TANAKA

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しましまストアー

 

波照間のモチキビ、西表島の黒紫米、石垣のハーブティ…。小さな店舗の真ん中には、八重山のお土産ものが並ぶ。そのテーブルを、古くて味わいのある生活道具や色とりどりの食品たちが囲む。

 

今年(2016年)6月、石垣島の市街地に波照間島出身の夫婦が小さな雑貨店を始めた。店主の登野盛(とのもり)敬子さんが思い描くのは、観光客も地元の人も楽しめる雑貨店。

 

「八重山の本当にいいものを紹介したいと、お土産ものは主人が集めてきたんです。八重山諸島10島のうち、ほとんどの島を巡って探しました。それから商工会の繋がりで、先輩がこだわって作っているものも仕入れています」

 

しましまストアー

 

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一方敬子さんは、地元の人向けのものセレクトする。思わず目を引く可愛らしいパッケージの食品や、昭和30年40年代に作られたアンティークの食器、インドの手紡ぎの柔らかなクロス、おばあちゃん手縫いの着物の古布の雑巾など、説明の書かれたカードを読むだけで、へえと楽しくなる。

 

「パッケージがかわいくて、友達にプレゼントしたくなるようなものや、私が旅先で見つけたもの、昔から好きだったものなどを置いています。このパスタは千葉産で、実家にいた頃から食べてたものです。うちの父は結構グルメで、父がこのパスタを見つけてきたんです。もちもちして生麺みたいな歯ごたえで美味しいですよ。キリンラーメンはパッケージがかわいいし、このべっぴんラーメンなんてラーメンなのに無添加で、人気がありますね。こういうの、みんな面白がってくれるかなと思って」

 

しましまストアー

 

雑貨や食品でみんなを楽しませたいと思っている敬子さんだが、店を開いたのには大きな理由がある。それは、波照間島の黒糖を使った黒蜜を紹介したかったから。その黒蜜は、ご主人の龍さんが作るものだ。

 

「波照間の製糖工場から仕入れた黒糖を、小さな工場で主人が1人で丁寧に作っているんです。水飴などを加えず、原料は波照間の黒糖と波照間の水だけです」

 

その味は、スッキリとしてクセがなく、甘ったるい感じがない。甘さの中に、塩味も感じられるのは、波照間の潮風が混ざっているからだろうか。甘さだけが際立つ平坦な味ではなく、ほろ苦さや滋味深いコクもある。

 

「波照間の黒糖は、アルカリ性の土壌のせいか、エグミがなくて、なんか深い味わいなんです。沖縄だったらどこでも製糖工場があるじゃないですか。石垣にもあるんですけど、石垣の人でも、『波照間の黒糖が一番美味しい』って言いますね」

 

敬子さんは、そう言ってリーフレットを差し出してくれた。それには、龍さんの故郷、波照間島と特産の黒糖、黒蜜への熱い思いが詰まっていた。

 

しましまストアー

 

しましまストアー

波照間産黒糖の量り売りもしている。

 

波照間島は、日本最南端の島で、人口約500人。平らな地形であることから、そのサトウキビは海風をたっぷり浴び、ミネラルが豊富という。丁寧に刈り取られたサトウキビを、24時間以内の新鮮なうちに黒糖にする。その黒糖を、灰汁をとりながらじっくり弱火で8時間煮こんでは、自然に冷まし、また8時間煮込んでは冷ますを繰り返し、ようやく出来上がる。

 

漆黒に輝く美しい蜜。手間暇かけられたそれは、ダイヤモンドの印の貼られた瓶の中で、なんだか誇らしげに見える。

 

「ダイヤモンドのマークにしたのは、島の宝という意味を込めたんです」

 

しましまストアー

 

しましまストアー

店内には腰掛けられるスペースも。全国から集めたサイダーなどを飲める。

 

龍さんがなぜ波照間島で黒蜜を作るようになったのか、その経緯を敬子さんが話してくれた。

 

「主人は、学校を出た後ほどなく故郷の波照間島へ戻って、黒蜜作りを始めたんです。それまで島のお土産といったら製糖工場の袋に入った黒糖か、泡盛の泡波しかなかったから。もっと波照間を代表するようなお土産を作りたいってことで」

 

高校がない波照間島では、15歳になると進学のため皆、島外へ旅立つ。そのまま島外、県外に残り、島に戻らない若者が多いという。卒業してUターンした龍さんが、波照間を代表するお土産作りに取り掛かったのは、波照間島をこよなく愛しているからに他ならない。

 

「お土産を作ることによって、もっと波照間を知ってもらって、もっと人が沢山来る島にしたい。そうすれば交通の便がよくなって、天候に左右されない島になるんじゃないか、もっと暮らしやすい島になるんじゃないかと主人は思っているんです。波照間島は石垣島から船で1時間くらいなんですけど、海が荒れると1週間とか船が出なくなるんです。そうすると観光客が来ないし、島の暮らし自体が、天候に左右されてしまうんですよね」

 

しましまストアー

 

島のために、黒蜜作りに励んだ龍さん。一方、八重山出身でない敬子さんが、この石垣島で店を営むことになったのは、波照間島への旅がきっかけだった。

 

「以前は東京のテレビ局で撮影の仕事をしていました。照明をやっていて、重いのを持つし不規則だし、きつかったですけど、毎日違う現場に行けて楽しかったですね。でも東京はなんか便利すぎてしまって。元々アナログ人間なので、コンビニがないような不便なところに一旦身を置いてみたいっていうのがあって。前に一人旅でお世話になった波照間の民宿で、2年間だけと決めて住み込みで働くことにしました。旅でお世話になった時、宿のお母さんが一人で切り盛りしていて、すごく忙しそうだったから手伝いをしていたんです。他の宿泊してるお客さんにも『ここで働いたら? お母さんに聞いてみなよ』なんて勧められて。すっかりその気になって、自然な流れで、会社も迷いなく辞めました。その民宿で、配達やら、お客さんを港まで送迎することなどをやっていたんですけど、主人が島に帰ってきた時に、港で私を見かけたみたいで…」

 

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帰ってきたばかりの龍さんに猛アタックされ、「気づいたら付き合ってた」という2人。しかし敬子さんは、なかなか結婚に踏み切れずにいた。

 

「最初から地元の千葉へ帰ろうと思っていたし、地元へ帰ったら、また元の撮影の仕事に戻るつもりだったんです。波照間は、”波照間ブルー”って色があるほど、海の青が何層にもなっていて、とっても綺麗だし、手付かずの自然はあるし、島の雰囲気もすごくいいところ。でもやっぱり交通の便がよくないのがネックで。波照間にいた頃、友人が私に会うためにわざわざ内地から来てくれたんですけど、天候が悪くて、石垣から1週間船が出なくて。それで結局私に会えずに帰ってしまったということがあったんです。私も、何かあった時に、すぐに実家に帰れる場所にいたいと思っていたので…」

 

2人で出した結論は、龍さんは波照間、敬子さんは石垣島でそれぞれの仕事をし、週に2日程、龍さんが石垣で過ごすという週末婚のようなスタイル。このスタイル、龍さんにとってもいい効果があったという。

 

しましまストアー

 

「主人は波照間では仕事のことばかり。朝早くから夜遅くまで工場にこもりっきりの生活なので、石垣に来ることで休めて、仕事とプライベートの切り替えができるみたい。主人の黒蜜、石垣島のお店にも何軒か卸しているんですけど、これまで注文が入っても、船の状況でお店に並ぶまで1週間くらいかかることがあったんです。でも石垣でこの店をするようになってからは、ここにストックして私が配達できるので、注文があったらすぐにお店に届けられるようになりました」

 

当初、石垣島にこのしましまストアーをオープンさせると言い出したのは、ご主人の龍さん。「自分でお店をするつもりはなかった」という敬子さんだが、インテリアや扱う商品を決めていくうち、どんどんこの店が好きになった。ピンときたものをセレクトしで店に置けることになった時はとても嬉しく、今、毎日が楽しいという。今後は、オリジナルのTシャツなども作っていき、さらに愛着の湧く店にしていきたいのだそうだ。

 

黒糖や黒蜜…、島の宝物はそれだけでない。波照間を愛し、よくしていきたいという敬子さん夫婦の若くて熱い力もそう。波照間が生んだ幾つもの宝物が、島の生活を変えていくに違いない。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

iしましまストアー

 

しましまストアー
石垣市大川203
080-6488-3639
10:30〜19:00
close 木

TANAKA

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

ギュッと限界まで濃縮されたトマトと香味野菜の旨みと甘み。そのままかじるより、もっともっと野菜の味が濃い。後からほんのりと香ばしさが追いかけてくる。口当たりはとても滑らかで、まるでふわふわなモッツァレラのムースのよう。

 

この極上のスープが前菜の中の1品にあるのは、ヒルトン沖縄北谷リゾート イタリアンレストランCORRENTEの、“ごほうびカジュアルランチ”だ。

 

「セロリと玉ねぎをじっくりソテーして、トマトはオーブンで30分ほど焼いてから加えます。トマトの水分を極限まで抜いているんです」

 

水分をしっかり抜いて、野菜の旨みと甘みを余すところなく引き出す。焼くことで、水分を抜くだけでなく、香ばしさの後味まで作る。旨みを引き出すだけで、この丁寧な手間のかけようなのだ。シェフを務める手塚真規さんは「当たり前のことを当たり前にしているだけ」とさらり。けれど、その“当たり前のこと”は、当然ながら家庭ではなかなか真似できない手間。

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

手塚シェフは、野菜の旨みを引き出すことにこだわりを見せる。それは、ブガティー二・アマトリチャーナのトマトソースもしかり。

 

「玉ねぎ、人参、セロリの香味野菜を3,4時間かけてじっくり炒めるんです。その後トマトを加えて、さらに1時間程煮ています。アマトリチャーナは定番のパスタだけど、ここまでソースに手をかけるのは僕のこだわりです」

 

その言葉通り、野菜の出汁がしっかりと効いているトマトソース。塩漬け豚が入っているから、そこから十分旨みは出るだろう。しかし「豚は旨みのためでなく、その脂をソースになじませる程度」と、肉に頼らずに野菜の旨みを前面に押しだす。

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

この日のパスタは、アマトリチャーナ、アサリとアーサの軽いクリーム、県産魚のラグーソース。トマトソース、クリームソース、オイルソースなど異なるソースのパスタ3種。何度来ても楽しめるように、ピザやパスタの具は数週間毎に変更する。

 

「お得なプランだからといって、当然手は抜きません。CORRENTEの技術を集約したものを、カジュアルに知っていただきたくて」

 

今月(2016年12月)からスタートしたばかりの、“ごほうびカジュアルランチ”。お得なプランと手塚シェフが自信を覗かせるだけあって、内容は盛りだくさん。なんと4種ほどの前菜プレートに、窯焼きピザ3種類、特製パスタ3種類、デザートが6種類もついて、コーヒーか紅茶まで。ピザとパスタ、コーヒーまたは紅茶が、何度でもおかわり自由だ。グループ利用でお一人様、2,500円。

 

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ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

イタリアの小麦粉と塩で作るピザ。この日のピザは、マルゲリータ、きのこと自家製サルシッチャ、マリナーラ

 

何度でもおかわりできるのであれば、普通ならブッフェスタイルにするところ。しかし手塚シェフには、ブッフェにしないこだわりがある。

 

「熱々で、出来立てのものを食べていただきたいんです。ここではゆっくりおしゃべりしながら、召し上がってください」

 

確かに、料理は時間が経つにつれ美味しさが先細る。ピザやパスタだと、チーズが固まったり、麺が伸びてくっついたり。ここで出されるのは、チーズはトロリとつややかで、ソースがグツグツしているピザ、湯気が立ち昇るアルデンテのパスタだ。

 

しかもブッフェのように、席を立たなくていいのが嬉しい。料理を取りに行く煩わしさから解放される上に、おしゃべりを中断させてしまうこともない。CORRENTEは、落ち着きのある空間で席もゆったり広々。隣の席との距離も十分だから、気を使わずにおしゃべりの花を咲かせることができる。美味しい食事をいただきながら、落ち着いてゆっくり話をしたい、けれどお腹いっぱいにもなりたい…。そんな時に最適なプランだ。

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

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美味しい食事とおしゃべりを、お腹いっぱいになるまで。イタリアンが大好きな女性だけでなく、もちろん食べ盛りの男性も。特に辛味を効かせたり、化学調味料を使ったお料理もないから、小さなお子様にも安心して食べさせられる。家族や親戚の集まりに、または模合にも、うってつけ。

 

一流ホテルのイタリアンレストランで、着席したままの熱々の食べ放題。次回の集まりの選択肢に加えてみては。

 

ヒルトンごほうびカジュアルランチ

 

ヒルトン沖縄北谷リゾート 
イタリアンレストランCORRENTE(コレンテ)

ごほうびカジュアルランチ
[料金]
大人  2,500円
小学生 1,500円(6歳以下のお子様は無料)
[時間] 11:30〜15:00 (LO. 14:30)
[条件] グループでのご利用となります。ご利用希望日の前日15:00までの事前予約が必要です。年末年始は、休。
[予約・問合せ]
098-901-1130
http://hiltonchatan.jp/restaurants/corrente

 

TANAKA

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「ここでの暮らしは、昔にタイムスリップしたみたい。自然とともに生きてきたいい時代の生活が残っていたんですよね」

 

赤瓦の家にフクギ並木、琉球石灰岩の塀が並ぶ石垣島は白保地区。その懐かしい風景に魅せられたのは、自宅を開放してshiraho家cafeを営む柳田千晶さん。千晶さんが東京から移り住んできたのは、約16年前。住むうちに風景だけでなく、その昔ながらの生活に魅力を感じたと言う。

 

白保で昔から飲まれているのが、”みなが”のお茶。白保の土地の恵みをいただくお茶だ。

 

「”みなが”っていうのは白保の方言で”お庭”という意味なんです。お庭で摘んだハーブをブレンドしたお茶です。この辺のオバアは、自宅の庭にハーブを植えて、摘み集めて縁側で乾かして、お茶にするんです。この辺りには緑茶もさんぴん茶もあまりなくて、毎日飲むお茶といえば、こういうみなが茶。ヤカンいっぱいに沸かして、ホットのままだったり、冷たくしたり、ペットボトルに入れて凍らせたりして飲まれてますね」

 

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検査機関で調べたところ、みなが茶はポリフェノールが豊富で抗酸化作用を期待できるとか。

 

shiraho家cafeで出されているみなが茶は、月桃、グアバ、レモングラス、ニシヨモギに、琉球よもぎと言われているハママツ(本島のハママーチ)、よく民家の壁に這っているオオイタビカズラという野草のブレンド。全て、この白保地区で見かけるもの。千晶さんが、近所のオバアに話を聞いてブレンドを繰り返して作り上げた。

 

その味は、ハーブティと聞いて連想する西洋の小洒落たものでなく、どこか懐かしく、おばあちゃんちで出されるお茶のよう。縁側で緑を眺めながら一息入れたくなる、ほっと安心する味。

 

白保のオバア達にとっては、ただのいつものお茶。”ハーブティ”という概念自体、ないのかもしれない。けれど、毎日の飲みものを、身近なもので手間をかけて自分で作る。便利ではないのかもしれないけれど、豊かで贅沢なのは間違いない。

 

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shiraho家cafe

カフェでいただける、みなが茶、月桃茶、グアバ茶、カンパラ茶などは、併設の売店で購入できる。

 

千晶さんが白保の自然の恵みをメニューにしたのは、みなが茶だけでない。昔から生活に根付いていたハイビスカスの花も活用したいと、シロップに変身させた。

 

「ハイビスカスの花は、シャンプーにしていたみたいですね。その花がいっぱいあるので、何かに使いたかったんです。新聞の記事で、コーディアルというものがあることを知って。イギリスの伝統飲料で、体を元気にする飲み物ってことなんですよね。必ず柑橘系の砂糖漬けを加えるらしくて、じゃあハイビスカスとシークワーサーを使えばいいじゃないって」

 

そのシロップは、かき氷に。真っ白な氷に、鮮やかな赤が映えて可愛らしい。甘さは控えめで、ハイビスカスの花のほのかな香りの中に、シークワーサーのさっぱりとした爽やかさが広がる。その他、炭酸やヨーグルトやお酒で割った、サイダーやラッシー、カクテルもいただける。

 

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自家製シロップ。石垣島の有機栽培島レモンを使ったトロピカルレモンレモンと、ハイビスカスハナミツ。 

 

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島のものでスイーツを作りたいと、石垣島は豊見山豆腐店のおからを使った、島豆腐のおからとレモンのケーキ

 

自然とともにある白保の生活を伝えたい。千晶さんが、shiraho家cafeをオープンさせた理由だ。

 

「オバアからこのお茶の話を聞いて、この習慣を受け継ぎたいなと思って。みなが茶を作って飲んでいるオバア、ここ10年で随分と亡くなってしまったんです。今の世代にはあまり受け継がれていない感じがありますね。毎週日曜に開催される白保日曜市も、昔ながらの生活を受け継ぐという意味合いで始まったんです。自分たちの庭や畑で採れたものをそれぞれが持ち寄って、ご近所におすそ分けをするという感じ。私も、主人の作る野菜とともに、みなが茶とかの販売をしていたんです。でも日曜だけでなく、平日でも昔ながらの生活を伝える場があってもいいんじゃないかなと。それで自宅を改装して、このカフェを始めました。ちょうど息子が本島の高校へ行ってしまって、家がガランとしちゃったし」

 

白保の集落に合う家をとだけリクエストして建てた自宅。以前は居間として使っていた横長の部屋を、カフェスペースにした。壁の下半分は開いていて、座るとちょうど外の緑を眺められ、上半分は壁になっているから、刺すような強い日差しは避けることができる。雰囲気と機能を兼ね揃えた空間。

 

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千晶さんが自宅を開放してまで昔ながらの生活を伝えたいのは、ただ白保の習慣を絶やさないためだけでない。白保の自然を守りたいという思いがある。

 

「地域の昔ながらの生活を継承していくことが、自然保護につながるんですよね。遠回りかもしれないですけど、昔ながらの生活をすることが、資源を枯渇させないんです。白保には半漁半農の暮らしがあって、ご飯のおかずを捕るために海へ行くんですね。アーサを採ったり、電灯潜りといって夜に潜って、モリで1匹づつ魚を捕ったり。自分達の食べる分だけを海からいただくんです。今は、何でも大量に捕りすぎてしまって、もう色々いなくなってしまってますよね」

 

