募してみたんです。
それまではステンドグラスや琉球ガラスなどが選ばれていましたが、初挑戦で入選することができました」

 

「ということは、みどりさんの入選がきっかけってことだ。すごい!」

 

ヤドカリ工房
「みどりさんがつけてるトンボ玉アクセサリー、大人っぽくて素敵。こんな大ぶりなトンボ玉もあるんですね」

 

ヤドカリ工房

 

「みどりさんが作るトンボ玉は、沖縄らしさを感じるので大好き!
ミンサー織りの模様も珍しいですよね」

 

「実は私、芸大時代は『織り』を専攻していたんです。
今後は、織りとトンボ玉を更にコラボレーションさせていけたらいいな〜と考えています」
と、みどりさん。

 

「沖縄ならではのトンボ玉、やっぱり好きだなぁ。
また体験しに来てもいいですか? 次は帯留めに挑戦したい!
あー、すっかりハマっちゃった(笑)」

 

ヤドカリ工房
ヤドカリ工房
うるま市勝連浜103-3
098-977-7202

 

 

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good company

 

「オーダーしてから焙煎してくれるから、ものすごく香りがいいの。
我が家のコーヒーは必ずここ『珈琲豆焙煎工房グッドカンパニー』で買ってます。
そうそう、cadecaru cafe さんのエスプレッソもこちらの豆を使ってるんだって。
それにしても、豆の種類めちゃくちゃ多いですねー」

 

「でも、これで全部じゃないんですよ」と、店主の仲本さん。

 

「あまりに多くて出しきれないので、奥の倉庫にも置いてるんです。
生豆は世界13カ国以上から約30種類を仕入れ、焙煎度は6種類に分かれているので、180通りの味をご提供できますよ」

 

good company

 

「雲南省? 中国の豆ですか? 」

 

「中国にコーヒー豆栽培のイメージってないでしょ?
でも、空気の澄んだ雲南省で有機栽培されている豆は、苦味・酸味・コクのバランスがとれていて飲みやすいんですよ」

 

good company

 

1998年にオープンしたグッドカンパニー。
志穂さんが訪れるようになったのは、無類のコーヒー好きである母親がきっかけだったとか。

 

「高校生のころだったかな。母に『入ってみようよ』と誘われて。
コーヒーの生豆を見たのも初めてだったので、『コーヒーって最初から茶色いわけじゃないんだ!』ってびっくりしました。
好みを聞いてから焙煎してくれるから、母も大満足。
その日以来、必ずここで豆を買うようになったんです」

 

good company

 

「沖縄の飲食店のオーナーさんたちも、豆を買いにいらっしゃるんだって。
仲本さんはオリジナルブレンドも作ってくれるし、県内全域宅配も受け付けてるの。
うるま市内にかぎらず、行きつけのカフェの豆が実はグッドカンパニーで焙煎したものってこともあるはずね」

 

good company
奥様手製のマフィンと共に。

 

good company

 

「焙煎が終わるのを待っている間、いつも美味しいコーヒーで一服させていただくんだけど、カップもいつも素敵なんだよね」
と、志穂さん。

 

「そちらは、うるま市に工房を構える山田義力さん(関連記事:「良いもの」であること、今の生活に入っていける器であること。)の作品。
良い器で飲むと、更においしく感じるんですよね〜。
個人的に山田さんの器のファンなので、ちょっとずつ集めてるんですよ」

 

good company

 

仲本さんのイチオシは、ハイマウンテンやガテマラをブレンドした「うるまうんてん」。

 

「わ! すごく良い香り。飲みやすそうだし、母も好きそう。
うるま市の名前がついてるブレンドコーヒーなんて、素敵だな〜。

 

それにしてもうるまって、地元愛あふれるお店が多いよね。
みんなで地域を元気にしよう! っていう心意気が伝わってくるもん。
美味しいものはいっぱいあるし、人は温かいし、海は綺麗で、道も混まない(笑)。
やっぱり、今沖縄で一番熱いのはうるま市だね!」

 

good company
珈琲豆焙煎工房グッドカンパニー
うるま市田場1943-1
098-974-2002
open 10:00〜19:00(土曜日のみ18:00時閉店)
close 日・祝

 

 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

岡本尚文

 

その写真からは人の気配を感じる。
しかし、いくら目を凝らしてみても、そこに人影はない。
あるのは鮮やかに写し出された「外人住宅」だけだ。

 

真っ青な空や深い緑の木々、あるいは燃えるような赤い花々の中に佇む、シンプルなかたちをした建築物のある風景写真だ。

 

作品はどれも美しく、そしてどことなく哀愁を帯びているように感じる。

 

岡本尚文

 

「沖縄は年中暑いし車社会なので、日中は外を歩いている人ってあまり見かけないんですよね。
周りには誰もいなくて、存在するのは自分ただ一人。そんな場所でシャッターを切っていると、なんだか異空間に迷い込んだような気分になるんです」

