NAKAI

カタチ

 

「タガネ」と呼ばれる工具を使い、細かな目をひとつひとつ職人が手仕事で掘り起こしたおろし金。実際におろしてみればその違いは明らか。職人の技によって生み出される銅手打ちおろし金は、細胞をやさしく壊すことを可能にするため、繊細にして豊潤なおろしができあがる。秋の訪れにふさわしい静かな温かみと、春の光に映える花のつぼみのようなフォルムを同時に有するランプシェードは、陶芸家・小谷田(こやた)潤氏の作品。

 

 

 
道具や雑貨のむこう側に見えるのは、豊かなくらし。決して派手ではないが、本当の豊さに導いてくれるものだけが並ぶ。

 

便利さやスピードを追求しただけの、味気ないモノはどこにも見当たらない。

 

たとえ「それ」が無くても生活はできるし、むしろもっと安価で手に入る類似品は山ほどある。でも、「それ」があると心持ちが変わる、何気ない日常が優しい色を帯び、くらすことが愛おしくなる。

 

例えば水分をたっぷり含んだまろやかな大根おろしや、食卓を包むやわらかな光の力によって。

 

カタチ

 

カタチ

 

カタチ

 

カタチ

 

カタチ

 

雑貨屋「カタチ」は、本部(もとぶ)町のひっそりとした山の中に静かにある。

 

オーナーの岸名美由紀さんを、県内で開かれる市で見かけたことがある人も多いのではないだろうか。カタチをオープンさせる前は、ドリンクメニューがメインの移動販売店「kishina-ya」を夫婦で運営していた。

 

「ずっと雑貨店をやりたいとは思っていたのですが、なかなかいい物件が見つからなくて。ターゲットを本部にしぼって物件探しを続けながら、見つかるまでの仕事として移動販売を始めたんです」

 

 

ふるさとの三重県から沖縄に移住したのは6年前。美しい海に魅せられたのがきっかけだった。

 

「私も主人も南の島が好き。沖縄に移住する前は、バリ、プーケット、モルディブ…と、やはり南の島ばかりを旅行していました。初めて訪れた沖縄で素潜りを体験し、沖縄の海の美しさにすっかりハマってしまったんです。海への思いは今も変わりません。店の昼休みを利用して、瀬底ビーチなんかにさっと潜りに行くこともよくあるんですよ。のんびりと泳ぐ魚を見ていると癒されるし、海に入ることで心も体もリセットされる感覚があるんです」

 

移住後約一年間は沖縄の海を堪能すべく、ただただ泳いでばかりいたが、次第に仕事への意欲にかきたてられるようになった。

 

「沖縄ってそういう意味でも不思議な場所、土地にエネルギーがある気がします。『何かやりたい!』って思わせてくれる」

 

カタチ

 

カタチ

 

その頃、美由紀さんは友人から「手づくり市に参加しないか」と誘いを受けた。

 

「アンティークビーズを使ったアクセサリーを作って出店したら、想像以上にお客様に気に入っていただけて。それがすごく嬉しかったんですよね」

 

雑貨屋をやりたいという想いに拍車がかかったが、希望通りの物件が見つからず、バーテンダーとして飲食店勤務の経験もあったご主人とともに、移動販売を始めることにした。

 

「あくまでも、雑貨店を始めるまでの仕事と考えてスタートさせました」

 

美由紀さん夫妻が探していた物件の条件は、店舗兼住居として使え、駐車場があり、敷地内に畑があること。すべての条件を満たす希有な物件に出会えたのは実に、探し始めてから4年が経過したころだった。それを境に、2年間営業を続けた移動販売「kishina-ya」の看板をおろし、「カタチ」をオープンさせた。

 

カタチ

 

カタチ

 

カタチ

 

オープン当初、美由紀さんの中には確固としたコンセプトは特になかったと言う。

 

「自分が欲しいものを置こう、と。考えていたのはそれだけ(笑)。でも、本部の自然に囲まれて過ごしているうちに、価値感や考え方が徐々に変わってきて。自然の偉大さを感じるようになったし、すべてが繋がっているのだと気づいたんです。それで、お店で自然を提案したいと思うようになりました。オープン当初と比べると、店の方向性はだいぶ変わったと思います」

 

美由紀さんが心惹かれるアイテムに共通しているのは「作り手の心が感じられるもの」。

 

「服や雑貨そのものというよりも、その後ろ側にいる作り手さんに惹かれるのだと思います。最近は、自然について考え、しっかりとした理念を持ってモノづくりにあたっている作家さんの作品を扱うことが増えました。例えば『而今禾(jikonka)』もそう。草木染めのオーガニックな服を作り続けているだけでなく、無農薬野菜を使用したランチを提供するカフェも開いていて、また、オーナーの米田恭子さんは台湾で途絶えた機織りの復興活動にも尽力なさっています。作り手さんのそういう熱い思いに触れると、どうしてもその方が作るものに惹かれますね」

 

アパレル業界での経験も豊富な美由紀さんだが、本部で暮らすようになって服の好みにも変化が生まれたと言う。

 

「昔から洋服は好きなのですが、ここ最近は『働きやすい服』が好き。徐々に機能重視にシフトしてきたんですね。而今禾の服はゆったりめのラインの服が多くて動きやすいですし、ポケットが多かったりと、働く人にぴったり」

 

カタチ

 

カタチ

 

カタチ

「pota」の靴。「三重のギャラリーで試しに履いてみたら、足にぴったりと吸い付いてくるような感触が素晴らしくて」

 

 

カタチ

奔放なタッチに愛嬌のあるフォルム。しかし、器全体からは静けさが漂う独特な佇まいの作品は小泊良氏の作品。

 

昔から好きだった洋服とは違い、器に興味を持つようになったのはカタチをオープンさせてからだと言う。

 

「いかにも自由な作風に惹かれたんです。その場の発想で描く、スピード感を感じさせるデザインが好きで」

 

料理は決して得意ではないと笑う美由紀さんだが、バナナ、マンゴー、パパイヤを使ったシャーベットをふるまってくれた。

 

「それぞれの果物をカットして凍らせたものをミキサーにかけただけ」

 

美しい器に盛られた、素朴な甘さとさわやかな酸味が嬉しい完全無添加のシャーベット。美由紀さんのかざらない、自然とともにくらす豊かなライフスタイルの一端に触れ、羨ましさと同時に、かすかな懐かしさも覚えた。

 

カタチ

 

カタチ

 

昔はもっと、色んなことがシンプルだった。暗くなれば店は閉まり、家族は家で食卓を囲んだ。
かつお節を木製の削り器で削るのが私の役割だった。ボイラー設備は整っていたが、我が家ではできるかぎり木をくべて風呂を湧かしていた。火を絶やさぬよう、寒空の下で薪を窯に入れるのを見るのが好きだった。

 

家庭用のゲームが販売されて爆発的な人気となっても、ゲームにはないダイナミックさを楽しめる外遊びは依然楽しかった。野原でやる野球、れんげ畑でのかくれんぼ、大量のガマの穂を綿状にほどき、プールに見立ててジャンプ!

