NAKAI

沖縄料理教室 カラシナ

 

「からし菜はいりちゃー(炒めもの)の主役になることが多いけど、脇役としても活躍しますよ〜。
チャーハンの具にもぴったり。栄養面でもバランスがとれるし、卵の黄色ともよく合います。

 

今日のレシピはぱぱっと作れるのに食べごたえがあるので、育ちざかりのお子さんがいる方には特にお勧め。
『おなか空いた〜!』の声に、すぐ応えられますよ」

 

沖縄料理教室 カラシナ
沖縄料理教室 カラシナ

 

「からし菜を細かく刻みます。
前の日に塩揉みして、冷蔵庫に入れておくといいですよ。
塩揉みするだけで汁が出て、くたっとなるんです。
水気を絞ってから刻んでくださいね」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「卵を割り、溶きほぐします。
ちょっぴり辛いからし菜に、まろやかな卵が良く合うんですよ〜」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「チャーハンにはベーコンやソーセージを入れることもあるけど、最近はじゃこにハマってます。
カルシウムも摂れるし、冷凍保存もできるから便利なんですよね。
うちは、肉も魚も買ったらすぐ冷凍。
使うときに使う分だけ解凍、もしくは半解凍して調理します」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「まずは卵をフライパンに流し入れます。
ここで、卵だけで炒めないのがポイント。すぐにご飯を投入〜」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「こうすると、卵がご飯をコーティングして、ぱらぱらに仕上げてくれるんですよ」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「卵に火が通ったら…」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「からし菜とじゃこを入れます」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「ご飯を切るように、しっかり混ぜながら炒めてください」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「塩・こしょうで味付けします」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「私はこしょうたっぷり目が好きです。
味をみて、物足りないようだったらだしの素を入れてもいいと思います」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「最後に香りづけ程度にごま油をたらーり。
全体を軽く混ぜあわせたらできあがりです。

 

チャーハンはお弁当に入れることもありますね。
ごはんが余ったとき、オムライスよりはチャーハンかなって。
洋食も好きだけど、基本的に和食や中華っぽい料理が好きなんですよね」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「どのお皿に盛り付けようかな?

 

器は好きで、集めてます。でも、地味な雰囲気のものが多いですね(笑)。
12月に読谷でやちむん市あるじゃないですか?
見習いさんとかが作ったのもあって、すごく可愛い器が安く手に入るんです。
姉も器好きなので、だいたい一緒に行きますね。
今年もそろそろだなー、楽しみ!」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「チャーハン、エンサイとひき肉のいりちゃー『じゅーっ』の味噌汁で、簡単うちなー定食の完成〜。
どれもお手軽レシピなので、あっという間にできちゃいますよ」

 

沖縄料理教室 カラシナ

 

「お野菜たっぷりの料理を作るようになってから、体質も改善しました。
やっぱり地元で摂れる元気な野菜のパワーはすごいです。
オーソドックスな沖縄料理にとらわれず、沖縄やさいをぜひ普段使いしてみてください。
意外とどんな料理にでも合うものですよ〜」

 

写真 中井 雅代

 

NAKAI

オールドキリム展 Lamp

 

「織られている柄を指さして、『この柄は何を意味するんですか?』 と訊かれることがよくあります。
でも、私はあえてお教えしないようにしてるんです」

 

キリムの修復師であり、トルコでキリム専門店「SUFi(スーフィ)」を営むオスマン・ダールさんは、いたずらっぽく微笑みながら言う。

 

キリムとは、トルコ語で「平織物」を指す。トルコを中心に、東西アジア・中央アジア・中東・北アフリカ一帯の遊牧民によって作られている敷物で、織りによって浮かびあがる様々な幾何学模様の美しさが大きな魅力だ。
キリムの柄は地域や民族によって異なり、それぞれに特徴があると言う。
そう聞いてしまうとやはり、「じゃあこの柄ってどんな意味があるんだろ?! 鳥のようにも見えるし…。こちらはもしかして蜘蛛? 縁起が良いとか、幸運を呼ぶとか、何か意味があるのかしら…」と、ついつい考えを巡らせてしまう。

 

「模様をひと目見れば、どの地域のどの民族が織ったものか、そして柄の起源は何か、私はすぐに分かります。でも、それらは全て過去のことでしょう?
キリムの織り方というのは代々家庭の中で受け継がれてきたもの。長い歴史を経る間に、柄も意味合いも少しずつ変化していってるんです。
だから、過去にとらわれる必要はありません。今のあなたがどのキリムに惹かれるか、それだけを基準にして選んでいいんですよ」

