NAKAI

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

「最初は倉庫として使うつもりだったんです。店にするつもりはなくて」

 

カフェ「mofgmona(モフモナ)」のオーナーでもある前嶋剛さんは、カフェのメニューを沖縄のうつわを使って提供したいという想いからうつわを買い求め始めたと言う。

 

「自分がうつわ好きだったということもあります。自宅でもやちむんや琉球ガラスのうつわを使っていましたから。
最初は積極的にうつわを販売しようという考えはなく、お客様に楽しんでいただけたらと考えていました。そんな気持ちで、オープン当初から僕らが好きだった作家さんや工房さんのうつわをカフェの一角で展示し、希望があれば買えるようにしました」

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

店内に入ると、誰かの家に足を踏み入れたような雰囲気に包まれる。
キッチンがあり、カウンターの奥ではケトルが湯気を立てている。
玄関の前にはダイニングテーブルを思わせる大きな机が配され、皿、ティーポット、カトラリー、グラスなどが置かれている。
奥には小さな椅子とテーブル。まるでついさっきまでそこで誰かが食事をしていたかのように、その上にはやはりうつわが置かれている。
さらには階段とロフトまで!

 

ここには「暮らし」がある。
澄まし顔ではない、日々の暮らしの中でリラックスしたうつわたちが並んでいる。

 

「店の中では、僕なりのものの見方を大事にしています。
僕の見方は基本的に、生活の中でそれがどう見立てられるかということです。
例えば、抹茶茶碗にスープを、コーヒーカップにデザートを、グラスに花を。
また、一つのカップでコーヒーを飲むにしても、いろんなシチュエーションが生活にはあります。
朝のキッチンで、午後のソファで、座布団を枕に、休日に庭で、ドライブがてらビーチで。
そういうわくわくする想像が僕なりの見立てです。

 

そんな気持ちを共有するために、店の雰囲気には『生活感』を含ませて、それぞれのうつわが生活の中でどのように見えるのかイメージしやすいようにと心がけています。
まあ、とても難しくてうまくいかないことも多いのですが」

 

mofgmona no zakka
mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

気に入ったうつわを手に持ち、店内を歩き回る人の姿をよく見かける。
そして私自身、気がつくと心ひかれた湯のみを一つ手に持ち、あちこちと移動していた。
頭の中には自然と普段の暮らしが浮かんでいた。ソファに腰かけてお茶を飲むときはどうかな? 明るい陽の光のもとではどんな色に映るのだろう?棚に置くとどんな佇まいに?

 

「台所やロフトがあるので、僕がここで寝泊まりしてるんじゃないかと勘違いなさる方も多かったんです。実際、場合によってはここに住もうかなと思っていたこともあって。
そういう『暮らし』を感じさせる空間なので、ご自身の生活空間をイメージしやすいのではないでしょうか。奥の椅子に座り、うつわを手に考え込んでいらっしゃる方もよく見かけますよ(笑)」

 

また、一人一人の滞在時間も長いように感じた。

 

「そう、みなさん長いんです(笑)。また、そうであってほしいと思っています。
空間とうつわをゆっくり楽しんでいただくことが一番大切だと思っているんです。すぐに帰るということは居心地があまりよくないということでしょうから、長く見ていただけるのは店主としては嬉しいこと。

 

もちろん、お客さんが何か買ってくれたらとても嬉しいのですが、お客さんがとても好きだと思えるうつわに『出会う』かどうかが問題で、『買う』というのはその結果ついてくるものだと思っています。
だから、まずはじっくり、ゆっくりうつわとこのお店を楽しんでいただきたいです。
店に入ったら何か買わなきゃと思わせてしまう雰囲気もできるだけ消したいと思っています。
結果的に何も買うものがなくても、『ここに来て良かった』と思ってもらえると嬉しいですね。」

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

今では、伝統的なやちむん以外の沖縄のうつわを扱う店は珍しくないが、「mofgmona no zakka」をオープンさせる以前は少なかったと思うと、前嶋さんは言う。

 

「10年ほど前は、個人レベルで好きなものを作っている小さな工房や作家さんの作品がまとまった量あり、気軽にいつでも見られて買えるという場所は少なかったと思います。それぞれの個展や工房に行くのが購入する主な方法でした。それは、作り手の皆さんにとっても自分の作品を見てもらう方法がもう一つ少なかったということになるかもしれません。」

 

やがてうつわを目当てにカフェに訪れる人も増え、ストックを置くには店が手狭になってきた。

 

「倉庫兼事務所が必要だなーと考えていたところに、近所にお住まいの方が『空いている物件があるけど、使わんねー?』と声をかけてくださったんです」

 

カフェmofgmona から徒歩数十秒の場所にあるその物件は、一軒家で十分な広さがあった。前嶋さんは自身の手で3ヶ月かけて内装工事をした。

 

「うつわ好きなお客様がいらしたら『こちらにもっとありますよ』とご案内したり、スタッフのミーティングに使ったりしようと考えていたんです。最初は完全な倉庫兼事務所ですね。
でも、棚をつけたり壁の色を塗ったりしているうちに『この空間は店かも…』と思うようになって(笑)」

 

mofgmona no zakka
mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

うつわを販売する店としてオープンを決めたものの、店を開ける曜日と時間は限定することにした。

 

「毎日フルタイムで店を開けるのは難しいと考えたんです。
というのも、それだけ多くの商品をそろえることが難しい。作家さんたちは皆さんお忙しいですし、量販品ではないから『いくらでも作ります』というわけにはいきません。また、立地的にもここで店が成立するとは思えなかったんです。沖縄のうつわの店といえば、やはり国際通り周辺というイメージだったので。
しかも、宜野湾市の長田交差点付近って『なんか中途半端な場所』という感じでした。

 

それと自分ひとりで仕入れも店番もして、カフェの運営もあるという事情から、金、土、日の15時から20時まで。週3日くらいがちょうど良いという気がして。
数年後、スタッフが店番をやってくれるようになりましたが、営業時間は今もそのままです。
店名も『mofgmona no zakka(仮)』としていましたが、結局新たな名前をつけないまま時が過ぎて…。『(仮)』をはずしてそのまま名付けることにしました(笑)。