 

そばにはいつも自然があった。

 

日付を越えるまで起きていることはなく、夜の虫の声に包まれて眠った。風が吹けば潮の匂いを感じた。玄関から一歩出ると必ず、その季節特有の香りに包まれた。

 

自然とともにくらす。それはなんと贅沢なことだったのだろう。

 

様々な不幸が日本を襲った今、心からそう実感する。

 

カタチ

 

カタチ

アイアンと木材の組み合わせが美しい椅子はご主人の手製。広々とした店内も住居部分も、その改装は夫婦二人でおこなった。什器はほぼすべてご主人作。「元はグラフィックデザイナー。鉄を扱う仕事などを経て今はハルサー(笑)。なんでもできちゃう人なんです」。カフェやショップなどから依頼を受けて什器を製作することも多い。

 

カタチ

洗濯、食器洗い、シャンプー。洗うものすべてに使える松の樹液で作られた「マツノチカラ」。「実は、当店イチオシの商品はこれ。空のペットボトルも用意していますので量り売りもできます」

 

美由紀さんが今後力をいれたいのは畑仕事だというのを聞いて、思わず微笑んでしまったが、その言葉はストンと腹に落ちた。美由紀さんが選び抜いたモノたちに囲まれているせいか、その思いが店の空気にも溶けていて自然と伝わってくるからだ。

 

「目指せ自給自足! とばかりに夫が中心となって畑をやっているんです。今は野菜を主に育てているのですが、いずれはカタチで販売できたらなと考えています。震災以降、食材に対する心配の声は高まっていますから、安全なものを提供できたらと。目指せ八百屋さん!…いや、よろず屋かな(笑)。自然をテーマに、自然に優しいものであれば何でもアリかな〜って(笑)」

 

耳を澄ませば陽光が降り注ぐ音さえ聞こえてくるのではないだろうかと思うほど、静かな場所。美由紀さんは今、色々な電化製品を手放すことにハマっているのだと言う。炊飯ジャー、電子レンジ、ドライヤー。

 

ここにはなにもない?
それとも、すべてがある?

 

ぜひその目で確かめて、感じてほしい。

 

写真・文 中井 雅代

 

カタチ
暮らしの道具店 カタチ
本部町字伊豆味2830-1
0980-47-5307
営業日 金・土・日・祝日
営業時間 12:00-17:00
HP http://catachi-plus.com
ブログ http://blog.catachi-plus.com

 

NAKAI

山伏と僕
坂本大三郎・著   リトルモア  ¥1,365/OMAR BOOKS

― 現代人が山に入ったら ―

涼しくなって秋の気配が日に日に深まっていく。
お店の窓から見える木々や空の色を見ていると、定点観測のようにそれがよく分かる。

お店では12月に向けて企画展を準備中。テーマは「冬の森」。
そのせいあって今、植物や自然に関する本となると、とりあえず気になったものは手に取るようにしている。そんな中で最近出会ったのがこの本。

『山伏と僕』。これは気になる。
山伏って聞いたことあるけれどどんな人たちなんだろう?
この本の帯を見るとイラストレーターの著者も同じ疑問を持ち、ふと思い立って山伏修行に飛び込んだ体験を記したのが本書。

いつの時代の人たちなのか、実際どんなことをするのか、どこで活動しているのか。疑問はあとからあとから湧いてくる。
そして素人である著者の体当たりの修業を通してそれらの疑問にしっかりと答えてくれる。
こんなとき本ってありがたい。著者がふんどし姿で冷たい水に打たれているのを温かいお茶を飲みながら疑似体験出来るのだから。

冒頭、山形県・羽黒という場所に早朝バスで降りたったところから始まる。
まったく未知の世界に飛び込む心細さが伝わってくる。
前日までいたコンビニや音楽や情報のあふれる都会から離れて、今では少なくなりつつある手付かずの山(自然)の中に入っていくのは勇気がいる。
意を決して入っていった、さあ、その世界は?
あとは読んでのお楽しみ。

古来から伝わる日本文化、神道と仏教の違い(山伏の文化はこれに陰陽道が混じり合って出来た修験道からなる)、自然の荒々しい姿、読みどころはたくさんあるものの、著者の関心は「自然と人々の暮らし」に向かう。

また共感できるのがこの本でも言っているように、行ってちゃんと帰ってくることが大事。秘境などに行って何か異質な体験をした人がときに傲慢になってしまうことがある。すごいものを見た私は偉い、と勘違いをしてしまうことに気を付けなければならないと。だから彼は修行の時期が過ぎるとまた普通の生活に戻っていく。それは正しいと思う。

何かを知るとその後、目に映る世界が豊かになる。
自然と人との関わり方を見直すきっかけになってくれる本。
あらゆる世代に今読まれるべき一冊です。

OMAR BOOKS 川端明美


OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp

NAKAI

ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室
 
用意するのは、生の落花生、くず粉、水を 1:1:4の割合で。
今日は3カップ:3カップ:12カップ用意したけど、これだと相当な量になるよ。
4人家族でも2〜3日は食べられるんじゃないかな。
 
分量外の水に一昼夜浸しておいた落花生と水をミキサーに入れます。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
沢山作るときは何回かに分けてね。
ミキサーにかけて最初のうちは黄色っぽいんだけど…。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
ほら、牛乳みたいに真っ白になってきたでしょう?
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
全部ミキサーにかけたら、布で濾します。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
量ったくず粉もお鍋に入れて…。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
火にかけるの。
ジーマーミ豆腐はここからが勝負よ。
一度火をかけたらねりあがるまで根気強くかき混ぜ続ける!
そうしないと焦げ付いてしまうのよ。
だから、下の方からしっかりかきまぜてね。
15〜20分くらいかな。ひたすら練るのよ。
  
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
初めて作ったのは5年くらい前だったかな。
職場にお料理上手な方がいてね、その方のおうちにうかがったときに頂いて、おいしかったのでレシピを習ったの。
子どもたちも大好きよ、今日もこれ作るって言ったから、娘がルンルンで仕事行きよったよ(笑)。 
 
沸騰してしばらくしたら、少しずつ粘りが出てきて手応えが変わってくるよ。  
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
これくらいとろとろになると、香りが立ってくるのよね。
カスタードクリームよりちょっと固めくらいになったら、火から下ろしていいよ。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
入れ物は水で濡らしておいてね。
ジーマーミが固まったときにはがれやすいように。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
あとは粗熱がとれるのを待って、冷蔵庫で冷やし固めるだけ。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
待ってる間にタレを作ろうね。
みりん:砂糖:醤油を1:1:1の割合で。
だし汁も適量用意してね。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
全部の調味料を入れて火にかけるよ。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
沸騰したらオッケー。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
ジーマーミは1〜2時間もしたら固まるよ。
 
切る時は包丁も濡らしてからね。
そうするとジーマーミにひっつきにくいから切りやすいのよ。
 
うちでは生姜をのせて食べるのが決まり。
香りがとてもよく合うから是非試してみて。
大人は特に好きだと思うよ。
 
ジーマーミ豆腐 沖縄料理教室 
 
タレを回しかけて生姜をのせたら出来上がり。
意外と簡単でしょう?
ジーマーミ豆腐はできたてが一番おいしいのよ。
2〜3日はいけるけど、できるだけ早く食べ切るようにしてね。
 

写真 中井雅代

 

NAKAI

いとしい人
 
**若干ネタばれあり**
 
なかなかよかったです。
 
とりあえずびっくりしたのが、ヘレン・ハントのホウレイ線。
びっくりだよ、おばあちゃん???って感じになっていた。
老けたなあ。
39歳にはみえないし、実年齢の45歳(公開当時)にもみえない。
 