 

オールドキリム展 Lamp

 

世界的にも有名な民芸品と聞いて少し構えていたのだが、なーんだ。「これ、好き!」っていう気持ちだけで選んで良いのだ。
しかしオスマンさんが言っているのは、「細かいことは気にするな」という意味ではない。

 

「キリムはもともと、嫁入り道具として母と娘がともに織り上げるものだったんです。つまり、名を持たない作家たちの作品なんですね。
遊牧民が感じた自然の美しさや日々感じる喜びや希望、そして娘を災いから護るという魔除けのような意味を込めた柄がほとんどです。
彼らがどんな時に、どんな気持ちで織っていたかまではわからない。
だけど、素敵でしょう?
それは、親の愛情という純粋で強い思いが込められているからだと思うんです。
一つ一つの柄の意味は、そんな思いの前では取るに足らないことですし、歴史を経て変化してきたものを『この柄はこういう意味だ』と言い切れば嘘になってしまう。
それに、キリムは生活の中に入っていくものです。柄の意味は、毎日そのキリムと過ごす持ち主が決めればいいのです」

 

世界中で多くの人々を惹きつけているキリム。その魅力は、親の愛情という身近で偉大な想いが生み出したものなのだ。

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp
オールドキリムをパッチワーク風に繋げた作品。オスマンさんは柄を一つ一つ指さし、どの地方で織られたのかを即座に教えてくれる。

 

オスマンさんが取り扱うのは主に、オールドキリムと呼ばれるものだ。

 

「キリムの織り手は年々減少しています。
今では、キリムを織る一般家庭もほとんど見られなくなってしまいました。
新品だと、あまりに高額すぎてキリムの魅力を広く伝えることが難しくなりますし、オールドキリムには新品に無い良さがあります。
繊維に含まれる油分が、年を経ると少しずつ乾いていき、味わいが生まれるんですね。

 

私は14歳のときからキリムの修復師として働いていますが、長い年月を経たキリムを直し、また次の世代へと受け継ぐこの仕事に誇りを持っています。それは、想いを受け継いでいくことでもあるからです」

 

オールドキリム展 Lamp
男性が持っても違和感のないバッグも。

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

クッションカバーやかばんのように小ぶりな物から、広々としたリビングにゆったりと敷いて楽しむような大きな物まで、様々なキリムが並んで目移りしてしまう。

 

しかし、特に我が家は民族風のインテリアを置いているわけでもないし、普通の日本の住宅にも馴染むのかしら? と、少し心配になってしまう。
そう言うと、オスマンさんは待ってましたとばかりに話し始めた。

 

「キリムは置く場所を選ばない織物なんです。
日本だと、畳の上に敷いてもしっくりくる。お仏壇の前に敷いている方もすごく多いですね。もちろんフローリングの床にも馴染むし、階段の踊り場に敷いている方も。

 

キリムにかぎらず民芸品ならなんでも同じだと思いますよ。
沢山作ろう、そして沢山売って儲けようというようなカチカチの考えじゃなく、柔らかい気持ちで作られたものだから、どの国のどんな場所にも馴染むんですよ。
日本の民芸品もそうでしょう? むしろ、日本よりも海外の住宅に置いたほうが輝きが増すこともある。
キリムを織る人たちはビジネス的なことは何も考えず、ただただ思いを込めて織っています。子供を産むのと同じ、ごく自然な行為なんです。格好つけてないから、いいんでしょうね」

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

絨毯というと、湿度も温度も高い沖縄には不向きでは? と思いがちだが、キリムは沖縄の気候にもぴったりだと言う。

 

「夏は涼しくて、冬は暖かいんですよ。
天然素材を使っているし、染色方法も茜や藍、クルミの皮などを用いた草木染めです。肌触りがいいからこそ、昔は赤ちゃん用のベッドなども織られていたほど。沖縄でも通年使えますよ。
まずは触ってもらうのが一番ですね。そうすれば、ただの絨毯ではないとすぐに分かっていただけるはずです」

 