 

沖縄には、その頃から小さな工房で独自性のある良いもの作る作り手の方が活動されていました。また、伝統的なやきものやガラスにも、それまでとは違う今の自分たちに合った見方があると感じているところでした。

 

それまでの県外から求められる『まさにこれが沖縄の器』という提示の仕方ではなく、僕らは県内の人に県内で作られている僕らが好きなうつわを、自分たちなりの見せ方で見てもらいたいと思ったんです。

 

例えば琉球ガラスなら僕は『ガラス工房 清天(せいてん)』さんの作るクリアーなうつわが好きだったんです。ぽってり、とろんとしたガラスの質感を、生活の中で楽しみたいと思ったらやはり透明がよくて。それはそれまでのカラフルな琉球ガラスのイメージと違いましたが、県内の人に向けてと思うと、素直にそういううつわを注文していました」

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

作家と相談して作った、オリジナルのうつわも多い。

 

「大きさはこれくらいで、柄はこういう感じ、色みや厚さはこれくらい…というようにある程度お願いして」

 

しかし、前嶋さんの要望通りに仕上がらないことも多かったと言う。

 

「どれだけ言葉で伝えても、僕の中のイメージと100%一致することはありません。でも、完全に一致させようとも今は思っていないんです。
イメージに近づけるために努力していたころもあったのですが、どの作家さんともお付き合いが長くなって気心が知れてくるにつれ、想像してなかった作品ができあがる楽しみを感じるようになって。

 

今は、厳密に『こういうのを作って!』とお願いすること自体少なくなってきたように思います。
作っている人が気持ちいいことも大事ですから。いい気持ちで作ったうつわはやっぱりいいうつわになる。
作り手も人間ですからいろいろで、注文されたい人、されたくない人、意見を聞きたい人、聞きたくない人、その中間。一人の作家さんの中でも考え方や心境は変化していくものです。今はそういうこと自体を楽しんで、一緒にお付き合いさせていただくうちに自然と自分たちの好きなものがお店に溢れるといいなと思っています」

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

扱っているうつわは、作家の年代もカラーも幅広い。

 

「基本的に作り手の皆さんはみんな先生みたいなものですが、特に人生の大先輩として尊敬しているのは、大嶺實清さんや北窯の親方たち、それに与那国島の山口和昇さんでしょうか。色々なことを教えてくれたり、間違ったことをしようとすると考えるきっかけを与えてくださったり。逆に応援してくださることも。僕が無茶なことをするときは、励ましてくれることが多いですね(笑)。
例えば、今年パリで移動店をやったのですが、企画段階では『沖縄のうつわをパリで…。うまくいくだろうか?』と懸念もありました。でもそういう方たちが『行ったほうがいい』と背中を押してくれたり、おもしろがって自分の海外での経験を教えてくださったり、もちろん器を提供してくださったり。すごく勇気がでました」

 

また、工房で修業をしていた陶芸家たちが独立し、工房を構えて納品するようになったケースも。

 

「工房コキュの芝原さん、工房十鶴(じっかく)の柄溝さん、田村窯の田村さん…。皆さん北窯で修業なさっていた作家さんです。
自分と同世代ということもあり、独立して活躍なさっている事実が嬉しいし、これからも一緒にやっていけたらいいなーと思っています。

 

僕がお店をやり始めたのと同時期に独立して工房を始めた作り手の皆さんも、大事な友人と勝手に思ってますが、初期の頃からずっとお付き合いさせてもらっているのが、やきもの工房ナマケモノの伊藤さんとhanaさん、山ひつじ舎の山口未可さん、ガラス日月のおおやぶみよさん、増田良平さん、東恩納美架さんなどです。ナマケモノのお二人や、日月のみよさんとは一緒にパリに行ったりもしました。古い付き合いの作り手の皆さんは僕にとって本当に貴重な経験を共有している仲間です」

 

mofgmona no zakka
mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

店を始めたことで、うつわの持つ魅力の新たな側面にも気づかされたと言う。

 

「最初はあまりわからなかったのですが、当然のことながら人は少しずつ変わっていきます。作り手も技術や思考が向上するだけでなく、そのとき考えていることや本人の状況の変化などで、少しずつ、場合によってはかなり大胆に作品が変化します。本人の内面の問題だけでなく社会情勢や大きな災害も少なからず影響していると言ってもいいかもしれません。

 

そう考えると、今目の前にあるうつわが今しかないものなのだと思わされます。
ずいぶん前に気に入って買い求め、今でも使っているうつわをまた愛おしく思えるようになりました。と同時に今店に並んでいるうつわも同じように愛おしくなります。
作り手からは昔の自分の作品を見ると恥ずかしいという言葉を聞くことがあります。技術的にも思考的にも、その気持ちはなんとなくわかります。
でも使い手となったとき、そのとき気に入って買ったうつわは、作り手の気持ちとは関係なく貴重なものです。むしろ作り手が変化するからこそ、より大事なものになると言ってもいいかもしれません。

 

今はそういう変化も楽しむようになりました。」

 

mofgmona no zakka

 

mofgmona no zakka

 

カフェと雑貨店。二つの店にはそれぞれに別の想いをこめている。

 

「mofgmonaは空間を提供している場所です。料理や飲み物、インテリアやBGMを含め、全てお客さまが自分の過ごしたい時間をここで過ごすお手伝いをするための空間の一部です
mofgmona no zakkaは、お客さま自身の空間で良い時間を過ごすために、その道具の一つであるうつわを販売するお店です。

 

ですから、zakka の方の内装はうつわの良さを引き出せるよう心がけました。
うつわって空間に置くことでニュアンスが変わると思うんです。

 

もしかすると作り手が考えることと違う場合もあるかもしれませんが、自分たちなりの見方でうつわを見て、その魅力がわかるようなかたちでお客さんに見せて、共感していただく。それができたらとても幸せなことだなと思います」

 

mofgmona no zakka

 

店の未来を尋ねると、「流れにまかせたい」と答えた。

 