カフェをオープンさせたのが、2016年8月。千晶さんは石垣に来るまで、東京で翻訳の仕事をしていた。どこででもできる仕事だからと、南の島への移住を決断。移住してからカフェオープンまでも、積極的に白保の自然を守る活動をやってきた。

 

「白保の海はサンゴ礁の海として有名で、世界最大級のアオサンゴの群落があるんです。アオサンゴって、見た目はグレーっぽいんですけど、中が青いんですよ。新石垣空港を作ろうとしている時、この白保の海に空港を作るという海上案があったんです。村は賛成派と反対派に二分されて、けれど海上案は、反対派のオバア達が座り込みをして一生懸命抵抗したこともあって免れたんですよね。30年近くも闘争して、この海を守ってきたんです。その頃、地域の環境保全につながる村づくりを提唱していたWWFが運営する”しらほサンゴ村”という施設ができて。私は2年ほどそこの準職員になって、そのサンゴ村で開催される白保日曜市の運営にも関わってきました。今は運営を次の人にバトンタッチしていますが、このカフェで販売している商品の売上の5%を寄付して、サンゴの保全活動に役立ててもらっています」

 

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珊瑚を守る活動だけでなく、この白保集落の景観を守ることも。

 

「このカフェの前の道が”神の道(カンヌミチ)”と言って、豊年祭で司が通っていた道なんですよ。この神の道だけでも、家の塀を昔ながらの琉球石灰岩の石積みにしましょうということをしたんです。今から7,8年くらい前なんですけど、この道沿いのコンクリートのブロック塀を撤去して、石灰岩の塀に作り直しました。石工の棟梁に指導してもらいながら、集落の有志で石を積んだんですよ」

 

昔ながらの街並みや自然が色濃く残り、訪れる者をこんなにも癒やすのは、千晶さん始め、地元の人の努力があってこそだ。

 

「この白保は、獅子舞とか棒術の伝統芸能や、民具なんかも残っていて、そういうのも素晴らしいんです。この白保という地区があってのカフェで、この白保がお客さんを呼んでくれるかなと思っています。お客さんには、集落のこの雰囲気を味わってもらいたいですね」

 

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売店では白保出身のテキスタイルデザイナー、MIMURIの作品も販売する。千晶さんのエプロンもMIMURIのテキスタイル。

 

千晶さんは、昔の沖縄の風情が残る白保の景観だけでなく、その豊かなハーブや海、そこに住まう人々やその暮らし、自然を守ってきた歴史など、全てに敬意を払い愛してやまない。

 

「私は白保のオバアになって、自然の恵みは素晴らしいってことをずっと伝えていきたいです。伝えることはいっぱいありますから」

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

shiraho家cafe
shiraho家cafe(しらほいえカフェ)
石垣市白保42-3
070-4207-8080
open 10:00〜18:00 (日 12:00~18:00)
close 火
https://www.facebook.com/shirahoiecafe/

TANAKA

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「人のせいにしない生き方」で自分に責任を持ち、自分らしく、ありのままでいられたら、意識が変わる。
ひとりひとりの意識が変われば、世界は一瞬で変わる。
物質的なことよりも、人の意識にフォーカスしているのが特徴の「アースデイやんばる」。

 

2017年は、立春に開催する北部・やんばるを皮切りに、3月中部、4月那覇、5月南部で計画しているアースデイにバトンをつなぎ、その後は毎月 沖縄県外各地で開催されるアースデイと連携していく予定です。

 

みんなの意識がつながっている!と感じられることを願って、 ひんぷんがじゅまるさんの根っこから発信していきます。

 

地球のことを考えて行動する日、アースデイ。

 

毎年4月頃に世界中でアースデイイベントが開催されています。
地球のこどもたちである、私たち。本来は毎日がアースデイ!
母なる大地を思い、感謝を込めて、日々できることをやっていく。
でも、1年に一度、ここやんばるでも大きなイベントを行い、いろいろな「誰もができること」の可能性を、たくさんの人に知ってもらえるように、楽しく伝えたい! だからまた開催します。

 

2016年4月開催の「アースデイやんばる2016」と同じ規模で、少し進化した想いで、新たなプログラムを企画中です。

 

今回も多様なジャンルで活躍中の方々によるトークライブやワークショップ、セミナーを開き、映画上映や音楽ライブを行います。  
また、やんばるを中心に沖縄でも選りすぐりの飲食・雑貨・農家数十軒が出店。
「農とたね」「こども子育てこころとからだ」「経済とエネルギー&パーマカルチャー」「ていねいな暮らし」「アート」等、楽しみながら色々な体験をしていただけるよう、名護大通りの端から端までが歩行者天国となり、ブーステントやステージが並びます。

 

 

ご協賛のお願いと、ボランティアスタッフ大募集!!

 

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【ご協賛要項】
アースデイやんばる2017プログラムに、下記の各ご協賛金額に応じた広告を掲載させて頂きます。
プログラムが完成次第(2017年1月中旬予定)配布を開始し、また現在販売中の「アースデイやんばる2016ブックレット」(B5サイズ,500円,2016年4月発行)に、プログラムを折り込む予定です。

 

① 1,000円 お名前(ニックネーム可)のみ。 
② 2,000円 お名前(ニックネーム可)と一言メッセージ(20字以内)
③ 5,000円 広告(56mm×37mm)
④10,000円 広告(56mm×74mm。名刺サイズ)   
⑤20,000円 広告(117mm×74mm。名刺サイズの倍)
⑥50,000円 2018ブックレットにインタビュー(B5,2ページ)を掲載。今回はプログラムに名刺4枚サイズの「開催に向けての応援メッセージ入り広告」

 

※連絡先・広告データ送付先:earthdayyanbaru@gmail.com
詳しくはお問い合わせください。

 

 

◎ご協賛方法◎  2017年1月5日(日)まで           
1. 実行委員へご連絡の上、直接手渡し。

 

2. ゆうちょ銀行口座へお振込。
口座名義 アースデイやんばる実行委員会 
記号17000 番号18051461

 

※他行からお振込みの場合
・店名七〇八(ナナゼロハチ)  ・店番708
・預金種目 普通預金 ・口座番号 1805146

 

この協賛金は、アースデイやんばるの運営、種子の保存、街中農園の運営、ひんぷんがじゅまる保護、街中コンポストの設置、運営等に活用させて頂きます。

 

※プログラム印刷スケジュールの都合上、ご協賛は1月5日締切ですが、ご寄付やブックレットご購入によるサポートは随時承っております!

 

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TANAKA

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「お店のコンセプトとかは何もないんだけど、朝6時からオープンさせようと、それだけは決めてました」

 

早朝6時、秋のこの季節だとまだ暗い。日の出より先に動き出すのが、外人住宅のカフェ、GOOD DAY COFFEEだ。店主 宮里達也さんは、特に朝の時間がお気に入り。

 

「朝、気持ちいいですよ。早起きは三文の得です。朝日を浴びれるし、1日が長いですよ」

 

陽の光が店内を明るく照らし、コーヒーのいい香りが立ち昇る。日の出とともに、ここで1日のスタートを切れたら、気持ちがいいに違いない。

 

朝食の一番の人気メニューは、”Good day breaky”。

 

「オーストラリアの定番の朝食です。パンにベーコンに卵、そして必ずと言っていいほど入ってるのが、たっぷりのアボカドです」

 

軽くトーストされた食パンの上に、目玉焼き、大きなベーコン、スライスされたアボカドが溢れて乗り切らない。味付けは塩と胡椒のみ。シンプルなだけに、それぞれの素材の火の入れ具合は絶妙だ。目玉焼きは、ナイフを入れればトロリと黄身が溢れ出す焼き加減だし、ベーコンはお約束のカリッカリ。そしてアボカドは、ねっとりといい熟れ具合。味の組み合わせもさることながら、歯ごたえの組み合わせの楽しさも、あっという間に平らげてしまう理由。

 

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エスプレッソをお湯で割る、ロングブラック

 

朝食とともに、是非味わってほしいのが、店名にもなっているコーヒー。浅煎りの豆で、特有の酸味がある。さっぱりとフルーティだが、奥深くにはチョコレートのようなコクもある。

 

「前は、深煎りの苦味のあるコーヒーが好きだったんです。オーストラリアでも、エクストラショットで頼んでたくらい。でも、あるカフェで頼んだ深煎りのコーヒーが重すぎて、そこからしばらくコーヒーを飲めなくなってしまったんです。そんな時に、タスマニア島のカフェで飲んだコーヒーに衝撃を受けて。『なんだ、こりゃ! こんなコーヒーあるのか』って。浅煎りでフルーティで、これまでの固定概念が覆された。タスマニア島って朝が寒いんですけど、その寒い中で待って待って、やっと出てきた。あの時の湯気の上がったコーヒーが、忘れられなくて。それから浅煎りのコーヒーにはまっちゃったんです」

 

飲み疲れないという浅煎りだが、本当にいい豆でないとその美味しさは出ないという。

 

「豆をよく煎る深煎りは、煎った時の焦げた感じというか、全部同じような味になりがちなんですよね。浅煎りだからこそ、豆の個性が出やすいと思うんです。この店でも、浅煎りコーヒーの衝撃を伝えたいなと思ってます。たまにいますよ、飲んでみて『なんだ、こりゃ』って言うお客さん(笑)」

 

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外はカリカリ、中はふんわりの、フレンチトースト

 

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カフェラテ

 

そして、豆の個性を引き出すには、焙煎も大事とのこと。宮里さんは焙煎所にもこだわった。

 

「オーストラリアは、皆コーヒーが好きで、その分焙煎士にもうるさい土地柄なんです。焙煎士にも個性があるんですよね。僕は、オーストラリアのバイロンベイっていうヒッピーの街にある焙煎所が好きで。今はそこから直接買い付けています」

 

オーストラリアの朝食に、オーストラリアで焙煎されたコーヒー。オーストラリアを揃えたのは、そのライフスタイルに刺激を受けたからだ。

 

「オーストラリアは最高なんですよ。何がいいって、仕事と遊びのバランスがとってもいいんです。オージーは1日の始まりにカフェへ行くんですね。早朝から1時間くらいかけてのんびり朝ごはん食べて、それから仕事に行くなり、サーフィンに行くなりしてて。仕事も定時に帰って、それから家族との時間を大事にするんです。その時間の使い方がすごくいいなと思って」

 

good day coffee

 

good day coffee

 

ワーキングホリデーや学生ビザを使って、4年ほどシドニーやゴールドコーストに滞在した。オーストラリア人には、それまでの宮里さんにないものがあったという。

 

「オージーは、あんまり仕事をしない怠け者(笑)。でもカフェの店員さんでも、自分の好きな服着ておしゃれだし、なんかかっこよかったですね。仕事でも言いたいことを言うんです。『波がいいからサーフィンに行ってきます』とか、本当にそんな感じ。これが好きだからこうするとか、言いたいことは言うとか、枠にとらわれてなくて、すごく自由を感じましたね。それまで僕は、東京や沖縄で営業職やデザインの仕事をやってたんですけど、忙しかったです。東京では、帰りがいつも夜中の12時過ぎで終電で帰れたらいいくらい。上司から言われるままに働いて、いい子いい子してた。それでストレスが溜まって、一気に爆発するみたいな。僕はこう見えて、真面目で頭でっかちで『こうしなきゃいけない』っていうのがあって(笑)。オージーの自由な気質やライフスタイルが羨ましかったのかもしれないですね」

 

good day coffee

 

good day coffee

 

そのライフスタイルを沖縄で叶えたいとオープンしたのが、GOOD DAY COFFEEだ。

 

「カフェは自由に、ゆるーい感じでやりたいと思ってます。だからあえてインスタとかfacebookとかきっちり更新しない、というか自分の真面目なところを隠したい(笑)。お客さんには何より、自分の時間をちゃんと過ごして欲しいですね。たまに朝早く起きて、ここでのんびりコーヒーと朝食取って、そっから仕事に行ったら、その日はいい1日になると思います。よい1日の始まりとして使ってもらえたら。オーストラリアではカフェでお客さん同士情報交換とかもして、コミュニティの場でもあるんです。そういう風にここを使ってくれたら嬉しいですね」

 

good day coffee

 

そう言う宮里さんの目はキラキラと輝いていて、自分の時間を存分に楽しんでいる充実ぶりが伺える。

 

「このお店は15時までで、仕込みが大変なメニューも特にない。お店閉めてからの時間は、サーフィンをやってます。今はサーフィンをしている時が一番楽しいですね」

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

good day coffee

 

GOOD DAY COFFEE
北谷町浜川178-1 S-289
090-4470-1173
6:00〜15:00
close 月
https://www.facebook.com/pages/Good-Day-Coffee/489281654588293?fref=ts

 

TANAKA

somos

 

somos

 

そよそよと食堂を抜ける風が、なんとも気持ちいい。小高い丘の上に建つ旅宿、somos(ソモス)は、遠くに紺碧の海を眺む。ここに静かに腰掛けていると、自然の中に帰ったような安心感を感じる。熱帯植物の濃いグリーンに溶け込むアースカラーの食堂に客室棟。自然と調和していて、いかにも作ったという違和感がまるでない。

 

自然に溶けこむ優しさの理由の1つはきっと、建物に角がないから。壁も天井部分も、角張っていなくて、すべて丸みを帯びている。somosオーナー 伊藤秀樹さんは、角を取ることが一番やりたかったことだったと笑う。

 

「ずっと何十年も前からここにあるような雰囲気にしたかったんです。それにキューバの雰囲気を大事にしたくて。角を丸くするだけでキューバっぽいから、角を削るのは絶対しないとダメだと思ってた。サンダーっていう削る機械があるんですけど、それ持って、全部自分で削りました。丸く削った後に、モルタルで更に丸さを出して。職人さんに『やって下さい』って頼んだんだけど、やってくれなくて。せっかくピッチリ決まってるのに、誰もわざと壊すようなことしたくないですよね」

 

丸い角は、どこか懐かしいような雰囲気をも醸し出す。伊藤さんは、角だけでなく、直線もなくした。

 

「わざとトンカチでガンガン割ったりもして。ちょっとずれてるのとか、曲がってるのが好きなんです。ちょっとひねくれてるんかな(笑)。もちろんザツじゃなくて、キレイには作るんだけど、キッチリとは作らなかった。普通歪んでたら、やり直ししてもう一回まっすぐにしてってすると思うんだけど、僕らは曲がってるのもいいと思うし、欠けてるのも味だと思うから。でも、建具とかその歪みに合わせて作らないとダメだったから、一緒に建具とか作ってくれた友人は大変だったと思う(笑)」

 

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自然に溶け込むゲストハウス。目指したのは、大好きなキューバと沖縄の雰囲気を併せ持つ、言うなれば琉球コロニアルスタイルだ。

 

「キューバは、スペインの植民地時代のビンテージっぽい雰囲気が好きなんです。建物は天井が高くて、絶対にロッキングチェアが置いてある(笑)。沖縄っぽさは赤瓦かな。赤瓦を載せる場合、普通は台風の影響があるから屋根を低くするのかな。でも僕達はわざと天井を高くして」

 

伊藤さんの作りたいものは、専門家になかなか理解されず、基礎以外は全部自分たちの手で作り上げることにしたのだそう。

 

「最初は設計士さんに頼みましたよ。でも出てくるものが、僕達がこうしたいっていうのとなかなか合わなくて。それに僕達の予算だと、やりたいことの半分しかできないよって言われたんです。食堂をもっとコンパクトにして、客室も1つにって言われたんだけど、それは僕達のやりたいことではなかったから、だったら自分でやるしかないなと。ここ、ブロック積みなんですけど、基礎のブロック積みや強度の補強、電気関係だけやってもらって、後は自分たちでやることにしたんです。赤土を混ぜて床を作って、漆喰やペンキ塗って、内装のデザインして、建具やテーブルも作って。自分たちでやったお陰で、頼んでいたらできなかったことが、いっぱいできました。部屋の大きさをコンパクトにすることもなく、広々とした2部屋にできましたし」

 

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その客室は2部屋とも、ロフトが作れるほど天井が高く、ゆったりとした贅沢な作り。

 

「Sabado(サバド)という部屋と、Domingo(ドミンゴ)という部屋です。スペイン語で、土曜日、日曜日という意味なんです。サバドのほうは、キューバ人の妻がインテリアを担当して、僕はドミンゴの方を。微妙に趣味が違いますからね。僕も、やることいっぱいで大変だったから、1部屋は妻に好きなように作ってもらったんです」

 

サバドは、白い花の花びらの上にいるかのような柔らかい部屋、ドミンゴは、砂漠に生きる植物のような力強さのある部屋だ。いずれも落ち着いた雰囲気で、一日中部屋から出ずにのんびりと過ごすお客が多いというのもうなずける。ロッキングチェアや、ハンモックにゆられて、景色を眺めて過ごすのもいい。

 

「お客さんにいい景色を提供したくって、沖縄電力に電線を埋めてくださいって交渉したんです。低圧線は使ってなくて取ってくれたんですけど、高圧線はどうしても無理で」

 

それでも、その電線すらかっこよく見えるように、部屋の居心地の良さや、ホスピタリティをよくしようと切り替えた。

 

「ここではお客さんのプライベートを大事にして、なるべく入り込まない。でも食堂に来てくれたら、いつでも僕らはいるんで。それぞれがそれぞれのやり方で楽しんでくれたらいいと思うんです。僕も、旅行してる時、全然干渉されたくなかったし」

 

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そう、伊藤さんには長い間、旅を続けてきた経験がある。

 

「アメリカの大学行って、友人に『インドに皆既日食見に行かない?』って誘われて、大学休学して、インド行ったんです。それがバックパッカーを始めたきっかけ。それから、旅行が大好きになっちゃって、結局大学に戻らず、タイや中南米全体を回りました。南米はペルーやブラジル、カリブは、メキシコ、グワテマラ、コスタリカにジャマイカ…。知り合った人みんなから『キューバはいいよ』って勧められて、キューバにも行きました。そしたら古い建物はあるし、人とか音楽も楽しいし、キューバにはまっちゃって。キューバにいたかったから、またキューバの大学に入り直したりして。その後も、日本に帰ってきてお金を貯めては、また戻って。向こうで結婚してキューバに住んでたから、旅行してた時期と合わせたら、10年間くらい海外にいましたね。旅行をしてる時から、いつか宿をやりたいなと思ってたんです。自分の好きな場所を作って、旅行者に来てもらったら、色んな人に会えるし、自分も旅行好きだから楽しめる。楽しいことやりたいから」

 