いとしい人
 
いとしい人
 
いとしい人
 
逆に実母役のベット・ミドラーのほうが若く見えるんだよね。
それにもびっくり。
 
いとしい人
 
いとしい人
 
この映画はヘレン・ハント監督作品です。
なかなか優秀だと思う。
 
いとしい人
 
 
しかし、「別れたい」という旦那とbreak up sex(別れる前の最後のH)をして妊娠。
これはイタイ。
 
で、夫が出て行った日に出会った、フランク。
 
いとしい人
 
やっぱ、やさぐれてるところにも出会いがあったりするんだね(映画だけど)
私は、やさぐれているときの出会いにはロクなものがない、と持論があるんだけど。
 
子供のような夫をマシュー・ブロデリック。
 
いとしい人
 
いとしい人
 
ほんと、このひとうまい(笑)
サラ・ジェシカ・パーカーの旦那であるが、この映画みてると想像つかない。
 
 
ところで、やっぱり子供は欲しいよね。
タイムリミットが迫ってきてあせるエイプリル。
 
突然あらわれた実母は、TVショーのホスト。
いわゆるセレブ。
自分を捨てた母を許せないものの、色んな出来事がおきても寄り添ってくれる彼女に心をひらく。
 
いとしい人
 
つらいときとか、私も亡くなった母が恋しくなる。
 
でもセレブの母ってうらやましい。
ほんと、私だったら、何でも買ってもらうな(笑)
 
“Then She Found Me” (「そして彼女は私を見つけた」)という原題。
これは誰が、She で誰が Meなのか。
ちょっと深い。

KEE

 

<字幕なしです>
 
<ストーリー>
39歳の小学校教師エイプリルは年下の同僚教師ベンと結婚し、1日も早い妊娠・出産を望んでいた。彼女自身は養子で温かい家庭に育ったものの、どうしても実子でなければと心に決めていたのだ。ところが、ベンは突然別れを告げると学校も辞めてしまう。追い討ちをかけるように養母が亡くなり落ち込むエイプリルの前に、実母と名乗るバーニスが現れる。波乱続きの中で、生徒の父親フランクに惹かれてゆくのだが…。
 
<キャスト>
ヘレン・ハント
コリン・ファース
ベット・ミドラー
 
 
DVDでどうぞ☆
いとしい人
 

 

NAKAI

緑間玲貴
 
日本三大弁財天の一つとして数えられる奈良の「天河(てんかわ)大辨財天社」。
そこで盛大に執り行われる「秋季大祭」で、踊りの奉納を依頼されたアーティストが沖縄にいる。
バレエアーティストの緑間玲貴(りょうき)さんだ。
芸能関係者がこぞって詣でることでもその名を知られる由緒正しき神社で、芸事の奉納を許される人は数えるほどしかいない。
2012年から踊りの奉納に携わるようになった緑間さんにお話をうかがった。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
 
– – – 回転を止めない地球のように、人が動き、踊るのは自然なこと。踊りとは人間の本質。
 
バレエを奉納するという活動のきっかけは色々とあって。
 
踊りの本質はなんだろうと考えると、そもそも踊りというのは動き。どんな動きにも必ず意思がともないます。歩くにしても何かに向かって歩く。何かを手に取るときも「取ろう」と考えて取る。そういう動きが踊りの始まりだとすると、みんな踊っているじゃないかって。
 
もっと大きな規模で考えると、たとえば空気もそう。顕微鏡で見ると中性子があって電子があって、プラスとマイナスがぐるぐるまわっていると化学の時間に教わりました。見えないけれどそれは動いてる。心臓も動いているし波だってそう、空もそう、地球もずっと動いていて、惑星も宇宙も全部が動いている。つまり、人間が踊らずとも地球そのものが最初から踊っていて、その中に我々が生きているということに本質があり、人間だってそもそも踊る生き物なんじゃないかなって、そんな風に思ったんです。
だから、人間が踊るというのは当たり前なこと。「踊り」とわざわざくくらずとも、普段の動きがすでにダンスであり、踊りの一部なんじゃないかなって。
 
ですから、例えば「震災で亡くなった方のために踊る」という動きと、「これを手に取ろう」と考えて動くのと、本質的に違いはないと思うんです。踊りって、特別なものではなくてもっと普通なこと、人間に近いこと、つまりはひとの本質ではないでしょうか。
だからこそ、洗練を極めた踊りを観たとき、ひとはみな感動するのではないでしょうか。それが自分と遠くないところにあるものだから。そもそも自分も動いていて、心のどこかで「踊り」を知っているから、それが引き出されてリンクして感銘する。そういう仕組みじゃないのかな? と私は思うんです。
 
 
 
– – – 踊りとは祈り。想いを何かにのせて表現するという人間にしかできないこと。
 
私の踊りのコンセプトは「祈り」。
祈りには二種類あると思うんですね。一つは宗教的な儀式としての祈り。方法などが定められた祈り。もう一つは方法などなく、なんでもない祈り。祈りというと多くの方が前者をイメージすると思うんですが、祈りの方法なんて本当はどうでもいいんです、想いが一番大事だから。私が言う祈りというのも、一切の宗教観とはまったく関係のないところのものを指します。
 
祈りとは「意を宣(の)せる」ということではないかと思うんです。自分の想いを何かにのせて表現すること。その一番静かなパターンが手を合わせて祈ること。何かが良くあればいいと、第三者が勝手に相手の幸せを祈っている状態。それって人間ができる最高に素敵なことだと思うんですよ。地球上で人間しかできないこと、動物との唯一の違い。
そう考えると踊りは祈りとも近いと思うんです。先ほど話したように人はもともと踊っているので、もしかしたらすべての所作は祈りなのかもしれない。そういう風に考えることができないわけではないと。
 
祈りというコンセプトを一つ持って踊っていく際に、明確にメッセージを伝えるために、神社や仏閣という形式的な祈りの場で踊るというのは面白いと思ったんです。私が言いたいことを伝えられる絶好の場所じゃないかって。それも踊りの奉納を始めたきっかけのひとつです。
 
とは言え、踊りを観た人に何かを伝えたい!わかってほしい!と思ったことは一度もないんですね。ただ踊るだけ。それを観てくださった方が自ずと気づいて何かリアクションが起きたらいいし、起きなければそれでもいい。それは強制するものではありませんから。
でも、自分が洗練されていって、定義はわからないけれど「本物」に近づけば近づいていくほど、伝わる可能性は広がると思うんです。だから自分が輝けばいいんだ、磨かれていけばいいんだと。その為に努力を重ねていくわけです。
 
緑間玲貴
写真:仲程長治
 
– – – 真の感動との出会い。日本人ダンサーだからこそ表現できるバレエから受けた衝撃。
 
私がお客様に伝えたいのは「真の感動」。
私も舞台を観ていて何度か経験があるのですが、本当の感動というのは鳥肌が立って涙が止まらなくなるような感じだと思うんです。映画でいうとストーリーを追って感激するのとは違う。それを観た瞬間に何かがからだの中で起こり、自然と涙が出る。それこそが本当の感動ではないかな、芸術はそういう感動を目指しているんじゃないかな、と。
 
その感動に初めて触れたのは、大学生時代に東京で観た有名バレエ団の公演でした。
 
当時はお金が入ったらすぐに出かけ、今考えても異常なほどのスケジュールで、お芝居でもバレエでもミュージカルでもオペラでも、片っ端から観に行っていましたが、海外から来ている劇団で、外国人による公演が多くを占めていました。
 
私は日本でずっとバレエをしてきて、日本のバレエと西洋のバレエとを比べて、取り去ることのできない大きな溝を感じていました。
 
でも、そのバレエ団の公演を観て、日本人バレエダンサーの表現力に大きな衝撃を受けました。日本人独特の精神的な深さや強さのようなものによって舞台がつくられていたのです。

それまでは、沢山ジャンプしたり回ったりというわかりやすいテクニック面が重要だと思っていたのですが、冷静に考えるとテクニックについてすごいと感じるのは自分ができないから。それって感動というより「感心」では? と。
 
そのレベルに達しているのが、奇しくもそれまで私が見落としてきた日本人のダンサーだったのです。バレエは日本に入ってきてまだ100年ちょっとなのに、外国人ができないバレエを日本人が踊っているという事実を目の当たりにし、ショックを受けました。
 