「作家、工房…それぞれ距離感が違うけれど、自分にとっては友だちというか、お互いの幸せを願っている関係なんです。
自分たちだけうまくいくことってないし、みんながうまくいってくれればいいなーって。そういうの、幸せじゃないですか。
あなたが幸せじゃないと、こっちもどうも幸せじゃない。そして向こうも同じように感じている。そういう関係こそが財産であり、そういう人がいることが幸せなことだなーって。
その気持ちを大事に、あとは流れやなりゆきにまかせてもいいかなと思っています」

 

店に入ると、カフェではないのにスタッフがグラスにお茶を入れて出してくれた。店内の人々はそのお茶を飲みながらうつわを物色している。それにとても驚いたと伝えると、前嶋さんは笑って言った。

 

「自分の家にお客さんが来たらお茶くらい出すでしょう、誰だって」

 

なるほど。つい長居をしてしまうのはこの一杯のせいもあるのかもしれない。
こころゆくまでうつわを見ていっていいよ、どうぞゆっくりしていって、と許されたような気持ちになって…。

 

いや、これはただの言い訳だろう。

 

おうちの中でうつわを選ぶ、その楽しさは想像以上だから。
あなたも店の玄関を上がれば、きっとわかる。

 

mofgmona no zakka
mofgmona no zakka
宜野湾市宜野湾2-1-29 宮里アパート301
050-7539-0473
http://mofgmona.com

 

NAKAI

 
 
tous les jours
R&D.M.Co ブランケット
 
 
何かを見て、あって当時の記憶がよみがえってくるものってありますよね。
先日、新しく届いたブランケットやストールを品出ししている際
ふと祖母が使っていたストールを思い出しました。
それは祖母の為に母と選んだグレーのストールで、
カシミアのそれはとても肌触りが良く軽く、
これなら喜んでもらえるだろうと選んだものでした。
当時の私は県外で仕事をしていたのですが、
正月休みに帰省すると祖母がひざにかけてお茶を飲んでいたり、昼寝の際に使っていたり、
ああ使ってくれているんだと箇所ごとの断片的な記憶。
 
 
tous les jours
軽いのにとても暖かです。ところどころに手仕事のぬくもりが感じられます。
 
 
その後何年か経ったある年の冬、
ふと見ると母が今度はそのストールを使っていました。
ああそうか、と。
さらに翌年の冬、私が寒―いと言っていたらこれを使いなさいと母が渡してくれた祖母のストール。
いいよと断りつつも肩にかけてみる。とても暖かい。
いろんな思い出とともに、懐かしく穏やかな気持ちになりました。
と、こんな風にじわじわと湧きあがってきた思い出たち。
 
 
tous les jours
薄く軽くとても暖かなのでストールのように使っても素敵です。
 
 
何かに触れて、見て、耳にしてそれぞれに思い返すことがある。
意識しないだけで日々些細な何かに響くことはおそらく多々で、
優しい記憶の時もあれば、悲しい記憶の時もあるでしょう。
そんな当時を誰かに話す時もあるけれど
心にとどめておくことの方が大半だろうと。
皆いい大人だから。
 
 
tous les jours
Englandと名前の付いたストール。昔バスから見たイギリスの田舎風景に似ています。
 
 
ストールの暖かさは私の心の小さな灯りだ。
いつかあのストールが傍らにおさまる日が来るのだろうか。
 
 
tous les jours
グレーとブラウンのギンガムチェック。配色が子供っぽくならないのがいいです。
 
 
12月。今月はいつも以上にギフトが多く感じます。
人気はマグカップやソックス、それからブランケットにストールなど。
つつむたびに喜んでもらえますようにと心の中で願う。
ふと、想像する事があります。
いつかここにある商品のどれかが私の知らないところで
誰かと誰かをつなぐ記憶のパイプになるかもしれない、と。
モノを通して交流する販売のお仕事。
それぞれの五感に届くアイテムがあればと少しだけ期待して今日も店を開けます。
 
 
tous les jours
 
 
写真・文 占部 由佳理(tous les jours店主)


 
tous les jours(トレジュール)
那覇市首里儀保町2-19
098-882-3850
open:水~土
12:00-18:00
(変更あり。毎月の営業日をブログでお知らせしております。)
blog:http://touslesjours.ti-da.net


関連記事:ひとつ先のくらしを提案するtous les jours(トレジュール)

NAKAI

EXES
 
県内のホテルに泊まるの大好き!な中井です。
 
先日、結婚式の二次会で夫が当てた「SPA RESORT EXES(エグゼス)」の無料宿泊券(エラい!)の期限が迫っていることに気づかず、失効寸前にあたふたと宿泊してきました。
 
あたふたすぎて、ホテル到着が20時也…。
観光とかお出かけ楽しむって感じは一切なく、まさに「泊まりに来ました」という感じ…。
 
EXES
 
ロビーからこの豪華さ。
なのにチェックイン20時…。ああ、返す返すも悔やまれます。
 
EXES
 
うーまくー4歳児も空間を持て余すほどの広さ。
雰囲気に圧倒されたのか、おりこうに座っている珍しい図。
 
さて、チェックインの手続きをしてお部屋へ〜。
今回、なんと豪華なスイートルーム。
 
EXES
 
ひょえ〜〜! お部屋広すぎ!
しかも、椅子とテーブルがあちらこちらに…。
家族三人じゃとても使い切れないほど整えられた調度。
 
EXES
 
和リビングまであるんです。
もったいないので一応、寝っ転がってみたりしました。
自宅には和室がないので、娘はもちろん大喜び。
殿様風に椅子の上であぐらかいたりしてました。
 
EXES
 
ここって完全に住めるよね。
部屋というより家…。
 
EXES
 
こちらの椅子は夫が気に入り、ベランダ際まで移動させて座ってました。
 
EXES
 
EXES
 
ベッドの前に置かれたテレビでは、放送中の番組だけでなくいくつかの映画やドラマを選択して見られるシステムもあったので、ベッドに寝そべって子ども向け映画(ヒーロー系)を家族で鑑賞。
 
…わざわざホテルに来てまでやることか?と言われたらアレですが、広々としたベッドでぐうたらするのがたまらなく楽しい〜☆
 
EXES
 
観賞後はお風呂へ。
ベッドの奥が洗面所&お風呂。
 
EXES
 
洗面台にはシンクが2つ、奥にはなんとシャワーブース。
 
EXES
 
バスタブの広さに驚く娘。
何も指示してないのにこの格好。腰に当てた手、そしてその顔…なんなんだ。おかしい。
 
EXES
 
感動したのがアメニティ。
 
なんと、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル、ボディローション、石けんのすべてがL’OCCITANE(ロクシタン )!
しかも、シャワーブースにもまったく同じセットが置いてあるので2セット!
きゃ〜〜嬉しすぎる!テンションあがる〜。
 
これがめちゃくちゃいい香り。
翌日の夜になっても、頭からつま先まで甘い匂いで夫感動。
 
アメニティのクオリティって、ホテルへの評価を結構大きく左右すると思うのですがどうでしょう?
 
