NAKAI

読書からはじまる
長田弘・著  日本放送出版協会 ¥830(税別)/OMAR BOOKS
 
―あいだに本があれば橋がかかる―
 
 意識してもしなくても人の気分は多かれ少なかれ天候に左右される。季節もまた同じ。暑くもなく寒くもないちょうどこの時期は読書にうってつけ。久しぶりに本でも読んでみようかな、という人も多いかもしれない。そこで今回は読書の効用がよく分かる本を一冊ご紹介します。
 
著者は現代を代表する詩人の一人、長田弘さん。世界を一冊の本に見立てた「世界は一冊の本」という詩を聞いたことのある人もいるはず。詩の創作と並行して「本」についてまたは「読書」についての著書も多い。
  
本て何だろう、という素朴な問いに「本ははじまり、もとという意味をもっている」というところから彼が考えた「読書」というものの姿が明らかにされていく。
  
ただ活字を読むことだけが読書じゃないと著者は言う。私たちが無造作に「本」と呼んでいるのは、本という考え方なのです、と。
 
一冊一冊はそれを書いた人の、その時の考え方が本という形をとって読む人の手に渡っていくのであり、そこにはもうひとつの時間が流れている。
「いい本とはいい時間があるような本」という言葉に深く共感するところがあった。確かにすごくいい本に出会ったときの記憶は今でもありありと思い出せる。その時、自分がどういう気持ちで、どんな部屋にいて、窓からは何が見えて、何時ごろで、どんな格好でページをめくっていたかということまで。とても濃密な、いい時間の感覚がはっきりと残っている。それが多ければ多いほど豊かな時間を過ごせたいえるんじゃないだろうか。
長田さんが言うように、現実を離れてもうひとつの場所、もうひとつの時間を行き来することはとても必要なことだと思う。写真家で文章家の故・星野道夫さんも同じようなことを言っていた。
  
他にもこの本の読みどころはいろいろあるけれど、子どもの本のちから、という章は、今育児の真っただ中といった方にもおすすめしたい。
また表紙はジョージ・ナカシマという世界的に知られた椅子つくりによる「本を読むための椅子」。何とも坐り心地が良さそう。
 
読書について個人的なことを言わせてもらえるならば、間(あいだ)に本があれば橋がかかる、それは私が実感として自信を持って言える数少ないことのひとつ。
 
年齢、職業、国籍、時代にかかわらず、本を介せば必ず繋がることができる。まずは読書の効用、試してみてはいかがでしょう?

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

Day1
沖縄 スナップ
トップス:BEAMS BOY
スカート:無印
 
Day2
沖縄 スナップ
トップス:BEAMS
デニム:ユニクロ
靴:NIKE
 
沖縄 スナップ
 
Day3
沖縄 スナップ
トップス:不明
パンツ:無印良品(多分)
靴下:不明
靴:CAMPER(カンペール)
 
沖縄 スナップ
 
Day4
沖縄 スナップ
トップス、サロペットともに :JOURNAL STANDARD
サンダル:BIRKENSTOCK
 
Day5
沖縄 スナップ
カーディガン:不明
ワンピ:note et silence(ノートエシロンス)
靴:不明
 

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「こう見えて、昔はギラギラした服も買ってましたよ。スパンコールついてたりとか(笑)」
 
ナチュラルなアイテムを印象的に着こなすのが上手な高良さん。
服のテイストの意外な変遷を教えてくれた。
 
「柄物がすご〜く大好きなこともあったし、子どもがまだ小さいときはほっこり系のリネンの服とかも好きでした。好みって変わるものですね。
それで今はどうかというと…アイテムの共通点があまりないかも。華やかな色合いのものが欲しくなることもあるけど、基本はシンプルかな」
 
素材については、外せないこだわりがひとつ。
 
「洗濯機でじゃぶじゃぶ洗えること!(笑) だって、気軽に洗えるものは着てて気持ちいいから。洗濯表示は必ずチェックします」
 
外人住宅風のムードが素敵な家(関連記事:外人住宅の難点をクリアしたコンクリートブロックの家)に住む高良さんは、家選びにも服選びにも迷いがない。
 
「即決なんです。パッと見て『欲しい!』って思ったら揺らがないですね。服だと一旦そこを離れても絶対戻ってきちゃうし」
 
好きなものがはっきりしているから、悩んだり時代に左右されたりすることがない。
 
「雑誌とかもほとんど見ないですね。好きな店は決まってるし、流行りを意識して買うということもありません」
 
すっきりと整頓されたシンプルな暮らしが印象的だったが、ワードローブも少なめだと言う。
 
「金額がちょっと高めのアイテムを買うことが多いので、そんなに沢山は買えないんです。その分、一着を長く着ます。服でも靴でも10年選手がけっこういますよ(笑)」
 
 
服を買うとき、値段が決定理由の多くを占めているときはないだろうか?
手頃だから、予算内だからという理由で、より気に入った服をあきらめたことは?
値段はもちろん考慮すべき大きな要素の一つではあるけれど、最優先事項ではないはず。
「この服が、例え5万でも欲しい?」
と自分に問うたとき、YES! と答えられるのであれば、3,000円でも買う値はあるはず。
逆に答えが NO であれば、値段を理由にたくさんのときめきをあきらめているのかも。
 
本当に好きなものだけを選ぶ勇気をそなえ、自分の価値観をしっかり理解していれば、心から愛するアイテムだけがシンプルに並ぶクローゼットになるはず。
 

写真・文 中井 雅代

 

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裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
もこもこした見た目が魅力的な編みバッグ。
ふんわり軽やかな手触りかと思いきや、編み目がぎゅっと詰まっていて意外にも堅実な感触。少々重量のあるものを入れても、よれたり伸びたりすることもないほど丈夫なつくりだ。
 
それにしても、普通の編み物ではなく「裂き編み」とは?
 