もちろん、大規模な公演でしたから舞台装置や衣装などもとても立派だけど、そういう外側の見せかけのものを超えた、もっと熱いムーブメントを感じて、「バレエにはこんなに可能性があるんだ!」と初めて思いました。
バレエとの付き合いは長かったのに、バレエの本質について考えたことがなかったのです。
その公演を観たことが自分の育った土壌であるバレエというものを見直すきっかけになり、そのバレエ団へ入団しました。
 
 
 
– – – 「動」重視の西洋に対し「静」に美しさを見出す日本。精神性を追求することでダンサーがすごみを帯びる舞台に。
 
そこはまさにプロフェッショナルの世界、想像を絶する厳しさでした。団員みんながバレエに自分のすべてを捧げ、食事や睡眠を含む生活のすべてにバレエが優先される。本当にストイックな世界でしたが、日本人が踊るバレエの奥深さを学びました。
 
日本は静の文化。茶道でも華道でもなんでも、派手ではない静かな世界の中に本当の美しさを見出します。
一方、外国は動の文化。何もかもが華やかで、「見てわかる」という価値観。バレエも日本舞踊と比べると派手だし、動く量もスペースの広さも全然違いますよね。
 
日本の文化は内面をとても大事にします。まず、想いの根本に目を向ける。例えば「能」。舞台に出てきても殆ど動かないけれど、あの中に彼らが表現したい宇宙が全部あり、バイブレーションを舞台から感じる。だから映像で観せることがとても難しい。
 
一方、バレエは表現が直接的なので映像で観ても楽しいし、意味をわかっていない素人が観ても楽しめます。
 
こういう風に、日本と外国とでは物事へのアクセスのしかたが違うわけです。ゴールは一緒だとしても山の登り方が違う。
 
そうやってつくりあげたバレエ団の舞台では、ダンサーが出てきただけでまだ何もしていなくても完璧というような、人間が持つすごみのようなものが表現されていました。舞台に出て来ただけでそれが商品になる、それほど強烈な感動を生み出す舞台だったのです。
自分もそうなりたい、それが目標になりました。
 
 
緑間玲貴
写真:仲程長治
 
– – – バレエ教師を母に持つ三兄弟の長男。幼い頃は三人で舞台に。
 
バレエを始めたのは3歳か4歳のころ。
母(緑間バレエスタジオ代表・緑間貴子)が南条幸子バレエ研究所に勤めていて、ずっとバレエ教師をしておりましたから、生まれたときからバレエの世界で育ったという感じでしたね。
男ばかり三人兄弟の長男。昔は弟たちも一緒にお稽古していましたし、舞台にも立っていました。
今もバレエを続けているのは私だけ。次男は会社員、三男はドラマーをしています。
 
バレエを辞めようと思ったことはないですね。やはり好きだったみたいです。
と言っても、自分が踊ることよりも、舞台を観ることと劇場という空間そのものがものすごく好きだったんですね。
ですから、バレエに限らず舞台の上で行うパフォーミングアーツに興味がありました。
実は、バレエを続けた一番大きな理由はミュージカルをやるためだったんです。
 
 
 
– – – 12歳、東京で観たミュージカルに衝撃。パフォーマンスを見せて感動を与えることが仕事になることを知るきっかけに。
 
12歳の春休み、家族で東京へ旅行したときにミュージカルを観たのですが、それに大きな衝撃を受けたんです。演目は「オペラ座の怪人」。
同じ舞台と言えど、私がそれまでに観てきた舞台とはまったく違い、すごくショックでした。
 
沖縄ではそもそも、バレエの公演自体があまり行われないんですね。行われたとしてもそれほど大規模な公演ではなかった。ですから、当時好んで観ていたのは映像の中の舞台ばかり。映像と本物とではやはり全然違いますよね。
12歳というまだ舞台の知識も浅い時期に、ミュージカルという大規模な商業演劇に出会い、しっかりつくりこまれた舞台の上でプロフェッショナルが集い演じる公演を初めて見たわけですから、その衝撃は相当なものでした。
 
オペラ座の怪人を見たその足で、次はディズニーランドに行ったのですが、そこでも「いったい何なの?ここは」と大ショック(笑)。ショーやパレードにももちろん感激したのですが、「人に見せる」という大きな目的をすべてのスタッフが共有している、そういう理念めいたものに最も感銘を受けた気がします。
 
ミュージカルやディズニーランドとの出会いによって、人にパフォーマンスを見せて感動を与えることが職業になるのだと、そのときに初めて認識しました。
だから、ミュージカルを観ては「ミュージカルの人になりたい!」、ディズニーランドに行っては「ディズニーランドのダンサーになりたい!」と(笑)。
 
沖縄に戻ってからは声楽も学び始めました。まだ12歳でしたが、自分の将来のことで結構真剣に頭を悩ませていたんです。バレエを仕事にするのはすごく難しいことだと知っていましたし、バレエと比べるとミュージカルのほうが人口が多いので明らかに間口が広がる。ミュージカル俳優になるためにはバレエが必要、だからお稽古も大事だ。そういう風に思っていた部分もあったかもしれません。
 
緑間玲貴
 
– – – 沖縄に一冊しか入らない雑誌を待ちわびる。情報を求めて奔走した中学時代。
 
私が受けた感動を、「ミュージカルってこんなにスゴくて、音楽が素晴らしくて…」とどれだけ言葉を尽くしても、学校の友だちはみんな「…は?」って(笑)。誰に言っても通じない。それはそうですよね。
感動を誰とも分かち合えないので、サウンドトラックCDを両親に買ってもらい、ひとりで毎日のように聴いていました。
それからはお小遣いを貯めてはミュージカルのCDを買ったり、沖縄に数ヶ月に一度、しかもたった一冊しか入荷しないダンス専門誌を買うために本屋に入り浸ったりと、少ない情報を集めるために必死でしたね。当時はインターネットも普及していませんでしたし、子どもの私にはそれくらいしか情報収集方法がなかったのです。
 
長くバレエを続けていると、「やらされている」という感覚がでてくる方もいるようですが、私の場合、バレエを続ける意味を考え始める多感な時期に入る前に、ミュージカルに出会ってパフォーミングアーツの世界がすでに広がっていましたから、自然と続けてこられたのだと思います。
「どうして続けているのか」という疑問よりも「もっと知りたい!」という欲求の方が大きかったんですね。
 
 
 
– – – プロフェッショナルとは何か、人に観てもらうためにはどうすべきか。舞台のあり方を東京の有名テーマパークで学んだ大学時代。
 
ミュージカルとの出会いをきっかけに12歳から始めた声楽の勉強は10年以上続けました。高校卒業後の進路として、当時は大きな舞台を観るためにも東京に出ることが私の一番の目的だったのですが、両親は「好きなことなら何をしてもいい、でも、大学は絶対に卒業すべし」という方針。上京するには大学進学しか術がなかったので、一般の大学を受験して入学しました。
 
大学入学の直前、東京のテーマパークのオーディションがあり、軽い気持ちで受けたら合格して。それで、学生とテーマパークのダンサーをかけもちしながら、声楽を習い、バレエのお稽古も、と、18歳にして多忙な日々が始まりました。
 
そのテーマパークには様々な分野におけるプロフェッショナルがいて、プロフェッショナルとはどういうものであるかを実践で見せて頂いたので、とてもいい経験になりました。
人に観てもらうためには裏でどういう計算をしないといけないかという点をそのテーマパークは徹底的に追及しているので、生半可な世界ではないしとても大変でしたが、すごく刺激的で、毎日興奮して働いていましたね。
 
3年ほど続けたテーマパークでの仕事を辞めたきっかけが、その有名バレエ団の公演だったのです。
その日を境に、自分とバレエとの距離がだんだん近くなってきました。もっと深く真剣にバレエのお稽古をしたいと思うと同時に、こういうひとたちは一体どういう稽古をして、どういう風に舞台をつくりあげているのか知りたいと考えるようになり、バレエ団に入団したんです。