最初は、自身がよく利用していたバックパッカー向けの安宿をやりたいと思っていた。けれど伊藤さんの人生の変化に伴い、やりたい宿の形も変わった。

 

「今こうして家族もできて、自分の生活が変わったから、バックパッカーの若者を相手にするより、ちょっと落ち着いた家族の人を迎えたいと思って。僕みたいに昔、バックパッカーやってたけど、家族ができて、ちょっとゆっくりした所に泊まりたいと思って来てくれたらいいなと思う」

 

somos

 

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宿の形を変えたのは、旅をしていた昔の自分を振り返るのではなく、“今の”自分を楽しませたいからではないかと思う。施設がほぼ完成した今、宿というより、イベントをメインでやっていきたいと思っているのが、その証拠。

 

「今、毎日のメインの仕事っていったら掃除ですよね。毎日のことだから、やっぱりつまらなくなる時もあるんです。だったらイベントやったりして、お客さんにべったりというより、こっちから色んな提案をして、好きなことをしていくほうが楽しい。例えば、好きなミュージシャンをここに呼んでライブやったら最高だし、ワークショップだったら、僕達も参加できて楽しめるようなものがいいなと思うんです。前にローフードのワークショップやって、その時は妻のお母さんがちょうどキューバから来てたから、妻と一緒に参加して楽しんでた。今、うちで朝ごはんを作ってくれてるスタッフと一緒に、宿泊客だけじゃなく、皆が利用できるモーニングカフェをやってもいいなとか妄想してるんですよ」

 

somosには、こうしなくちゃいけないとか、こうでなきゃいけないなどのルールは何もない。somosを作り上げてくれる仲間と、さらにいい空間にしたいという。

 

「宿というカテゴリーにとらわれず、色んなジャンルの人とコラボしてみたいですね。せっかくここを作ったんだから、有効に使いたいし。ローカルの人とのコミュニケーションが取れる場所になったらいいかなと。もちろん、宿泊してる人もイベントに参加してくれたら嬉しいし、そのイベントを目当てに泊まりに来てくれる人がいたら、それも嬉しい」

 

伊藤さんは目を輝かせて毎日、好きなこと、楽しいことを追いかけている。

 

somos

 

somos

 

すでに音楽ライブを何度か行ったというsomosの庭。その庭には、ひん曲がって買い手がつかなかったというトックリキワタの木がある。定番ものは何でもあまり好きではないという伊藤さんに見初められて、somosにやってきた。「沖縄だから、植物の成長が早くて、その成長を見てるだけで楽しいんです。ここにある植物も僕達も、全部が成長段階です」と伊藤さんは言う。

 

ぐんぐん成長していく曲がったトックリキワタのように、伊藤さんの変化とともに、そのカタチを楽しい方向へぐんぐんと向かっていくのが、somosという宿だ。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

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somos
国頭郡今帰仁村兼次271-1
0980-56-1266
http://somos-okinawa.com

 

 

TANAKA

NATURE PLANTS SKIN CARE

アロエとアメジストの化粧水

 

透き通るピンク色が印象的な化粧水。ダマスクスローズの艶やかな香りが、一気に広がり、吸気を満たす。人の手によって作られたのではないローズそのものの、はっとするような美しい香り。

 

植物の持つ生命力を、余すところなくボトルに詰めたのは、メイクアップアーティストの守本理恵さんだ。その植物が生きてきたビジョンが浮かぶものを、できる限り材料に選ぶと言う。

 

– – – 生きてきたビジョンが浮かぶとは、どういうことですか?

 

私ね、お寿司とか、ほんとに新鮮な赤貝とか食べたとき、生きてた環境のビジョンがぶわ〜と浮かんだりするんですよ。綺麗な磯で綺麗な海藻を食べてたビジュアル。自然でフレッシュなものって、ここでこーんな風にカーブして、こーういう風にビジョンが広がっていくんです。生きてた時の記憶を伝えてくれるんですよね。そういう感じで爽やかにビジョンが広がるものを、化粧品に入れるようにしているんです。

 

– – – ではこの化粧水には何が入っているのですか? どうしてこんなに綺麗な色なのでしょう? 

 

アロエの酵素で、自然にこんなピンク色になるんですよ。果肉が厚くて太いオーガニックのアロエじゃないと、ここまで濃いピンクにならないんですよね。沖縄南部の生のものを使っているので、生のヒアルロン酸が入ってるんです。それから、沖縄の生のもずくのコラーゲンを入れています。最初、工場に頼んで作ってもらおうとしたんですよ。でも、工場は、生ものはやりたくないってことで、乾燥して蒸留したエキスじゃないとダメとか。でも私が思うには、植物のヒアルロン酸とかコラーゲンって、生のネバネバなものにあるので、乾燥させたりするとせっかくのエネルギーがもったいないなと思って。だから、自分で工場を作って、私が手作業で作っています。

 

NATURE PLANTS SKIN CARE

自然に囲まれたこの部屋で、理恵さんが一つひとつ丁寧に作業する。

 

– – -工場まで作ってしまったなんて驚きです。こだわりも相当なのでしょうね。

 

こだわりは色々あるんですけど、アメジストの波動を転写させた水を使っています。クレオパトラもアメジストにはまったという話があるんですよね。その転写水で化粧水を作ったら、ピンク色がより濃くなったんです。1000年ほど前のドイツの方で、ホリスティック医学の先駆者と言われるヒルデカルトという女性は、植物と同じくらい、石にも人にもたらす効果があると、その本に書いているんですね。その本に則って、転写水を作っています。鉱物の波動を入れてる化粧水って、他にないんじゃないかな。最初はね、特許取ろうと思ったんですよ。でもいいものだからね、独り占めしないで、皆さんでやってもらったらいいかなと(笑)。

 

私、陶芸を習っているんですけど、陶芸の先生が言うんですよ。「粘土には記憶する力がある」って。だから「作る過程のろくろで一度お茶碗みたいに広げちゃうと、壺を作ろうと思っても絶対戻らない」って。それくらい水って記憶するみたい。鉱物の波動が水に記憶されるんでしょうね。

 

NATURE PLANTS SKIN CARE

アルガンオイルや杏の種油の他、アメリカ大陸のホホバオイル、アフリカ大陸のバオバブオイル、カリテシアバターなどが入った、NATURE PLANTS フェイスクリーム リッチ

 

– – -鉱物の力をも借りるなんて斬新ですね。このフェイスクリームも、ナチュラルな香りで、いいものがぎゅっと詰まっているような贅沢感があります。

 

私ね、食べられるもの、舐められるものを入れたいなと思うんですよ。経皮毒といって、皮膚は化学物質とか悪いものも吸収するんですよね。毛穴や毛細血管を通って、血液まで入っていくんです。皮膚と臓器は繋がってて、悪いものが臓器に溜まってしまうんですよね。だからお肌に直接塗るもの、毎日塗るものこそ、食べられるくらいでないと。スキンケアはもうお惣菜感覚で(笑)。それにはまず材料選びから。オーガニック、できればワイルドなものを使いたいんです。

 

– – -オーガニックより、ワイルドなものを使いたいのは、どうしてですか?

 

今世界中でオーガニックって言われてますけど、例えばこの化粧品に5%でもオーガニックのものが入っていたら、これはオーガニックコスメって言えちゃうんですよね。買う人は、全部がオーガニックって思っちゃうじゃないですか。だからできればオーガニックって言いたくない(笑)。そうじゃなくて、ほんとに力があるものを入れたいんです。ほんとに力があるものって、そう、沖縄来て思ったんです。たしか4年前の夏、3ヶ月間雨が降らなくて、カラカラに地割れして。畑やってたんですけど、野菜は全滅。それでも生きてたものがあるんですよ。自分達が作った野菜は全部ダメなのに、なんでこんなに生きているのか。それは、ワイルドっていう生きる力を持ってるもの、人が手を入れたものじゃなくて、自分の力で生きているものこそが強いんだって。それを沖縄で見せられたんですよね。だから、太古の昔から植物自体の力で生きてるもののオイルをセレクトしたいなって思ったんですよ。

 

– – -生きる力を持つ植物でも、化粧品にする過程でその力を削いでしまうことはないのですか?

 

市販のクリームで白いものがあるでしょ? あれはオイルが透明だからなんです。でも本来のオイルって、種を潰して濾すと、ゴールドの色をしているんです。精製してるから透明になるんですね。私は、植物の持つ力をそのままお届けしたい。せっかくね、花が咲くのに25年から30年、実がなるのに40年前後かかる植物もあるんですよ。そんな長期間、どんだけエネルギーを蓄えているか。それを精製しちゃって、脱臭しちゃってって、もったいないことできないじゃないですか。

 

例えばね、フェイスクリームに入れているこのアルガンオイル、ナッツの香りがしっかりしますよね。ちゃんと生きてる。普通はこんなに匂いがしないんですよ。この杏の種のオイルも、作られた香りじゃなくて、ちゃんと杏仁のそのまんまの匂いがしますよね。ヒマラヤに自生してるものを朝採りして、それをコールドプレスっていって、低温で圧搾するんです。熱を加えると成分が弱ったりするので、昔ながらの器具を使ってね。ただ不純物だけをガーゼで濾したものなんです。

 

NATURE PLANTS SKIN CARE

100% PURE KARITE シアバター

 

– – -シアバターのボトルに書いてある“カリテ”って初めて耳にします。カリテって何ですか?

 

西アフリカにあるシアの樹を、現地の人は“カリテ”と呼んでいるんです。その実を潰して炒ったり練ったりして、1ヶ月くらいかけて作るらしいんですけど、100%カリテの実のまんまのシアバターなんです。これ、全然腐らないし、常温で大丈夫だし、すごい万能クリームだって、お友達からもらったのが最初だったんですね。ちょうどその時冬で、東京から帰って唇がカサカサしてて、これを塗ったら翌日というか、半日くらいですっかり潤ちゃったんですよ。今まで使ってたシアバターより濃厚なんですよね。目尻の小じわとかにも塗ったら、ハリが全然違う。すごいな、これ、ワイルドはすごいって、びっくりして。もうワイルドは間違いないって(笑)。

 

– – -日本でほとんど知られていないカリテなのに、どうやって商品化にこぎつけたのですか?

 

これをくれたお友達、沖縄のアフリカンダンサーの女性なんですけど、彼女の旦那さんがミュージシャンで、西アフリカのギニアの方なんですね。旦那さんの出身の村でこのシアバターを作っているんです。その村は、電気も水もガスも通ってない、学校も病院もない、ほんとに僻地の村なんですって。仕事もなくて、お金もないところで、みんなここを掘ったら金が出るかもしれないって、穴を掘って危ない仕事をしているらしいんですね。その穴に落ちて亡くなるっていう事故が多発してて、旦那さんの兄弟も、落ちて亡くなっているんです。彼女、あんな危険な仕事はさせたくない、なかなか出ない金を掘るくらいだったら、シアバターを日本で売りたいって。でも自分達はミュージシャン、ダンサーでどうやって売ったらいいかわからないから「理恵ちゃん、会社にして売ってくれない?」って。「いや〜、私、会社とかできる器量じゃないし」って最初断ったんですね。「じゃあ、オーガニックコスメの会社に材料として売ろうか」って、そういう会社いくつかに持って行ったんです。そしたら「工場で精製してますか」「単価はいくらですか」とか、中味よりそういうことばっかり聞かれて。なんかもったいないなと思って。で、やっぱり私が販売することにしたんです(笑)。それで、NATURE PLANTS SKIN CAREという会社を立ち上げました。

 

NATURE PLANTS SKIN CARE

 

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カリテシアバター制作風景。ギニア、サンバララ村

 (写真提供 NATURE PLANTS SKIN CARE)

 

– – -そもそも、理恵さんはメイクアップアーティストなのに、どうしてスキンケアコスメを作ろうと?

 

東京にいた時に使っていたオーガニックコスメがこっちになかったから。沖縄の人って、なかったらなんでも自分で作るじゃないですか。ここに住んでると「買うと高いよね」って感じになってきますよね(笑)。東京へ行く主人に買ってきてもらったりしてたんだけど、自分で作れるかなと思い始めて。たまたま沖縄で住んでる方で、手作りコスメをやってる方がいて、その方がワークショップ形式で教えてくれたんですよ。基本はそこで教わって、3年くらい試行錯誤してきたかな。元々メイクアップアーティストなんで、コスメオタクなんですよね。モデルさんは、インナービューティーとかオーガニックコスメとか当たり前。「スキンケアは何使う?」って色々聞かれるので、その辺は詳しかったっていうのもあるんです。でも裏の表示までは全部見てなかったですよね。自分で作るってなって、そこから売れてる化粧品には何が入っているんだろうって、1個1個裏を見ていって。「これ、なんだろう?」ってわからないものがあったら調べて「薬品が入ってるじゃん」とか「これを抽出する過程で、化合アルコールが必要じゃん」とか。「ユキノシタエキスか、ユキノシタだったらその辺に生えてるな」とか「水だったら、久米島の海洋深層水のほうがいいんじゃない」とか「キサンタンガムだったら、アロエのネバネバ使ったほうがいいんじゃない」とか。色んな本も読みました。大変じゃなかったですよ。手作りするのが好きなんです。だって、中味を全部自分で選べるじゃないですか。買うよりも絶対いい中味で作れるし。

 

自分で作って嬉しいから、友達にもあげて。メイクアップアーティストとかモデルさんとか、特にコスメを知っているお友達が多いんで、そういう人達にも使ってもらったら「すごくいい」って言ってもらえて。「こんなリッチなクリームないし、すごいクリームを作っちゃいましたね」とか、「もっと欲しい」とか「他のを使えなくなった」とか「お友達にもプレゼントしたい」とか。何百人と使ってもらったんですけど、ほとんどの人が「いい」って言ってくれるんですよ。なのでね、嬉しいなと思って。ほんとにいいものができたんだなって実感できたんですよね。

 

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沖縄の珊瑚パウダーなど、自然の素材のみで作られた、ナチュラルUVクリーム

 

– – -理恵さんはこれまで、メイクアップアーチストとして、パリやニューヨークで研鑽を積み、東京へ戻ってからは、VOGUEやELLEなどのハイファッションの雑誌で、モデルやセレブリティのメイクを担当していたと聞きました。何がきっかけで沖縄へ?

 

震災の時、息子が1歳だったんですね。主人は「息子が小さいから、沖縄へ避難したほうがいい」って。私は「ムリ」って(笑)。だって私、ずっとファッションやりたいし、出産してようやく仕事に復帰したばっかりだし。でもだんだん、この食べ物息子に食べさせて大丈夫かな、とかすごく不安になってきて。周りの友人も沖縄へ行ってたので「じゃとりあえず2年間だけ、沖縄へ行ってみる」って。物件見るために、南城市のこの辺の道を走ってて、そしたらそれだけで「ここなんだ」って思ったんですよ。すごいノスタルジックな雰囲気で、育った群馬の自然とか、自然の中で遊んでた幼い頃が蘇ってきて、自分はこういうところ好きなんだなと思って。「ここに住む!」と思って(笑)。

 

– – -実際に住んでみて、どうでしたか? 都会に戻りたいとは思わなかった?

 

私は、パリにも行ったし、ニューヨークにも行ったし、自分は最先端なものを見てきて、情報も最先端なところにいた、みたいな気持ちでいたんです。でも沖縄で自然の中にポーンときた時に、私が住んでいるのは地球で、自然に生かされているのに、その地球のことを知らなかったと思って。私は、祖父母に育てられて、祖父母は農業をして自給自足の生活してて、お米から野菜から果物から育ててたのを見てきて、そういう祖父母に育てられた自分を思い出して。自分は、土と暮らしてきた先祖の末裔なのに、そこから違うことをしてきた。今、土と向き合わなかったら、自分の子供は食べ物を自分で育てるっていう知恵も知らないし、買うことしかできない。買うためにお金を稼いで、お金を稼ぐためにあくせく働かなきゃいけないっていうサイクルに行くんだって思ったときに、アブナイアブナイって(笑)。それで、大地に戻って、祖父母がしてきたことを子供に伝えたいなと思ったんですよ。すぐに畑を借りて、畑作業したら、やっぱり気持ちいいんですよね。子供って自然が大好きじゃないですか。虫触ったり「ママ、ピーマンなってる」って、子供の方が早く見つけてくれたり。自分たちで作った野菜を食べられる喜びを息子と味わうことができて、ほんとにありがたいな、幸せだなって。植物と生きるって間違いないなと思って。

 

これが20歳の頃とかだと、沖縄に来てもこんな風に感じられなかったと思うんですよ。やりたかった仕事をそれなりにやりきって、いいタイミングで母になったっていうのがね。自分がちゃんと目覚められる年になっていたし、優先順位が子供になっていたし。自分にとっていいタイミングだったんですよね。

 

NATURE PLANTS SKIN CARE

 

– – -今後、沖縄でやっていきたいことはありますか?