この日はお風呂にゆっくり浸かって就寝。
 
EXES
 
翌朝。
沖縄にしては珍しく冷え込んでいたので、景色もなんだか寒々しいけれど、海が見渡せて素敵☆
暖かかったらベランダで朝食を食べるのもいいな。
 
スパ施設も利用しようと水着持参だったけれど、前日の夜更かしがたたって起きられず。。そのままチェックアウト。
ああ、豪華な無料宿泊券を100%は使い切れなかった感じ。。
 
部屋に備えられていたミネラルウォーター(ホテルのロゴ入り)を持ち帰り、後日仕事に行くときに持参したところ、「あ!EXES泊まったんですか?! あの芸能人御用達の?」と言われました。
 
そう言えば…、夫もロビーで某俳優さんらしき人を見かけたとか言っていたな〜。
豪華なホテル、セレブリティ達が泊まるのも納得です。
 
さてさて。チェックアウトした後は一路自宅へ…。
の予定が、せっかくだからと「ビオスの丘」に立ち寄ることに。
 
ビオスの丘
 
みなさんはビオスの丘、好きですか?
私は実は大好きでして、沖縄に移住してから度々訪れております。
蘭で有名だけれど、それだけじゃないのよね〜。  

ビオスの丘
 
子どもが遊ぶアスレチックも沢山あるし。
 
ビオスの丘
 
なぜか動物たちともふれあえます。
 
ビオスの丘
 
そして、一番の楽しみはこれ、遊覧船!
いつ来ても、運転手兼ナビゲーターの方の話術が巧みすぎて笑っちゃうんだよね〜。クセになる!
私の場合、遊覧船に乗るために来ているようなもの。
 
ビオスの丘
 
蘭だけでなく琉球松や水鳥など、いろんな動植物の生態が間近で見られるのが素敵。
 
ビオスの丘
 
うちのような子連れのお客さんも多かったな。
いいお勉強にもなるよね〜。
 
ビオスの丘
 
なんと水牛も見られます。
目がかわいすぎる!
 
途中、琉球音楽が聞こえてきたと思ったら…。
 
ビオスの丘
 
なんと琉舞を踊る女性が!
しかも、素人さんではなく琉舞の先生だそう。
 
ビオスの丘
 
ビオスの丘で琉舞が見られるとは。
前回来たときは見られなかったので、色々と進化してるのね〜〜。
なにゆえ琉舞?とも思いましたが、雄大な自然の中では踊る姿も一層映える。素敵でした〜。
 
遊覧船のおじさんが
「テレビで紹介されて一躍有名になった大きなブランコがあります。勇気のあるかたはぜひ」
と説明していたので、遊覧船を下りたあと早速探しに行って見つけました。
 
ビオスの丘
 
で、でかっ!!
 
「池に向かって漕いだら怖さ倍増!ただ、手は絶対に離さないように」
と言う説明を思い出した、心は小学生な夫。娘を下ろして一人ではり切って漕ぎ始めた。
 
ビオスの丘
 
「おおおお〜〜〜〜! すげ〜〜! …ちょっと怖え〜〜!」
と、大興奮の33歳。
夫が向いている方向には、先ほどの遊覧船が浮かぶ池が。
某テレビ番組で紹介されて以来、大人気のスポットだそうです。
 
私と娘はおとなしくニワトリに餌やり。
 
ビオスの丘
 
すんごい近くまで寄ってきます。
 
ビオスの丘
 
たまに、ばさばさ〜!っと結構な距離を飛ぶニワトリもいて、子どもたちびっくり。
 
ビオスの丘、蘭以外にも見所満載で私は大好き。お勧めします。
手作り感や、スタッフさんたちが楽しそうな雰囲気がたまりません。

今度行くのはいつかな〜。
とりあえず、夫がまた宿泊券当ててきますように。
 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

冬の本
青山南・安西水丸・池内紀・他 著 夏葉社  ¥1,785/OMAR BOOKS
 
― 記憶の中の冬と本  ―
 
寒くなったかと思えば、急に暑くなったり12月になっても気候はまだ不安定。
キンと張り詰めるようなあの寒さが待ち遠しい。そんなときに、ちょうどいい本が届きました。
 
夏葉社から出たばかりの、その名も『冬の本』。
和田誠さんの装丁による、思わずほっこりするような表紙の、これまた手頃なサイズの本。
 
コンセプトは、作家や書評家、翻訳家、本屋店主(おっと思うような人選が◯。青山南、角田光代、浜田真理子、高山なおみ、柴田元幸、安西水丸、町田康、堀込高樹などあげたらきりがない。那覇の古本屋うららさんも!)などの本好きな84人のあげる冬の本を集めた新しいエッセイ集。
「冬」をキーワードに選りすぐりの「冬に読んだ本」「冬になると思い出す本」「まるで冬のような本」が一冊の中にぎゅっと収められている。
  
ページを開くと見開き2ページ分、一人につき一冊を冬のエピソードを交えて紹介していてとても読みやすい。目次を見て気になる人のところから読み始めてもいいし、巻末の著者と本の紹介の部分から好きな本を見つけてもいい。
  
住む場所も年代も、通ってきたこれまでの道筋も全く違う人たちがそれぞれの個人的な冬を語る。
そしてその傍らには本がある。本当にいろんな形の冬があるもの。
子供の頃の話。別れてもう会うことのない友人の話。ある何気ない冬の一日の話。紙の上で遠い冬の記憶と読んだ記憶が交差する。
 