長い間そこでお世話になりましたが、やがて沖縄に戻ることを考えるようになりました。
以前は「あんな面白くない場所なんて二度と帰るものか!」と考えていたんです(笑)。日本という国や、日本人に対しても同じように思っていましたが、海外に頻繁に行くようになって逆に、日本や日本人のすごさ、文化の豊かさに気づき、沖縄という場所も見直すようになったのです。
自分が何者であるかを考えるようになり、沖縄のために働きたいと思うようになりました。
 
それで沖縄にもどり、母が主宰するバレエスタジオを手伝うようになったのです。
 
緑間玲貴
写真:仲程長治
 

 
– – – 自分の使命は真の感動を伝えること。そのために踊り続ける。
 
何の為に自分は生まれ、どういう風に生きていけばいいのか、なぜバレエを続けてきて、これが一体何になるの?という思いの壁にみんな絶対ぶちあたるんですよ。
でも、私は学生の頃から沢山の本物の舞台を観て感化され、自分の感性や自分というものがどんどんクリアになっていった気がします。
そうすると、ごちゃごちゃした考えがなくなっていくんですね。
「ただ自分が生活するためにバレエの技術を教える? そんなレベルのことではないんじゃないか」って、あるとき気づいたんです。本当の感動を人に伝えるという、メッセンジャーのような役割、それが自分の仕事かもしれないと。
 
8月に熊本の幣立(へいたて)神宮の五色神祭で踊りを奉納させていただいたのですが、そういう場で踊るときには特別な感覚が働きます。
今、こうして話しているときとは全然違う2つの感覚。一つは超冷静な自分。踊りながらもどこに誰がいるか、ここには泣いている方がいる、ここにはあまり感動していない方がいる、そんな風に会場の全部が見渡せる冷静な自分。もう一つは、いっちゃってる自分(笑)。トランス状態とでもいうのでしょうか。
この2つが同時進行していて、踊り出してからの記憶は殆どないんです。気づいたら終わっていて、拍手に包まれていました。
  
緑間玲貴
 
天河(てんかわ)大辨財天社での奉納内容はまたガラリと変わります。今回は一人で踊るのではなく、作品を奉納することにしたのです。バレエの短編を創作し、小品集というかたちで奉納させていただきます。
 
踊る内容や場所が変わっても、心持ちは変わりません。公演でも奉納でも同じ、「祈り」というコンセプトは常にあります。最初はそうではありませんでしたが、だんだん変わってきたんですね。今はそれが自分の使命だと感じてます。そうでなければ、今まで踊りを続けられてないと思うんです。続けたくても続けられない方もいらっしゃいますから、精神的、経済的、環境的、すべての縁が重なって続けてこられたのだと。そして、受けいれてもらえる土壌ができてきたということは、続けていいと許されたのかなと感じます。
 
私の場合、どちらかというとずっと「そうさせられてきた」感じがするんです。子どものときからそうですが、私は本当は踊るよりも観ている方が好きなんです。踊らなくて良い、観ていたい。でもずっと続けてこられたのは、自分がやるべきことだからかなと。今はそう思います。
 

インタビュー 中井雅代

 
 
※「天河大辨財天社 秋季大祭 バレエ奉納公演」のツアー参加者を募集致しております。
 
Lumières de Est ~ルミエール・ドゥ・レスト 東方からの光
クリックで拡大します
 
詳細はコチラhttp://ryoki-midorima.com/ryoki-web/schedule.html
 
お申し込み:株シャララカンパニー 080-5446-6143(中曽根)
 
 
緑間玲貴
HP http://ryoki-midorima.com
ブログ http://blog.ryoki-midorima.com
facebook https://www.facebook.com/Ryoki.Midorima
 
緑間バレエスタジオ
那覇市寄宮 2-1-29
098-853-7771
HP http://www.midorima-ballet.com

 

NAKAI

 
 
日が暮れるのが早くなるといよいよ涼しくなるなと四季の移り変わりに心が弾みます。
自分の生まれた季節だからでしょうか。
夏の終わりから秋、冬に向かうこの季節は浮足立たずにはいられない。
 
tous les jours 
 
去る12日、お店はまる三年をむかえ、現在4年目に入りました。
お店を始める前、幾度となくたくさんの想像をしていましたが、
毎回行き着く思いは「どんな形にせよ続けていたいなぁ」でしたのでかなっているのかなと。
これからも商いとして取り組んでいきたい所存でございます。
 
 
さてさて今回のお題、「秋仕度」。
この何々仕度という響きにとてもわくわくするのは私だけではないはず。
秋というワードから連想を始める。
 
まだまだ日中は暑い日々。
手始めに暮らしの中にとけこむものから。
 
 
クロス
tous les jours
暖かみのある色をチョイスして。
 
 
久々の友人との約束。
色合いを意識したお洋服を選んで。
 
tous les jours
夏に活躍した黒のシンプルなノースリーブワンピースにリネンのロングカーデを合わせて。
ワインカラーのストールをたしてみる。
 
 
お買い物。
今のうちにストールを調達。気負わずいつでもデビューできるように。
 
tous les jours
 

ダークな色が主になるこれからの装いには少しだけ華やかなアクセサリーを。
tous les jours
秋といわずいつでも手元に置いておきたい女子的なもの、それがアクセサリーだと思うのです。
 
 
そんなこんなと準備にいそしんでいるうちに秋は深まる。
景色がこっくりと色づくよりも少しだけ速度をあげて準備を楽しむと
沖縄の短い秋も十分堪能できるはず。
気がついたら冬と焦らないように、逃さないように、
めぐる季節をしっかりと楽しみたいものです。
 
写真・文 占部 由佳理(tous les jours店主)


 
tous les jours(トレジュール)
那覇市首里儀保町2-19
098-882-3850
open:水~土
12:00-18:00
(変更あり。毎月の営業日をブログでお知らせしております。)
blog:http://touslesjours.ti-da.net


関連記事:ひとつ先のくらしを提案するtous les jours(トレジュール)

NAKAI

Day1
沖縄スナップ
ベスト:ENISHI(エニシ)
インナー:PETIT BATEAU(プチバトー)
スカート:MARC JACOBS(マークジェイコブス)
靴:trippen(トリッペン)
 
沖縄スナップ
帽子:普天間の古着屋
 
沖縄スナップ
 
 
Day2
沖縄スナップ
シャツ:Ray BEAMS
パンツ:B.C STOCK(ベーセーストック)
ショール:BEAMS
 
沖縄スナップ
帽子:analogue
関連記事:analogue(アナログ)「帽子が似合わない人はいない」。お気に入りの帽子と自分の新たな魅力が手に入るセレクトショップ

 
 
Day3
沖縄スナップ
ショール:BEAMS
インナー:無印良品
パンツ:Ray BEAMS
 
沖縄スナップ
バッグ:ロンドンのビンテージショップで購入
 
沖縄スナップ
靴:AURORA(オーロラ)
 
Day4
沖縄スナップ
シャツ:不明
パンツ:ZARA
靴:CAMPER(カンペール)
 
沖縄スナップ
指輪:不明
 
 
Day5
沖縄スナップ
ワンピ:不明(エスニックショップで購入)
 
沖縄スナップ
バッグ:スペインで購入
 
沖縄スナップ
ピアスとへアゴム:不明
 
 
Day6
沖縄スナップ
ワンピ:不明
 
沖縄スナップ
ショール:BEAMS
 
沖縄スナップ
靴:trippen(トリッペン)
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
「洋服はトライバルとか柄物が好きなんです。でも、最近ちょっとキレイめになってきたかな」
 