オスマンさんは、人懐っこい笑顔を見せながら何度も「遊びに来てほしい。喜んでもらえるのが一番嬉しいから。キリムは世界一の織物、目の保養に来て」と繰り返していた。
その様子を見て、「オスマンさんはキリムを愛しすぎてるから」と、展示会場である「Lamp(ランプ)」 のオーナー・綾子さんが笑った。

 

「オスマンさんが当店でキリム展を開催するのは今年で3回目なんですけど、毎年その熱意に驚かされます。
沖縄でこれだけ沢山のキリムを見られる展示会はないんじゃないかな。
どの柄にするか迷っちゃう! という方も多いのですが、候補のキリムをオスマンさんが両肩に担いで、ご自宅まで伺うこともあるんですよ。
『実際に合わせてみないと、しっくりくるかどうかわからないでしょ?』って。
普通そこまでするかなー? と思いますけどね。
温かい人だから年々ファンも増えて、『オスマンさんに会いに来たよー』と顔を見せてくれる方も増えました」

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp
「あー、これ良いな」 綾子さんの「好き!」を発動させたのは、手頃なサイズのバッグ。

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

オールドキリム展 Lamp

 

 

キリムへの想いが強いからこそ、手放すときにはしんみりしてしまうのだとオスマンさんは言う。

 

「私はトルコに一人娘がいます。でも、お子さんは何人ですかと訊かれたら『沢山います!』と答えるんです。
私が取り扱っているキリムは全て、一枚一枚自分でセレクトしたもの。売れるかどうかではなく、自分が好きかどうかだけで選んでいます。もし引き取り手がつかなかったら、自分が幸せな気持ちで使えるかどうかを考えて選ぶんです。だから、いざお嫁に出すときには心が『ドキッ!』としますね。悲しいわけじゃない。でも、寂しくはなります。

 

キリムは使ってなんぼ。大事にしまいこむのではなく、ぜひ使ってほしい。その上で食事を楽しんだり、子供と遊んだり、赤ちゃんを寝かせたりしてほしい。

 

だけど、1つだけお願いがあるんです。どのキリムも私の大事な娘だから、意地悪はしないで…。私の思いだけじゃなく、織ってくれた人の想いもちゃんと入ってるから、大事にいっぱい使ってください」

 

意地悪しちゃったら、オスマン父さんが「こらー! うちの娘に何してるんだー」って出てくるんですね? と訊くと、そうですよ、娘を守りに行きますと笑った。
でも、その目には光るものが見えた気がして、オスマンさんのキリム愛の深さを感じたのでした。

 

オールドキリム展 Lamp

 

そうそう、ちなみにオスマンさん、日本語ペラペラです。
オスマン父さんの娘たちへの想いを聞きに、そしてキリムの繊細さと肌触りをその手で確かめに、今週はぜひ Lamp へ。

 

写真・文 中井 雅代

 


オールドキリム展
11/ 2〜10
@Lamp
那覇市松尾2-3-25アーバンヒルズ松尾1階
tel 098-863-2491
open 12:00-19:00
close 月・最終火曜

 

Lamp www.lamp-cafezakka.com

 

SUFi http://www.sufirugs.com

 

NAKAI

Day1
沖縄スナップ
シャツ GAIJIN MADE
インナー 不明
パンツ HiHiHi(FABRIC
サンダル BIRKENSTOCK
帽子 bur na boinne (E-SHOP

 

沖縄スナップ

 

 

Day2
沖縄スナップ
ベスト POST O’ALLS(E-SHOP
パンツ FRAPBOIS(LEGRARE+
インナー HOLLYWOOD RANCH MARKET(HONOR’S STORE

 

沖縄スナップ
帽子 Bohemians(E-SHOP

 

沖縄スナップ
カメラストラップの加工 FABRIC

 

沖縄スナップ
スニーカー NIKE

 

 

Day3
沖縄スナップ
シャツ orSlow(E-SHOP
デニム Hurley
バッグ SUNNY SPORTS(姉のものを拝借) 
帽子 グローバルワーク
サンダル BIRKENSTOCK

 

 

Day4
沖縄スナップ
パンツ rico(Lounge
ジャケット HOLLYWOOD RANCH MARKET(HONOR’S STORE
インナー SANFRANCISCO(HONOR’S STORE
帽子 Bohemians(E-SHOP
靴 BIRKENSTOCK

 

沖縄スナップ

 

 

Day5
沖縄スナップ
シャツ blurhms(HONOR’S STORE
デニム HiHiHi(FABRIC
サンダル BIRKENSTOCK

 