 

撮影時の気持ちを、フォトグラファー 岡本尚文(おかもとなおぶみ)さんはそう語る

 

岡本尚文

 

「外人住宅を撮っているとね、朽ちた部分や、逆にメンテナンスされて真新しくなっている箇所が目につくんです。
そこで昔生活していた人々や、今まさに住んでいる人の息遣いを感じるんですよね。

また、外人住宅ならではのメイドルームや広い庭を見ても感慨深いですね。
アメリカ統治時代、アメリカ人の家庭で働けるというメイドの仕事は、沖縄の女性にとってステイタスだったそうです。また、庭の手入れは沖縄の男性が請け負っていました。アメリカ人の生活を間近に見たり体験したりすることで、アメリカの料理や風習などの文化を吸収し、家族にも伝えたりしていたんじゃないでしょうか。

 

住宅一つ一つをファインダー越しに見つめていると、そういう沢山の物語がふと頭をよぎるんですよ。

 

良い事も悪い事も全部ひっくるめて、そこで起きたであろう様々な物語に思いを馳せながら、シャッターを切っています。

 

写真に限らず、どんなものでも光があれば必ず影も付いてくる。
どちらか一方しか存在しない物事って、ないと思うんです。
外人住宅を撮る事で、そんな光と影を行き来するような感覚を表現できるのではと思っています。

 

また、建築物にも寿命がありますから、建物とそこに含まれる物語の両方をしっかり記録しておきたいという気持ちもありますね」

 

東京と沖縄を行き来しながら外人住宅を撮り続けている岡本さんが初めて沖縄を訪れたのは1978年、高校生の頃だった。
アメリカ統治時代の雰囲気がまだ色濃く残っていた時代だ。

 

岡本尚文

 

「夏休みに、友人と旅行で来たんです。当時は沖縄のことを何も知らなくて。戦争や日米問題のことなど、難しいことは一切考えていませんでした。
海に囲まれた綺麗な島、というイメージだけを抱いてやってきたんです。

 

実際に沖縄を観光してみて初めて、アメリカが与えた影響の強さを感じましたね。
特にコザ(沖縄市の中心地周辺の名称)辺りはディープでね。左ハンドルの車がそこら中を走っているし、米軍払い下げの家具屋なんかも、今よりずっと多かった。
そんなコザの町に、夜になるとエイサーの音が響き渡るんですよ。それも今のエイサーとはだいぶ趣きが違っていて、明るくて楽しいお祭的なものではなく、じっとりとして、少し暗い感じだった。

 

そうやって、アメリカと沖縄の文化が入り交じった雰囲気は、本当に独特で刺激的でしたね」

 

初めて沖縄を訪れたその年を境に、岡本さんは毎年沖縄へ足を運ぶようになった。
そして、大学のゼミがきっかけとなって本格的に写真を学び始めたと言う。

 

「高校生の頃から趣味でカメラを触ってはいたんです。
ちょうど、『写真時代』や『写真装置』といった写真雑誌も多数出版され、アート界において写真が注目され始めたころでした。

 

大学4年の時にデザイン関係のゼミに入ったのですが、写真にも精通していた教授にお願いし、カメラ好きの学生を集めて写真のゼミにしちゃったんです(笑)。そこで写真論などの講義もしてもらったんですよ。
そのゼミが楽しかったこともあり、大学卒業後、写真の専門学校に通いました」

 

専門学校卒業後、岡本さんはアシスタント時代を経て独立した。

 

岡本尚文

 

カメラマンとして働き始めてからも、岡本さんは毎年沖縄を訪れていたが、あるとき心境に変化が訪れたと言う。

 

「沖縄の風景を撮り続けているうちに、その背景に戦争が見えるようになって…。
それまで光の部分しか見えていなかったのが、影にも気づき始めたんですね。
そこで撮り方を模索し、モノクロで撮ってみたりもしました。
でも、どこか人まねのようにしか見えなくて…。それからしばらく撮るのをやめてたんです」

 

しかし岡本さんは、2000年のある日を境に再び外人住宅を撮り始める事となる。

 

「仕事で沖縄に来たときに、ロケバスの中からたまたま外人住宅が見えたんですよ。
それまでは自分の足で沖縄を歩いて撮影していたわけですが、仕事の最中にロケバスから見てみると、単純に『かっこいいな~』と感じたんです。
どうしてだろう? …主観を離れて客観視できたことで、建物の造形美に気づいたのかもしれませんね。

 

コンクリート造の外人住宅は沖縄ならではのもので、県外の外人住宅のほとんどが木造なんです。
また、沖縄の場合は台風対策に備えてフラットな形のものが多く、見た目も独特ですよね。
白を基調としたシンプルな箱型の平屋に、屋根だけ鮮やかな色が塗られていたりするのも面白い。

 