「ハサミでテープ状に切った布を、かぎ針を使って編んでいくんです。
基本的には手で裂くので『裂き編み』といいますが、私はだいたいハサミで切っています」
 
と、作家のナカソネサチヨさん。
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
一つのバッグを編むのには相当な大きさの布が必要になるため、テープ状にカットするのも一苦労。作業中はストイックにならざるをえないという。
 
「一旦始めちゃうと6時間ぶっ通しでカット、その間1回トイレに行くかな、というくらい。面白いので無心でやっちゃうんです。
わたし、食いしん坊なので普段はすぐお腹が空くんですけど、これをやっているとご飯がいらなくなってしまう。製作中は体重も2kgくらい減っちゃうんですよ。裂き編みを始めるまでは、『何かに夢中になって食事をとるのも忘れる』なんてドラマのセリフで、実際にはあり得ないって思ってましたけど(笑)」
 
布を手で裂かずハサミでカットするようになったのも、使用する布地の多さが関係している。
 
「手で裂いていたときは、あまりの量に繊維が空気中に充満しちゃって。一通り作業が終わってあたりを見回すといろんな色の繊維だらけ。お掃除するのも大変でした」
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
サチヨさんが裂き編みを始めたきっかけは、自分の服に合うトートバッグが欲しかったから。
 
「色々と探したのですが見つからなくて。じゃあ自分で作っちゃえーと。
購入した服についてくる共布(ともぬの)がたまっていたので、ちょうどいいとそれを裂いて作りました。
初めてできた作品は今でもかなりお気に入り。周りの人に褒めてもらったのもすごく嬉しかったんです。大人になってから褒められることってなかなかありませんから」
 
生地のほつれのかわいさや素材の違いによって生まれるおもしろい感触はいずれも偶然の産物。一作目のトートを製作した2012年2月以降、その魅力にとりつかれて意欲的に作り続けている。
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
驚くのは使用されている布地の種類の多さ。
紺、白、グレーの三色に見えるこちらのバッグは、上からキャプラ、コットン、リネン、エステル、二重ガーゼと五種類に分かれており、持ち手はジャージーを使用。
素材にとことんこだわって作られているのだ。
 
「素材によって全然違う表情が出てくるのが、裂き編み作品の魅力だと思います。キュプラだとあたりがやわらかくてほつれ方も可愛い。二重ガーゼは色合いが優しい。どの部分を何の素材で編むかと考えるのも楽しいんです」
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサ1チヨ
 
「下描きが嫌い」というサチヨさんは、デザインをデッサンすることもなく、作り始めの段階ではどれくらいのサイズでどんな形にするか、ほとんど決めずに作ると言う。
 
「一段目を編んでいるときに『これくらいでいいかな〜』と、気分で幅を決めます。編み進めていくと生地の柄や色によってだんだん模様が浮かび上がってくるので、『わ〜、こんな柄になった〜』って(笑)。自分では意図しない柄が自然と出てくるところが面白いんです。バッグの長さもあらかじめ決めず、作りながら考えます。
 
実は、布をハサミで切るときにもラインは引かないんです。精密にではなく、およそこれくらいという感じでカットします。
でも、たとえテープの幅を均一にカットしたとしても、編むときの力加減で仕上がりはだいぶ変わるんです。今日と昨日でも全然違う、ということも。そういう変化も楽しんでいます」
 

裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
「二重ガーゼのタータンチェックの生地だったのですが、編んでいくと…」 
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
「斜めのラインが偶然出てきてびっくりしました」
 
ナカソネサチヨ
「バッグや携帯ケースに『トサカ』をつけるのが自分の中で流行ってます(笑)」
 
サチヨさんは裂き編みについて語ると止まらなくなる。作品への愛情がひしひしと伝わってくる。
 
「ここの部分、色合いが素敵でしょう?」
「トサカがマイブーム。すごくかわいくて気に入ってます」
「ほら、触ってみてください。ここはキュプラ、こっちはジャージー。感触が面白くないですか?」
 
と、ご本人が心から作品づくりを楽しんでいるのが伝わってくる。
ニコニコしながらハッピーな気持ちで作られたバッグやコースターは、やはりどれもルンルン鼻歌が聞こえてきそうな、ごきげんなものばかり。
 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサ1チヨ
「下の白い部分はコサージュについているリボンと同じ素材なんです。編んだ状態と比べると、布の表情が全然違いますよね」
 
「次はつけ襟とかも編んでみたいですね。実は、最初はトートバッグ以外のものを作る気はなかったのですが、携帯ケースを作って欲しいと依頼されて作ってみたらすごく楽しかったんです。なので、これからは色々なものを裂き編みで作ってみたいと思っています。バッグもアシンメトリーにしたりトサカをつけたりと変化しているので、どんな作品が生まれるか楽しみです」
 

写真・文 中井 雅代

 
裂き編みによる手仕事 ナカソネサチヨ
N+(エヌプラス)
平面から立体的なのもへ新たに生まれる表情を楽しむ、をコンセプトに
そのときどきに生まれ出たアイディアを形にしています。
繰り返される作業から少しずつ変化していくアイテムたちは、偶然性を日常に
プラスし新しい世界を広げてくれます。
遊び心を織り交ぜた材料や色の組み合わせを楽しんで下さい。
 
ブログ http://nplus.notu.org
 

裂き編みによる手仕事
2012.9.15(sat)~10.31(wed)
@LEQUIO
宜野湾市喜友名2-28-23
tel&fax:098-893-5572
open 11:00~20:00
年中無休
駐車場有り 
HP:http://www.lequio-r.com
ブログ:http://lequiojapan.ti-da.net
 

NAKAI

ボルベール
 
ペドロ・アルモドバル監督の中では珍しく万民におススメできる映画です。
私はこの監督の作品は非常に好きですが、やはりアクがかなり強いので「私は、良かったけど、どうかな?」という感じでいつも皆に強くはすすめてこなかったです。
しかし、この作品は本当にいろんな女性に見てほしいな。
 
ボルベール〈帰郷〉
 
当時のペネロペはハリウッド映画ではイマイチ、演技力もぱっとしない感じだっただけど、スペイン映画を観ると、「天才??」と思うほど。
彼女はスペイン映画ではいつもキラキラ輝いている。
今回もとにかく美しい。このメイクが彼女の美しさを引き立たせるんだけど、ハリウッドじゃこのメイクじゃ役が限られちゃうもんね。
 