沖縄スナップ

 

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「いつも帽子をかぶってることと、青い服を着てること。
これが、周りの人が僕に抱いているイメージだと思います」

 

彼の帽子好きには歴史があり、ブルー好きには理由がある。

 

「小学生の頃からずっとかぶってますね。
当時はキャップばかり。授業中もかぶってて、先生に『はずせ』って言われたくらい(笑)。
その時はおしゃれ目的じゃなく、恥ずかしがり屋だったからかぶってたんですよ。だから、つばのあるキャップや野球帽が好きだった。顔が隠れるくらい深くかぶってましたね。

 

今は恥ずかしがり屋を卒業して、ただの帽子好きに。つばがなくても大丈夫ですよ。
ただ、昔からいつも何かしらかぶっているので、帽子をかぶらないで外にでるのにはかなり抵抗あります。女子で言うとすっぴんで出かけるくらいの意気込みが必要ですね(笑)。
実際、帽子をかぶってないと『今日はいつもとイメージが違うね』って言われちゃうんです」

 

ブルー系のコーデが増えたのは、20代半ばになってからとのこと。

 

「それまではピンクとか着てたんですけどね。青いアイテムの合わせやすさに気づいてからは、そればかり。
全体的には青系でまとめて、帽子やカバンを派手にしたりとポイントで別の色を入れることが多いかな。

 

青系アイテムが合わせやすい理由はたぶん、反対色がはっきりしてるから。青だと赤っぽい色、茶色とかを差し色に使うとメリハリがつくんですよ。
例えば紫色って赤と青を混ぜた色だから、反対色がはっきりしない。コーデ全体のバランスをとるのが難しい気がして。
だから、紫色の洋服には手が伸びないですね」

 

服選びのとき、色使い以外にも気をつけていることがあると言う。

 

「首元の開き具合ですね。セクシー系が似合う人っているじゃないですか? でも、僕がつけるとただのだらしない人に見える(笑)。DAY4のインナーでもちょっと開きすぎかな?って思うくらい…。だから、自然とシャツスタイルが多くなりますね。

 

今まではゆったりラインで丈短めのシャツが好みだったけど、最近は丈が長めのシャツが気になるんですよ。品が出るような気がしません? やっぱり、男子は品が大事ですからね!(笑)」

 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

沖縄料理教室

 

「エンサイって、どんなして使えばいいのー? って言う人、結構多いんですよね。
私はしょっちゅう買ってます。沖縄の葉野菜の中でも、一番好きなのがエンサイかも。
『緑の味』って言うんですかね。野菜らしいしっかりした風味が好みなんですよ。

 

今日は、ご飯が進むいりちゃー(=炒めもの)を作ります。
エンサイは炒めるとちょっとぬめりが出るんですが、そこがまた良いんです」

 

沖縄料理教室
沖縄料理教室

 

「葉を茎から取り外します。
茎もね、根元の硬い部分以外は使えますよ。
しゃきしゃきした歯ごたえがあっておいしい。捨てるのはもったいないですよー」

 

沖縄料理教室

 

「今日はひき肉と一緒に炒めます。
うちは息子が食べ盛りなので、いりちゃーにはだいたいお肉を入れますね。
ひき肉は冷凍庫に常備。
本当は自然解凍したほうがいいのかもしれないけど、帰宅してぱぱっと作らなきゃいけないときは、凍ったまま炒めちゃいます。
使う分だけ包丁で切って、フライパンへ」

 

沖縄料理教室

 

「こうしてほぐしながら炒めれば問題なし」

 

沖縄料理教室

 

「全体的に色が変わったら、エンサイを入れます」

 

沖縄料理教室

 

「茎部分の火の通りが気になる人は、茎から先に炒めてあとから葉を入れたほうがいいかもしれません。
私はちょっと歯ごたえが残ったほうが好きなので、一緒に入れちゃいます」

 

沖縄料理教室

 

「いりちゃーってつい混ぜたくなっちゃうけど、そこをぐっと我慢。
『いりちゃーは触らないよー』と、母が言ってました。
このまま、エンサイがしんなりするまで置いときます」

 

沖縄料理教室

 

「うちは、家族みんな食べるのが大好き。
特に姉とは食の趣味が合うので、評判のカフェに食べに行ったり、ファーマーズ・マーケットまで野菜を買いに出かけたりしますね。

 