読んでいると知らずに自分の記憶の中のいくつもの冬が思い起こされいく。
初めて雪を見た年のことや、白い息を吐きながら屋外で友人と話し込んだ夜や、南半球で迎えた冬やいつかは思い出せないくっきりと見えた冬の夜空の星。
 
ところで今、思い浮かぶ私の冬の本は、「雪」(中谷宇吉郎・著)、ダイベックの「シカゴ育ち」、ポール・ギャリコ「雪のひとひら」といったところ。
それとまた星野道夫さんの本も外せない。
この「冬の本」もまたその一冊に加わりました。
 
寒い日にポっと明かりを灯してくれるような贈り物のようなエッセイ集。
この季節、大切な人にどうぞ。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

リーガロイヤルグラン クリスマス
 
2012年12月22日(土)~24日(月)
営業時間:11:30~14:00
リーガロイヤルグラン沖縄 ダイニング&バー エージュ
那覇市旭町1番地9
098-867-3331
 
リーガロイヤルグラン クリスマス
 
初めてのクリスマスを迎えるリーガロイヤルグラン沖縄。22日からの3日間、特別にクリスマスランチフルビュッフェを開催します。
クリスマススタイルに仕上げたカクテルシュリンプ、ローストトマトサラダ、香草を効かせた若鶏の網焼き、フルーツグラタンなど、温かくこの季節に合った料理に舌鼓を打ちながら楽しいひとときをお過ごしください。
 
お一人様:大人3,000円 小人2,000円 (税サ込)
 
HP: http://www.rihgaroyalgran-okinawa.co.jp
FB: www.facebook.com/rrgokinawa
 

NAKAI

沖縄 料理教室 ミヌダル
 
ミヌダルは琉球王朝時代から続く由緒正しい宮廷料理。
おうちで作るという人は少ないかもしれないけれど、一度食べるとクセになるという人も多いの。ぜひ作ってみてほしいですね。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
用意するものは、豚肉(厚さ8mm程度)、黒ごま、醤油、みりん、砂糖。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
まず、ゴマをすります。
 
ちなみに、このすり鉢は100円均一よ(笑)。
普通のすり鉢も持ってるんだけど、乾きづらいのでこちらのほうが便利なのよ。
 
本来はこうしてすり鉢でするものなんだけど、ゴマから油がじっとり出てくるまで30~40分はかかってしまうのよ。
だから、フードプロセッサーを使った方が早いですね。
  
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
それでも4~5分はかかるかな。
途中、へらで上下をかきまぜて、満遍なくゴマをするようにしてね。
 
一気にやってしまわず、途中途中すり具合を確かめながらね。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
ほら、少しずつしっとりしてくるでしょう。
これくらいになったらOK。
調味料を入れます。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
醤油がけっこう沢山入るので、一気にガーっとかけてしまうと醤油が飛んで汚れてしまうの。だから醤油は二回くらいに分けて入れて。
フードプロセッサーも小刻みに「がっ、がっ」とかけるようにしてね。
 
このゴマペーストをしっかり作らないと、豚肉に塗るときに綺麗に塗れずまだらになったり、蒸したときに剥がれたりすることがあるので、丁寧に作ってね。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
次は豚肉ね。必ず筋切りをします。
そうすると、肉が変形せずに平らに仕上がります。
 
そして、さっき作ったゴマペーストを塗っていきます。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
ほら、ペーストを丁寧に作ったから綺麗に塗れるし、艶がいいでしょう。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
表も裏もしっかりと塗ってね。
すぐに蒸さず、しばらく置いてゴマペーストをお肉に馴染ませます。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
蒸し器には、布巾じゃなくて厚手のクッキングペーパーを敷いて。
ゴマの色がついて汚れてしまうから、使い捨てのペーパーがお手軽でいいわね。
 
肉は重ねず一枚ずつ、ゴマがはがれないようにそっと置いていってね。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
蒸すのに大体30分くらい。
 
待っている間に他のお料理を作ればいいわよね。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
豪華な漆器の盆に盛る宮廷料理・東道盆(トゥンダーブン)にもミヌダルが必ず入れられるのよ。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
うーん、いい香りね!
蒸し終わったら蒸し器から出し、すぐにカットせずに冷めてから切ります。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
冷ましている間にゴマがしっかりと肉に馴染むから、包丁を入れたときにゴマが取れないのよ。
 
ミヌダルはね、ご年配の方に熱烈なファンが結構いらっしゃって、遊びにお伺いするとき、「ミヌダルを作ってきてちょうだいね」とご指名頂くことが多いの。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
味がしっかりしているので、カットするときは小さめに。
 
だから、オードブルの一品みたいな感じね。
お酒にも合うんじゃないかしら。
 
沖縄 料理教室 ミヌダル
 
宮廷料理だから、お正月に限らずお祝いの席にもぴったり。
親族が集まるときに作って持って行ったらきっと喜ばれますよ。
この味はぜひいちど試していただきたいですね。
 
友の会 琉球料理
 
私が所属している「沖縄友の会」が出版したこちらの本には、他にも琉球料理を沢山紹介しています。
今ではなかなか家で作らない料理も多く掲載している貴重なレシピ集ですよ。ぜひご覧ください。
 
連絡先:098-885-5601(奥間)
 

写真 中井雅代

 

NAKAI

へび展
 
10月13日から1月中旬まで
@ 沖縄こどもの国ワンダーミュージアム
沖縄市胡屋5丁目7−1 
 
入館料
●大人200円
●4歳~高校生100円
●3歳以下無料(入場料は別途必要となります。)
 
へび展
 
2012年の干支、へびってどんないきもの?
いろいろな切り口から、へびというフシギな生き物を楽しめる展示会です。
関連ワークショップも開催していますので、どうぞご参加ください。
 
http://www.kodomo.city.okinawa.okinawa.jp/index.shtml
 

NAKAI

人生の特等席
 
派手さはないですが、さわやかな作品です。
 
なんともすがすがしい気持ちになります。クリント・イーストウッド作品特有の重さはないですが、たまにはこういうのもありかと。
 
タイトルに絡んで、変化球がきたような気がします。
 
クリント・イーストウッド自身、もう主演をすることはないと、「グラントリノ」のときに言ってたのはなんだったんでしょうか?(笑)
 