ボルベール〈帰郷〉
 
ボルベール〈帰郷〉
 
私はキレイな色の服が好きなんだけど、さすがスペイン、太陽の国だけあって、原色のお洋服がとっても素敵。
スペインの建築も私は好きなんだけど、タイルとかかなり見入ってしまいました。
 
ペネロペのおっぱいとおしりが非常にかっこいいんだけど、お尻は付け尻だったのね。
なるほどと同時に残念です。

力強い映画なんだけど、笑えるシーンもいっぱいある。
お母さんがロシア女になりきるところが笑えました。

土地柄なのか、ライムンダが勝手にひとの店をオープンさせ(これは有り得ないけど、有りなのか??)、近所のひとが買ってきた食材を売ってもらったりする。
このあたりがなかなか強引で、スパニッシュらしい。
 
歴史は繰り返すというか、なんというか。。。
娘のパウラを演じた Yohana Cobo はかなり個性的なルックスで印象的。
 
ボルベール〈帰郷〉
 
ボルベール〈帰郷〉
 
ボルベール〈帰郷〉
 
母と娘の交流。
スパニッシュは特に家族の絆が深いからな~。
でも、死んだ母親が実は生きてたってとこをすんなり受け入れるところがすごい。
 
私も母が、「実は死んでなかったのよ」とかいって帰ってきてくれたら、「色々話したいことがいっぱいある」んだけどな~。
 
エンドロールのお花の絵などもとても可愛い。
女性のための映画なんだな~とつくづく思った。

KEE

 
 
 
☆DVDでどうぞ☆
ボルベール<帰郷>

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金城徹 それぞれの一日
 
■展覧会名 :それぞれの一日
■出展作家 : 金城徹
■金城徹のアート作品展、日々の中にある陰影の瞬間を記号的なイメージとして抽出した平面・立体作品など新作を展示する。
 
■会期 :2012年10月7日(日)〜10月14日(日)
■営業時間 :10:00 – 13:00 / 15:00 – 19:00 (13:00 – 15:00昼休み)※最終日は18:00まで
■入場無料
 
※作家在廊日 7sun・14sun 
 
■会場 :GARB DOMINGO  2F
■住所 :沖縄県那覇市壺屋1-6-3
■tel / fax :098-988-0244
■URL :http://www.garbdomingo.com
 
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作家プロフィール
金城徹
1979 沖縄県生まれ 2004 沖縄県立芸術大学美術工芸学部美術学科絵画専攻 卒業
2006 沖縄県立芸術大学造形芸術研究科絵画専修 修了
2009〜 沖縄県立芸術大学にて非常勤講師
 
EXHIBITION
個展/2006 金城徹展ー記憶ー(喫茶「つる」)
グループ展/
2008 「ちょうちょ結び展」沖縄県立美術館県民ギャラリー・未来への視座(ギャラリーTEN (東京))
2009 「結展vol.3」アートスペース羅針盤 (東京) ・「風のいろ展」GALLERY CAFE TOTO(熊本) ・「未来への視座」ギャラリーTEN (東京)
2010 「本村佳奈子・金城徹 2人展」吉田町画廊(横浜)・油画の可能性アートスペース羅針盤(東京) | ・「P-POINT展」県立芸大
2011 「風のいろ」大宝堂ギャラリー(熊本)・「アートスペース羅針盤セレクション展」・「1から生まれる10」GARB DOMINGO(沖縄)
 
前回の展示会の様子はこちら>>>http://www.garbdomingo.com/blog/?p=786
 

NAKAI

スケッチ・オブ・ミャーク 大西功一
 
御嶽の中で祈りとともに歌を捧げる女性たちの姿。集落から選ばれたツカサンマ(神女達)だ。
その歌声は神に捧げるものでありながら、神の声そのものであるようにも聴こえる。
メロディーも調子も不均一で、譜面に起こすことも難しいであろう、伴奏のない歌。その歌声は神聖なトーンをもって、力強く響き渡る。
 
私は宮古島に生まれたわけでもなければ、沖縄本島出身者でもない。しかし、心のずっと奥深く、普段は自分ですら触れることのできないような隠された部分に、その歌は直接ビシビシと響いてくる。心が大きく揺らぐ。胸が苦しくなる。気がつくと涙が流れている。
とても不思議な気分だ。遺伝子に組み込まれた「何か」が歌に強烈に反応しているような感覚。これはきっと私が沖縄に住んでいるからというのでもなく、日本人だからというのでもない。おそらく、私が人間だから。数百年前に宮古で暮らし、歌を口ずさんでいた人々同様、この地球上に暮らす人間であるなら誰しも感じ取れる魂の響きなのではないか。
 
ツカサンマの歌が国境を越えて人々に感動を与える証明として、ロカルノ国際映画祭ではグランプリに次ぐ「批評家週間賞・審査員スペシャル・メンション2011」を受賞するという快挙を成し遂げた。
 
過度な演出を一切排除し、宮古のありのままを描き出した大西功一監督に話を伺った。
 

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長崎トヨさん
長崎トヨさん。東京でのコンサートの一幕。
 
– – – 嘘になるから言葉は添えずに。映像のみで本質を描く。
 
自分の想いや考えを表現するというのではなく、宮古の本質を描きたいという気持ちで撮りました。
何百年も変わらずに続いてきたものや人々の想いを編集によって描き出すという作業をしましたが、そこに自我は投影していないと思います。
もちろん、実際にそれを目にしたのも自分、感じたのも自分であるわけですから、自分が感じた宮古を提示したいなとは思っていました。それが何であるかという言葉は添えずに。なぜなら、言葉を添えるとどうしても嘘がでてきてしまうから。
 