 

沖縄では好きなことやりたいなと思って。私、モデルさんだけじゃなくて、一般の人にも触れたいし、沖縄の地元の友達も欲しいし。メイクを教えて欲しいっていう人が出てきて、メイクしてあげたりすると、「わあ!!」ってすごい感動してくれるんですよね。今までモデルさんとかに綺麗なメイクしても、やられ慣れてるから感動とかされないんですよね。こっちでは、まつげ上げただけ、ファンデーション塗っただけで「わあ!!」って、もう感動が全然違うの。自分の顔に初めましてって感じで、喜んで帰ってくれる。やりがいあるなあって思ったんですよ。子供の虫刺されの痒みをさっと取ってくれる、びわの葉を煎じた化粧水作って「お母さん達、欲しい人は持って帰っていいよ」って保育園に置いておいたり。そしたら「またちょうだい、ちょうだい」って、「今年は掻きむしらないですんだ」ってすごく喜んでくれて。よかったなと思ってね。

 

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宮古島の麻炭、沖縄南部のクチャ、それに米ぬかやシナモンパウダーの入った、ボタニカル石鹸

 

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沖縄南部、理恵さんの作業場付近で採取したクチャ

 

– – -東京にいた頃にはできなかった身近なことが、理恵さんに新しい喜びをもたらしたのですね。

 

身近といえば、長命草ってあるじゃないですか。大手化粧品会社が長命草ドリンク出してますよね。長生きができる野草として、長命草を探すストーリーの海外ドラマがあったり。その辺に生えてる長命草ってすごいんだって思って。この石鹸に入れてるクチャも、この辺で取れるんですよ。クチャは汚れを吸着してデトックスしてくれるし、ミネラルがすごいでしょ。沖縄は、お宝がいっぱいなんですよ。知れば知るほど、すごいものがいっぱいある。ほんと、ここの大地はすごいですよ。今後は、もっと沖縄のもの、沖縄の椿オイルなんかも使っていきたいですね。

 

インタビュー・写真/和氣えり(編集部)

 

NATURE PLANTS SKIN CARE

 

NATURE PLANTS SKIN CARE
南城市大里古堅1436-2 ココアリエッタ301
098-946-9055
http://natureplantsskincare.com

 

TANAKA

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「ほんとはすごく人見知りなんです。それを克服じゃないけど、なるべく自分からお客さんに声をかけますね」

 

人見知りとは全く思えないほど、明るい笑顔で親しげに話してくれるのは、“古民家cafe喜色”店主、喜納朱里(きな あかり)さんだ。朱里さんは、「なんか見覚えのある顔」と思ったらすかさず声をかけるし、そうじゃなくてもきっかけを見つけては言葉をかける。

 

「本土のお客さんが『実は去年も来たんだ。今年も来れたよ〜』と応えてくださったり。観光客の方だったら、例えば『沖縄で何食べました?』って聞いて、お客さんが行きたがっているところのことを教えてあげたりしますね。沖縄の方だったら『沖縄の味、懐かしいんじゃないですか』って話しかけたり。大したことはしていないんですけど、何かお客さんの思い出になればいいなと思って」

 

話しかけるだけでなく「これ、ちょっと作ってみたんで」とか「隣のおじいが持ってきてくれたんで」と、テーブルに小皿や果物などを差し出してくれる。朱里さんのおもてなしは、自身のお祖母様を幼い頃から見てきたからかもしれない。

 

「そういえば私のおばあも、もてなし好き。子供や孫の好きな料理を覚えていて、いつも冷蔵庫や冷凍庫にストックしておいてくれるんです。行ったら、『アンタ、これ好きだったでしょー?』って、カメーカメーしてくれる。私が東京から帰省した時なんかは、大好物のコロッケを沢山作ってくれました」

 

築70年の古くて雰囲気のある琉球古民家、朱里さんの心のこもったおもてなし…。古民家cafe喜色には、おばあの家に遊びに来たような居心地の良さがある。

 

古民家cafe喜色

 

おもてなしの気持ちは、一番にお料理に表れる。看板メニューの“喜色御膳”は、優しい心遣いに溢れたものばかり。

 

例えば、ご飯に乗せられた佃煮。肉や野菜はもちろん、海藻や豆類など栄養バランスのよいおかずがたっぷりあって、ご飯にもうっすらと味が付いているのに、更に手作りの佃煮が乗っていることに、じわりと嬉しさがこみ上げる。パパイヤチャンプルーには、目を見張るほどたっぷりの昆布が。出汁をとった後の昆布の始末かと思ったが、そうではない。チャンプルー用だけに昆布をたっぷりと使っている。島豆腐をあぐー豚で巻いた肉巻きなど、どのおかずも、ほっこりと優しい甘さを含んでいて、箸を口に運ぶ度に癒される。

 

古民家cafe喜色

ご飯は、沖縄のスーパーフード、サトウキビの繊維を発酵させて粉末にしたものを混ぜて炊いた、サトウキビご飯。黒糖の香りがほんのり漂う。

 

古民家cafe喜色

前菜3種に、このお重、ゆし豆腐のつく喜色御膳。ゆし豆腐は自家製で、ふんわりと柔らかく、特にファンが多い。

 

「あえて甘めにしているわけじゃなくて、元々のうちの家庭の味に近いかも。『ここのご飯を食べると元気になる』とわざわざ疲れている時に来てくださるお客さんもいますね(笑)。佃煮はうちの定番で、国産大豆を出汁で固めに炊いて、じゃこと島野菜のンスナバーで煮た佃煮です。うちで『ご飯と合うよね〜』って食べているので、お店でも、ご飯がいっぱいすすむようにと乗せました(笑)」

 

喜色のご飯は、喜納家の味。お料理を作るのは、朱里さんのお母様の末子さん。末子さんは長年、老人福祉施設で調理を担当してきただけあって、その味の優しさに納得した。

 

古民家cafe喜色

朱里さんの手作りケーキ、紅いもタルト。食器は、地元の古我知焼(こがちやき)

 

古民家cafe喜色

同じく朱里さんの手作り、泡盛にコーヒー豆を漬けた自家製のコーヒー・リキュールを使ったチーズケーキ

 

朱里さんは「せっかくここまで来てもらったんだから」と何度も口にする。カフェ喜色があるのは、観光客で賑わう古宇利島の手前に位置する屋我地島。この島は通り過ぎるだけの人が多い。朱里さんの言葉は、わざわざやんばるまで来てくれたという思いと、わざわざこの島に立ち寄ってくれたという、お客への感謝の気持ちから出てくるもの。

 

「オープンして約4年になりますけど、オープン当初はいわゆるカフェご飯で、ハンバーグとかの洋食を出していたんです。でも、せっかくここまで来てくれたんだからと、地元の食材を使う今のスタイルに落ち着きました」

 

料理を運ぶ朱里さんが、食材などの説明をしてくれるので、いかに地元のものを多く使っているかがわかる。屋我地島産の海ぶどうやもずくを使い、はちみつが取れる時期には、そのはちみつでケーキやパフェを作る。あぐー豚は、朱里さんの同級生が育てる羽地産だ。どれもメニューありきで食材を探すのではなく、生産者とのご縁がまずあって、その食材を使わせてもらうというスタイル。

 

古民家cafe喜色

 

古民家cafe喜色

 

「たまたまお店始める前に、久しぶりに同級生に会って『あぐーを育ててる』って話を聞いて。だったらそのあぐーを使わせてもらいたいねって、メニューを考えました。はちみつも、この島で養蜂をやっている三浦さんが、たまたまうちに食事に来て『実は養蜂やってて、はちみつができたんです』って持ってきてくれて。すごくおいしかったので『ぜひ使わせて下さい』って。人とのつながりってほんと大事だなって、お店を始めてからますます思いますね」

 

地元のものを多く使うのは、地元への恩返しと朱里さんは言う。

 

「この島の人に本当に助けてもらってるんですよね。ご近所さんが、この店を知り合いに紹介してくれたり、お店がわかりづらい場所にあるので、迷ってるお客さんを案内してくれたり。島の小学生が、自転車で連れてきてくれたりもするんです。お隣さんが『パインができた、野菜ができたから使って』って持って来てくださったり。本当に皆さんにお世話になってるので、屋我地の発展に少しでも貢献できたらと思いますね」

 

古民家cafe喜色

 

地元に根ざした店でありたいと同時に、小さくやっていけたらいいと微笑む。

 

「例えば席数を増やして、お客さんいっぱいで対応が手薄になって、残念な感じで帰ってもらうよりは、小さいながらもきちんと目配りして、お客さんに満足して帰ってもらいたいです。家族でやっている小さなお店ですから。おばあの家、親戚の家に来たみたいに、ゆっくりしてもらえれたら嬉しいですね」

 

朱里さんは、一人ひとりのお客を大切にして喜んでもらいたいという思いを、店名にも込めた。

 

「お店の名前の由来になっているのは、“喜色満面”っていう四字熟語なんです。自分も相手もみんなが笑顔に、幸せになるっていう意味で。うちの名字が喜納なので、“喜ぶ”という字は入れたいねって。自分の名前についてなんとも思ってなかったんですけど、内地にいたときに『喜びを納めるってすごいいい名字だね』って言ってもらったことがあって。それで名字の一文字を入れようと思ったんです」

 

喜納さんちの喜色満面の口福御膳。手作りのお料理の優しさだけではない、朱里さんと交わす楽しい会話も、喜色での忘れがたい思い出になるに違いない。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

古民家cafe喜色

 

古民家cafe喜色-Kiiro-
名護市饒平名19
0980-52-8126
open 11:00〜18:00(LO.食事はなくなり次第終了)
close 月・火
https://www.facebook.com/kominnka.cafe.kiiro/?fref=ts

 

TANAKA

ちるり

 

プルプルでトロトロ。それは、沖縄では初めての盛岡冷麺専門店、”ちるり”の冷麺のスープのことだ。牛とわかるコクの香りがふんわりと漂い、その味は、さっぱりとヘルシー。冷たさと相まって、トゥルトゥルと気持ちよく喉を通り過ぎていく。粗挽きの黒胡椒がピリリと、アクセントをつける。

 

しばらくすると、プルプルしていたスープがサラサラに。その頃に、パパイヤキムチを投入。透明感のある赤に染まったスープは、キムチの旨みと辛み、甘みが重なって、これまでとは全く別物に。好みでお酢を入れて、さらにさっぱりさせるのもいい。1つの丼で色々な食感と味がやってくるのが、なんとも楽しい。

 

「スープが最初トロトロなのは、コラーゲンが溶け出ているからですね。牛骨、牛すじ、アキレス腱からスープをとっているんですけど、アキレス腱がすごい溶けているんで。食べている間に常温になってくると、サラサラのスープになるんです」

 

スープの変化の理由を教えてくれるのは、店主の佐藤健司さん。雑味のない味は、長い時間をかけて丁寧にスープをとっているから。

 

「弱火で9時間ですね。強火でガンガン炊いて4時間くらいで取れるんじゃないのかと思うんだけど、そうすると骨とかが砕けて、雑味がすごい出てくるんです。だから沸騰したらずっと弱火。牛と一緒に、セロリやネギ、ニンニクの香味野菜も一緒に入れるんですよ。スープがとれたら、まず冷やすんです。冷えたら油が固まるんで、油を取り除いて、それから目の細かいキッチンペーパーで濾して。だから油が浮いてなくて、骨のざらつきとかが一切ないスープになるんです」

 

ちるり

コチュジャンベースの旨辛ダレのかかる、汁なしの冷麺、ビビン麺

 

そもそも冷麺は、朝鮮半島発祥の食べ物。麺にそば粉やどんぐり粉が入り、黒くて細い麺なのが特徴。盛岡冷麺は、岩手に住んでいた半島出身者が、自身の営む焼肉屋で平壌冷麺を出したのが始まり。けれど黒くて細い麺が受け入れられず、じゃがいものでんぷんで作る白くて太い麺に徐々に変わっていった。この麺の冷麺が盛岡冷麺だ。ちるりの麺も、盛岡から取り寄せているそれ。何と言ってもコシが強く、弾力と噛みごたえがある。そしてスープの味をしっかりと纏う。

 

麺は盛岡のものだけれども、スープの材料や作り方は、一般的な盛岡冷麺とは少し異なると佐藤さんは言う。

 

「普通冷麺は、カルビのちょっと固い部分とかでスープをとるんです。一般に焼肉屋さんが出すものなんで、焼肉屋で余った材料を使うんです。それに香味野菜とかも入れないですね。あと僕は、昆布とか鰹節の醤油ベースの元ダレを作っているんですね。その元ダレを牛のスープで割っているんですよ。だからラーメンに近い作り方というか。多分これを盛岡で出したら賛否両論だと思います。盛岡冷麺とはこういうものっていうのが、ほぼ固まってますからね(笑)」

 

ちるり

 

佐藤さんはこれまで、焼肉店や、ホルモン焼き屋、ラーメン屋、中華料理店などで、料理人として腕を奮ってきた。冷麺にこれほどのオリジナリティを出せるのは、様々な店で修業を積み、幅広い知識と経験があるから。しかしそれ以上に佐藤さんには、冷麺のイメージを覆したいという思いがある。

 

「盛岡冷麺って昔からほとんど変わってないんですよ。冷麺って基本こうだっていうイメージがあると思うんだけど、俺はあえて色んな食べ方ができるんだよっていう提案をしたいんです。例えば、温麺っていう温かい麺も出しているんですけど、盛岡では、ユッケジャンスープみたいな辛いスープがベーシックなんです。けど、うちは冷麺と同じスープを塩で味付けして、パクチー入れて、フォーみたいにして出しているんです。麺も太麺がポピュラーだけど、フォーに寄せてあえて平麺にしています。寒い時期になってきたら、味噌ベースの温麺だったり、トムヤム温麺だったり、モツ鍋のシメにっていうのを考えています。色んな味のバリエーションがある、だけど、麺はこの特徴ある盛岡冷麺だよっていうのをやりたいんですよ。盛岡から離れている沖縄だからこそ、自由にできるかなって」

 

ちるり

牛ハラミ(手前)と、ラム肉の上にたっぷりのパクチーが乗ったラムパクチー

 

ちるり

軟骨入りつくねを串から外して、生のピーマンでくるんでいただく、”つくP”

 

チャレンジングなスープ以外に、盛岡冷麺を初めて食べるウチナンチュに合わせたアレンジも。

 

「おじいおばあに食べてもらうと、『コシがあって固いから、柔らかく茹でろ』って言われるんですよ(笑)。だから細麺の方が食べやすいかなと、細麺も置いています。それに沖縄の人、辛いのが苦手な人が多いでしょ。だからそういう人のために、キムチは最初から入れずに、好きな量を入れられるように別皿で出しているんです。キムチ入れない人のために、調味料的に胡椒を入れてるんですよね。そこはもうみんなが好きなように食べてくれればいいかな」

 

子供の頃から食べていて好きだから、美味しいから皆にも勧めたい、冷麺を、ラーメンのように馴染みのあるものにしたいという思いが、佐藤さんにはある。ちるりはランチだけでなく、夜は串焼き等も出す飲み屋さん。しかし冷麺を広めたいとの思いから、夜に冷麺だけを食べに来てくれるのでも構わないと、佐藤さんは言う。

 

「女性で一人で来る方も、多いですよ。ハラミとかラムパクチーの串1,2本食べて、瓶ビール飲んで、冷麺でシメて帰るとか。カウンターがメインの店なんで、来やすいかもしれないですね」

 

ちるり

秋田のいぶりがっこを使ったポテトサラダ、新潟の厚い油揚げ料理の栃尾揚げなど、東北、北陸地方の料理も

 

ちるり

 

佐藤さんは、そのカウンターを作ることにこだわった。なぜなら、お客と会話を交わしたいから。

 

「とにかくカウンターは作ろうと。設計図なんて全然決まってないんだけど、カウンター作ろうって大工の人とそれだけ(笑)。煙と熱が出るから調理台の前にガラスを貼れって言われたんだけど、話ができないからイヤだって言って、付けてない(笑)。お客さんからもよく言われるんです。『昼はチョー無愛想なのに、夜はベッラベラ喋ってるね』って。昼は時間に制限がある人が多いじゃないですか。ラーメン屋だって、お店の人ラーメン作りながら喋らないでしょ。昼はそういうもんだと思ってる。でも夜は、お客さんと喋って、自分も飲んだりして。飲み屋って、楽しくなければならないところだと思ってるんで」

 

その言葉を具現するように、率先して楽しい場を作っているのが佐藤さんだ。岩手県出身者が多く来店することもあって、岩手県人会を開催するようになった。

 

「『僕、岩手出身なんですよ、岩手出身なんですか?』って人が結構多くて。地元の先輩が『だったら県人会やろうよ』って言って、他のお客さんが、『WANTED 岩手県人』っていう張り紙を作ってきてくれたんです(笑)。僕もお客さんに連絡先聞いてるわけじゃないから、張り紙貼って、『第三水曜にやってるから、よかったら来てよ』って話したりして。方言言いながら、『昔、こういうCMあったよね、懐かしい!』とか、他愛もない感じですけどね。盛岡には3大麺料理ていうのがあって、冷麺とわんこそばと、じゃじゃ麺。じゃじゃ麺はうどんの麺で、塩っぱい味噌に、好みでニンニク、生姜、ラー油とかで自分好みの味にして、食べ終わったらそこに生卵を溶き入れて、うどんの茹で汁を注いて、卵スープにして。それにまた自分で好きなように薬味をいれて、最後それを飲むっていう料理なんだけど。麺は、冷麺と同じ製麺所から取れるので、取り寄せて、最後にみんなに振る舞ったんですよ。『大、中、小どれにする?』『私、小!』みたいなね。みんなに集まってもらって、楽しくしてもらったらいいなと」

 

ちるり

 

佐藤さんの、(昼間はちょっと無愛想だけど、素は)おしゃべり好きで、面倒見のいいお兄さんという人柄もあってか、ここでは皆が、リラックスして楽しんでいる。これは、”ちるり”という店名に込められた思いそのもの。

 

「”chill out space”とか”chill out music”とか、チルとかチルアウトって言葉があるんですよね。『チルしに行こうよ』とか『チルリに行く?』って言ったりするんだけど、そういうところからの”ちるり”なんですよ。ゆっくり遊びに行くというか、リラックスしに行くっていうイメージでつけたんです。お客さんと話しながら、冷麺や串を食べてもらって、美味しいねって満足して帰ってもらえれば、このスペースとしてはいいかな」

 

ちるりというこの場所と、佐藤さんは、型にはまらなくて、自由で、楽しい。ちるりの冷麺そのものだ。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

ちるり

 

chillri(ちるり)
那覇市牧志3-3-14
098-943-2611
12:00〜14:30(LO)
18:00〜23:00(LO)
close 木曜・最終日曜

 

TANAKA

星のたね

 

「バランスよく食べることって、自分が食べたいとか美味しいって思える物をほどよくいただくということだと思うんです。お肉だろうがお魚だろうが、それぞれでいいんですよね。美味しいご飯をお友達と一緒に食べて、美味しかったね、楽しかったねっていうんで、いいんじゃないって」

 

ビーガンカフェ“星のたね”の店主、やまむらさなえさんは、そう言って微笑む。動物性の食材は食べないからといって堅苦しいことは何もなく、ビーガンの人もそうじゃない人も、ここでの食事を楽しんで欲しいというのが、さなえさんの願いだ。

 

だからさなえさんのお料理には、食べることを楽しむための工夫が散りばめられている。

 

星のたね

手前から時計回りに、豆腐と雑穀のハンバーグ、五分づきご飯、黒米と野菜の生春巻き、揚げ島豆腐甘酒ダレ漬け。毎週、異なる内容で、趣向を凝らしたおかずが並ぶ。

 

星のたね

揚げた島豆腐には、甘酒ダレに漬け込んだシカクマメとエリンギのソテー、つるむらさきの花を添えて

 

まず目を引くのは色味の楽しさ。プレートからは、生き生きとしたグリーンや、滋味深い紫が溢れ、スープカップからは、鮮やかなピンクやまろやかな黄色が覗く。鮮烈な色味の配置と豊かさに、思わず笑みがこぼれる。