アパレルショップに勤める高野さんはもともと洋服好き。
ヨガ歴が長く、海外を旅した経験も豊富、エスニック調のアイテムに目がないが、最近は勤めているショップのテイストの影響も受け、ワードローブにも変化が。
 
「出勤時はお店に合わせてすこしかっちりしたスタイルをこころがけているので、そういう服も増えてきて」
 
とは言っても、毎月洋服に使うお値段は少なめ。
 
「気に入ったものはわりと長く着るタイプかも」
 
風が徐々に冷たくなってきて秋の足音が聞こえて来ると、民族テイストにも心ひかれる。
とはいえ、初心者には少しハードルが高いのも確か。
せっかく買っても、自宅の鏡の中にはあんまり似合っていない自分がいたり…。
 
最初はストールやバッグ、アクセサリーといった小物から挑戦してみて。
その時、レースアップのショートブーツや茶系のパンツなど、民族系アイテムと相性のいいものを、手持ちのワードローブから選んで組み合わせることを忘れずに。
全体的にマニッシュに仕上げると、重たくならずにすっきりと着こなせる。
 
慣れてきたらきっと、シャツやワンピースなど広い面積をとるアイテムにも挑戦してみたくなるはず。
 
夏のアイテムとは違い、秋冬のトライバル・アイテムは落ち着いた色味のものが多いのでトライしやすそう。
今年から、自分の定番スタイルになるかも?? 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

第七官界彷徨
尾崎翠・著   河出書房新社  ¥620(税別)/OMAR BOOKS 
 
― 秋の訪れに一風変わった物語 ―
  
 夏ももう終わり。
まだ日差しは強くても、朝夕の風はひんやりとして、気分はもうすでに秋。
この季節が来ると読みたくなる小説がいくつかあって、今回取り上げる作品はその中の一つ。
 
「よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。そしてそのあいだに私はひとつの恋をしたようである。」
 
という書き出しから始まる尾崎翠の傑作、『第七官界彷徨』をご紹介します。
 
未知のものに遭遇したとき、最初その凄さをすぐに理解することは難しい。
この小説を初めて読んだとき、「ずいぶん変な話だな」と違和感を覚えた。今までに味わったことのない感覚。そしてその変な感じは後々まで後を引いた。
 
まず、このタイトルが意味するストーリーは、第六感を超えた七つめの感覚である「第七官」に響くような詩を書きたいと願う、主人公・小野町子を中心にその兄二人と従兄の風変わりな共同生活を描いたもの。
小野町子という名前からしてふざけているようで、登場人物たちはいたって真面目。その真面目さが、蘚(こけ)の恋愛に関する研究や分裂心理に発揮され、不器用で滑稽ながらどこか憎めない。読んでいるうちにそんな彼らが愛おしくなってくる。
  
作家について少し紹介すると、この尾崎翠が正当に評価されるようになったのは作品が世に出てからずいぶん経って後。
彼女の人生は必ずしも幸福だったとは言えない。「忘れられた作家」と言われることがあるのも、少ない優れた作品を書いて後、故郷へ戻った彼女の消息を知る人はほとんどいなかった。
後年、埋もれた作家にしておくのは惜しい、と再評価が高まり、今でも根強い人気がある。
その理由は、彼女独特の感性で、強固に編まれた唯一無二の世界。
他に何も入る隙のないほど完成された物語。
 
面白いのは、この作品には同時収録として『「第七官界彷徨」の構図その他』という作品も入っている。
その中で彼女の創作方法が明かされていて、驚くのはこの小説で彼女は円形を描こうとしていた!ということ。
すなわち小説の設計図を読み解くのも楽しいはず。
  
不遇の作家、尾崎翠。
秋の訪れにふさわしい、この一冊を始め『アップルパイの午後』『こほろぎ嬢』『地下室アントンの一夜』などといった魅力的な他作品も一読をおすすめします。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち 
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 
沖縄のおうち
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
本部町にある「八重岳ベーカリー」を営む小原裕輔さん、祐子さんご夫妻。
(取材記事は近日公開予定☆)
 
ご自宅へは、店の裏手にある丘を登ること徒歩1分。まさに職住近接。
 
「僕が沖縄に移住した当初、この家には他の方がお住まいだったのですが、どうしてもここに住みたい!と思っていたんです。しばらく沖縄を離れていた間に空き物件になり、戻ってきてすぐこちらに住むようになりました」
 
ヤンバルの自然に囲まれた家。
広い庭からは東シナ海も見える。
 
祐子さんがお茶を淹れる間、裕輔さんは海を眺めながら体操。
香りの良いハーブティーは外のカウチで。
豊かな緑から音もなく複数の蚊が飛んでくるが、裕輔さんはまったく意に介さない様子。
 
「だって、外の方が気持ちいいでしょう」
 
家の間取りはダイニングキッチンとリビングの仕切りがない1ルーム。
奥様の料理の腕前を物語るように、キッチンには食材や調理器具、センスの良いお皿がふんだんに。
 
かごは天井からつるし、掃除用具は壁に。
クローゼットや箪笥といった大型収納はなし。
衣類以外はほとんど見せる収納なのにさっぱりした印象なのはきっと、本当に好きなものだけを置いているから。
 
沖縄のおうち
 
今回なんと、心優しいお二人のお誘いがあって夕飯のお相伴にあずかることに。
 
料理担当は祐子さん。
 
「裕輔さんはパン担当なんです」
 
沖縄のおうち
 
手際よくカットされた八重岳ベーカリーのパンもテーブルに運ぶ。
 
「いつもの夕飯はもっと少なめ。
お腹いっぱい食べて眠るより、夕飯を控えめにして眠った方が翌日スッキリ目覚められるんです。
そのかわり朝食は沢山たべますよ。その量を見たらきっと驚くと思います」
 
沖縄のおうち
 
八重岳ベーカリーの黒パン、トマトとバジルのパスタ、シークワーサーのソーダ割りという素朴ながら贅沢な夕食。
夜の虫の声を聞くともなく聞き、外から吹き込んでくる心地良い初秋の風を感じながら、話に花が咲いた夜。
 
「沖縄といえば海」というイメージだったし、海の近くでくらせたらとも考えていたけれど、山でのくらしもいいものだなぁ。
八重岳の小原家でひとときをすごし、心からそう思った。
 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

ひみつのアッコちゃん
 
「テクマクマヤコン・・」の呪文が懐かしい!!
 
若者にはわからないだろうなあ。
 
私が観ていたアニメも、おそらく再放送だとおもわれるけど。
 
映画版、なぜ今更?な感はありましたが、観てきましたよ。面白かったです。
 
見どころ
 
①綾瀬はるかが、めちゃくちゃかわいい。
 
②岡田将生 が美しい
 
ひみつのアッコちゃん
 
ひみつのアッコちゃん
 
③大杉漣
 
 
③が一番の見どころかも(笑)
 
魔法でアッコちゃんが大杉漣 演じる中村前社長に変身するんだけど、何せ中身がアッコちゃんの設定だから、大杉漣のアッコちゃんなりきりぶりがすごい!
 