例えばテレビのドキュメンタリーって大抵ナレーションをべったりくっつけていますよね。あれは嘘をつかなければ成り立たないんです。本当は断言できないことであっても「これは◯◯です」と言い切らないとしょうがない。「◯◯と言われてはいるけれど、本当のところはどうかわかりません」っていうのが真実だけど、そんなこと誰も言えませんから(笑)。
最後はちゃんと落とし前つけて、ラストに「現代にとってこれが結論である!」と言い切るためには嘘をつくしかない。でも、そういうことはしたくないので、僕は一切やらない。言葉を添えないとはそういう意味です。
 
ただ、それで難しい映画になっちゃいけないんですよね。宮古の普通のおじさんやおばさんが観るということはあらかじめ想定できていましたから、そういう方にもちゃんと伝えなければいけないし、「観てよかった」と思っていただきたいので、編集の際、そこには気をつけました。
 
続編は…ないでしょうね。ムリですよ、あれと同じクオリティで作るのは。あれが最後のチャンスだったな、と強く感じています。
一年後だとおばあたちの健康も心配だし、東京で行われたコンサートへの参加も難しかっただろうし。出演者の中には撮影が終わってから施設に入られた方、亡くなられた方もいらっしゃいます。違う視点での映画ならできるかもしれませんが、まあ、難しいと思います。
  
– – – 手拍子する人、笑う人…。最高に幸福な宮古島での上映会 
 
宮古で先行上映を行ったのですが、想像以上に大勢の方が観に来てくださって入りきれなくなっちゃって。追加上映もして、結局三回やりました。
一回目は中央公民館の大ホールにパイプ椅子を並べて。750席用意したけれど800人以上来てくれて、席がなくて怒って帰る人もいる、という。
隣りの伊良部島からも船に100人も乗ってわざわざ観に来てきてくれたんです。本当に大盛況。観客席にはおばあの姿がすごく多かったですね。
宮古の人は「有料のイベントにこんなに人が集まることはない」ってびっくりしてましたね。「ありえない」って(笑)。
 
観客のみなさんの反応がまた素晴らしいんですよ。みんな色々としゃべってるわけです、映画観ながら(笑)。こっちが騒いだと思ったら今度はあっちが騒ぎ出して、ざわざわしながら、でもその中で泣いたり笑ったりね。
拍手する人もいれば、手拍子する人もいて。でも誰一人としてそれがうるさいな、鬱陶しいなと感じた人はいなかったんじゃないかな。
だから、すごい幸福な映画鑑賞ですよ。
 
佐良浜(さらはま)の神事
 
– – – 消えいく島での生活と神歌。撮らなければ後悔する、と。
 
ミュージシャンの久保田麻琴さんが最初に宮古を訪れたのが2007年。彼は沖縄の古い歌を聴きたくなり、尋ね歩くことを始めたんです。そうして活動を続けていくうちに、宮古には御嶽の中で集団で行う祭祀が残っていて、歌い継がれている神歌(かみうた)があるということを知った。
その歌を知りたい、録音したいと彼は考えたわけですが、なかなかそれがうまくいかなかった。祭祀で歌われる歌ですから、基本的には録音に応じるようなものではないので断られてしまうわけです。
当時、久保田さんがハンディカメラで撮った映像も見せてもらっていたので、状況は知っていました。 
 
やがて歌を歌ってもいいと言う方々と出会い、「沖縄・宮古の神歌」というCDを出したんです。高良マツさん、長崎トヨさん、村山キヨさんという、映画にも出演したおばあ三人の声を現地録音して。
久保田さんは他にも色んな方に出会って録音活動を続けていたのですが、2009年2月、僕に「東京でのコンサートの記録をお願いできないか」という話がきて。
 
神歌を映像に残したいと言っても、歌だけを撮影すればいいというわけではないなと思いました。なくなりかけてる祭祀や、何百年と続いてきた島での生活をちゃんと記憶しているおばあの存在がまず歌の背景としてあり、そこから歌が生まれているわけですから、その全体像を記録する必要があると思ったのです。
それらを知る機会はこれが最後になることははっきりとわかっていましたし、知りながら黙って見過ごしてそれが無くなってしまったら、自分は責任を果たせなかったことになるし、必ず後悔するだろうとも思った。「やはり撮らなきゃいけないな」と感じていたときにちょうど久保田さんからご相談を受けたわけです。
 
歌の背景にある島での生活を作品に、という考えと、消えいくものを記録するという二つの意味が自分の中にあったので、記録するだけではなく映画にしようと決めました。
コンサートの出演者はすでに決まっていましたし、彼らの背景を撮るという映画の骨格はコンサート記録の相談を受けてすぐに浮かんだものです。
  
久保田さんがおばあたちを東京に連れてきてコンサートを行う予定であると、そしてそれが2009年7月だと聞いて、それより前にと4月には宮古に飛びました。
おばあたちが東京に来たあとでは何かが変わってしまう気がして、その前に撮らなきゃという意識があったんです。
撮影期間は1年間。その間に東京と宮古を5回ほど行き来し、総滞在日数は4ヶ月と10日。一番長いときで2ヶ月間滞在し、撮影を行いました。
 
大西功一
 
– – -宮古の第一印象は「この島のどこが良いんだ?」
 
実は、映画を撮影する前の年、2008年11月に初めて家族と宮古に行ったんです。久保田さんがすごく良いところだと言うものだから行ってみたくなって。
そこでやたらきれいな青い海を見て、飯食って、帰って来て…。「この島のどこがいいんだ?」と(笑)。
その時には宮古の良さを実感できなかったんですね。沖縄本島のほうが全然好きだなーって思っていました。
でも、撮影に行ったらやっぱり変わりましたよね。
映画の中で出てきたような祭祀には普通立ち会えないわけですから、印象が変わったどころじゃない。好きとか嫌いとかいう次元でもなくなりました。肉親みたいな人もたくさんできちゃったし。
 
– – -神歌を聴いて感じた「特別な時間」
 
撮影中は印象深いことだらけでした。
宮古島の文化は今も昔も御嶽を中心としていて、まさに神の島、御嶽の島という感じでした。
沖縄本島含め他の地域では徐々に薄まっている「信仰」というものが色濃く残っていて、いまだに生活の真ん中にある。そりゃ、現代的な生活してるひとがほとんどですが、まだしっかり繋がっている。そんな感じがひしひしと伝わってくるんです。
神に対する想いや色んなものが、深く根を張ってるんでしょうね。そうとしか説明のしようがない気がします。
 