 

そしてその工夫は、食感にも。島豆腐のハンバーグは、跳ね返す弾力が肉のようだし、ハンバーガーのひよこ豆パテは、外側はカリッと中はホクホクだ。

 

「ハンバーグの島豆腐は、2種類入れているんです。水切りしたものと、冷凍して凍り豆腐にしたもの。凍り豆腐にすると歯ごたえが出て美味しいかなって。でもそれだけだと味が単調になるので、水切りしただけの島豆腐も入れているんです。食感の変化を出すのに、押し麦も入れています。ハンバーガーのパテは、ファラフェルというひよこ豆のコロッケをアレンジしました。ひよこ豆は、荒いのとすごく細かくしたのとを入れています。荒いと、ひよこ豆のカリッとした食感が出て美味しいんですよね。でもそれだけだとつなぎにならなくて。あんまり粉を入れたくないので、細かいひよこ豆でつなぎにしています」

 

星のたね

ひよこ豆のパテには、練りゴマとスパイスの入ったタヒニソース、自家製ハバネロオイルの入ったトマトソースがかかる。

 

さらに洗練された味の組み合わせも、工夫のひとつ。生春巻きに爽やかな風を感じるのは、意外なアクセントを忍ばせているから。

 

「バジルの生のリーフを入れています。黒米を入れて海苔を巻いて海苔巻き風の生春巻きだけど、そこにバジルの香りがふわっとしたら美味しいだろうなと思って。ペーストで入れることも考えたんですけど、生のリーフが爽やかかなと」

 

冷たいスープは、なんと果物をメインに。

 

「ピンクのスープは、ドラゴンフルーツのガスパチョです。普通のガスパチョにはきゅうりが入ったり、ナツメグやバルサミコが入って、ちょっと強い感じなんですけど、ドラゴンの色を活かした優しい味にしたくて。でもドラゴンだけだと旨みが足りないので、トマトと玉ねぎで補っています。最近はちょっとミスマッチな感じが面白くなってきて。農家さんから直接、様々なハーブや野菜が手に入るし、これとこれを合わせたらどうだろうとか、冬瓜を焼いてみたらどうだろうとか、色々試作します。食べてみて、これも悪くないって(笑)」

 

星のたね

 

星のたね

 

直感で食材や調理法を選ぶというが、その味は計算されたように刺激や旨みのバランスがいい。島かぼちゃのスープに、島唐辛子でピリリとアクセントを加えたり、揚げた豆腐を、甘酒とニンニクの入った旨みたっぷりの醤油ダレで漬けたり。ありがちな味で終わらせないのが、さなえさんのお料理だ。

 

さなえさんのそのセンスの良さが、見た目の美しさや、食感の良さ、味の驚きを生む。そして美味しい、楽しいへと繋がっていく。さなえさんがこれほどまでに“食事を楽しんで欲しい”との思いを抱くのは、さなえさん自身、食べることを楽しめなかった経験があるからだ。

 

星のたね

シークワーサーカードと、豆乳クリームのタルト

 

星のたね

岸本ファームのハーブをふんだんに使ったハーブティー。レモングラス、クールミント、レモンバーム、ホーリーバジルなど

 

「病気をして、友人から『食事を見直してみたら』とアドバスをもらって、食事療法を始めたんです。痛みや苦しみから逃れたい、早くなんとかしたい、この現状から脱したいって、私、すごくストイックだったんです。野菜の切り方やらなんやら、ストイックに守って、『こうしないといけない、ああしないといけない』っていう気持ちになっちゃって。げっそり痩せて、ほんとにね、引きこもり状態。外にも出れなくなっちゃって、人との約束もできなかったんです。『こうすれば病気が治ったって書いてあるから、私もそうしなきゃ』って思っちゃってるから、周りの人の言うことも聞けなかったですね。偏った気持ちでやり過ぎてしまったら、食べることが楽しくなくなっちゃったんですよね」

 

本来食べることがすごく好きだったという。ストイックな自分に嫌気がさして、偏った気持ちに終止符を打った。

 

「『もういいや、自分の好きなようにやろう』って開き直ったんです。好きなように食事をし出したら、やっぱり楽しいんですね。無理のない範囲でやって、楽しく食事をしていたら、心とか色々なバランスが取れたんでしょうね、初めて体調がよくなったんです。医学的に言うと、免疫力があがったというか。心と体は繋がってるんだって、実感できました」

 

自分が食べたいものを、食べたい分だけ食べる。食事を楽しめるようになったさなえさんだが、食事を作ってお客に食べてもらう楽しさに出会うまでには、更に長い時間が必要だった。

 

星のたね

販売を予定している、さなえさんお手製ココナッツオイルのビーガンバター

 

「20年前にも飲食業をやっていたんですよ。忙しくて体を壊して、もう二度とやるまいって思っていたんです(笑)。両親が、地元の大阪で喫茶店を経営していて。ある日、母親が入院してしまって、私しか手伝える人がいなくて。その時、大好きなインテリア関係の仕事をしていたんですけど、会社を休職して、母が亡くなった後は、結局退職して手伝いました。その時は、飲食業を楽しめなかったですね、無理やり働かされているみたいな感覚で。東京へ転勤になった主人と別居になって、そういうこともあってか、だんだん私の体が弱ってきて。まず婦人科系が悪くなって、ギックリ腰はもう何回も。最後は立てなくなって、ほふく前進していました(笑)」

 

そんな状態を見かねて、お父様はようやくさなえさんを店から解放した。リハビリをして電車に乗れるようになった頃、ご主人の待つ東京へ。息子さんを出産し、震災をきっかけに沖縄へ移住。沖縄へ来てさなえさんの心を捉えたのは、沖縄の豊富で新鮮な島野菜だった。

 

星のたね

 

星のたね

 

「市場が一番衝撃でしたね。おもしろーいって思って。新鮮なバジルがこんなに入って100円!とか。興奮して、あれもこれもって、どんだけ買うんだってくらいの量を買って、なんだかんだといっぱい料理して。3人家族なのに、どんだけの家族なんだ、みたいなね。苦いものは、ものすごく苦いし、形は面白いし、向こうでは高価な果物がこっちだと普通に手に入ったり。楽しかったですね」

 

市場に通い野菜料理を作っているうちに、島野菜がどのように育てられているのか知りたくなった。援農に参加し、田んぼで泥まみれになって田植えしたことで、「やっぱり土はいい、自分に合っている」と確信したそう。自然と興味は農業へ。農薬に使わずに果物を栽培する海音(かのん)の森や、同じく農薬を使わないハーブ農家の岸本ファームなどで、週に何度も畑仕事を手伝った。同時に、いただいた野菜でお菓子を作っては、昼食時に食べてもらったりしていたという。そのお菓子を喜んでもらったことがきっかけで、さなえさんはもう一度飲食業に就こうと決意する。

 

「岸本さんに『うちのバジルで何か作って』と言われて、スイートバジルとカカオのマフィンを作ったんですよ。『美味しい』って喜んでもらって、『これ、イベントで出すから』って、選んでもらって、すごく嬉しかったですね。自分の作ったものが、人の手に渡っていくってなかなかないじゃないですか。オレガノやローズマリーを使ったビスコッティや、島かぼちゃのマフィン、サクナとかフーチバーのケーキを焼いたりしましたね。そんな時に、研修生として採用するからどうかというお話があって、その時に農家になろうか、料理をする方にまわろうか、悩みました。農業を垣間見て、この仕事の厳しさがよくわかったし、自分にどれだけの力があるかっていうのも歴然としていました。農業は好きだけど、中途半端はいけないと思って、私は『料理を作るほうで頑張ります』ということにしたんです。本土にいた時は、自分で何かをするって思わなかったと思うんですよ。沖縄の土地のエネルギーってすごいですよね。沖縄に来てから『生きてる』って感じがしています(笑)」

 

星のたね

 

その後、東京へ通い、バターや卵を使わないスイーツ作りを本格的に学んだ。また名護にあるSanctuary void cafeで週に1度、ワンデイシェフとしてランチを出した。ああでもないこうでもないと毎週試作に励み、レパートリーを増やした7ヶ月を経て、“星のたね”をオープンさせたのが、2015年9月。

 

「内装はね、つぎはぎなんですよ。照明も最初なくて、お金が少しできたら1個増え、1個増えで。ほんとは窓際に席を作ろうと思ったんですけど、とにかく家具が買えなくて(笑)。とりあえず今は10席。おいおい席も増やしていこうと思っています」

 

決して無理をせず、できる範囲でやっていく。“からだにやさしくて、食べてしあわせを感じるごはん”を、何より自身が楽しい気持ちで作る。いつも「美味しくなりますように」と野菜たちに声をかけながら、キッチンに立つさなえさん。さなえさんは今、そんな自分を目一杯楽しんでいる。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

星のたねwidth=

 

星のたね
中頭郡北中城村島袋1335 Casa del Sol
098-930-3293
open 木・金・土(料理教室の場合もあり)
11:30〜15:00(Lo)15:30(Close)
http://hoshitane.exblog.jp
https://www.facebook.com/星のたね-959226960770552/

 

TANAKA

味噌めしやまるたま

 

焼き鮭にかかったソースは、こっくりとしてまろやか。サラダのドレッシングは、爽やかな酸味の中に大豆の風味が香る。漬物は、発酵の旨みを充満させ、なんといってもお味噌汁は、奥深く懐かしい味わいだ。

 

定食のおかずのほとんどに使われ、これらの様々な表情を見せてくれるのは、なんとお味噌。”味噌めしやまるたま”は、琉球王朝御用達で創業160余年になる”玉那覇味噌”を使った、味噌料理専門店。

 

1つの定食に味噌がふんだんに使われているのに、なぜ全く飽きがこないのだろう? 店主の中西武久さんが、その秘密を教えてくれる。

 

「定食の中でも、味噌の味を出すもの、コクを出すもの、風味を出すもの、色々と使い分けているからですね。お味噌汁は、味噌本来の味を楽しんでもらえるよう、カツオの香りを効かせすぎない出汁にしています。鮭にかかっているソースは、サバの味噌煮定食でサバを煮て余った味噌ダレをかけているんです。だからサバのコクも加わっているでしょう。漬物は、普通にぬか漬けっぽいんですけど、ぬかは一切使っていなくて、味噌とお酢をブレンドしたもので漬けているんです」

 

味噌めしやまるたま

朝味噌めしの、焼きサーモン味噌ソース定食。お米は熊本県産自然栽培玄米。白米か玄米を選べる。野菜は、沖縄県産有機野菜を中心に仕入れるという、こだわりよう。

 

味噌めしやまるたま

 

味噌めしやまるたま

 

ぬか漬けのような発酵を感じさせる漬物は、味噌の中で菌が生きているからこそ。味付けのためだけでなく、こんな使い方もできるなんて。さらに中西さんは、数種の味噌の使い分けまで教えてくれる。

 

「うちでは、3種類の味噌を使い分けています。米味噌で、3ヶ月から半年間熟成させた比較的若い”首里味噌”、米麹と麦麹を合わせた”合わせ味噌”、国産大豆を使って半年以上熟成させた”王朝味噌”ですね。熟成期間が長いほどいいと思われがちですけど、若い味噌じゃないと出せない味もあるんですよ。うちでも人気のイナムドゥチの甘みは、若い味噌じゃないと出せないです。若いとまだ発酵が進んでいなくて、米と大豆と塩がまだバラバラな状態。米の甘さが残ってるんで、甘いんですね。うちでは”首里味噌”を使っています」

 

味噌めしやまるたま

 

味噌めしやまるたま

紅豚肩ロース生姜焼き。ニンニクの効いた味噌ダレが柔らかな豚肉にしっかり染みこんでいて、ご飯がすすむ。

 

加えて、味噌めしやまるたまでは、朝、昼、夜それぞれで、味噌料理の異なる楽しみ方を提案してくれる。

 

「味噌汁を飲みたいのは朝だろうってことで、朝からオープンして、おにぎりやお味噌汁、定食などを用意しています。この辺りは官公庁が多いので、通勤がてらの朝食に使って欲しいですね。コンビニで朝食を買ってる人が多いけど、だったらここで買ってもらったらいいかなと(笑)。おにぎりや、お湯を注ぐだけのお味噌汁のテイクアウトもやっています。ランチは、みんなが『食べたい!』って思うような、わかりやすいメニューを揃えています。紅豚肩ロースの生姜焼き定食や、サバの味噌煮定食とか。夜は味噌の使い方のバリエーションをお見せしたいですね。こんな風に使ったらコクが出て美味しいよっていう。例えばこのピザは、トマトソースに味噌を加えているんです。コクが出るし、チーズとも相性がいいでしょう? 味噌は発酵食品なんで、発酵食品同士で、相性がいいんです。発酵食品といえば、味噌料理にワインも意外と合うんですよ」

 

まるたまでは、ビールや泡盛、日本酒などの他、国産ワインも8種類ほど揃えている。お酒とともに、”5種の味噌食べ比べ”で、味噌の材料や熟成度合いの違いを味わったり、”スチーム野菜の味噌フォンデュ”などの洋風味噌料理を楽しんだり…。味噌の新しい発見ができるのが、夜のまるたまだ。

 

味噌めしやまるたま

味噌トマトソースの豚ニラピザ

 

味噌めしやまるたま

5種の味噌食べ比べ、スティック野菜添え

 

「僕もそうだったんですけど、味噌って家の冷蔵庫に3ヶ月も4ヶ月も入ったままになってませんか? 味噌って、知られていないだけで本当に奥が深い調味料だから、もっと使ってほしいなと思うんですよ。味噌汁とかンブシーだけじゃなく」

 

実際、中西さんも、味噌の使い勝手の良さに惚れ込んだ一人。まるたまをオープンさせるにあたり、編み出した味噌料理レシピは、なんと数十種類。これ美味しそう、作れるなと思ったものも含めれば、100や200にものぼるという。

 

「普段醤油を使っているところを、そのまま味噌に変えたらいいんです。うちの生姜焼きも、醤油ダレを味噌ダレに変えてみたところ、イケるなと。意外といいねっていうのいっぱいあるんですよ。例えば、このローストポーク。僕の父方の祖母の家は、盆とか正月とか、人が集まるときは、必ずローストビーフやローストポークを焼くんです。僕も作り方を教えてもらって、友達が集まる時に持って行ったりしていたんです。ソースは、焼いた時に出た肉汁にワインと醤油を入れた、いわゆるグレービーソースを作っていて。今回お店で出すってなった時にどうしようかなと。『そっか、醤油を味噌に変えればいいんだ』と思って。焼く時に焦げないように下に玉ねぎを敷いているんですけど、その玉ねぎを刻んで入れて、醤油を味噌に変えて、乗せダレにしました。最近では、これ食べたいって思ったら、こうやったらできるなっていうのがスタッフ共々わかるようになってきましたね。うちのスタッフは元々洋食店で働いていて、『タコバジルも味噌でできますよ』とか提案してくれます。タコとバジルを醤油でマリネしてたのを、味噌でマリネしてみたら、おーいいねって」

 

味噌めしやまるたま

紅豚ローストポーク

 

味噌めしやまるたま

 

数あるレシピのうち、厳選した数種がメニューを飾り、今も新たなメニュー開発に余念がない。中西さんがこれほどまでに味噌、いや”玉那覇味噌”に情熱を傾けるのは、この味噌が本当に素晴らしい味噌だと実感しているから。

 

首里に工場を構える玉那覇味噌は、中西さんの母方のご実家が代々営む、老舗の味噌屋。東京生まれ東京育ちの中西さんは、幼い頃から夏休みの度に沖縄で過ごし、工場の庭で遊んでいた。

 

「3代目の僕の祖母は、一昨年、103歳で他界したんですけど、80歳を越えても現場で一生懸命味噌作りをしていた人だったんです。祖母が元気なうちは大丈夫だろうけど、もし亡くなってしまったら、味噌はどうなってしまうんだろうっていう不安がありました。どうしてかというと、親戚の中で『もう味噌作りをやめてしまおう』って話があがったことがあったんですよね。肉体労働で重労働だし、昔からいるスタッフさんは高齢化してきているし、けどなかなか新しい人も入らないし」

 

味噌めしやまるたま

工場で実際に使われていた味噌作りの桶をインテリアに

 

味噌めしやまるたま

 

存続が難しいとはいえ、なんとか続けてもらえないかと考えていた中西さん。

 

「160数年続いているものなんて、お金を出したって買えないもの。今まで祖先が一生懸命作ってきたものをやめるなんて、そんな馬鹿げたことはないって。やめるのは簡単ですよ。でも1回やめてしまったら、また作ろうって思っても、もうできないですよ。味噌作りに欠かせない麹菌って、家に住み着いているんです。工場の中にも沢山住み着いていて、そういう場所があるからこそ、味噌ができるんです。戦争の時、攻撃を受けて工場が1回潰れたんですよね。ただ運よく、菌が住み着いている梁が燃えなかった。それを防空壕に入れて、戦後それをまた出して組み立てて工場に使って。だから、今も菌が生きているんです。168年9年くらい前からずっと積み重なってきたものが、今の味噌なんです。味噌を自分で作っている人はいっぱいいるけど、ここの工場と同じ味は出ないですよ。ここで生きてる菌が勝手に美味しくしてくれているんです。もしやめるんだったら、『梁だけちょうだい』って言いますね。『僕が工場作るから』って(笑)」

 

味噌めしやまるたま

 

味噌めしやまるたま

 

味噌めしやまるたま

 

東京で全く別の仕事をしていた中西さんだったが、工場がなくなってしまうかもしれないという危機感もあり、沖縄への移住を決意した。

 

「小さい頃から、この味噌を食べてはいたんですけど、東京だったから常にあったわけじゃなくて、僕もそんなに味噌汁とか飲む方じゃなかったんです。でもこっち来た時に、工場を手伝ったりして、ホントにちゃんと作ってるし、もちろん無添加だし、この味噌いいよねって再確認して。それに沖縄は落ち着くし、合うなっていうのがありました。このタイミングで行かなければ、もう一生行かないだろうなって思って、そうなったら後悔するだろうから、行っちゃえって」

 

移住後中西さんは、この味噌をもっと知ってほしいとネットでの販売を始めた。けれど、もう一歩踏み込んだ販売をしようと思ったのが2年前。

 

味噌めしやまるたま

 

味噌めしやまるたま

 

「ネット通販だとどうしても片手間になっちゃうんで、それじゃあダメだと、本格的に味噌を販売していくことにしたんです。じゃあどうしようかと思った時に、お店を出すのが一番いいなと思って。味噌料理を食べてもらって、玉那覇味噌を知ってもらおう、買ってもらおうって」