ひみつのアッコちゃん
 
もっと観ていたかった。
 
 
そして綾瀬はるか。
 
この人自体 天才的にかわいいんだけど、お洋服がめちゃくちゃかわいい。
 
ひみつのアッコちゃん
 
ひみつのアッコちゃん
 
ひみつのアッコちゃん
 
アッコちゃんが大人に変身するときはいろんな衣装になるんだけど、この服のチョイスはアッコチョイスなのか??
素敵過ぎる。
 
正直、もともとのお話を覚えてないんだけど、映画は全く別物のような気がする。
 
それでも、あのコンパクトにはトキメキますな。
 
ひみつのアッコちゃん
 
実際には小学生のアッコちゃんが、化粧品会社「AKATSUKA」(名前がいいよね。赤塚不二夫へのリスペクトを感じる)で、失敗とか活躍とかするのね。
 
ひみつのアッコちゃん
  
ひみつのアッコちゃん
 
その中でも、いろんな教訓が出てくるわけよ。
 
「ズルして楽をするのはよくない」「人の話を最後まで聞く」「会社は面倒なことが多いけど、その面倒なことが大事」だとか。
 
そうだよね~っと思うことがたびたびあるのさ。
 
そんなこんなで、ドタバタありの、社会的問題、経済問題、からんで、恋愛もちょっと絡んで。
 
最後は、こうなったらいいな~って思った通りの素敵なエンディング。
 
女子しか楽しめないかもしれませんが、私は、仕事でいっぱいいっぱいになっているところ、気分転換になりました。
 
男性も綾瀬はるかファンは是非。

KEE

 

 
<ストーリー>
鏡の精(香川照之)から魔法のコンパクトをもらい、10歳の小学生から22歳の大学生に変身をとげた加賀美あつ子(綾瀬はるか)。 大好きなメイクやおしゃれを楽しみ浮かれる中、遊園地で出会った化粧品会社に勤める早瀬尚人(岡田将生)にひとめぼれする。その翌日、再会を機に、アイデアを次々と披露するあつ子を気に入った尚人は、自分の会社に彼女をアルバイトとして招き入れることを決める。個性的なメンバーの中で、失敗しつつも楽しみながら毎日を過ごしていたあつ子だったが……。
 
<キャスト>
綾瀬はるか
岡田将生
谷原章介
吹石一恵
塚地武雅
大杉漣
堀内敬子
肘井美佳
内田春菊
柿澤勇人
吉田里琴
もたいまさこ
鹿賀丈史
香川照之

 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
 

NAKAI

カフェ こくう

 

「マクロビオテックにガチガチにはしばられず、野菜をたくさんおいしく召し上がっていただけるような料理を心がけています」

 

大きなプレートに盛られたのは、
焼きピーマンと焼き厚揚げのナッツ味噌和え
紅芋とツルムラサキのごま味噌クリーム和え
モロヘイヤと油揚げの煮びたし
お漬け物、そしてサラダ。

 

マクロビ料理と言うと、「物足りない」「メインはどれ?」などと感じるひともいるかもしれない。
しかし、こくうで食事をして、心もお腹も満たされずに帰る人はいないだろう。
そして、並んだ料理すべてがメインディッシュだと気づくはずだ。

 

ピーマンのなんと分厚いこと! 「肉厚」という言葉がぴったり、ジューシーで味わいがある。
厚揚げを焼くと、こんなにも香ばしさが増すんだなぁ。

 

本当においしい料理はかならず、からだにもおいしい。
よく味わって…と頭では考えているのに箸が止まらず、目の前の雄弁な野菜たちが次から次へとお腹の中におさまっていく。
からだが求めているからだろうか。

 

店名の「こくう」は二十四節気の一つ「穀雨」に由来する。
百穀を潤す雨。

 

料理を食べながら、思わず店名が浮かぶ。
自然の恩恵を存分に受けた野菜や穀物の力強さを知る。

 

カフェこくう
ゴーヤーとキヌアをあえた前菜。シャキシャキのゴーヤの苦みが驚くほどまろやか。キヌアのプチプチとした歯応えも楽しい。前菜と言えど気前のいいその量と野菜の新鮮な味わいにむしゃむしゃと無心で箸を進める

 

カフェ こくう

 

カフェこくうに初めて訪れた人は、すぐには椅子に座らない。
眼前に広がる絶景に唖然として立ち尽くし、感心し、しばらく見とれる時間が必要だからだ。
その湾曲まで見通せるほど長くのびる水平線の途中に浮かぶのは伊是名島だ。

 

次は店内散策。奥につづく座敷の部屋もチェックしないわけにはいかない。

 

カフェ こくう

 

見事な木造住宅は、その建築を宮大工に依頼した。

 

「釘を使わず、木材を組み合わせてつくられているのですが、台風など強い風雨にさらされる度に木がぎゅっと締まって強度があがるそうですよ」

 

熊谷祐介さんと友紀子さんが沖縄に移住したのは4年前。
特に大きなきっかけがあったわけではなかった。

 

「昔は両親に連れられて家族旅行で沖縄を訪れていました。それで『いつか住みたいなぁ、老後かなぁ』と漠然と考えていたのですが、急に思い立って…」

 

と祐介さん。

 

「そう。だから『沖縄に行こうか』と言われたときも、あまりに突然すぎて呆気にとられちゃって(笑)。でも、私は山が好きだし、自然豊かな土地に暮らせることは嬉しかったですね」

 

と友紀子さん。

 

最初のすまいは那覇市新都心のアパートだった。
飲食店で働きながら、土地を探した。

 

「沖縄全域で探していました。南部も気になるし読谷も捨てがたい。
でも、景色が決め手となってここに住むことにしたんです」

 

カフェ こくう

 

カフェ こくう

 

結婚を機に日々の食事にいっそう気をつかうようになった友紀子さんは、マクロビオテックの通信講座を受講していた。

 

「体質がとても悪かったというわけではないのですが、それでも気になる症状はありました。それが、食事を変えたことでだいぶ改善したんです。でも、治りきらない症状もあったので、ローフードも取り入れるようになりました」

 

2011年10月に引っ越し、12月末にプレオープン、2012年4月から本オープンしたこくうの料理は、マクロビオテックをベースにアレンジしたもの。
和食の料理人である祐介さんとマクロビを学んだ友紀子さん、二人の知識と経験を融合してできたのがこくうのメニューだ。

 

野菜は三軒の農家から仕入れているものを中心に使用している。

 

「沖縄県産の野菜の中でも、特に地元今帰仁で育てられた無農薬、減農薬、有機栽培された野菜が多く、中には農薬だけでなく肥料も使わない『自然農』で育てられた野菜もあります。
すぐ近くでその日に収穫された野菜を直接届けていただいたりしているので、鮮度が違います。たとえば、穫れたてのうりずん豆は調理するとジャガイモみたいにホクホクになるし、ハンダマも味が濃い。
無農薬や自然農で育てられているので作っている人によって大きさも味も違うのですが、どれも旨味がぎゅっと濃縮されているんです」

 

最初のうちは初めて見る野菜も多く、調理法を色々と試す日が続いた。

 

「瓜系の野菜やパパイヤなど、これまで使ったことがない野菜は本土の似た野菜の調理法を試したり、色々なスパイスを入れてみたりと試行錯誤しました。
どの野菜にも言えることですが、その野菜が持つ本来の味を邪魔しないよう、シンプルな料理を心がけています」

 

カフェ こくう
アフリカンブルーバジル、うりずん豆、ししピー、もずくと三つ葉と紅生姜の天ぷら。野菜の素朴ながら力強い味わいが引き立つ一皿。初めて食べたアフリカンブルーバジルは、濃厚な風味がクセになる野菜。「独特な香りがするので『この野菜は何?』ときかれることが多いんです。庭で育てているんですよ」

 

カフェ こくう
パパイヤ、島ごぼう、にんじんの豆乳味噌和え。野菜の甘みとこっくりとした豆乳味噌がよく合う。以上がランチタイムの「こくうプレート」1200円

 

野菜のおいしさに圧倒されて無心に食べ進めていると、いつの間にか心地よい満腹感に包まれている。

 

「男性のお客様でもご満足いただけるように工夫しています。物足りないと感じさせてしまっては申し訳ありませんから。
また、毎日のようにメニューが変わるため、『来るたびにメニューが違う』と喜んでいただいています。毎週お越しいただいても飽きないと思います」