神歌を歌う場面を撮影していたときは、やはり感じるものがありました。
それが編集したときに感じたことなのか撮っている最中に感じたことなのかが今では曖昧になっているところがありますが。僕自身は霊感があるわけでもないのですが、それでもやはり「特別な時間」が今きているなっていう空気は現場で察知していました。「ビリビリ来てるなぁ〜」という。
撮っているときは冷静でありつつもしっかり感じますね、ファインダーを通して集中してますから。
 
佐良浜(さらはま)の神事
佐良浜(さらはま)の神事
 
– – -条件の厳しさから神歌継承者は減少傾向に
 
でも、ツカサンマ(神女達)がいなくなれば、その神歌も伝承できなくなってしまうわけです。
映画の中でやっていたように、何年かおきにくじをひいてツカサンマを決めるのですが、本人が断ったり、過疎化が進んで役割を務められる人がいなくなったりすると、そこでもう神事が途絶えてしまう。
そういう状況を避けるためにはツカサンマとなるための条件を緩めないといけないけれど、これがなかなか緩められないんですね。
宮古のなかでも小さな集落単位で分かれてそれぞれで神事が行われるのですが、みなおのおの言葉と儀式があり、継承の仕方も違うしツカサンマになるための条件も違う。何歳から何歳までの人しかだめとか、村で生まれた人じゃないとだめとか、よそから嫁いできた嫁はダメとか。地域によってはそういう条件をすでに緩め、神事の伝承を優先しているところもあります。だんだん変えていかないと継承できないし、実際に条件の厳しさが理由で神事が途絶えた地区もすでにありますから。
 
神歌というのは誰でも継承できるわけではありません。ツカサンマとして選ばれたひとが 御嶽に入って口伝していくもの。しかも、民謡のように3分~5分で終わるわけではなく、何時間もかかる歌もある。
神に捧げる歌ですから、歌謡曲のように気軽に唱うものでもないし、三線などの楽器を使って民謡として継承することもできません。
映画の中に譜久島雄太という民謡を歌う男の子が登場します。彼も非常に大きな期待を背負った宮古の星ではあるけれど、彼はおばあではないので、神歌は継承できないわけです。
 
譜久島雄太
譜久島雄太くん
 
– – -録音でも映像記録でもない、映画として撮影することの意味
 
神歌同様、変わりゆくもの、失われていくものに対する思い入れは昔からありました。
大学の卒業制作では、消えゆく大阪の街を舞台にギター流しとして活動する人物を追ったドキュメンタリー「河内遊侠伝」を撮影していますから、そう考えると当時の意識を現在にいたるまでずーっと引きずっていますね、自分の中で。
もちろん、依頼を受けて撮影する際は自分がテーマを選ぶわけではないので、そういう思いを表に出すこともありませんが、大事なものが失われていく現状を見定めたいという意識は強いし、映像というメディア自体がそういうことを得意分野としているとも思うんです。
 
口伝やCDなどで歌そのものを継承することはできたとしても、情景だったり背景に何があったかというような情報まではなかなか記録できません。
また、シーンを組み合わせて編集していくことで、重要な何かが浮かび上がってくるんです。それが映画として撮る意味だと思います。
 
実は、昔は全然映画が好きじゃなかったんです。別に嫌いだったわけでもありませんが。
僕、ロックばっかり聴いてるロック少年だったんですよ(笑)。将来監督業をやりたいなんて考えはまったく頭になかったですね。
 
大学在学中、二十歳のときに縁あって報道カメラマンの助手をやり、テレビの世界に就職して映像業界に入りました。
しばらくすると「自分でもの作りをしたい」という強い思いが出てきて、そのときに映画と出逢ったんです。今はテレビの仕事よりもめっきり映画にのめり込んでいますね。
 
佐良浜(さらはま)の神事
佐良浜(さらはま)の神事
 
– – -現代化が進む中で捨ててきた多くのもの。このままでは我々は迷子になる。
 
2011年の1月末には編集を終えて映画はほぼ完成していましたが、その後震災があり、強く感じることが徐々に色々と出てきました。
 
もともと僕は国家も個人も自給自足ができないといけないんじゃないかと思ってるんです。でも、その考えを実生活に落とし込むところまではやってなかったんです。この映画に関する仕事が一段落ついたら、東京を離れて実践してみたいと思っています。いろんな状況があるのでできるかどうかわからないのですが。
 
生活を変えることに踏み切ろうと思ったきっかけは、この映画と震災の両方だと思います。
すべてのラインが絶たれても自分で生きていくことができるかというのは、非常に大事な問題だと思うんです。
田舎から都会に出てきて、新しい時代の中で色々なものを捨てながら生活して…。そうすることで良いこともあったんだろうと思いますが、根本的なことをもう一度見直さないといけない時期にさしかかっていると思います。このままじゃ本当に我々は迷子になってしまう。
 
しかし、僕らが失ってきたものが宮古にはまだ残っていると感じました。映画の中でもおばあが子どもを産んだときの話がでてきましたよね、病院ではなく畑で生み、自らへその緒を包丁で切って…。そして歌う古謡(アーグ)がある。子どもの将来を想って願う歌。そういう体験をしてきた方の話を聞いていると、その時代に戻らなければいけないというわけじゃないけれど、そこに原点を見出して考えないといけないことがあると思うんです。
 
自給自足ってすごくわかりやすい話ですよね、自分が食べる分を自分で用意する。種を植えて実となったものを頂く。それは自然と対話することでもあります。肉を食べるなら自分で動物をしめて食べる。そうしないと感謝の気持ちなんて起こりようがないじゃないですか。そういったことをやりたい。それを自分の再スタートにしたいと思っています。
 