それで、もっと他の外人住宅も見てみたいと思い、地図を頼りに探し回るようになったんです。
外人住宅を多く取り扱う不動産屋も、しらみつぶしに当たりましたよ」

 

岡本尚文

 

東京では、岡本さんはファッション誌などの華々しい世界でも活躍している。

 

「いわゆる商業写真を主に撮影しているのですが、みんなで作り上げるという感覚が大きいんです。
コンセプトがしっかりとあり、目的に向かって全員で協力して進んでいくのでやり甲斐もあります。

 

一方、僕にとって外人住宅の撮影は、自分自身との闘いなんです。
表現するという点では商業写真を撮ることと変わらないけれど、やはり個人的な想いが反映されるという意味ではまったく違いますね。
また、最終地点はなく、そこからさらに広がっていくものだと思っています」

 

岡本尚文

 

岡本尚文

 

作品は、発表することに大きな意味があると岡本さんは考えている。

 

「見てもらうことで、僕だけの写真ではなくなるでしょう?
人それぞれ見方が違うのは当たり前。僕の考えや感じたことを押し付けるのではなく、皆さんに自由に感じてほしい。
すると、見た人の中で新たな何かが生まれたり、広がって行ったりすると思うんです。

 

作品がどんどん自分の手元を離れて行く感じがいいんですよね。
そしてまた、別のかたちとなって僕に返ってくることも沢山あるんです。

 

アートってそうあるべきだと思うし、そこが面白いところじゃないかな」

 

岡本尚文

 

岡本さんの写真を見に、会場には老若男女、様々な人が足を運んでいる。

 

「ある若い女性が話しかけてくれたのですが、彼女は沖縄出身なんだけれど外人住宅の歴史について全く知らなかったんですね。
それでも僕の写真を見て興味を持ち、色々と質問してきてくれて。
『これまで沖縄に住んできたのに、ほとんど目にとめたこともなかった』と言っていたのが印象的でした」

 

また、1枚の写真を指さしながら「ここ、うちのお向かいなのよー」と、嬉しそうに話しかけてきた女性もいたと言う。

 

「彼女の場合は、沖縄とアメリカの問題云々なんて全然関係ないんですよね(笑)。ただ自宅の近所が写っていたから単純に嬉しかった。でもね、それで良いんですよ。

 

様々な問題について考えたり憤りを感じたり、反対に人と人との温かな繋がりを感じたり…何でもいいんです。

 

プラスのこともあれば、マイナスのこともある。
僕だって、光と影の間を行ったり来たりしていますから。
そこから何かが始まるのではないかな、と思うんです」

 

岡本さんは外人住宅に続いて、「アメリカの夜」というテーマの撮影も始めている。

 

「これからも沖縄で写真を撮り続けていきたいと思っています。
大好きなこの土地で感じた、僕の中の光と影を純粋に写真で表現し続けたいですね」

 

岡本尚文

 

岡本尚文

 

数十年前に沖縄で数年間を過ごしたことのある元米兵が、退役後に再び沖縄を訪れる事は珍しくないと言う。

 

「自分がもっとも輝いていた時期に過ごした場所だからというだけでなく、沖縄の人々がみなとても親切に接してくれたというのも大きな理由であるようです。
彼らにとって沖縄は、美しい思い出ばかりが詰まった場所なんですね。
自分が住んでいた住宅がどうなっているか見たいから探してほしいと、不動産屋を訪ねてくる人も多いようです」

 

沖縄戦終結直後を知らない私は、写真を前にいくつもの物語を想像する。
今よりも人と人との繋がりが濃かった時代へとタイムスリップしているような、不思議な感覚に陥るのだ。

 

写真の中に人の姿は見えないが、耳を澄ますと声が聞こえるような気さえしてくる。
それは喜びの声であったり、哀しみの声であったりする。

 

沖縄の抱える様々な問題に、目をつぶることはできない。
しかし、しっかりと目を開けて別の方向からみると、これまでとは違うかたちが見えてくるかもしれない。

 

「大事なのは、想像力なんです」
岡本さんの言葉が頭をかすめた。

 

人物のいない美しい外人住宅の風景写真がある。
そこにあなたは何を見て、何を感じるだろうか。

 

写真・文 中井 雅代

 

岡本尚文
「外人住宅 岡本尚文の写真」展
2013年8月29日(木)〜9月24日(火) 
11:30 – 19:30 ※水曜日定休
場所 D&DEPARTMENT OKINAWA by OKINAWA STANDARD
参加費 無料 

 

岡本 尚文(おかもと なおぶみ)
HP http://www.okamotonaobumi.com

 

D&DEPARTMENT OKINAWA by OKINAWA STANDARD
宜野湾市新城2-39-8 2F
TEL/FAX 098-894-2112
OPEN 11:30 ~ 19:30
CLOSE 水
HP http://www.d-department.com/jp