 

観光客にも喜ばれそうな立地だが、沖縄に住む常連客も多い。
高速に乗って遠くから足繁く通うファンもいるほど。

 

「20代の方からご年配の方まで、色々な年齢層のお客様が来て下さいます。
僕らの娘も店内をうろうろしていますし、おもちゃも置いてありますから、お子様連れのお客様も気兼ねせず入っていただけているようです」

 

カフェこくう
ケーキ、酵素ジュースともに500円。飲み物とデザートの注文で100円引き。

 

アボカドと生パインのケーキは、加熱調理をしないローケーキだ。

 

見た目にはアボカドの緑が鮮やかだが、生き生きとした酸味と甘みでパインが主張している。まるでパインそのものを味わっているかのようなケーキだが、正直に言うとパインそのものよりもおいしい。

 

「卵や乳製品を使わず、アボカドとパインにココナッツオイル、アガベシロップ、レモン汁だけを加えて作ったアイスケーキです。土台はクッキーではなく生のナッツで作りました。
沖縄って1年中果物が穫れるフルーツ天国でしょう。時期によって色々な果物を使ってケーキを作ろうと思っています。
お子様にもおすすめですよ。うちの娘はこのケーキを作っていると食べたくて大泣きするほど(笑)」

 

アボカドで濃厚さが加わり、天然のシロップで自然な甘みが増す。
パインを超えるパインケーキだ。

 

カフェ こくう

 

カフェこくう

 

カフェこくう

 

こくうは、その立地も特筆すべき特長を備えている。

 

「店に到着して、『着いた!』と抱き合って喜ぶ方もいました」

 

と熊谷さんは言うが、その気持ちはとてもよくわかる。

 

一般道を進んでいると、ふと、ナビゲーションシステムに脇道に入るよう指示される。その脇道の入り口からこくうまで、約2kmの山道が続く。
本当にこの道でいいのだろうかという不安に何度か襲われながら、「サンシティ希望ヶ丘はこちら」というのぼりに励まされて車を走らせると、いきなり目の前に広がる不思議な光景に目を奪われる。

 

山道をのぼりきったそこには、広大な新興住宅地が広がる。
住宅の建築を待つ土地には、購入者の名前が書かれた札が並んでいるが、家はまだ数えるほどしか建てられておらず、眼下に広がる海は何の妨げも受けずにどこからでも見晴るかせる。
敷地内の道路を海の見える方向に向かって進むと、一番奥にこくうの姿が見える。

 

その特徴的な赤瓦を見つけたときの喜びはひとしお。
まるで、自分のためだけにある秘密の店を見つけたような気持ちになる。 

 

カフェ こくう

 

カフェ こくう

 

縁側からひやりとした風が入ってくる。
この季節、南部ではまだ体感できない温度の風だ。

 

「最近、南風から北風に変わったんですよ。もう秋なんですね。
ほら、とんぼが飛んでいるでしょう。
近所のおじいが『とんぼが低く飛んでいるから台風が来るよ』と教えてくれました」

 

大自然の中にすっぽりと包まれた場所にあるこくう。
壮大なヤンバルの森からは、「キーン、キーン….」という金属音にも似た、北部特有のオオシマゼミの鳴き声が響く。
蝉の声と客のおだやかな話し声だけをBGMに、東シナ海をぼんやりと眺める。
まるで固まったゼリーのように凪いだ海、山のように連なる島、島の上にぽっかりと浮かぶ雲…。

 

私が普段の生活で大事にしているものは、一体なんだったんだろう?
何をそんなに必死になってこだわっていたのだろう?
ふと、そんな考えが頭をよぎる。

 

確かにここは別世界のような場所だが、それは私たちをただうっとりさせるだけではない。
本当に大切なもの、価値のあるものとは何かを静かに教えてくれる場所でもる。

 

カフェこくう

 

こくうではライブイベントも行われている。
ここで演奏したいというアーティストの気持ちは、一度訪れればよく理解できる。
遠く離れた場所から、高速に乗ってでも通う常連客の気持ちも。

 

今帰仁の自然の恵みを、今度は家族とともに味わいに来よう。
大切なひとを、きっとあなたも連れてきたくなるはずだ。

 

写真・文 中井 雅代

 

カフェ こくう
カフェこくう
今帰仁村字諸志2031-138
(今帰仁サンシティ希望ヶ丘敷地内)
0980-56-1321
open 11:30~
close 日、月
ブログ:http://miyupapa2.ti-da.net

 

NAKAI

浮島ガーデン ナムル
 
酵母でつくる美しい「精進キムチ」
 
浦添にある『ゲジョル』のキムチはベジタリアン・キムチ。
 
http://gejol.ti-da.net
 
普通、キムチは「アミエビ」が入っているけど、ここのは入っていません。
でもすごくうまみがあるんです。
どうしたらこんなにおいしいキムチが作れるの?
李さんにお願いして浮島ガーデンでベジキムチ講座を開催してもらい、
『ゲジョル』キムチのおいしさの秘密を知ることができました☆
 
アミエビを使わなくても十分うまみを感じる理由。
それはたっぷりのフルーツと良い塩でした。
彼女は季節の果物をひとつひとつ丁寧にすり下ろして砂糖の代わりに入れます。
「パパイヤやパインは合うけど、バナナはダメね」
何でもすり下ろせばいいというわけではなく、
バナナのように香りが強いフルーツは漬けものには合わないそう。
なるほど~
 
ふと、酵母ジュースに唐辛子を混ぜてキムチにしてみては?と思いたち
ドラゴンフルーツの酵母でキムチを作ってみました。
唐辛子の赤とドラゴンの赤、ダブルの赤でなんだか赤々。美しい気がする~~。
ドラゴンは色がきれいなので、塩とオリーブオイルを入れて
マリネ液を作ってもいいですよね。
 
時間があれば野菜を干してお日様エネルギーを充填し、
水分をあらかじめ飛ばしておくと良い漬けものができます。
野菜によって塩分濃度は変わってきますが、
だいたい目安として5%の塩、重さ2倍以上の重石をのせておけば、
常温でも腐ることはありません。
水が上がってきたらすぐ捨てて、徐々に重石を軽くしてゆくと
ちゃんと発酵してくれます。
 
 
旬の野菜を漬けものにすると、栄養価が高いまま保存できて、
しかも塩漬けにすることで消化しやすくなり、
酵素もミネラルも増えて、いいことずくめ。
忙しい人ほど漬けもので常備野菜、いろんなおかずを作ってみて下さい。
「精進キムチ」
 
 <材料>
野菜パパイヤ、ニンジン、カボチャ、はくさい、ニラなど
ニンニク、生姜(今回は精進ということで入れていませんが)
季節のフルーツの酵母液(酵母液の作り方参照)
昆布茶 少々(なくてもオッケー)
唐辛子 適量
塩(野菜の量に対し5%=長持ちします)
 
 
1 野菜に塩をまぶし、重石をのせ、半日おく。
 
浮島ガーデン ナムル
 
浮島ガーデン ナムル
 
2 ①の水気を切り、酵母液、唐辛子、昆布茶を加え、混ぜ合わせれば出来あがり~☆
 
浮島ガーデン ナムル
 
浮島ガーデン ナムル
 
浮島ガーデン ナムル
 
浮島ガーデン ナムル
 
*今回はセンダン草をゆがいたもので作りました。
*冷蔵庫に入れておけば2カ月くらい持ちます。
 
 

Text by 中曽根直子(浮島ガーデン フードデザイン)




浮島ガーデン
那覇市松尾2-12-3
098-943-2100
open:14:00~24:00
close:火
HP:http://ukishima-garden.com
ブログ:http://ukishima.ti-da.net