大西功一
 
– – -自分のルーツと今生きている社会について見直すきっかけに。
 
宮古、東京、沖縄本島。それぞれの地で上映したときに持つ意味合いは少しずつ違うとは思いますが、見終わったときの気持ちには共通するところがあるんじゃないかなーと思いますね、普遍的な部分においては。

みんながきっとおのおののことを考えるし、今自分が生きている社会についても考えますよね、きっと。そういう意味では上映する場所に関わらず共通する部分はあると思います。
 
もちろん、宮古を独特の場所と捉えるひとにとっては異質なものに映るわけですよね。東京の人間からするとまるで違う世界だし、外国人にとってもそう。
でも、自分の住む土地や国にあることと照らし合わせることもあるかもしれないですよね。スイスなんかは精霊信仰が結構盛んみたいなんですよ、思ってもみなかったことなのですが
 
『スケッチ・オブ・ミャーク』は宮古について記録した映画ですけれども、宮古の深いところ、本質的な部分を写して表したつもりなので、そのことは宮古のみでなく沖縄のルーツにも繋がると思います。沖縄本島で上映するにあたり、本島出身者だけでなく、離島や本土、色んな場所で生まれ育ったひとが観てくださると思うのですが、おのおののルーツについて思ったり考えたりしてもらえたらと思います。
沖縄の人は沖縄を、本土の人は本土の現代を見るだろうし、おばあたちの姿から自分の親や祖母を思い出したり考えたりもするだろうし、そうやって自分の根っこについて思いを巡らせることができると思います。
 
それと同時に、すごく大事なことを置いてけぼりにしているという現実を否応なしに見せつけられる映画だとも思います。
たとえば環境破壊が進み、すぐには元通りに直せないところまできている。そういう問題を目の当たりにして、自分で考え始めることが大事なんです。今私たちは大きな時代の問題にぶち当たっている、そのことをこの映画を通じて共有できたらと思っています。
 
できるなら、映画を観てどう感じたか、個人個人に訊く機会がどこかで得られたらいいですね。僕自身ももっと突き詰めて考えていきたいですから。
 

インタビュー 中井雅代

 
 
スケッチ・オブ・ミャーク トークショー 
 
10月20日(土)より、桜坂劇場で公開
 
*大西功一監督とUAさんによるトークショーが行われます。
10月20日(土) 
@桜坂劇場
那覇市牧志3-6-10(旧桜坂シネコン琉映)
098-860-9555(劇場窓口)
HP:http://www.sakura-zaka.com/movie/1210/121020_sckechof.html
 
13:00の回の上映終了後
ゲスト:大西功一監督、UAさん
*当日13:00〜の回をご覧になった皆さん全てがご参加いただけます。
(映画のチケットのみで入場できます)
 
環境問題や平和を願う活動に力を注ぎ、沖縄移住後、子供たちの安全な食と未来を考える団体「ティダノワ」を設立した、女性歌手UAさん。宮古島の古謡と神歌を綴る「スケッチ・オブ・ミャーク」に強く共感した彼女と大西監督のトークショーを行います。作品への思い、沖縄への思い、そして自然への思いをお伺いします。
 
『スケッチ・オブ・ミャーク』
公式ウェブサイト:http://sketchesofmyahk.com
 

 

NAKAI

スケッチ・オブ・ミャーク トークショー 
 
10月20日(土) 
@桜坂劇場
那覇市牧志3-6-10(旧桜坂シネコン琉映)
098-860-9555(劇場窓口)
HP:http://www.sakura-zaka.com/movie/1210/121020_sckechof.html
 
13:00の回の上映終了後(14:50頃より)
ゲスト:大西功一監督、UAさん
*当日13:00〜の回をご覧になった皆さん全てがご参加いただけます。
(映画のチケットのみで入場できます)
 
環境問題や平和を願う活動に力を注ぎ、沖縄移住後、子供たちの安全な食と未来を考える団体「ティダノワ」を設立した、女性歌手UAさん。宮古島の古謡と神歌を綴る「スケッチ・オブ・ミャーク」に強く共感した彼女と大西監督のトークショーを行います。作品への思い、沖縄への思い、そして自然への思いをお伺いします。
 
『スケッチ・オブ・ミャーク』
公式ウェブサイト:http://sketchesofmyahk.com
 

 

NAKAI

琉球手まり
 
先日掲載した琉球手まりの記事内にて募集致しました「琉球手まりプレゼント」には、本当に沢山のご応募をいただきありがとうございました☆
 
先日、宮城先生からプレゼント用の手まりをお預かりし、当選なさった方々に発送致しました。
 
今回のプレゼント用にと、ひとつひとつすべて宮城先生ご自身がお作りくださった、なんとも貴重な手まりたち。
どの子もみんな可愛いので、発送前に記念写真を撮りました☆
 
琉球手まり
 
なんとも上品な化粧箱入り!
表の文字は、稲嶺前県知事の奥様がお書きになったものだそう。
 
中には日本語と英語で書かれた琉球手まりの説明書きが添えられています。
「海外からお越しのお客様に手みやげとしてお渡しする機会も多いため」とのこと、なるほど。
 
琉球手まり
 
ふさ付きのこちらは緑と赤のコントラストが鮮やか。
他に使われている色も黄色に水色と明るいけれど、まりの地が黒色なのでしっとり落ち着いた雰囲気にまとまっています。
黄、赤、水色の三色が入ると、ぐっと沖縄っぽさが出ますよね。
 
琉球手まり
 
沖縄の空と海を思わせるブルーのグラデーション。
そのデザインは雪の結晶のようにも見え、一年中飾って楽しめそう☆ 
 
琉球手まり
 
「花笠のが欲しい〜」と言うお声、とても多かったです。
実はこれ、宮城先生ご自身も思い入れの深いデザインなのだそう。
沖縄らしい模様の琉球手まりをという依頼を受けて発案。完成したときには「これは」と思われたのだとか。
 
琉装の花笠を所有することはなかなか難しそうだけれど、手まりなら気軽に飾れるかわいいサイズなので嬉しいですよね。 
 
琉球手まり
 
「どこで売ってるの?」「欲しい!」
というお声も沢山頂きましたが、宮城先生は今のところ手まりの販売はなさっていません。
手元に置きたいという方はぜひ、先生が主宰する教室でご自身で作られては☆
精緻な模様に「難しそう…」と思いがちですが、先生いわく「丁寧に刺せば誰でもできます、大丈夫」とのこと。
人にあげるととても喜ばれるので、生徒さんたちも次から次に作っては人にプレゼントしているという方が多かったです。
 
自分で作った手まり、自宅に飾るのも贈って喜ばれるのも、どちらもステキですよね〜☆
材料費が格安というのも嬉しい。
コロコロまあるくやさしい手触りのまりは、作ってる間も癒されるそう。
あー、私も習いたい!
 