でも、特に料理上手な母に育てられた、というわけでもないんです。
うちの母は、ソーキを煮るとか、ある程度の作り方やレシピが決まっているメニューだと良いんだけど、ありあわせのもので作ると『ちょっと…何これ?』なんてことになるんですよ(笑)。 

 

うちはね、昔からおじいが料理上手なんです。
やがて90歳なりますけど、今も料理作ってますね。
そばとかも自分で作りよったんですよ。

 

おじいは軍の中で働いてたことがあったらしく、昔はアメリカ料理を見よう見まねで作っていましたね。
私が小さい時の記憶ですけど、プレートにハンバーグと焼いたポテト・人参を並べて食べさせてくれました。ハイカラですよね(笑)。ビーフストロガノフとかも作ってましたよ。

 

食への思いがいまも強くて、ときどき『ししかみぶささー(肉が食べたいなー)』って。
そういう時はみんなでレストランに出かけて、ステーキやハンバーグをがっつり食べます」

 

沖縄料理教室

 

「エンサイがしんなりしたら、ざっと混ぜ合わせます」

 

沖縄料理教室

 

「塩コショウをお好みで。
私はコショウたっぷり派です」

 

沖縄料理教室

 

「さらに、オイスターソースとごま油をたらり。
中華風味に仕上げます。
よく混ぜあわせたら出来上がり!」

 

沖縄料理教室

 

「ひき肉がないときは、ツナでもおいしくできますよー。
お弁当のおかずにもぴったりなので、いっぱい作りおきしとくのがお勧めです。

 

次は、沖縄野菜を使ったチャーハンをご紹介しましょうね」

 

写真 中井 雅代

 

NAKAI

 

「あれ? インドカレーなのに辛すぎない。食べやすい!」

 

「バターチキンカレー」を一口食べた瞬間に口に広がるのは、素材の甘みとまろやかなバターの風味だ。
大きくカットされた食べ応えのある鶏肉の旨味を味わっていると、スパイスの香りが少しずつ押し寄せてくる。気づけばじんわりと体が汗ばんできた。

 

でも何故だろう、辛みはあまりない。

 

インドカレーにはずっと、「刺激的で辛い」というイメージを持っていた。しかしゴカルナのカレーは、スパイシーでありながら野菜や鶏肉の優しい味わいも感じられる。
辛さにヒーヒー言いながら、水と共に流しこむ…というカレーではない。食べやすくて美味しいので、どんどん口に運んでいってしまうのだ。
隣りに添えられた玉ねぎの漬け物「アチャール」も、ほどよい酸味で更に食欲をかき立ててくれる。

 

「インド人が作るカレーは基本的に出汁を取らないです。水・油・具材・スパイスで作るんですけど、僕は野菜のスープで出汁を取っています。それに、飴色になるまで炒めた玉ねぎとスパイスを加えているので、王道のインドカレーではなく、日本人が作るインドカレーって感じですね」と、店主・日山昌義さんは語る

 

ゴカルナ
ゴカルナ

 

確かに、インド料理店でよく見るサラサラとしたカレーと比べると、ゴカルナのカレーに入っている野菜はごろごろとして大きく、ルーの食感もドロッとしている。いわゆる日本の「おうちのカレー」にもどこか似ているのだ。

 

しかしその味わいはと言うと、家庭のそれとは全く別物だ。
クセになる風味の秘密は、日山さんが厳選したスパイスに隠されている。

 

「色んな種類のスパイスを使っているんでしょう、とよく言われるのですが、種類を増やしても味の変化はわかりづらいんですよ。それより、種類を厳選して量を多くした方が変化が大きい。
と言っても、ベースとなるスパイスは17種類くらい入ってます。
さらに、仕上げの直前に風味の強いクミンやコリアンダーなどを入れるんです。1人前大さじ1くらい。多めに入れるように意識してますね」

 

ゴカルナ

 

カレーの深みを出すもう一つのポイントは、玉ねぎを始めとしてふんだんに入れられた野菜だ。

 

「カレーのベースにいれる玉ねぎは、飴色になるまでじっくり炒めます。3時間以上はかかりますね。
1回の作業で75人前ほどを作るのですが、約9キロ・30個の玉ねぎが必要です。
それを焦がさないよう、僕とスタッフで交代しながら炒めるんです。

 