頑固な職人肌のお父さんを演じたらさすが! とうなるほどですが、「え?お父さん?おじいちゃんじゃなくて?」と思ってしまいました。
御年82歳ですからね。
 
人生の特等席
 
人生の特等席
 
人生の特等席
 
人生の特等席
 
エイミー・アダムスも見た目的に微妙なので、孫って感じじゃないですかね?
でも彼女が出てると安心して見れますね。
 
おそらく本物みたら、すごくきれいなんだとおもうけど、なんだか微妙にあか抜けてないルックスが安心感をあたえるというか。
 
ジャスティン・ティンバーレイクも出ていたので、二人で歌って踊ってくれないかなあ、と思ってましたが、若干の踊りだけでおわりました。
残念。
 
人生の特等席
 
親と子の絆を確かめ合うということも盛り込まれた作品ですが、あんなにほったらかしにされて育った娘の割にはきちんとおとうさんのことを心配して、来てくれるなんて、立派な娘だなあと感心。
野球のことはさっぱりわかりませんが、野球ファンも楽しめる作品になっているとおもいます。
 
 
クリント・イーストウッドの映画は、いい人と悪い人の線引きが割にくっきりしているのがわかりやすいし、笑ってしまう要素になります。
 
とにかくさわやかで、心が温かくなるそんな映画を観たい人は是非、劇場へ。

KEE

 

 
<ストーリー>
ガス(クリント・イーストウッド)は長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたが、ここのところ年のせいで視力が弱ってきていた。それでもまったく引退する素振りを見せない彼に、チームは疑いの目を向ける。窮地に陥った父親に救いの手を差し伸べたのは、あまり関係が良好とはいえない娘のミッキー(エイミー・アダムス)だった。
 
<キャスト>
クリント・イーストウッド
エイミー・アダムス
ジャスティン・ティンバーレイク
ジョン・グッドマン
ロバート・パトリック
マシュー・リラード

 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
MIHAMA 7 PLEX+ONE
098-936-7600
中頭郡北谷町美浜8-7
HP:http://www.startheaters.jp/mihama7plex

NAKAI

渡久地圭

 

「今回の舞台では、組踊で使われる笛の音をフルートで奏でることにしました。琉球音楽とクラシックを繋ぐ接点になれるのではと考えたのです。

 

琉球音楽とのコラボレーションは、これまでも色々な形でなされてきたと思います。しかし、クラシックとのコラボとなると両者をしっかりと生かすのがなかなか難しい。
なぜならば、どちらも『古典』だからです。
それぞれが文芸作品として成立している両者を公平に、本当の意味でコラボレートさせるのであれば、新たなベースを作らなければなりません。

 

でも今回は新たな作品を作るのではなく、それぞれオリジナルをしっかり聴いていただこうと考えました」

 

 

ドイツ、ウィーンで研鑽を積んだフルーティストの渡久地圭さんは、2012年から活動の拠点を自身のふるさとである沖縄に移し、さまざまな方法でクラシックの魅力を伝える試みを行っている。

 

組踊音楽歌三線人間国宝の西江喜春氏、プラハ国立歌劇場で主役を務めたソプラノ歌手の豊嶋起久子(てしまきくこ)さんらを招き、同じ舞台で琉球古典音楽とクラシックを演奏する公演「献歌」を12月5日に開催したばかりだ。

 

クラシック音楽の楽しみ方や琉球古典音楽とのコラボの方法、また、渡久地さんの活動などについて幅広くお話を伺った。

 

渡久地圭

 

「日本でどうやって活動していけばクラシックがより広まるかということについて、(豊嶋)起久子さんといつも話しているんです。
起久子さんは能楽・金剛流の生まれであることもあり、日本の伝統的な芸術・芸能とのタイアップについても話題に上ります。
日本人である僕らが、クラシックというよその国の芸術をやっているわけですが、『僕ら日本人じゃん、ウチナンチュじゃん!』という思いはありますし、日本の芸術をリスペクトする気持ちは強いんです。

 

これからは、そういう想いを大切に持ちつつ、両者がお互いに歩み寄って刺激を受け合うという流れが必要じゃないかと思うんです。

 

クラシックというとある程度イメージが定着しているというか…。ちょっと敷居が高いというような雰囲気がどうしてもあると思うんです。
また、そういう風に感じさせてしまっている原因は、クラシックをやっている当事者にあるんじゃないかという気もしていて。

 

もちろん、素晴らしいものだという確信があるからこそクラシックをやっているのですが、それを日本の皆さんに伝えていくのはなかなか難しい。
もともとが外国の文化だから、馴染みが薄いという大前提があって、そこをどう突破していくかが課題だと思うんです。

 

そこで、一つの方法として沖縄の伝統芸能とコラボをしてみるのはどうかな?という案が浮かびました。それも普通のコラボではなく、どちらもぞれぞれ質の高いものを一つの舞台でやろう、と。
これまでも色々な形でのコラボはあったと思うのですが、こういう形はなかったと思います」

 

その時、渡久地さんの頭には一人の人物が浮かんでいた。2011年に人間国宝に認定された西江喜春(にしえ きしゅん)先生だ。

 

西江喜春

 

「きっかけは、NHKで放送されたドキュメンタリー番組。人間国宝に認定されたということで先生のご活動を特集した番組が放送されていたのをたまたま観ていたのですが、『この方すごい!…すごいぞ!』と感動しました。
とりわけそのお声にすっかり魅了されたんです。非常に張りのあるお声で、何しろ素晴らしくて」

 

偶然にも、渡久地さんと西江先生との間に共通の知り合いがいることがわかり、企画と想いを伝えることができた。

 

「僕は起久子さんの声はよく知っているし、ヨーロッパでもオペラ座で主役を歌われたほどの実力と才能の持ち主。また、その舞台も観に行って歌声を聴いていたのでイメージはできていました。そこに西江先生の凛としたあの歌声が入ったらこれは素晴らしい舞台になると確信したんです。

 

先生は人間国宝に認定され、僕らが想像できないような制約もあるのではないかと懸念もありましたが、ご承諾くださって。

 