 

飲食店の経営はおろか、勤めた経験もなかった中西さんは、友人を誘って1年半程かけて毎週気になる飲食店へ出かけては、マーケティングを開始した。その甲斐あってか、まるたまはオープン当初からお客が列を作るほどの人気で、オープンから半年経った今も客足は衰えない。代々受け継がれてきた味噌を守るための努力が、しっかりと実を結んでいる。

 

味噌めしやまるたま

 

「改めて、味噌ってほんとすごい調味料だと思っています」

 

そう確信を持って言う中西さんは、祖先が作り上げてきたこの味噌に、誇りと自信を覗かせる。琉球王朝時代から食べられてきた伝統の味噌に今、”味噌めしやまるたま”という力強さと新しさが加わった。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

味噌めしやまるたま

 

味噌めしや まるたま
那覇市泉崎2-4-3 1F
098-831-7656
朝 7:30〜10:00
昼 10:00〜14:00
夜 17:00〜22:00
close 日
http://marutama-miso.com
https://www.facebook.com/tamanahamiso/

 

TANAKA

ナイスネス

 

ネパールカレーについて知らなければ、そのさらりとした優しさに驚くはず。勝手に想像していたのは、スパイスたっぷり、ガツンと辛く、パンチの効いたカレー。けれど、nicenessのカレーは、拍子抜けするくらいに刺激が少なく、すっと舌に馴染む。刺激の代わりに広がるのは、野菜や豆の、素材から引き出されるしみじみとした旨み。ネパールカレーという馴染みのないカレーながら、なぜか懐かしい感覚に捕らわれる。じんわりとしてほっとする。

 

niceness店主、桒原(くわはら)伸弘さんには、目指している味がある。

 

「滋味深い味を出したいと思っていて。やんばるの野菜自体が美味しいから、それを引き出す感じがいいなと思っています。野菜にもよりますけど、炒め蒸しにしたり。豆のカレーには、昆布と干し椎茸からとった出汁を加えているんです。元々この出汁を家で使っていて、加えてみたらいいなと思ったので」

 

ナイスネス

この日の野菜のカレーには、マシューラというネパールの大豆たんぱく、クーガ芋というやんばる在来種で長芋に似た芋、それにモウイが。豆のカレーには、”うすいえんどう豆”という和歌山の自然栽培の豆や、緑豆など。付け合せは、ニンジンのアチャール、キャベツのサラダ、ゴーヤーのタルカリ、かぼちゃと紅いもの天ぷら、島豆腐と小松菜のタルカリ。ご飯のお米はほぼ地元産で、分搗き具合は季節により変える。

 

本場のネパールカレーとは少し異なる、伸弘さんならではのオリジナリティは、スパイスの使い方にも。

 

「スパイスも香りを強くしたければ、油にしっかり香りを移せばいいんだけど、でもそれも好みですよね。あんまりスパイスが強烈なのは、日本人の口に合わないんじゃないかな」

 

8種ほど加えられているスパイスの香りは、心地よく鼻をくすぐる程度におさえられている。あくまでも主役は野菜。ここではスパイスですら、野菜の滋味深さを活かすもの。

 

ナイスネス

お金に頼らない暮らしをしたいと、1年程かけて自分達で店を建てた。

 

伸弘さんの工夫は、味だけにとどまらない。体にいいものを、と食養生にも気を配る。共に店を切り盛りする奥様の悠子さんが、教えてくれる。

 

「消化力に重点を置くアーユルヴェーダや、陰陽のバランスを取るマクロビオティックを取り入れているんです。豆のカレーに昆布出汁を入れるの、組み合わせがいいんですよね。豆はお腹にガスが溜まりやすくって、昆布はそれを抑制してくれる力があるって。それからご飯は、白米と玄米を混ぜているんです。玄米だけだと、よく噛まないと消化にあまりよくないし、どうしても重くなりすぎちゃう。でも白米だけだとなんか食べた気がしないから、合わせたらいいかなと(笑)。パンも小麦だけだと体が冷えるんで、中和するためにご飯を加えています。パンの中のつぶつぶ、実は、ご飯粒なんですよ。ご飯を入れることで、お米の甘みも加わりますよね」

 

ナイスネス

パンプレートに付く、天然酵母の麻炭パン

 

ナイスネス

アイス用に仕入れた、エチオピア・モカのスペシャルティコーヒー

 

ナイスネス

名護産自然栽培の桃とオーガニックココナッツミルクのアイスクリーム、豆乳ヨーグルト添え

 

ナイスネス

寺田本家のにぎり酒と黒ゴマのスコーン

 

美味しいものを提供するのは当たり前。伸弘さんと悠子さんは、体にいいものを出すことが、飲食店の役割と考えている。2人は、その重みを口にする。

 

「飲食店として、お客様の体に入るものを作っているんだから、ちゃんと勉強して、体にいいものを出さないと。お医者さんと同じくらいの知識がないと、と思っているんです」と伸弘さんが言えば、

 

「食べているもので体はできているから、飲食店をするって、大変。舌を楽しませるだけの娯楽ではいけないと思って。なんて大変なことを始めてしまったんだって(笑)」と悠子さんも続く。

 

その言葉通り、料理に対する2人のこだわりは枚挙に暇がない。白いお砂糖は一切使わないし、使う野菜は地元産で、ほとんどを友人の畑から直接仕入れる。名護産玄米の乳酸菌で豆乳ヨーグルトを手作りするし、その豆乳ヨーグルトでパンの酵母までおこしてしまうほど。

 

素材にこだわる上、アーユルヴェーダやマクロビオティックの考え方までをも取り入れたメニューの数々。これらのメニューは、自身の体に合うものを、と探した結果、変遷を経てたどり着いたもの。

 

ナイスネス

 

nicenessは今年10年目を迎えるが、オープン当初は、タイカレーの店だったという。東京で全く別の料理の調理人をしていた伸弘さんが、タイカレーを食べて衝撃を受けたのが、始まりだ。

 

「東京の老舗のタイ料理店で、初めてタイカレーを食べてすごいびっくりしたのが、カレーにはまったきっかけなんです。2人でタイへ行って、現地で出会った人の家に住み込んで、おばちゃんと一緒に台所に立って、タイ料理を学びました。帰ってから、那覇にタイカレーの店を出して、7年くらいやってたかな」

 

しかし、体にいいものをもっと勉強したいと、移転をきっかけにメニューを見直すことにしたのだそう。

 

「タイ料理は生野菜が多いから、1年中食べるのはきついんじゃないかとか、タイの調味料は、今でこそオーガニックのものもあるけど、その当時のものはほとんど保存料が入っていたし、砂糖を多く使う料理もある。色々気になって、もっと食のことを勉強したいと思ったんですよね。それに、もっと緑の多い所に住みたいから、名護へ移転しようと。移転の休暇を利用して、今度は北インドとネパールへ行ったんです。2ヶ月くらい行ったんですけど、自分としては、インドよりネパールがすごく体に合いましたね。インドで外食すると、どうしてもお腹を悪くしていたんです(笑)。油や、乳製品とか結構多いし。その後、ネパール行ったら、すごく素朴でシンプルな感じで。日本にも近いように思いました。醤油とかを使うし、玄米も食べる。チウラっていう玄米を蒸したものを乾燥させてカリカリにして、それにカレーをかけて食べたり」

 

ナイスネス

 

その間、自然にお肉を欲しないようになり、体の調子のよいことに気づく。悠子さんが、穏やかに話してくれる。

 

「体の調子がいいのはもちろん、精神面も変わりましたね。イライラしないし、怒ることもあんまりなくて。那覇のときは、忙しくて店でケンカしたりしたけど、今はないですね。昔だったら気にしていたことも、別にどうでもいいというか(笑)」

 

自身の体験からお肉を使わないビーガンの店にしようと決め、名護にネパールカレーの店、nicenessを誕生させた。

 

ナイスネス

 

ナイスネス

 

ビーガンの店にして一番嬉しいのは、食べる人を選ばないことと、悠子さんは言う。

 

「最初、名護でビーガンのお店ってやっていけるのかなって不安もあったんですよ。でもやってみたら、逆にビーガンの方が間口が広いってわかって。お肉を食べられないって人って、結構いるし、お砂糖をお医者さんから止められている人もいる。ビーガンの人だけじゃなくて、ビーガンじゃない人も食べられるし、それに子供だって食べられる。タイカレーの時は、ペーストに唐辛子を入れていたので、お子さんには出せなかったんですよね。でも今だったら大丈夫」

 

伸弘さんと悠子さんの、食材やその組み合わせ、そして調理法のこだわり。2人はそれを「飲食店であることの責任」と言う。しかし根本にあるのは、別け隔てなく皆に美味しく食べて欲しいという、お客に対する深い深い思いやりだ。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

ナイスネス

 

niceness
名護市宇茂佐1635-1
080-5232-8552
10:00〜17:00
close 月・火
http://niceness.ti-da.net

 

TANAKA

 おきなわBeeHappy

 

「何、これ、なんでこんなにスッキリしているの!?」

 

“屋我地島はちみつ”を口にして出た第一声だ。驚きの理由は、今まで食べていたはちみつとは味が違うから。

 

さらりと爽やかですらあって、嫌な甘さが残らない。そして何より、花の香りを閉じ込めた華やかさが、口いっぱいに広がる。いくらでもスプーンを口に運びたくなる。

 

この驚きのはちみつを作っているのは、おきなわBee Happyを主宰する養蜂家、三浦大樹さんだ。

 

 おきなわBeeHappy

屋我地島の“古民家カフェ喜色”の庭先に置いてある、みつばちの巣箱

 

 おきなわBeeHappy

 

三浦さんのはちみつは、私が今まで食べてきたものとは驚くほど味が違います。

 

三浦大樹さん(以下略):私も、養蜂家になって初めてはちみつを作って食べた時、知ってるはちみつと違ったんで、「あれ、あんまり甘くないな。ちゃんとはちみつを作れていないのかな?」と思ったんですよ。でも、糖度計で計ってみたら、糖度が80もある。「この島のはちみつは、なんてスッキリした美味しいはちみつなんだ!」と感動してしまいました。

 

 

なぜ、こんなに味が違うのですか?

 

収穫したはちみつを加熱したり、砂糖水を餌としてあげてしまうと砂糖の甘さが残って、ただ甘いだけのはちみつができてしまうと聞いていたので、自分で作るはちみつは、加熱しない、みつばちに一切砂糖水を与えない、花の蜜だけのはちみつを作ろうと決めました。

 

 おきなわBeeHappy

 

 おきなわBeeHappy

熟成が完了して蜜蓋がされた部分をナイフで切り取ると、琥珀色のはちみつが溢れ出る

 

三浦さんのはちみつは、甘さよりも、花のいい香りが後味に残ります。

 

春のはちみつは、白い花が咲くセンダングサ、いわゆるサシグサとシークワーサーの花の蜜、秋のはちみつは、センダングサとこの島の特産のパイナップルの花の蜜からできています。

 

みつばちは、花の蜜を採ってきて自分の巣に持ち帰ったら、この巣の中で熟成させるんです。採ってきた花の蜜は、最初は糖度が10〜40、水分量は60%程度なんですね。みつばちからみつばちへと口移しで運んでいくうちに自分の唾液の中にある酵素が働いて成分を変えていったり、羽を羽ばたかせて風を送って水分を蒸発させたりしながら、徐々に熟成させていくんです。そうすると糖度が80まで上がり、水分量は20%まで下がって、トロトロな液体になるんですね。そしたらミツロウで蓋をする。蓋がされたら、はちみつが出来上がった合図なんです。

 

花によって色も香りも違うように、はちみつも花によって色も香りも味も違うから面白いですよね。収穫をするタイミングもいろいろと変えてみて、どんな条件や状態の時に美味しいと感じるかを友人に聞いてまわったりしています。自分が思っていたものと違う答えが返ってきたりして、はちみつはやっぱり深いなぁ〜といつも感じています。

 

 おきなわBeeHappy

 

 おきなわBeeHappy

センダングサの花粉を集める働き蜂。後ろ足に花粉団子を付けて巣に持ち帰る

 

なぜ、はちみつ作りを始めたのですか?

 

自分が住んでいるこの島の花のはちみつは、いったいどんな味がするんだろう?って。せっかく養蜂を始めたんだから、自分の食べるはちみつぐらいは自分で作りたいなと。自分で食べるし、ミツロウも使いたいので、薬も入れない、除草剤も使わない、餌も与えない、余計なものは加えないことにしたんです。

 

養蜂家の仕事は主に2つあって、一つは野菜や果物の花の受粉を交配するためのみつばちを農家さんに貸したり売ったりする仕事。もう一つは、はちみつを作って販売する仕事。今、世界中でみつばちが不足していて、主要なみつばち供給地である沖縄の養蜂家さんは受粉交配用のみつばちの増産で忙しく、手間のかかるはちみつまで手が回らない、というのが現状なんです。

 

 おきなわBeeHappy

三浦さんのはちみつは、即完売することも多い

 

 おきなわBeeHappy

屋我地島はちみつを水に溶かしただけのはちみつウオーター。レモンを入れなくても甘ったるくなく、スッキリとして疲れが取れるよう

 

手間のかかるはちみつづくりを、今のように本腰を入れてするようになったのはどうしてですか?

 

私も最初ははちみつを作って売る予定はなかったんです。受粉交配用のみつばちだけでやっていこうと思っていました。でも、はちみつを作っていると「何これ、美味しい!!」とか、その中には料理人やパン屋さんもいて「大樹さん、このはちみつ、絶対作って欲しい、自分も使ってみたい!」と言ってもらえる。「今度はいつできるの?」と待っていてくれる人がいる。それはもう、何にも代えがたい喜びですよね。来る日も来る日もずっとみつばちと向き合っているのは、半年に1回のこの時期のためなのかもしれないと思うほどです。それに、はちみつを卸しているお店へ行くと、美味しいメニューになって帰ってくる。ハニーマスタードのドレッシングになったり、デザートになったり。「こう来たか!」っていつも驚いて、妻と大喜びですよ。これは交配用みつばちだけしかやっていなかったら、得られない喜びですね。

 

 おきなわBeeHappy

古民家カフェ喜色でいただける、“屋我地島はちみつパフェ”。花粉団子(Bee Pollen)がふんだんにトッピングされた贅沢スイーツ

 

 おきなわBeeHappy

ローヤルゼリーの元となる栄養たっぷりのBee Pollen。花粉に花の蜜が混ざっているので、香りがよくほんのり甘い。この時期は、センダングサ、キクイモ、クサフジなど5種類の花粉入り

 

養蜂家は具体的にどんなお仕事をされているのですか?

 

普段は、巣箱を開けて元気かどうかを見て回るんです。巣箱1箱は、1コロニーと言って、みつばちの1家族なんですね。多くて3万匹くらい入っていて、その中に女王蜂が1匹。その女王が3万匹の母親なんです。しっかり卵を産んでいるか、数は減っていないか、蜜は貯めているかなど、1箱1箱チェックしていきます。梅雨の時期は、病気対策と草刈りの作業がほとんどです。例えば、病気を外から持ってくるダニがいて、そのダニを1匹づつピンセットで取り除きます。暑い中、覆綿布を被って1日中ダニ取りをしているので、いつも肩が凝って、手首が腱鞘炎気味ですね(笑)。それからアリ対策。アリが巣箱の中のはちみつや幼虫、蛹を持っていってしまうので、アリが入ってこないように、巣箱の周りの草をむしったり。

 

みつばちを元気でいさせるために何をすればいいのかをいつも考え、彼女らが生きていくためにちょっとした手助けをするだけです。思い切って自然に任せて放っておくことも必要なんですが、弱いコロニーがどんどん弱っていくのを見逃せなくて。

 

 おきなわBeeHappy

カフェ喜色でいただける、“はちみつ入りチーズケーキ”。Bee Pollenが生地に混ざっていい香り。はちみつをたっぷり練りこんでいるので、しっとりとした食感

 

おきなわBeeHappy

三浦さんが“はちみつカフェ”と呼ぶ、古民家カフェ喜色。窓越しにみつばちの活動を見ながら、食事やお茶をすることができる

 

大変な仕事ですね。そもそもなぜ養蜂家になろうと?

 

小さい頃から虫をいっぱい飼っていて、虫大好き少年だったこと、妻が養蜂業をアルバイトでやっていたことや、県内の養蜂家不足といった背景もありましたが、大きなきっかけとしては、ネイチャーガイドをしていた時の出来事です。ある夏休み、全国から沖縄に集まってきた子ども達と森の中でキャンプをしている時に、養蜂場に行くことがあったんです。参加者の中には、虫が嫌い、蜂なんてありえない、といった子もいるんですが、巣箱を開け、はちみつを舐めるという体験をしてみつばちを知ると「怖い」から「かわいい」に気持ちが変わっていったんですよ。キャンプ場に帰ってからも、みつばちを見つけるとじっと観察したり、他の虫にも興味が湧いてきて、触れるようになったりとか。すごいな、この変化はって。みつばちってそういう力があるんだって気付かされました。

 

いずれガイドとして独立しようと考えていたんですが、養蜂業のこれからの可能性も考えて、ガイドと養蜂を兼業しようと思っていたんです。でも養蜂を本格的に始めて分かったことは、兼業ができるほど甘くないってことでした。養蜂しながらガイドの経験を活かして、みつばち教室やみつばちツアーなんかもやってみたら楽しいだろうなという想いもありました。

 

 おきなわBeeHappy

 

 おきなわBeeHappy

中央の一回り大きなみつばちが、女王蜂

 

やりがいはどんなところにありますか?