カットするサイズにもこだわっていますね。
ペーストにする野菜は、ミキサーにかけず粗みじんにしてるんです。その方が食感が残るので、食べ応えが出るんですよ。

 

店の周りはオフィス街だし、目の前には高校があるので、お昼休みの会社員や学生さんもよく来てくれるんです。ですから、食べ応えがあって満腹感を感じやすいカレーの方が良いと思ったんです。
サラサラのカレーだと、男子は瞬殺でしょ(笑)。女子と一緒に来たら、ペース合わせてゆっくり食べてるけど…。でも、それってなんだか寂しいよなぁーと思って」

 

ゴカルナのカレーを食べて、物足りなさを感じる人はまずいないだろう。それくらい食べごたえがあるのだ。
素材の風味も、1つ1つしっかり味わえる。
「あ、これは玉ねぎかな? …にんじんの味もするぞ〜」なんて感じられて、口に運ぶのが楽しい。

 

ゴカルナ
「豆と野菜のトマトカレー 」を作る。まずは、野菜とともにスパイスを炒める。

 

ゴカルナ
ベースとなるトマトカレーのルーを入れる。

 

ゴカルナ
カレーの種類によって、投入するスパイスの種類と量を変えていると言う。

 

ゴカルナ
「ナンはインドでは高級品なんです。家庭では、小麦粉から作るチャパティを食べるのが一般的。釜いらずで、フライパンで焼けるんですよ」

 

ゴカルナ

 

素材の魅力をしっかり味わえるカレーは、カレーパンの形をとっても人気だ。 

 

ゴカルナ

 

ゴカルナ
カットすると大きな肉のかたまりがはっきりと見え、一口食べるとスパイスの風味もしっかり感じられる。

 

「東京では、カレーパンも作っているカレー屋って珍しくないんですよ。でも、沖縄ではあまり見かけない気がして。パン屋には当たり前のようにカレーパンがあるんですけどね、その逆は珍しい。
元々僕はカレーパンも大好きなので、挑戦してみたかったんです。

 

だけど、パン作るのってかなり難しいじゃないですか。そこで、近所のパン屋さんに協力をお願いしてみたら快諾してくれて。

 

このカレーパン、カレー作るよりも手間がかかってますよ(笑)。
コクを出すためにカラメルを入れたり、肉をあまり細かくせずに食べごたえを出したり。
また、油で揚げるとスパイスが飛ぶので、パンの味に負けないようにカレーの味はかなり濃い目にしています。
カレーはたっぷり入れて、パンの生地は極力薄くしてもらって、『破裂上等でいきましょう!』と(笑)。
カレーとパン生地の割合は6:4くらい。ですから実際、やぶけちゃうこともありますよ。
でもその分、味は濃厚です」

 

ゴカルナ
辛さは控えめで、子どもでも食べられる。

 

ゴカルナ
テイクアウトも可能。「鍋持参も歓迎。ルーのみの持ち帰りも承っています」

 

ゴカルナ

 

ゴカルナのカレーはいずれも、日山さんがゼロから作りあげたオリジナルレシピだ。

 

「沖縄に移住してきたのが2005年ぐらい。最初は、ウェブサイト制作の仕事を5~6年やってました。その傍ら、遊びでカレーを作ってたんです。
最初はあまりに無知で、水にターメリック入れて煮たりとか(笑)。そういうレベルから始めました。
料理本なんかを見ながら作るようになると、『玉ねぎを入れたら甘くなるんだ〜』とか『そのまま入れるんじゃなくて、飴色になるまで炒めないとだめなんだ〜』という風に、徐々に学んでいった感じです。

 

2年くらい試行錯誤しながら最初に完成させたのが、今では看板メニューとなっているバターチキンカレー。
完成してすぐ、カフェ『プラヌラ』を営む友人(関連記事:)に味見してもらったら、すごく褒めてくれたんですよ。『おいしいからうちで出そう!』と提案してくれて、しばらくはプラヌラに持って行っていました。
そのうち、他の知り合いもイベント出店に誘ってくれたりするようになって」

 

ゴカルナ
約3年に渡って試行錯誤してきた歴史が記されているレシピノート。

 

ゴカルナ
試作のたびに、材料や原価などを毎回書き留め、改良を重ねてきたと言う。

 

やがて日山さんはそれまでの仕事を辞め、カレー作りを本職にしようと決意する。

 