沖縄にもこんなに素晴らしい方がいらっしゃって、こういう伝統芸能があるんだということを、ウチナンチュとしてはやっぱり大きな声で言いたかったんです」

 

 

西江先生の歌声のとりこになったのは渡久地さんだけではない。
舞台「献歌」のリハーサル時、西江先生の生の歌声を聴いたソプラノ歌手・豊嶋起久子さんも驚嘆の声をあげたという。

 

「『あの歌声は…素晴らしいテクニックだね』と。音を集中させる発声のテクニックがあるそうなんです。先生に実際に伺ったわけではありませんが、それを実践されてるのかな、と」

 

西江先生の歌声は「飴色の声」と称されている。
伝統芸能の歌声というと、重厚で落ち着きのある、どっしりとしたイメージを持っていたのだが、最初の一声でそのイメージは覆された。

 

雲一つない広々とした晴天の空に、細く鋭い矢がまっすぐに、どこまでも飛んでいくような勢いがある。
艶があり、きわめてソリッドな声。
そして、どの歌を歌っていても感じる陽性の響き。
心のくもりをさっと払うような清々しさ。
このままいつまでも聴いていたい。聴く人すべてを魅了する、特別な歌声。

 

リハーサル時、西江先生率いる組踊チームの演奏が終わると、クラシックチームからは感じ入ったように
「素晴らしい、本当に素晴らしい」
という賞賛の声と拍手が聞こえた。

 

渡久地圭

 

舞台では、組踊の演目「手水の縁(てぃみじぬいん)」より、「忍びの場」が披露された。
主人公・山戸(ヤマトゥー)が 再会を誓った玉津(タマチィー)の家に忍んで行くシーン。山戸が吹く笛を、沖縄の笛ではなく渡久地さんがフルートによって演奏する。

 

「今回の舞台で、琉球音楽とクラシックが最も接近するシーンです。
僕の存在自体、ウチナンチュでありながらなぜかフルートをやってるということで、二つの世界をつなぐ役目を果たせないかなと考えました」

 

そのシーンを観ていると、とても不思議な気持ちになった。
琉球装束を身につけた立方(たちかた:踊り手)が笛を吹く仕草に合わせ、渡久地さんの奏でるフルートの音が響く。
違和感はまるでない。その澄み切った音は組踊の世界に難なく馴染み、主人公の想いをしっかりと代弁している。

 

渡久地さんのフルートの音色は、組踊の世界に馴染ませるための細工が施されているようには聴こえない。あくまでもクラシックの楽器というフルートそのものの音色をもって、組踊にアクセスしているように感じた。

 

三線、琴、フルート、そして西江先生の歌声。
すべてがお互いを尊重しあい、引き立て合っているからこそ生まれる、特別な響きに包まれた。

 

「日本の伝統芸能とクラシックは、お互いに歩み寄って刺激を受け合うという流れが必要」という渡久地さんの言葉が実践されていることが、その響きからありありと感じられた。

 

渡久地圭

 

渡久地さんとフルートとの出逢いは、小学校三年生にまでさかのぼる。

 

「出逢いはね…今考えてもおかしいんですけど、音楽の教科書の写真がきっかけだったんですよ。
僕は本部(もとぶ)の出身なのですが、当時はまわりにフルートなんてなくて、実物を見たことも音を聞いたこともなかったんです。
だけど小三の音楽の教科書をめくったら、裏表紙に楽器の写真が一覧表で掲載されていて。トランペットとかヴァイオリンとかね。そこにあったフルートの写真を見て『これやりたい!』って。…そう、ビジュアルだけで(笑)。

 

でも実物がなかったので、リコーダーにストロー突っ込んで横にして吹いてみたりしてました(笑)。それだけフルートに想いを寄せていたんです。
こんな子ども、もちろん他にはいなかったですね(笑)」

 

四年生になってブラスバンド部に入部するも、金管バンドだったのでフルートはなくトランペットを吹いていたという。そして五年生のとき、ついに実物を手にすることになった。

 

「両親が買ってくれるというので那覇まで行ったんです。那覇高校の前の『文教楽器』という店で。よく覚えていますよ。
それまで吹きたくて吹きたくてしょうがなかったから、僕ね、買ったその日に一曲吹いたんですよ。指使いはすでに運指表で覚えていたので。ちょうどいとこの入学祝いがあったので『思い出のアルバム』という曲を。『いーつのーことーだかー』っていうアレです。
それにしても、どうしてあんなにフルートに思い入れが強かったんでしょうね。今でも不思議なんですよ、あの感覚は。
小三で出逢ってからずっとフルート一筋、浮気なしです」

 

中学生の頃にはすでに音大受験を視野にいれ、開邦高校芸術科音楽コースに進学した。

 

「当時は高校にフルートの先生がいらっしゃらなかったので、授業が終わってからバスに乗って那覇市若狭の教室まで通っていました。
僕は寮に入っていたのですが、門限が6時、7時には食事が終わり、7時半にはお風呂にも入れなくなるという厳しさ。でも僕はフルートの勉強のために出ていたので特例扱い。たまにちょこっと寄り道して帰った思い出もあります(笑)」

 

卒業後は武蔵野音楽大学に進学した。恩師の留学先がドイツであったり、恩師の知り合いにドイツ系の演奏家が多かったことなどから、ドイツ留学を検討するようになったと言う。

 

「大学卒業後、何のあてもなく、学校も決めないまま『とりあえず行こう!』とドイツへ行っちゃったんです」

 

語学学校に通いながら先生を見つけ、大学の入試を受けて入学した。
その行動力にも、「どうにかなる」という楽観性にも驚かされる。

 

「基本、ノンカー(=のんき)なんですよ(笑)」

 

ドイツで4年半研鑽を積んだのち、ウィーンに渡った渡久地さんは、ウィーンフィル首席奏者のマインハルト・ニーダーマイヤーに師事し、フルート奏者としての仕事も始めた。

 

「それと同時に沖縄・日本とウィーンを行き来するようになりました。沖縄でやりたいことも膨らんできていたんです。
この素晴らしいクラシックを日本でもっと身近に感じてもらえるにはどうしたらいいか、本当に質がよく、聴いていて楽しいと感じられる音楽を紹介していくためにはどうすればいいかということを、自分で考えたり、起久子さんと話したりするようになりました」