写真・文 中井 雅代

 
琉球手まり教室・宮城玲子
問い合わせ:090-9783-8845
【琉球手まり安木屋教室】
@那覇市牧志1-1-14 安木屋ビル6F
毎週水曜日 14時~16時  月4回:¥6,000
 
 

NAKAI

NAHA ART WALK
 
昨年、第1回を好評のうちにおさめた NAHA ART WALK が今年は参加29ヶ所にパワーアップして第2回を開催です。
芸術の秋に、涼しく歩き易くなった街に広がる ART のカケラを拾い探すアートウォークを楽しんで下さい。
5月より配布を開始しているNAHA ART MAP 2012と共に、今イベントの案内となるフライヤーも御用意致しました。参加各店舗 及び 市内のカフェなどで配布致しますので 是非、手に入れてください。
 
NAHA ART WALK 2012
 
*)フライヤーの案内番号はアートマップの店番号とリンクしております。
 
http://www.artokinawa.com/?p=2604
 
1.「百革繚乱」Eicamino 〈10月26日(金)〜28日(日)〉
@ 花屋ちゅらパナ ☎098−861−6220(地図No.1)
皮革と花(植物)のコラボレーション。花をモチーフにした革の作品&革の花器の展示会です。
 
3.「わが街のロミオとジュリエット」 〈10月26日(金)〜28日(日)〉
@ わが街の小劇場 ☎070−5413−1932(地図No.3)
原作:ウィリアム シェイクスピア/脚色・演出:福永 武史
 
4.「FUJISAN のハイキング展」 〈10月22日(月)〜27日(土)〉
@ FUJISANN FACTORY STORE ☎090−2717−2796
涼しく活動的な季節に外遊びやお出掛けしたくなるような洋服や小物達を FUJISAN が 提案致します。
 
7.「言葉の朗読会 vol. 2」 〈10月20日(土)19:30〜〉
@ KIYOKO SAKATA studio (言事堂との共同企画と成ります。)
お問い合わせは ☎098−864−0351(言事堂) 及び KIYOKO SAKATA studio 090−8353−1300
様々な言葉を、声に出して空中に放つひととき。参加費¥500要予約です。
 
8.「CONA FACTORY(矢野 綿子)展」 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ ちはや書房 ☎098−868−0839
本棚の間から 陶製の動物や絵などが、ひょっこり顔をだす空間を作る予定です。
 
10.「Leather Art & Candle」 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@VAICE ☎098−867−0356
店内にはレザーを焼きながら描いたレザー画を展示。期間中だけ、オリジナルキャンドルもパッケージをレザーに変更して販売致します。
 
11.「zine! zine! zine! 2」 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ renga  ☎098−868−6577
zine の展示を行います。
 
12.「賀川理英『私のいない世界』」 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@琉球ぴらす ☎098−863−6050
「紅型だいだい かがわりえ」めったにやらない個展(笑)。なんと7年振りだそうです。次はまた7年後かも?
 
14.「珈琲博覧会 vol.1」 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ 珈琲屋台ひばり屋 ☎090−8355−7883
珈琲豆の展示や珈琲機材の展示に留まらず、飲み比べセット等、珈琲のあれやこれやをお楽しみ頂きます。
 
19.「びわこの東のすてきなところ」 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ cafe プラヌラ ☎098−943−4343
店主地元の素敵なお店の文具や雑貨、カバンなどの出張販売と地元の作家の展示会を行います。
 
20.「オールドキリム展」〈10月23日(火)〜28日(日)〉
@ Lamp ☎098−863−2491
今年もオスマンさんがステキなキリムと共にやって来ます。
 
21.「Luz 金 憲鎬 展」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@陶・よかりよ ☎098−867−6576
Luz = スペイン語で「光」の意味。生命力に溢れるキム・ホノの作品は、飽くまでもポジティブな印象です。
 
22.「 zine 展 ボンジュール下克上!!」〈10月20日(土)〜28日(日)〉
@ GARB DOMINGO ☎098−988−0244
参加アーティスト:宜寿次 美智/ぐりもじゃサスケ/Doucatty/タナベ ユウヘイ/ナカ ハジメ/
眞榮田 文子/KAPALUA/タイラアリサ。
 
23.「sub conception 作家 多賀橋 明美」〈10月20日(土)〜25日(木)〉
@ MAXI MARKET ☎098−863−3534
普段とちょっと違う多賀橋さんの頭の片隅にあるような、あれこれが並びます。
 
24.「Dia de Muertos 」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ tope ☎098−862−4000
「死者の日」だよ! プチガイコツ祭り
 
25.「 Before it’s too late.」藤代冥砂 写真展 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ chahat ナハ ☎098−861−3878
再開発のどしどし進む那覇の風景を藤代冥砂さんが写真に残しました。
 
26.「Leather bag 展」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@anshare project ☎070−5499−6119
真鍮と革の「Brathess」新作 bag を展示販売。
 
27.「ながいけともこ 織展」〈10月18日(木)〜30日(火)〉
@ ti tu ti OKINAWA CRAFT ☎098−862−8184
 
28.「tuitree glass etching」〈10月19日(金)〜23日(火)〉
@ zakka TUK TUK ☎098−868−5882
エッチングのビンやガラス窓などを制作致します。
 
29.「 BB 友の会」〈10月20日(土)〜28日(日)〉
@ MIMURI ☎050-1122-4516 
MIMURIの看板猫、BB のグッズ販売と会員証の発行を致します。
 