「手に職をつけたかったんですよ。それに、好きなことで仕事になることって考ると、カレーしか思い浮かばなかった。
また、東京には気軽に入ってぱっと食べられる『カレースタンド』と呼ばれる専門店が沢山あるんですが、沖縄には少ないんですよね。
ああいうノリの店があればいいな〜とずっと思っていたので…。じゃあ、俺がやってみるか!と(笑)」

 

忙しく働いているうちに、あっという間に時間が経ったと日山さんは笑う。
パソコンとだけ向かい合っていた毎日からは、得られなかった面白みややりがいを今は感じていると言う。

 

「カレーを通してお客さんとやり取りしてるっていう感じが面白いな〜と思いますね。
カレー屋はカフェとかバーみたいにはお客様と喋らないので、完食してくださったお皿を見るだけですごく嬉しいんです。
男性のお客様だけじゃなく、おばあちゃんが全部食べたてくれたり、若い女の子が大盛り頼んでくれたり。
まあ何気ないことかもしれませんが、カレーと食後のお皿を通じてお客さんと繋がってる感じが良いんですよね」

 

ゴカルナ
食後にオーダーする人が多いチャイティー。店内でも茶葉を取り扱っている。

 

ゴカルナ
カルダモン、クローブ、シナモンなどを入れて火にかける。

 

ゴカルナ
沸騰したら牛乳と砂糖を入れ。再度沸騰したら一度火を止め、また中火で温める。これを3回繰り返したら完成。

 

ゴカルナ
スパイシーなカレーの後にぴったりの、甘くまったりとしたチャイ。

 

ゴカルナでは、ヴィーガンやベジタリアン向けのカレーも提供している。

 

「メニューには載せていないんですが、ご注文頂いたら対応しています。
カレールーのベースは使わずに、油・スパイス・具材を炒め、ショウガやニンニクでアクセントをつけて…という風にアレンジするんです。
近くに老舗のホテルがあるので外国人観光客の方もよくみえるし、店の前にある高校のネイティブ講師の方など、結構注文いただくんですよ」

 

ここまでがむしゃらにやってきて、今やっと、新たなことに着手する余裕が出てきたと日山さんは言う。

 

「県産の素材を使ったカレーを作りたいですね。オーガニック食材や、朝摘み野菜なんかを使ったカレーを作りたいなーと考えているところです。
そうすれば、季節によって使う食材も変わりますしね。
あとは、しばらくご無沙汰だったイベント出店もやっていきたいし、夜のお客様用にアルコールメニューも作りたい。
…まだまだ一息つくのは先みたいです(笑)」

 

ゴカルナ

 

カレー完成までの試行錯誤が綴られたレシピノートには、日山さんの努力家な一面がよく表れている。
そのことを伝えると、照れくさそうにうつむいた。

 

「作ってる側からすると、美味しさをアピールするのって変な感じなんです。
『とにかく一度、食べに来てください』としか言えなくて。その上でお客様に判断していただけたら一番良いんじゃないかな」

 

 

ゴカルナの常連さんには、学生も多い。
期末テストの後ともなると、友人と連れ立ってやってくる高校生もいると言う。

 

「テストの打ち上げですよね(笑)。うちは学生料金も設定してるので、ワンコインで食べられちゃうんですよ。『今は学生料金だけど、大人になったら正規料金で食べに来いよ!』なんて言ったりして(笑)。

 

また、入学式や卒業式の後に親御さんと一緒に来てくれることもありますよ。
だから、高校の行事や試験期間は把握するようにしてるんです。せっかく来てくれたのに『カレーが足りない!』ってことにならないように。

 

高校卒業して本土の大学に進学した子が、夏休みで帰省したついでに寄ってくれたり、社会人になってからも来てくれたりすることも多いですね。そういうことがあると、店やっててよかったなーって思います」

 

日山さんが言う、「カレーでお客様とつながっている」という言葉通りなんだなぁと感じた。
ひたむきな努力によって生み出されたゴカルナのカレーは、日山さんが多くを語らずとも、沢山の人々愛されているのだから。

 

文 山城梓

 

 

ゴカルナ
Gokarna(ゴカルナ)
那覇市楚辺1-1-2
098-855-5558
open 11:30~20:00(土・日・祝は18:30まで)
※売切れ次第終了
close 月

 

カレーの弁当配達(ロケ弁・仕出等)、ケータリング、イベント出店をやっています。
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