 

渡久地圭

 

沖縄には、様々な音楽を受け入れる土台があるように感じると、渡久地さんは言う。

 

「開かれた感受性を持っている感じがするんです。反応も素直でストレートで。だから、質の良いものを聴いていただける場をたくさん作れば、『クラシックって良いな』と感じていただけるんじゃないかな? と。

 

クラシックの普及活動の一環として、おしゃべりもするコンサートを各地で行っているんです。クラシックって姿勢正してしっかり聴かなきゃーっていうイメージがあるでしょ、咳もしちゃいけないとか(笑)。そういうイメージをできるだけ取り払って、フランクに聴いていただける場を作りたいと思っていて。
すると、そういうコンサートでこちらから語りかけたときの反応は沖縄が一番良い気がするんです。舞台とお客さんとの距離が近いというか。緊張しすぎることなく、のびのびと音楽を楽しむ感受性が備わっているように感じます。

 

沖縄って色々な可能性を秘めた土地だと思うんですね。色々なシーンでもう少し沖縄が頑張れたらなーと、ウチナンチュとして期待を寄せています」

 

また、フルーティストして、自身が求める音色を奏でるための努力も忘れない。

 

「僕が好きな音色は、なんていうのかな…混じりっけのない音。
もちろん、フルーティストとしてはパレットに様々な色があるのが良いんです、こんな音も出せる一方であんな音も、というのが理想。
でも僕は、ニュートラルな音への理想があるんです。澄みきった音。それでいて輪郭としての縁はあって、その輪郭の中は音で満ち満ちている。固く、キュッというのでもなく、ほわーんっていうのでもない。丸くてボーンっと響く音。

 

その理想を実現できるよう日々努力していますので、徐々に近づいているように感じています」

 

 

渡久地さんは音楽以外の文化面においても、沖縄の環境がより整えられたらと考えている。

 

「音楽に限らずなんでも、大切にリリースされたものって『お!』って思うじゃないですか。
食もそう。おいしいものを食べたいなーって思ったとき、少し値段が高かったり量が少なめだったりしても、『いいね〜』って共感できる人や場が増えたらいいなって。
そういうことは様々な分野に共通して言えると思うのですが、僕らはクラシックをやっているので、良い音楽をお届けするためにこれからも努力して、環境を整えていくお手伝いができたらと思っています。

 

12月22日には、OIST(沖縄科学技術大学院大学)でクラシックの名曲を演奏する機会をいただきました。みなさんどこかで耳にしたことがある曲ばかりだと思います。
予約は必要ですが入場は無料。子どもさんたちにも是非来ていただきたいですね」

 

 

顔を合わせれば冗談を言い、終始笑いが絶えない三人はいずれも、世界を舞台に活躍しているアーティストだ。
その演奏や歌を聴けば、普段クラシックを聴く機会の少ない私でも、質の高さを瞬時に感じ取ることができる。

 

また、CDやパソコンといった媒体を通して聴く音と生の演奏とでは、当たり前だけれど音の響き方がまったく違う。

 

最初の一音で、瞬時に心臓をぐっと掴まれる。それも戸惑ってしまうほど直接的に。
気づいた時には、心と意識が別世界へと飛んでいる。耳に届く音が、見たこともない景色へといざなってくれる。
そのすべてが一瞬の出来事で、知らず知らず目には涙があふれていたりする。

 

そういう体験はきっと、上質でリアルな音楽だけがもたらすことのできる効果の一つだろう。

 

からだに良いものを食べようとするように、良いものを聴こう。
私たちのまわりにはその機会が、環境が、整えられ始めている。

 

写真・文 中井 雅代

 

渡久地圭
ブログ http://nufa.ti-da.net

 

oist winter music concert
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NAKAI

火を熾す
ジャック・ロンドン 著  柴田元幸・訳  スイッチ・パブリッシング  ¥2,100/OMAR BOOKS
 
― 極寒の世界へ  ―
 
冬の到来。風景も人も少しずつ、冬の装いに変わりつつある。
本格的な寒さはこれからやってくる。そのひと足先に極寒の気分を味わってもらおうと(ここ沖縄だと真冬でも味わうのは難しいけれども)、今回紹介するのはきれいな雪の結晶が浮かぶ表紙の『火を熾す』。      
 
知る人ぞ知る短編の名手、ジャック・ロンドンの短編集。
少し前に惜しまれて休刊した雑誌「Coyote」(最近復刊しました!)に翻訳連載されていた、ロンドンの200本以上の短編の中から厳選された9編が収められている。
 
中でも表題作の「火を熾す」はこの季節、読む人をさらに極寒の世界へ導いてくれる。そこには甘くない、過酷な冬のほんとうの姿が広がっている。
この短編を読むと、私たちは「ほんとうの寒さ」の怖さを知らないんだと思う。 
人間の本能が呼びさまされていく過程を描くのが上手い著者。ここでもそれが存分に発揮されていて、まるで自分があまりの寒さに生死を脅かされる主人公になったかのような錯覚を覚えた。思わず手の甲をつねって感覚を確かめたほど。
 
極限の状況に陥ったときの、恐怖心や滑稽さなど人の心理が微細に描写される。これはもう体験したことのある人しか書けないような内容。
 
ロンドンは実際、多彩な経歴で有名で彼自身の人生も小説に劣らないほど面白い。飾らない、簡潔な言葉で紡がれた彼の短編にはそのバックボーンが見え隠れする。
 
また短編の一つ一つも肩すかしをくらうような結末であったり、悲劇的な状況がどこか笑いを誘ったりするのも味がある。
それはつまりそれだけ人の持つ、感情や身体の複雑さがよく描かれているということ。ただ楽しいから笑うのではなく、悲しいから泣くというのではない。人はそう単純ではないよ、と。
 
また何よりロンドン作品は私たちに「自然」や「野生」について深く考えるきっかけを与えてくれる。現代人の失ってしまった大きなもの。
 
今もなお色あせることなく読み継がれているスタンダード。
 
ストーブにあたりながら、あるいは分厚い毛布に包まって読むことをおすすめします。
 
野生の心を呼び覚ます一冊をどうぞ。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
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