 

みつばちによく励まされてます。昨日の疲れを引きずって蜂場へ行く時もあるのですが、早朝から働き蜂がバーってすごく元気に働いているんですよ。「よし、わかったわかった、僕も頑張ろう」って思いますよ(笑)。

 

今、屋我地島には小中一環教育をしている“屋我地ひるぎ学園”という学校があって、そこでみつばち教室を年間で20時間ほどやっています。子ども達が自分たちではちみつを採るために、花を植え、巣箱を作り色を塗って、昨日はその巣箱にみつばちを移動させてきました。夏休み前に、はちみつが溜まったら収穫をして、9月にある地元の祭りで“屋我地ひるぎ学園はちみつ”として販売してみようって言っているんです。売れたお金で修学旅行を1泊増やそうという話が出たりして。

 

 おきなわBeeHappy

ひるぎ学園の子供達が作った、みつばちの巣箱。周りのひまわりも子供達が育てている

 

 おきなわBeeHappy

 

みつばち教室の打ち合わせで学校へ行った時、ある先生が嬉しそうに話してくれました。「『屋我地島のベストスリーを決めよう』っていう授業で、各自が島のベストと思う事を書いて、みんなで投票したら、屋我地島はちみつが1位になりましたよ!」って。みつばち教室を1年間やってきた5年生の授業だったみたいなんですけど、その理由を聞いたら「三浦さんが、僕たちが住んでいる屋我地島を、はちみつを通して県内や全国へ知らせてくれているから」って。「屋我地島を誇りに思いたい」って。それを聞いた時は正直、涙が出るほど嬉しかったですね。初めて会う人からもよく声をかけてもらえるようになりました。「あんた、みつばちの人? うちの娘がみつばち、はちみつってうるさいんだよ」って(笑)。

 

この島のはちみつを作るようになって、みつばち教室を開くようになって、地域で花を植えようってことになると、みつばち屋の私を呼んでくれて、植える花をみつばちが好きなひまわりにしてくれたり。「三浦君もやっと屋我地んちゅになってきたなぁ」って最近、言ってもらえたんです。7年住んでいて初めて言われました。すごく嬉しかったですね。

 

これからも、今のまんまが続いてほしい。自分も家族も地域のみんなもみつばちも元気で、はちみつを美味しいって言ってもらえる人が周りにいたら。もうそれだけで十分なんです。

 

インタビュー・写真/和氣えり(編集部)

 

おきなわBeeHappy

 

おきなわ Bee Happy
名護市饒平名
https://www.facebook.com/okinawabeehappypj/?fref=ts

 

TANAKA

 

まぶ家

 

「まぶ家の原点は、トマトソースなんです。瓶詰めで4種類あって、“まぶ家のトマトソース”、“こどものトマトソース”、“大人のトマトソース”、“沖縄のトマトソース”。この店をオープンするより前に、トマトソースの販売が先だったんです。読谷のゆんた市場に卸したり、イベントで販売したり」

 

まぶ家店主、摩文仁信勝さんは、トマトソース作りをイタリアで学んだ。かの地では、トマト収穫期の夏場に、その年の分を一気に仕込む。まぶ家でも、最もトマトの美味しい旬の時期に、読谷産のフレッシュトマトを使って作る。それが、季節限定の“沖縄のトマトソース”だ。その作り方は、いたってシンプル。ゆっくりゆっくり時間をかけて、トマトの旨みを凝縮させる。

 

「“いっちゃん農園”っていう農家さんのトマトなんですけど、すっごい甘いんですよ。トマトとオリーブオイルと新玉ねぎだけで、塩も入れてないです。煮詰めて裏ごしして寝かせて、翌日更に煮詰める。2日かけて、半分以下になるまで煮詰めますね。11月から5月までくらいまでで、今年はもう終わりです」

 

今年最後の“沖縄のトマトソース”。その味は、サラリとみずみずしく、ほんのり甘く、トマトの味がぎゅっと濃い。

 

 

まぶ家

 

トマトソースを極めた摩文仁さんだけに、お惣菜のショーケースにもそれを使ったものが多く並ぶ。“県産豚の中味のトマト煮込み”や、“じゃがいもと鶏肉のトマト煮込みローズマリー風味”など。他にも、常時15種類ほどのイタリアン惣菜が、やちむんの皿に盛られて美しく勢揃い。定番メニューは、カポナータやシーフードマリネ、野菜グリルマリネなど5種類ほど。あとは季節の旬の惣菜が、その時々でやちむんを彩る。好きな惣菜を、50グラムから好きなグラム数で持ち帰ることもできるし、イートインする場合には、前菜として皿に少しずつ盛りつけてもらうこともできる。

 

中でも人気1,2を争うのは、“カポナータ”。フランスで言うところのラタトゥイユで、野菜のトマト煮込みだ。

 

まぶ家

 

トマトと刻んだ香味野菜の優しい旨味の詰まったソースが、具材にしっかりと絡む。パプリカはトロンと柔らかく、その甘さが十二分に引き出されていて心地よい余韻を残すし、どの野菜も口の中でほどけるほどクッタリしているのに、煮崩れしていることもなく、見た目も美しい。

 

「野菜は全部素揚げするんです。茄子とかズッキーニは、煮込むと煮崩れするじゃないですか。だから、仕上げの段階でさっとトマトソースに絡める程度です。素揚げしているんで、本来の甘さが引き出されるし、ソースの味も染み込みやすいんです。オリーブやケッパーなども入っていますが、味付けは、塩だけですね」

 

 

シンプルな味付けで、素材の味を最大限に引き出しているのが、まぶ家のお惣菜だ。シンプルなのは味付けだけでなく、料理自体もしかり。レモンのトッピングが涼やかで、暑い日にひときわ目を引く、“やわらか鶏のレモンマリネ”もシンプルな料理。塩やハーブを使って茹でただけだ。

 

「鶏の胸肉を生のまま、レモンとレモングラスと塩をビニール袋に入れて、真空状態にするんです。それを湯煎するんですけど、茹で過ぎるとパッサパサになるので、茹で時間は気を使いますね。茹で上がったら、それ以上火が入らないよう袋のまま氷水に入れて冷まします。鶏から出る旨味が袋の中に残るので、盛り付ける時、上からかけてソースにするんです」

 

肉汁の旨味を再び吸った胸肉は、パサパサすることはなく、しっとりとして跳ね返すような弾力がある。一見簡単そうと思えるも、家ではこうは作れないと感じ入る。レモンとレモングラスの爽快感が、食欲をどこまでも刺激する。

 

 

 

 

「毎日食べられるシンプルな料理がいいなと思っていて。気軽にこの店に入って、気軽に味わって欲しいっていうのがありますから。『これどんな料理?』って迷うよりかは、お客さんが見た目でわかりやすいし、選びやすいかなと」

 

まぶ家の惣菜は、どれも味を想像できるものばかり。「どんな味なんだろ?」とハテナマークが頭に浮かぶ前に、「これ、食べたい!」という料理がすぐに見つかる。シンプルな料理がいいと思ったのは、修業したイタリアのレストランとの出会いからだ。

 

 

まぶ家

 

「『自分は沖縄に帰るから、海の料理がメインのところへ行きたい』と希望して行った店なんです。その店は、北イタリアの海沿いの店で、前菜からメインまで全部魚。ほんっとにシンプルですよ。フリットと言って素揚げして、塩をパッとかけただけとか、エビを蒸し器で蒸して、温野菜と一緒にバルサミコソースをピッとかけただけとか、カルパッチョは、白身魚を薄く切って、香りのいいバージンオイルとレモンをピピっとかけただけとか。小さいタコを小さいフライパンに入れて、にんにく入れてワインを入れて蒸して、足がクルッとなったら、はい終わり!とか。一緒に修業していた妻と『えー、これだけ?』って最初すごい驚いたんですよ。でも、ほんとにこれだけで美味しいんだって、そう教えてくれたのが、この店です」

 

まぶ家

 

まぶ家

まぶ家の自家製パンに、お惣菜をサンドしてもらうこともできる。カポナータサンド(上)と、トマト&モッツァレラチーズのサンド(下)

 

シンプルな調理で素材の味をダイレクトに伝える。そのため、余分なものはとことん省く。胡椒などの香辛料は使わないのだ。

 

「香辛料とか加えたら色んな味ができると思うんですけど、1個プラスしたらその分、素材の旨味がなくなるんじゃないかと思って。やっぱりシンプルに塩とオリーブオイルだけ。あとはレモン使ったり。お店をオープンした時、ちょうど上の子が生まれて、離乳食が始まる頃で。子供と一緒に食べるとなると、料理に胡椒とか使わないじゃないですか。うちの店でもそういうのがいいなって。『子供にも食べさせられるものあります?』ってよく聞かれるんですけど、『うちのは大丈夫です!』って」

 

 

まぶ家

 

肉料理でも胡椒の刺激でごまかさないのは、まぶ家ならでは。

 

「これはアンガス牛の赤ワイン煮込みです。普通の赤ワインじゃなくて、ランブルスコという微発泡で貴腐ワインみたいな甘口のワインで煮込んでいるんですね。パルマがあるエミリア・ロマーニャ州のお酒です。僕、海沿いの店だけだなく、パルマにあるレストランでも修業したんです。そこで学んだ料理ですね。イタリアでも地方によって赤ワイン煮込みの味が違って。これはパルマでしか食べられない味の赤ワイン煮込みです」

 

まぶ家

 

イタリアの修業先で出会った、摩文仁夫妻お気に入りのワインを置いている。サルディーニャ島産のヴェルメンティーノ(白)と、ランブルスコ(赤)。その他、フランス産オーガニックワインも。

 

なるほど、よくある赤ワイン煮込みとは一味違う。ランブルスコのほんのりとした酸味が、アンガス牛の旨みをいかんなく引き立てている。そのお肉は、箸で切れるほどに柔らかい。香り高いワインの風味とアンガス牛のマッチングが絶妙で、また食べたいと思わせる忘れられない味だ。

 

まぶ家

 

摩文仁さんの手打ちパスタで、オリキエッティのアーリオ・オーリオ(上)、読谷産紅芋のニョッキ・クリームソース(下)。好きなパスタに、トマトソースやバジルソースなど好きなソースを絡めてくれる。乾麺もある。

 

食べ疲れない優しい味の料理の数々。どちらかというと女性が好む味付けと感じるのだが、摩文仁さんが女性好みの味を熟知しているのだろうか?

 

「あ、うちの妻です! 彼女もコックで、ここの料理の半分は妻のレシピかな。自分が試作して不安があるときは、試食させますね。やっぱり女性目線だし。お客さんは、自分達と同世代かちょっと下の世代。『小さなお子さんも食べるだろうから、こういう味付けがいいんじゃない?』とか、『ちょっとくーたー(味が濃い)だね、もう少し控えてもいいんじゃない?』とか。『こういう優しい料理があったらいいんじゃない?』とか」

 

まぶ家

 

そうは言っても、自身の作る味の方がいいと思うこともあるだろう。

 

「う〜〜ん、でもね〜、妻の言うこと、あたってるんですよ。色々言われて『じゃあ、お前作れよ』と思う時もありますよ。言わないですよ、心の中で思うだけ(笑)。彼女の言うこと聞かずに出したことがあって、そういう時は売れ残るんですよね(笑)。前にね、“ミント風味のかぼちゃマリネ”っていうの出したんです。かぼちゃって素揚げしたら、結構油を吸っちゃうんですよね。『ちょっと油っこいね』と言われたんですけど、出してみた。そしたらやっぱり出なかったです(笑)。『だったら蒸し焼きにしたらいいんじゃない? 蒸し焼きは味が逃げないし』って。『お、なるほどねー』って(笑)。今は、“かぼちゃのホワイトバルサミコマリネ”に変身して、人気ありますよ」

 

まぶ家

 

まぶ家の味を支えているのは、奥様との固い信頼関係なんだと知り、なんだか嬉しくなる。

 

「今、一番下の子が生まれたばかりで、妻がずっと抱っこしてる状態だから、自分が朝、試作で作ったのとかお弁当箱に詰めて置いておくんですよ。そしたら昼頃、彼女から電話がかかってきて『あれ、美味しかった』って言われることがあって。そしたら『ああ、嬉しい〜、ああ〜〜、よかった〜〜』って。妻に『美味しい』って言われたら、オッケーなんです(笑)」

 

奥様との信頼関係だけでなく、摩文仁さんの温かな家庭の様子までもが透けて見える。日常の延長のような心地よさ。この店が居心地いい理由は、そんなところにあるのかもしれない。摩文仁さんが目指すのも、イタリアで通い詰めたバールのような、日常に寄り添う店だ。

 

まぶ家

 

まぶ家

 

「イタリアのバールって、みんなサッと入って、クッと飲んで帰るとか、昼から常連さんが集まってカードゲームをしてたりとか。自分達もイタリアにいた頃は、妻と仕事終わりに夕飯食べに寄ったり、アマーロっていうショットグラスの食後酒だけを飲みに立ち寄ったり、カプチーノを飲みに行ったりしましたね。そのうちお店の人と顔見知りになって、ちょっと会話をしたり、メニューにないものをオーダーしたりして、楽しかったですね。ここもそんなバールのように、気軽に好きなように使ってもらえたら嬉しいです」

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

まぶ家

 

“イタリアン惣菜まぶ家”は、2018年 2月で店舗を、一度終了致しました。

 

現在は、まぶ家オリジナルのトマトソースや、バジルソースを中心とした加工品を、製造、卸し、販売いたしております。また、その加工品をたずさえて、イベント等にも出店しています。

 

最新の情報は、Facebookや、ti-daブログでご覧いただけます。

 

 

イタリアン惣菜 まぶ家
ブログ:http://mabuya.ti-da.net
fb:https://www.facebook.com/イタリアン惣菜-まぶ家-819564708133775/

 

取扱店舗
Green Leaf(グリーンリーフ) 読谷店、北谷店
ハッピーモア市場(宜野湾)
ファーマーズマーケットゆんた市場(読谷)

 

 

TANAKA

アースデイやんばる

 

びっしりと文字の詰まった”アースデイやんばるMap”。A4の用紙裏表に渡って書き込まれていたそれは、ギリギリまで調整していたのだろう、イベント当日の朝、来場者に配られた。表面は、会場見取図と出店者の紹介、裏面は、メインステージ、サブステージ、ミニステージに、地球シネマ館の上映スケジュールなど、プログラムがぎっしり。

 

そう、アースデイやんばるは、これほど盛りだくさんなイベントだということ。

 

実行委員長を務める浦崎公子さんは、「ワークショプやトークライブ、映画上映等を通して、地球のために何ができるかをみんなで考える、体験型のイベント」という。主役は、出演者や出店者ではない。あくまでも体験をする来場者だ。

 

 

 

アースデイやんばる

おきなわBEE HAPPYを主宰する、養蜂家の三浦大樹さん

 

蜜蝋ランタン作りのワークショップを開催、はちみつや蜜蝋を使った製品を販売していた、おきなわBEE HAPPY

 

体験の筆頭であるワークショップは、自然のものを素材にした、環境にも優しい”ものづくり”が目立つ。

 

”蜜蝋のランタン制作”は、ミツバチが生成する蜜蝋を固めてランタンを作るワークショップ。その中に同じく蜜蝋で作られたロウソクを入れて、火を灯す。昔ながらの自然の材料で作る優しい灯りを手にして、子供たちは嬉しそう。初めての体験に最初はこわごわ挑戦していた子供たちだったが、出来上がった自分のランタンに火を灯すと、ロウソクの火のように柔らかい笑顔を浮かべていた。

 

 

アースデイやんばる

ゴザに座り、膝をつき合わせて月桃を編む。おしゃべりも弾む、Flower artist Soukaのワークショップ

 

月桃を使ってブローチを作るワークショップでは、月桃のいい香りが辺りに漂い、それだけで癒される。身近な植物である月桃、その茎の部分を裂いて束ねて縄にして…。幾つかの工程を経てブローチにしていく。出来上がった作品を、満足げに身につける参加者たち。その顔には、自分の手で作り上げた喜びに満ち溢れていた。

 

遊びながら楽しく体験するワークショップがあるかと思えば、メインステージでは、これからの未来に大事になっていくテーマついて、トークセッションが行われた。

 

アースデイやんばる

持続可能な社会についてのトークセッション

 

アースデイやんばる

究極のオーガニックコスメについてトークする、amritara主宰の勝田小百合さん。このイベントでの収益を熊本地震の被災地に寄付するといち早く表明した

 

「持続可能な社会」を目指し、クラウドファンディングや自然農、ギフト経済というちょっと難しいテーマについて、楽しくてわかりやすいトークセッションが繰り広げられた。パネラーは、経済学者や自然農のハルサー、自然農を応援するためクラウドファンディング立ち上げたオーガナイザーなどで、それぞれが異なる立場からのトークは多いに盛り上がった。

 

アースデイやんばる

アースデイやんばる

子供の教育について、現場の生の声が聞けたトークセッション

 

また、「子供を通して大人が学ぶ」というテーマのトークセッションでは、ホームスクーリングを行っている子育て真っ最中のお母さんや、保育園の園長さんの実感のこもったお話が聞けたり。やんばるで活躍する人の話を聞ける貴重な機会とあって、特に親子連れの来場者は、真剣な面持ちで耳を傾けていた。

 

アースデイやんばる

 

公子さんが主宰するホリスティックビューティセンター、Sanctuary Voidは、この日は”地球シネマ館”に早変わり。持続可能な地球、または自分はどうありたいかについて、ヒントを授けてくれる3本の映画が上映された。「みつばちの大地」という映画上映後には、やんばる産蜂蜜を使ったディップとやんばる野菜の試食会のお楽しみが。またそれぞれの映画上映後には、コーディネーターによるトークショーが開催された。

 


 

その他、魂のこもったチャンティングやスピリチュアルダンス、お腹の底から宇宙にまで響き渡るようなゴスペルや、沖縄で活躍する数々のミュージシャンによる音楽ライブ、自然素材の洋服のファッションショーがあったり。軽トラックで日本一周を成し遂げた“まいまい号”の展示があったり、物への思いも一緒に添えて物々交換するXchangeがあったり。「ホメオパシーや氣質学って、興味あるけど、一体なに?」という疑問に答えてくれる、初心者にもわかりやすいお話会があったり。公子さんが狙った、五感を揺さぶるような体験が目白押しだった。

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる

 

また、個性豊かな雑貨店も数多く軒を連ねた。地元で採れる農産物の販売や、植物を加工したやんばるならではの食品店なども。こだわりの食材を使って丁寧な調理が評判の飲食店の出店も多数あって、どの店のランチにしようか頭を抱えた。

 

アースデイやんばる

完全無農薬、化学肥料不使用の野菜を育て販売している、そるべじ

 

アースデイやんばる

オーガニックファームドミンゴからは、コリアンダーの実のオリーブオイル漬けなど

 

アースデイやんばる

自然素材の木の実や漂流物を使用したアクセサリーなどを販売するのは、読谷のティーチ・ワン

 

アースデイやんばる

海の生き物達の、1つ1つ異なる表情に思わず見入ってしまう、aolani

 

まもなく今帰仁にてアトリエショップをオープンする、キャンドルショップcotan

 

見る、聞く、触れる、味わう…様々な体験を通して、来場者が何かを感じ取る。気づきを与えてくれるイベントが、”アースデイやんばる”なのだ。

 

アースデイやんばる

アースデイやんばる

ノニを使ったおしゃれな商品が豊富。ビューティフルライフオキナワ

 

アースデイやんばる

小さなお弁当箱に10種類以上のおかずがぎゅっと詰まった、きっと屋kitchenのお弁当

 

優しい味の雑穀DELI Suna。雑穀を使ったグラタンやおむすびを

 

母なる地球のために、今何ができるか。感じるために設けたテーマは、5つ。「持続可能な社会に向けて」「食と農」「ていねいな暮らし」「循環型の社会」「子供・子育て・教育」だ。テーマ毎のブースが、会場となった250メートル続く名護大通りを埋め尽くした。公子さんは、5つのテーマが、それぞれ自分を大切にすることに繋がると考えている。

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる

大宜味村いぎみぬから届いた、カラギ(シナモン)を使ったジャムと、職人手作りの懐かしい風情の飴

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる

シーカヤックツァーも行っている古民家cafeほいれーやは、無添加で手作りのキャベツのキムチを販売

 

「例えば、『持続可能な社会に向けて』というテーマだけど、持続可能な農業は循環していくでしょ。私達も自然の一部として循環しているんですよね。でも、自分は地球の循環のサイクルの中にいるって気づけていない人が多いと思うんですよ。気づけていないと、結局自分らしく生きるというか、自分のスピリチュアリティを認めていくこともできなくなってしまうんですよね。それに、持続可能な自然エネルギーが広まったら、私たちはこれから色んなものが自分たちで作り出せると思うんですよ。これまでの価値観が変わっていくし、そうすると自分は何をやりたいかっていう基本に戻るしかないですよね」

 

アースデイやんばる

お馴染み、ベジタコライス弁当を販売するのは、那覇の有名店、浮島ガーデン

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる

乳製品を使わないのに、なぜこんなにクリーミー? ビーガンチーズが絶品のplus HOLIC

 

色の鮮やかさが目を引くマフィンと、香草をふんだんに使った香り高いお弁当は、ニュー夜明け

 

アースデイやんばる

アースデイやんばる

どのイベントでも、すぐに売切れてしまう自然いぬ。のスイーツは、見つけたら即ゲット!

 

何をやりたいのか、自分の意思で決められる喜びを感じて欲しいとも。

 

「自分はどうしたいか、自分を大切にするっていうのが基本で、そこから何を選択していくか、自分の意思で決めて、自分の中に光を見るっていうのかな。そのことを皆さんにお伝えしたいなっていうのがあって。自分を大切に出来ていない人って、得体のしれない罪悪感があって自分を大事にできなかったり、幸せになるのを拒んだりするんだけど。自分を本当に大切にして、自分を本当に丁寧に扱うことができたら、外側にも同じようにできるはずなんだよね。だから、自分を大切にすることが基本」

 

自分を大切にすることが、ひいては地球を大切にするという逆もしかり。自分を大切にするとは、公子さん曰く「人のせいにしない生き方をする」ということ。

 

 

「17歳の時に輪廻転生の本を読んで、この世には自分で決めて生まれてきている、この人生は自分でクリエイトしているんだって知ったんです。すごい衝撃で。それまで親のせい、環境のせいって思ってきてたから、自分じゃどうすることもできない、なんで自分だけこんなに苦労するんだろうって残念感があったんです。でも自分で決めて生まれてきてるんだったら、自分でどうにでも人生をクリエイトできるんだって気づいて。それから人のせいにして生きるのはやめようって決めたんです」

 

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お弁当の出店が多い中、温かいカレーが嬉しかった、nicenessのネパール風カレープレート

 

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「今まで食べたチュロスの中で、一番美味しい」との声が続々。チュロス屋チリンの鈴

 

 

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タピオカ粉をフライパンに撒いてしばらくすると繋がって1枚の皮に!の不思議。ブラジル人店主が作る、リマタピオカサンド

 

店主自ら、喜如嘉で栽培、精製、焙煎したコーヒーを、ハンドドリップで淹れてくれる。コーヒーの実や花の展示も。KIZAHA COFFEE

 

17歳の時からそう思ってきた公子さんだったが、結婚して家族を持ち、さらにその思いを強くした経験がある。

 

「今から15年くらい前かな、『ニンジンから宇宙へ』という本を読んで、社会の裏側や、人間によるコントロールとか、食べ物の危険性とかを知って、それを排除するために、マクロビとかビーガンとかやり過ぎてしまった時があったんですね。子供がよそから飴をもらってきたらキーっとなったり、『これはダメ、あれもダメ』って色々否定して、排除して。そうしてる自分は正しいと思い込んで。そしたら家族から『こんなお家に帰ってきたくない』ってボイコットされて、すごいショック受けて、目が覚めた(笑)。自分がよかれと思っていることに対して、そうじゃないものを否定する。社会のせいにしたり、戦争のせいにしたり、どうのこうのって言ってる時点でダメだなって。自分は正しいってことを認識した時点で、窮屈になって、自分の中にこだわりというか、枠を作ってしまうし、自分ではどうすることもできないってことも同時に抱え込んでしまうんですね。そうすると自分の中にパワーもなくなっちゃう。結局は、自分はどうしたいか、どうありたいか、ここだけを大切にしようと思ったんですよ。ここに焦点をあてれば、何も否定しなくてよくなるでしょ」

 

園児が作ったショートブレッドや石鹸などを、園児の絵のパッケージに包んで。自然保育のそらいろえんの児童と園長の山本真紀さん

 

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音楽家、三宅洋平さんが旅をして気に入った自然食品などを集めた、三宅商店

 

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Aun-to jabonは、自然素材の手作り石鹸等を販売

 

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みつろうクリームやオリジナルアクセサリー、
旅して出会った布などを販売する、ふわふわてい

 

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編みや細工の美しさに思わず見入る、マクラメアクセサリー、Freaky Hands

 

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BIOワインで作る自家製サングリアは、パンとともに大人気。パン屋水円

 

自分に軸を置くということ。自分の中に自分を取り戻す、自分らしく生きる、あるがままで。公子さんが根本に抱く、伝えたい思いだ。

 

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アースデイやんばる実行委員の4人。左から、ていないな暮らし隊長・新垣友美さん、ワクワク隊長・益田みどりさん、地球自然農隊長・益田航さん、代表の浦崎公子さん。「この4人でなければ、無事にこのイベントを成し遂げることはできなかった」と公子さん

 

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仮装していない普段の公子さん(笑)

 

アースデイやんばる

公子さんのご主人の均さんも、ハマり過ぎてる仮装を披露

 

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浦崎夫妻によるヘアショーは、幻想的で五感を揺さぶられる演出

 

辺りが暗くなり、ついに迎えたエンディングでは、ちょっとしたセレモニーが待ち受けていた。公子さんのアナウンスに促され、見知らぬ隣の人と手をつなぐ。みんなが手をつなぎ、名護の街を見守る2つのがじゅまるを取り囲んで、1つの大きな輪になった。

 

「みんなひとつ、潜在意識ではみんなつながっています」と公子さんの声。

 

目をつむり、今日のこの日を振り返りながら、しばらく瞑想をする。手のぬくもりや感動が、静かに心に染み入ってきた。みんな一緒で、みんなは私、地球は私なんだ。この場所でこの時間を共有したみんなのエネルギーが、心の隙間を埋めていく。そこはかとない安心感とともに、「人のせいにしない」勇気がふつふつと沸いてくる。最後まで、得難い体験の連続だった。

 

写真・文/和氣えり(編集部)

 

アースデイやんばる

 

アースデイやんばる
http://earthday-yanbaru.com

 

※アースデイやんばる公式ブックレット販売中

 

TANAKA

ゲストハウスカーラ

 

「まだ建物に、人を守るオーラがちゃんとあるなと思って。この建物にかけてみようと思ったんです。普通、人が住んでいる建物は、人の気配が充満してるからなのか、建物自体が人を守ろうとしている、そんな気がするんです。でも、人が退去して何年も経ってる建物って、オーラがすごいちっちゃくなってる。そのまま野ざらしにされてて、ただの鉄の塊になってる建物もあるんですけど。この建物はまだ、人を守る力がある、今は眠ってるだけだなと思いました」

 

築43年の古い雑居ビル。国際通りに面したこのビルの3階4階は、15年ほども使われていなかった。そこをゲストハウスにリノベーションした、KALAオーナーの我喜屋若子さんは、この建物の持つオーラにかけた。

 

私のワクワクが、建物を目覚めさせた

 

「父が所有してるビルなんですけど、それまで1回も来たことなかったんです。宿として使えるかどうか見に来た時、本当に汚かった。前はアトリエとして使われていて、壁にペンキがワーッとなっていました。でも、なぜかここならできるっていう確信めいたものがありましたね。逆に、何もない汚い所からスタートすることに、ワクワクして。私のワクワクが、建物を目覚めさせたっていうか。それまで人の出入りがなかったですから、建物が完全に眠ってたんです。それが、天井剥がしてみたり、改装前の写真撮ったり、業者さんが出入りしたり。普段ひとけのなかったこのスペースに、何人も人が来て、人の声がして、そしたらだんだんと建物が変わっていく感じがあったんですよね。ビフォアがダメなものほど、アフターがすごいじゃないですか。アフターを想像できたから。絶対よくなるなって」

 

ゲストハウスカーラ

 

ゲストハウスカーラ

 

元々、古い建物が好きだったのですか?

 

前は、全然興味なかったです(笑)。このビルは古いから、取り壊したほうがいいなっていう感覚しかなかったかな、D’specで働くまでは。KALAをする前までそこで働いてたんですけど、リノベーションした物件を多く扱う不動産の会社。で、会社に古い建物が好きな人とか、古い良さを活かすのが好きな人がいっぱいいて。古い建物を見たりするのが好きになったのは、会社のお陰ですね。古いものは、その良さをすでに持っていて、角度を変えて見たらすごくかっこ良くて、見方次第で全然違う価値が生まれる。そういう魅力が詰まってるのが古い建物だと思うんです。古い良さって、作ってできるものじゃないし。

 

リノベーションに関わる人によって伸びしろが変わるのが、古い建物

 

D’specでの経験が、KALAのリノベーションにも役立ったと?

 

その賃貸物件の良さを伝えるのに、写真の撮り方とか文章とか、見せ方一つで価値が変わるんですよね。もうそれがすごい驚きで。文章とか写真で伝えるには、その古い建物に愛着がないとできないじゃないですか。それが根底にあって、私たちは跳び箱の踏み台。ビヨーンって飛べるやつ(笑)。跳び箱を飛ぶのが古い建物だとしたら、私たちは踏み台で、より高く飛ばすために、自分達がその良さを引き出す。どう見せるか、その不動産が元々持っているものもあるけど、設計とか施工する人、伝える人とか、人次第で伸びしろが全然違うっていうか。そういうことをD’specで学んだかな。KALAでも、父は最初、反対してたんです。『こんな汚い所で宿なんかできるか』って。でも、できるって自信がありましたし、この古さをどう活かせるかっていうのが、楽しかったですね。

 

ゲストハウスカーラ

若子さんが、東京で一人暮らしを始めた18歳の時に買ったCDラック。捨てられず取っておいた蓋の部分を、若子さん自身がリメイク。

 

ゲストハウスカーラ

 

ゲストハウスカーラ

 

イメージしたお客は、建物を好きになって泊まりに来る人

 

では、KALAは、建物の良さを活かした内装に?

 

建物ありきで、“建物を好きになって泊まりにきてくれるお客さん”っていうのをまずイメージしたんです。最初に私が建物を見に来たときに、ちょっとした面白さを随所に見ていて。例えば、この窓の造り。縦に細長い窓がいくつも並んでて、こういう窓って今はなかなかないじゃないですか。それに前までは天井が隠れてて、天井を剥がしてみたら、こんなに高い天井だったって知らなかったんですよ。最初から完成の雰囲気は考えていましたが、工事を進めていくうちに、それまで知らなかったことが色々出てきて。全部むき出しにした状態で、内装とか配置とか一から考え直しましたね。何枚も何枚も完成予想の絵を描いて、それを設計事務所に持って行って、変更をお願いして。天井はむき出し、床も剥がしてそのままにしたり。ビルが持ってる味わいに合わせて、衝立てをトタンで作ったり、ドアを古い団地で使ってるようなアイアンの扉にしてみたり。新しいもので揃えることはせず、できるだけ建物の雰囲気をガラッと変えず、建物の“古き良き”を活かせる雰囲気作りに気を配りました。

 

ゲストハウスカーラ

 

<出典/KALA>

以上、NALU(4階)のお部屋

 

むき出しのまんまだったり、トタンが使われていたりするのに、冷たい雰囲気がなくて、落ち着くし、居心地がいいですね。

 

居心地の良さに関しては、自分が住みたいと思う部屋、自分がここにいたいなとか、ここで仕事をしたいな、リラックスしたいなと思える部屋を心がけました。ここは泊まる部屋だから、寝る時に天井見るじゃないですか。天井はコンクリむき出しだし、ペイントもしてないし、横向いたらトタンがあるとか、結構殺伐としてるんですよね(笑)。それをうまくバランス取るのが、緑とか木。緑と木は多く使いましたね。流木を吊るしたり、本物の植栽を多く置いたり、板の間も本物の木を使って。ベッドもパイプベッドの方がこの部屋の雰囲気に合ってるのかもしれないけど、あえて木を使ったベッドにして。2部屋に共通のテーマは、緑と木とコンクリート。

 

”緑と木とコンクリート”。私の”沖縄”のイメージを再現

 

緑と木は、居心地をよくするのにわかりやすいですが、コンクリートはどうしてですか?

 

緑も木もコンクリートも、私の中では沖縄のイメージなんです。街路樹に熱帯の緑や木があって、コンクリートむき出しのビルが立ち並んでる、これが子供の頃からよく遊んだ国際通りのイメージ。私が過ごした沖縄のイメージっていうのは、リゾートでもないし、赤瓦の建物がある時代に生きてるわけじゃないから、そういうのでもない。私の中の沖縄のイメージを再現したかったから、緑と木とコンクリートが、2部屋共通のテーマになったんです。

 

以下、EHAKO(3階)のお部屋

ゲストハウスカーラ

1フロアに1ルームの造りなので、小さな子供連れでも気兼ねしないですむと、家族連れにも好評

 

ゲストハウスカーラ

 

泊まる人の想像力を刺激したい

 

沖縄のイメージの再現というテーマに加えて、それぞれの部屋にもテーマがある?

 

1フロアに1ルームで、3階はEHAKO(エハコ)という部屋、4階はNALU(ナル)という部屋があって。EHAKOは、ハワイの言葉で“無邪気”という意味で、ずばりテーマはそのまんま(笑)。ハンモック置いてみたり、赤いお茶目なインコを吊り下げたり、自由にやりました。4階のNALUも同じくハワイの言葉で、“波”という意味。波をイメージして、青を使った心地良い部屋にしました。シーリングファン付けたり、流木置いたり。NALUの部屋は、夜になるとランプシェードのガラスの模様が壁に写って、海の底から波の水面を見上げた感じに似てるんですよね。 どちらも、自分の部屋のように作っているので“日常”なんですけど、ハンモックとかトタンとか花ブロックとか、非日常感もプラスしてます。日常であり非日常、みたいな。泊まる人の想像力を刺激したいから。旅行に来る人にとっては、国際通りは期待感が詰まってる非日常の場所だけど、そういう場所で自分の部屋のようにリラックスできる空間っていうのが、私の宿のイメージです。

 

ゲストハウスカーラ

 

選択肢がいっぱいある中で、何を選んでもいい“自由”が、宿のコンセプト

 

宿の名前のKALAは、どんな意味ですか?

 

これもハワイの言葉で“自由”。束縛から解放された“自由”ではなくて、何を選んでもいい、選択肢がいっぱいある、可能性があるっていう意味の“自由”。あえてこっちの意味の“自由”をチョイスしたんです。自分の性格もあるかな、型にはまりたくないっていう(笑)。EHAKOは、ベッドを置くことにこだわらず、小上がりを作って布団を敷くようにしたんです。布団を使わない時は、例えばヨガマット敷いて、ヨガしたり。2部屋とも床はタイルを敷かずに、土間のままにしてるから、ちょっと家具を動かして自由に使っていいし。旅に自分の好きなお香持ってきて、お香焚きたいんであれば、焚いていい。お香立ても準備しています。旅する人が自由に使う。それがこの宿のコンセプト。

 

小物や家具も、若子さんが選んだのですか?

 

大きな家具から電球1個に至るまで全部、自分で1軒1軒お店回って、実物見て選びました。カタログからパパッと選んだんじゃなくて、これだったらこの部屋に合うなとか、これ自分の部屋にあったら嬉しいなとか。東京へも家具見に行ったりしたんですけど、どこどこの家具じゃなきゃダメとか、そういうこだわりなく、部屋に合うんだったら量販店のものでもよくて。あえてお客さんが自分でも探して買える程度のものを置いてます。その方が、お客さんの刺激になるかなと思って。選ぶのはすごく時間をかけましたね。直感でこれって決めたのは、ハンモックくらい。ハンモックは乗った時の自分の感覚が嬉しかったんです。こんな居心地いいんだ、すごいな、みたいな(笑)。

 

ゲストハウスカーラ

 

自分の家のインテリアの参考にしたい、と泊まりに来るお客も

 

宿泊したお客の反応はどうですか?

 

「これ、どこで買ったんですか?」とか「どうやって探すの?」「どういう風にしてるの?」とかよく聞かれるし、聞かれると、自分で1個1個選んでる分、嬉しいですね(笑)。「自分の部屋のインテリアの参考にしたいから、泊まりに来た」なんて人もいて。そのお客さん、ヘザーブラウンの絵が好きみたいで、私もすごく好きで、自分の私物をNALUに飾ってるんです。新築の家を建てたばかりらしくて、内装の参考にしたいって。好きなものが同じ人は、見どころも私の感覚とすごく似てる(笑)。

 

それは嬉しいですね。オープンしてまだ数ヶ月ですけど、他に嬉しかったことはありますか?

 

この建物を再生できたことかな。KALAをするにあたって、窓ガラスを全部取り替えたし、外壁も綺麗に塗り直しました。建物にいいことしたなあって(笑)。15年も人が来なかったのに、ここに人が集まってくる。それが一番嬉しいですね。

 

インタビュー・写真/和氣えり(編集部)

 

ゲストハウスカーラ

 

GUEST HOUSE KALA(ゲストハウス カーラ)
那覇市松尾2-1-1 3F4F
http://kala.okinawa
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