30.「比嘉拓美 in 玩具ロードワークス」〈10月20日(土)〜28日(日)〉
@ 玩具ロードワークス  ☎098−988−1439
(たぶん)初個展です。これを機会にいろんな人に知ってもらえたらと思います。
 
33.「かぎの服 展」〈10月1日(月)〜31日(水)〉
@ 沖縄の風 ☎098−943−0244
毎日使う「かぎ」に服を着せたらすこし「Happy」になるかも。
 
34.「日下知子『ちいさい世界』展」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ GALLERY point−1 ☎050-1122-4516 
可愛くて不思議な動物たちの絵と版画の展覧会。
 
35.「二匹の猫の陶芸」展 〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ MITSUOシーサー美術館 ☎098−862−7800
天才光男の元に弟子入りした二匹の猫の職人の制作した陶器を展示します。
 
36.「エンジェルアート展Ⅱ by アンディ・レイキ」〈10月26日(金)〜28日(日)〉
@ ギャラリーアート・ミューズ ☎098−862−3268
 
37.「沖縄県立芸術大学 × PinoO展 Part Ⅱ」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ Gallery Space PinoO ☎098−866−2388
Part Ⅰ 好評に付きPart Ⅱ が決定致しました。
 
38.「紅型 × やちむん 二人展」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ 沖縄アートギャラリー / チャンプル荘
紅型:新垣優香/陶:徳尾聡人、独特のデザインで表現し、他に類を見ない制作をしています。
 
39.「中村 かおり 陶展」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@ 高光ギャラリー ☎098−943−3925
 
☆.「美ら海動物園」〈10月19日(金)〜28日(日)〉
@Churaumi ukishima accessory lab ☎098−927−6415
入園無料!いろんな動物がアクセサリーやオブジェに成って勢揃い!!
 

NAKAI

Luz キム・ホノ
 
「 Luz 」  キム・ホノ(金 憲鎬)展  
( タイトルは、スペイン語で「光」の意。読みは「ルス」)
2012年10月19日(金)~28日(日)10:00~19:00
@ 陶・よかりよ 那覇市壺屋1-4-4 1階
電話:098-867-6576
http://www1.ocn.ne.jp/~yokariyo
 
Luz キム・ホノ
クリックで拡大します

 
光 を あゆむ  光 へ 歩  光 が 歩
 
やはり 夢と希望 が あること だと 思います。
 
でも どんどん 光 のある ところへ 歩いて 行くと思います。
 
                             キム
 
 
 モノツクリの役割を考える時に、ふと「光」という言葉が浮かびました。
20年程前に、金 憲鎬 と初めて出会った瞬間のことは僕の脳裏に焼き付いています。
いままでにみた事の無い、自由で、生命力に満ちた作品の数々に、まるで眼の前が「光」で溢れた様な感覚に包まれました。まだまだ、紹介しきれていないキムの魅力を多くの方に御覧頂きたいとおもいます。 
キムさん4度目の来沖展に成ります。
 
 
Luz キム・ホノ
 
物事を優しく包むひかり。
 
行く末を指し示すひかり。
 
探し物を照らし出すひかり。
 
様々な「光」によって我々の生活は成り立っています。
 
今回キム・ホノは、どの様な光源となって皆様の前に
 
現れるのでしょうか? 楽しみにお待ち下さい。
 
 
*)今展は、NAHA ART WALK 2012への参加イベントになります。
10月の下旬は那覇の街に ART のチカラが集結致します。地図を片手にアートのカケラを探して廻る10日間。
 
**)N.A.W. 2012の詳細は、コチラで → 
 

NAKAI

それからはスープのことばかり考えて暮らした
 
吉田篤弘・著 中央公論新社 ¥629(税別)/OMAR BOOKS
 
―弱火でコトコト、スープが出来上がるように―
  
 高くなった空や葉が落ちてしまった木々。しだいに深まっていく秋。その先には寒い季節が待っている。
ちょうどこの時期にぴったりの小説を今回はご紹介します。 
 
以前に紹介した『つむじ風食堂の夜』の姉妹編とも言える本書。
前作と同様、読んでいるととにかくお腹が空いて困った。
目次には「サンドイッチ」「遠回り」「アンテナ」「時計」など連作短編のタイトルが並ぶ。その活字を眺めているだけで、どんな話が待っているのだろうと想像するのが楽しい。
 
ストーリーは、「僕」の住むこじんまりとしたアパートには魅力的なマダムがいて、窓からは教会の頂にある十字架が見える。路面電車が走るその町を起点に「人生の味が変わってしまうほどの味」のサンドイッチ屋で働き始めた彼の元へ、ちょっと風変わりな登場人物たち(流行には無頓着なサンドイッチ屋の安藤さん、その息子で大人びたセリフを言う律くん、緑色のベレー帽を被ったチャーミングな老婦人など)が入れ替わり立ち替わりおいしいものを食べながら思いを巡らすお話。
物語の傍に食べ物がある、というより食べ物の傍らに物語が寄り添っている、そんな小説。
 
著者の吉田さんの描く町の住人になりたいと思うときがある。ゆったりとした空気の流れる僕の町。それぞれがそれぞれのペースで、お互いを尊重しながら生きている。
 
「あっという間に時間は過ぎてしまうよ」と安藤さんがそっとつぶやく。
そのすぐに消えてしまう愛おしい時間の一秒一秒を繋ぎ止めるかのように、登場人物たちは丁寧に、そして穏やかに関係を育んでいく。まるで弱火でコトコトと心地よい音を立てながらスープが出来上がっていくように。
読みながら「そういえば」ととりとめもなく主人公の僕と一緒になって甦った記憶を辿り直す、そんな豊かな時間だった。
 
とにかくおいしい、ただそれだけの「名なしのスープ」を飲んでみたい。
きっとこの本を読み終わるとタイトル通りしばらくスープのことが頭から離れない。
心にほんのりと明かりが灯る、優しい温かい飲み物のような小説です。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
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駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp