NAKAI

ジューシー レシピ
 
「お盆初日のウンケーに必ず作るウンケージューシー。
地域や家によって入れる具材は違うと思うけど、那覇は生姜の葉を入れるのが決まり。
香りが強いから邪気払いの理由があるというんだけど、いい匂いがするのでぜひ入れて」
 
ジューシー レシピ
 
「まずは、三枚肉をあぶりましょう。
表面に残った毛をしっかり焼けば皮まで使えるからね。
これはラフテーを作るときなんかも一緒ね。
直火であぶる家もあると思うけど、脂が下に落ちてコンロが汚れちゃうから、うちは魚を焼くグリルで焼いているのよ。
それに、グリルだと表面が平均的にきれいに焼けるのでお勧め」
 
ジューシー レシピ
 
「焦げや毛を包丁でこそげ取ったら圧力鍋でコトコト煮ます。
だしを取るときは水から、煮るときはお湯からと習ったので、わたしは沸騰してから入れるようにしているよ」
 
ジューシー レシピ
 
「これが大事な生姜の葉っぱ。
去年はウンケー前日に買いに行ったらどこにもなくてねぇ。
前々日には買っておかないと売り切れてしまうこともあるのよ。
買ったときにしんなりしていたら、茎から葉っぱを外して先にしばらく水につけておいて。
そして洗って水を切ってビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存しておくの。
そうすれば、パリっとして瑞々しさが戻るよ」
 
ジューシー レシピ
 
「葉を千切りに。
生姜の良い香りがするでしょう? これがジューシーに合うのよ」
 
ジューシー レシピ
 
「豚肉が中までゆであがったらとりあげて。ゆで汁も使うから捨てちゃだめよ」
 
ジューシー レシピ
 
「生姜の葉以外の具は1cmくらいのさいの目切りね」
 
ジューシー レシピ
 
「本来のウンケージューシーの具は豚肉と生姜の葉だけとシンプルらしいんだけど、にんじん入れると彩りがいいでしょう? 他にもしいたけとか刻み昆布を入れるところもあるかもね」
 
ジューシー レシピ
 
「さて。ここからはまたおうちによって作り方が分かれるところ。
具と調味料を炊飯器に入れてそのまま炊き込むおうちもあると思うけど、うちの場合は具に下味をつけるの。
まずは油で少し炒めて…」
 
ジューシー レシピ
 
「醤油、砂糖、お酒、だし汁で甘辛く味付け」
 
ジューシー レシピ
 
「沖縄料理の本を見ると、ざるで水気を切ったお米も一緒に炒めると書いてあるから、沖縄風ピラフね。
でもうちは炒めるのは具だけ」
 
ジューシー レシピ
 
「水気を切っておいたお米に、豚肉のゆで汁、鰹だし、醤油、酒、塩を加えます。酒を入れるとコクが出る気がするから入れているよ。分量? 量ったことないねぇ〜。毎年テーゲーよ〜。
でも、具から水分が出るかな? と、ここで汁を少なめにしないように。
ちゃんとお釜の内側に引いてある線まで入れないと、お米に芯が残ってしまうことがあるよ」
 
ジューシー レシピ
 
「具もたっぷりいれてね。入れ過ぎかな? と思うくらいでも大丈夫。遠慮すると具の少ないちょっと寂しいジューシーになってしまうのよ」
 
ジューシー レシピ
 
「生姜の葉も惜しみなく沢山入れてね」
 
ジューシー レシピ
 
「お米と具を混ぜ合わせて、あとは炊くだけ。
うちは炊飯ジャー2台使って合計11号炊くの。
あー、この瞬間は毎年緊張するね。
親戚がみんな食べに来てくれるし楽しみにしてるから、責任重大よ。
おいしく炊けますようにと祈る気持ち」
 
ジューシー レシピ
 
「これはわたしの旧盆ノート。
去年のページを見てみると…
『注文した重箱のターンムは上げ底、下の段は全部昆布だったのでお店にクレームの電話。来年はぜひみんなで重箱料理を手づくりしよう』
…あら、こんなこと書いてある。今年ももう注文してしまったさ(笑)。
お盆当日に見たらだめね、8月に入ったらすぐに見ないと。
 
炊飯器が鳴ってるね、炊けたみたい。おいしくできているといいんだけど」
 
ジューシー レシピ
 
「生姜の葉がほのかに香っていいでしょう? そんなに強い香りじゃないから、生姜が苦手な人でも大丈夫よ。
上から下からしっかり混ぜてね。」
 
ジューシー レシピ
 
「去年の旧盆ノートには『味つけが薄かった』と書いてあるけど、今年はお父さんからも合格サインが出たし、みんなおかわりしてくれたし、良かった〜。
来年もおいしいジューシー作ってご先祖さまをお迎えしないとね」

 

NAKAI

zazou

 

「20年前には、ハード系のパンなんて沖縄のどこにも売ってませんでした。
お客様に受け容れていただけるのかどうかわからない。
でも店を開くときに決めていたんです、どこまでもパリテイストを貫こうって」

 

1989年にオープン、今年で23年目を迎えた zazou は、沖縄でハード系のパンに着目したさきがけとも言えるベーカリーだ。
沖縄市コザゲート通りという場所柄もあり、アメリカ文化の影響を強く受けて育ったコザんちゅには特に、ふんわりとやわらかいものこそがパンという価値観が強く根付いており、噛み応えのあるフランスパンのようなパンには馴染みがなかった。

 

「オープン当初から苦労の連続でした。そもそも、パンが堅いという時点で受けいれてもらえない。
フランスパンを初めて見たご年配の女性が、パンをコンコンと叩いて
『このパン、固くなっているよ』と。
そういうものなのだとご説明するとご購入くださったのですが、後日店頭にいらっしゃって
『口の中、血ー出たよ』と。
当時はパンと言えばやわらかいテーブルロールのようなもの。ベーグルの理解にも10年かかりました」

 

zazou

 

 

 

オーナーの安村さんとともに zazou を支え続けている店長の「ふうこさん」こと房子さんは大学の同級生でもある。当時を振り返って顔を見合わせる。

 

「私たち、どうしてあんなに頑張れたんだろうね?」

 

「目の前にあることをやらないと気が済まない性分なのよね、お互い。学生時代から!(笑)」

 

「確かに。山があったら何がなんでも登る! それは今も変わらないよね」

 

シンプルな素材を用い、発酵に時間をかけて作るハード系のパンや自家製酵母のパンは、今でこそ広く認知され人気を博しているが、当時はそいういうパンの存在自体がほとんど知られていなかった。

 

「売れるようになるまでは何年もかかりましたが、あきらめようと思ったことは一度もありませんでした。
絶対にこのパンを店に置いておかなければならない、そうしないと私たちが目指すパン屋になれないと思っていたからです。
一生懸命作ったものが売れないというのは本当につらいこと。だけど、苦労を上回る喜びもありました」

 


 

zazou
店内のカウンター席はイートインスペース

 

ヨーロッパでは古くから食されているハード系のパンは、外国に長く暮らしていた人や米軍基地に到着する旅客機のクルーなどの間で評判となり、次第に口コミで人気が広がっていった。次のフライトに間に合うようにと、走って店に入ってくるアメリカ人もいたと言う。

 

「私たちはアルバイトスタッフも含め、全員で新商品を開発します。試作にもすごく時間をかける。
だから良いパンができたらまずスタッフみんな大喜びします。
そして店頭に出したときのお客様の反応にまた喜び、
さらに、買って帰られた方やそのご家族が召し上がって喜んでくれる、そしてまた買いにきてくださる。
つまり、作って楽しい、買ったひとも嬉しい、家で食べたひとも満足という喜びの輪が生まれる、こんな幸せなことってありません。だから途中でくじけることなく続けてこられたのだと思います。
それに、つらいことほど後になっていい思い出に変わるものなんですよ」

 

 

 

 

表面はかりっと香ばしく焼かれ、なかはもっちりと歯応えのあるハード系のパンだけでなく、さくっとした食感にさっぱりとした甘みのクリームが好相性のデニッシュもおいしい。
ボリュームのあるジューシーなパテと分厚いトマトが嬉しいハンバーガーや、県産豚肉にカレーソースを合わせた夏カレードッグのようなお食事系パンも豊富。

 

パンの種類がバラエティに富んでいるように、店に訪れるひとびとの顔ぶれもさまざま。

 

白ひげをたくわえた外国人男性がセットを注文したかと思えば、若い女性客がデニッシュを箱買い。次は親子連れが入って来て・・・と、幅広い世代に愛されている。

 

 

 

 

熱心に店に通う常連客の存在にも支えられたと語る。

 

「アメリカ人のお客様の中には、ギリシャ系、ドイツ系、イタリア系とさまざまな人種の方がいらっしゃるのですが、『わたしの故郷にはこういうパンがある、是非作って欲しい』というようなリクエストをいただくことが多いんです」

 

ここでも、安村さんたちの「山があったら登る」の精神が発揮される。

 

「それが聞いたことのないようなパンであっても、私たちは必ず『YES! トライしてみます』と答えるんです」

 

ドイツのロールパン「ブロッチェン」は、ドイツに長く住んでいた人に「あの味が忘れられないから作って」と言われて作ったのがきっかけ。

 

アメリカ人の旅行者に「沖縄に3週間いるからその間に食べたい」と言われてガーリッククーぺを製作。
「試行錯誤を経てやっと完成させたのですが、その前日に彼は帰国してしまって! 」

 

ポーションタイプのクリームチーズとベーグルを必ず購入するインド系の男性がある日、「ベーグルにクリームチーズぬるのが面倒だから、クリームチーズ入りのベーグルを作って!」と。早速、クリームチーズベーグルを作った。

 

いずれも、今や看板商品となっているパンばかりだ。

 

「うちのパンにはどれも必ずと言っていいほどエピソードがあるんです。
お客様からの意見やアイディアはどんなささいなことでも必ずスタッフ全員で検討します。
私たちにご期待くださるお客様のおかげでここまでバリエーションが増えました。お客様に育てられた店なんです」

 


左:ガーリッククーペ 右:クランベリーブロッチェン

 

 


パン以外のお惣菜も。「リピーターも多い隠れ人気商品なんです」

 


食材に対して誠実であれば、ジャンルを問わずおいしいものができるのだと痛感する味わい

 


以前はホテルのパン職人だったシェフ。「彼はちょっとシャイで無口な人。きっとパンで会話してるのね」

 

zazou

 

「zazou」とは、第二次世界大戦中にジャズに熱狂していた若者たちの総称だという。

 

一つの分野に熱中するという点において、zazou のスタッフにも同じ熱意を感じる。
世界が戦争の渦中にあったころ、zazou 達が戦いには目もくれずジャズに熱を上げていたように、やわらかいパンが主流だった沖縄で、ハード系のパンを作り続けてきた安村さんたち。

 

 

zazou では、パンを入れる箱が準備されている。

 

「これもお客様からのご要望を元に始めたサービスです。
お祝いや行事ごとなど、人が集まる席に沢山もっていきたいと言っていただくことが多くて。お盆に持って行ったら他の親戚とかぶっちゃいましたという嬉しいエピソードも伺いました」

 

安村さんたちのひたむきな努力は、大きな実を結んだ。
ハード系のパンは今やマイノリティではないし、zazou のパンを食べるために、遠くから足繁く通うファンも多い。
しかし、zazou のゴールはきっとここではない。新たな山を見つけ、そしてまたのぼり続けるのだろう。

 

「もっと席数を増やして、カフェもやりたいと思っています。
テーブル席を作ってほしいというお声も頂いているので」

 

いつだって「YES!」と答える。
zazou はこれからもリクエストに応え続け、そして前進し続ける。

 

写真・文 中井 雅代

 


zazou(ザズー)
沖縄市中央2-15-1
駐車場あり
098-934-2380
open 10:00〜19:00
close 火

 

ブログ http://zazou1989.ti-da.net

 


 

NAKAI

調理場という戦場
斉須政雄・著 朝日出版社 ¥1,890/OMAR BOOKS
 
-まわり道のすすめ-
 
 心の底から出会えて良かったなあと思える本は年にそう何回もあるわけじゃない。
今回ご紹介する本はきっとこの先もくり返し読むであろう本。
 
タイトルどおり、調理場で今も現役で戦い続ける、フランス料理店「コートドール」の
料理人・斉須政雄さんの自叙伝です。本棚にジャンル分けがあるなら、この本は
料理の棚、ではなく哲学、人生訓、ビジネス書などの棚に置かれるべき。
 
こういう人生を豊かな人生というのだろう。
描かれているのは決してきれいごとだけではない、人間同士の生のぶつかり合いや情けない自分、まだ経験のない若さゆえの葛藤、肉体的・精神的なつらさ、苦しみ。
そうした中で生まれる信頼、敬意、愛情。
それらが一緒くたになってその人にしか出せない人生の味が出来上がる。
そこにかかせないのは生き方の姿勢と時間。
斉須さんは「栄養のような生き方を注ぐ」と表現されている。
  
読んでいて感じたのは「まわり道は必要」だとういうこと。
時間をかけてまわり道をすればするほど人生の味は深くなる。
効率・スピードばかり求められがちな現代、最短距離でゴールに着くことがいいことのように思われがちだけれど、ほんとにそうなの?とこの本は投げかける。
  
 -静かなる者は健やかに行く。健やかなる者は遠くまで行く。 
 -やれたかもしれないことと、やり抜いたことの間には、大河が流れている。
 
印象的な言葉、慈雨に満ちた言葉の数々。
 
これまで無我夢中で走ってきて、ふっと立ち止まったら彼は遠くまで来ていた。
どういう道を自分は走ってきたんだろう、とふり返ったら、彩りに満ちた豊かな景色がそこに広がっていた、というような本。
 
ひたむきにただ好きなことをやっている人の姿はそれだけで美しい。
その姿はまた周りに栄養(元気)を与える。
明日を生き抜く全ての人への希望の書です。
 

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

佐治俊克
 

 

 
佐治俊克
 

 

 
佐治俊克
 

 

 

 

 

 
家を訪れた人に「鳥が好きなんですか? 」と訊かれることが多いと言う。
 
壁に貼られたポスター、シェルフの上のふくろうにアヒル、皿に描かれたオオハシ…
佐治さんのおうちには至る所に鳥がいる。
そして、飛行機モチーフも。
飛ぶことへの憧れ?
 
「いえいえ、特に意識して集めたわけではなくて。自然と集まってきちゃった感じなんです」
 
2006年に沖縄に移住したときからずっと住んでいるという外人住宅は、デザインの仕事に携わる家主こだわりの空間かと思いきや、意外にも特に強いこだわりはないと言う。
 
「強いて言えばシンプルな雰囲気が好き…。それくらいかなぁ」
 
本当に好きなものだけを置く。
好きな写真集、お気に入りの作家のうつわ、自分にしっくり馴染む帽子…。
ただその一点を守るだけで、家主の価値観をしっかり具現化した部屋になり、自然な統一感とスタイルが生まれるのかもしれない。
 
「あんまりモノを増やさないよう努力はしています。使わないものは潔く捨てることも…。
でも、決心して一度捨てようとしたのに、それを取りやめることも結構あります(笑)。やっぱりどうしても捨てられないものってありますから」
 
移住から6年。そろそろ引っ越しを考えたりはしないのだろうか?
 
「考えたことないですね。この家に住んでいてなにも不便を感じないので。
近所には友だちも沢山住んでいるし、行きつけのお店もある。居心地良いんですよ。
ここより良い所があるなら考えるかもしれないけれど…ないんじゃないかなぁ?」
 
おうちがいちばん!
仕事するにも暮らすにも、今のおうちがベスト。
そう思えるってなんて素敵なこと。
 
人生の中で、おうちで過ごす時間が占める割合はきわめて多い。
しかも職場も自宅ならなおさら。
一日の大半を快適な空間で過ごせるという贅沢。
 
佐治家の「鳥」たちは、本当に自然と集まって来たのかもしれないなぁ。
この空間の居心地の良さに誘われて。
 

写真・文 中井 雅代

 
関連記事:Sazie Graphics 佐治俊克
ロゴはお店の顔。思いを凝縮したデザインを

 

NAKAI


 
とりあえず、佐藤健 がたまらなくセクシーだ。
 
美しい。
 

 
私は原作は読んだことないけど、何でもいいけど、かっこよすぎる。動きもしなやかだし、さすがの身体能力だ。
ダンスの基礎ができてるからかなあ。
 
映画全体としては、なんとなく、「惜しい」って感じ。
 
原作を知らないせいかもしれないが、どうしたいのかよくわからない部分と、おそらく長い話を凝縮したため、剣心と薫の関係性にいまいち深いものが感じられない。
 
 
二時間を優に超える映画なんだけど、佐藤健の殺陣だけ観ていたい。
 
監督が「龍馬伝」の大友啓史ということで、おそらく佐藤健の起用になったんだろうね。
 
龍馬伝での「人斬り以蔵」役は、それはそれは素晴らしかったもんね。
主演で観たいと私も思った。
 
そして、「龍馬伝」関係者が多いね。青木崇高 なんか一瞬わからなかったけど「後藤様」だからね。
 

 
蒼井優 、香川照之 なんかもそうだしね。
 

 
蒼井優、いまいち微妙で、なんて言ってるかわからないシーンが多かった。
 
武井咲 は重要なんだろうけど、最近どうも、出すぎているせいか、ちょっと違うかな、という気もした。
 

 

 
そして同じく、今、がんがん稼いでいるのが綾野剛 。出れるときに出ておこうという感じなのか、やたらと出てくるので、ファンなんだけど、だんだんどうでもよくなってきた。
でも彼も、身体能力はかなり高いので、アクションシーンはなかなか見もの。
 
須藤元気 も出てるんだけど、意外といいよ。
 
吉川晃司 頑張ってるし、江口洋介もかっこいいです。
 

 

 
ところどころ、ふざけ過ぎているのか、なんか、演出が子供向けなのか、ターゲットがちょっと私世代と違うからか、ピンとこないところはあります。
 
それにしても、佐藤健がとにかく良い。
 
以前の「人斬り以蔵」のときもおもったけど、「人斬り」のときに見せる表情が、すごい。
普段の緋村剣心のときとのギャップをものすごくうまく演じています。
 
ファンは必見です。ファンじゃなくても、佐藤健の緋村剣心を観てほしいなあ。
 
これは海外でうけるとおもうなあ。

KEE

 
 

 
<ストーリー>
幕末から明治になり、かつて「人斬(き)り抜刀斎」として恐れられた剣客・緋村剣心(佐藤健)は「不殺(ころさず)」の誓いのもと流浪人となっていた。流浪の旅の途中、剣心は神谷道場の師範代・薫(武井咲)を助けたことから、薫のところで居候することに。一方、街では「抜刀斎」を名乗る人物による人斬(き)り事件が発生しており……。
 
<キャスト>
緋村剣心 – 佐藤健
神谷薫 – 武井咲
鵜堂刃衛 – 吉川晃司
高荷恵 – 蒼井優
相楽左之助 – 青木崇高
外印 – 綾野剛
戌亥番神 – 須藤元気
明神弥彦 – 田中偉登
山県有朋 – 奥田瑛二
斎藤一 – 江口洋介
武田観柳 – 香川照之
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
MIHAMA 7 PLEX+ONE
098-936-7600
中頭郡北谷町美浜8-7
HP:http://www.startheaters.jp/mihama7plex

NAKAI

miyagiya
 
田村窯、室生窯、工房十鶴……。
沖縄の名だたる工房で作られたやちむんの隣りには、ソウル発のシャツやデンマーク王室御用達のカトラリーが並ぶ。
 
miyagiya のオーナー・宮城博史さんは自身のショップ miyagiya – bluespot を「エディトリアルショップ」と位置づけている
 
「エディトリアル」とは「編集」の意。
雑誌を編集するように、独自の視点で衣類、雑貨、インテリア、カトラリーなどさまざまなジャンルからアイテムをセレクトする店のことだ。
 
「だから、特定のジャンルの専門店ではないし、その時々の『編集』によって雰囲気も変わる。常に変化のある店なんです」
 
miyagiya
 
miyagiya
 
宮城さんは沖縄の高校を卒業後、東京の大学に進学した。
 
「その当時の僕は東京主義だったんです。
大学に進学したのも東京に出たかったから。
とは言っても、沖縄のことはいつも気にかかっていました。
沖縄と関係する何かをやりたいと思っていたんです」
 
その後アパレルの仕事に就き、充実した日々をすごしていたが、沖縄のことが心を離れることはなかった。
 
うつわやインテリアにも興味があった宮城さん、ある作家の作品との出会いが人生の転機となる。
 
「読谷の『工房十鶴(じっかく)』の柄溝康助(からみぞこうすけ)さんのうつわに触れて衝撃を受けたんです。
それまでやちむんというと、おばあが使っている大きなお皿のイメージでした。
実家の食器棚の上のほうに大事にしまわれているような。大きいし重いし、普段使いするものではないということもあって、僕はそれまで好きだとは思えなかったんです。
それが、柄溝さんのうつわに出会って、僕のやちむんに対する概念が覆されました。
柄溝さんの作品は、パッとみた雰囲気ではやちむんかどうか判別の難しいものもあるし、唐草のような伝統柄でもちゃんとオリジナリティがある。
不思議な魅力を持ったうつわに夢中になりました」
 
工房十鶴のうつわとの出会いをきっかけに、宮城さんはほかの作家やうつわにも興味を持つようになった。沖縄に帰省するたびに様々な窯へ通い、作品を買い求めた。
 
miyagiya
 
miyagiya
 
趣味で作った自身のホームページでやちむんのことも紹介していたところ、少しずつ問い合わせが入るようになった。
 
「『購入できないんですか?』というメールを見て、こういううつわを求めている人が東京にもいるんだと少し驚きました。
でも、確かに東京で沖縄のやちむんを買えるところは当時まだ限られていたので、ホームページ上で少しずつ通信販売をやるようになったんです。
本職としてアパレルの仕事を続けていたので、気軽な気持ちでやっていました」
 
インターネットを通じて沖縄のうつわを販売しているうちに、実店舗を構えたいという気持ちが芽生え始めたが、最初は沖縄ではなく東京で物件を探していたという。
 
「購入するお客様も内地の方が多かったので、東京でオープンさせた方がいいと思っていたんです。
でも、なかなかいい物件に出会えなくて」
 
時を同じくして、宮城さんの友人の加藤さんは沖縄で物件を探していた。
加藤さんが代表を務める「bluespot(ブルースポット)」は、アジアを拠点に東京ではなくローカルから発信するというポリシーをもって活動しており、その第一号店はカフェ兼フォトスタジオとしてソウルですでにオープンしていた。
 
「僕が正月に沖縄に帰省していたとき、加藤から電話で『良さそうな外人住宅が賃貸に出てるから見てきてくれないか』と頼まれて。その時はまだ、彼も沖縄で始めるビジネスについて具体的な考えは決まっていなかったようなのですが、とりあえず物件を押さえてから考えようということだったので、『じゃあ、物件決まったらそのはじっこで俺にも店をやらせて』と気軽に言ってたんです」
 
miyagiya
 
しかし、その物件は他に借り手が決まってしまい、契約することができなかった。
 
「それが逆に引き金となって、沖縄で店を開こう!というやる気に火がついてしまったんですね。
物件探しの場を東京から沖縄に完全にシフトさせたんです」
 
正月に物件の契約を逃したあと、仕事の合間をぬってほぼ毎週末東京から沖縄に通う生活が始まった。
bluespot ではなく、あくまでもmiyagiyaの店舗を探していた宮城さんだが、次第に提案型のエディトリアルショップにしたいという気持ちが生まれていた。
 
4月に見つけた物件で、コラボレートショップ miyagiya – bluespot はオープンした。
 
miyagiya
 
「焼き物だけでも洋服だけでもない、空間全体を楽しんでいただけるショップにしたいと考えたんです。
普段は毎日がただ何気なく過ぎていくけれど、店内の空間の表現に刺激を受けて『たまにはおうちでゆっくり過ごしてみようかな』と思ってもえたら嬉しいな、と。
 
田村窯も室生窯もそうですが、内地から沖縄に出ていらして10何年と修業し、沖縄でご自分たちの窯を構えて活動していらっしゃる作家さんの作品が多いのですが、彼らのうつわを見ると新しい沖縄を発見した気持ちになるんです。沖縄の人もそうじゃない人も、ここで新しい沖縄を見つけてほしいと思い、エディトリアルショップという形態をとることに決めました」
 
店頭にはうつわだけでなく洋服も並んでいる。
あまりに奇抜なデザインはイヤだけど、おもしろみのない服はつまらない。
悪目立ちはしたくないけど少し冒険したい。
そんなささやかな遊び心を十分に満たしてくれる洋服ばかりだ。 
 
miyagiya
 
miyagiya
 
miyagiya
 
「奇抜じゃないけどデザインがカッコイイ。ありそうだけど、ない。そういう服をそろえました。
一見Tシャツだけど、よく見るとボタンがついていてシャツになってたりと細部が面白い。こういうさりげない遊び心が好きなんです。
洋服はソウル発のメンズものが中心ですが、ユニセックスのアイテムも多くて。
Tシャツもてろてろとした素材だったりサイズが小さめだったりと、女性が着ても素敵なものが多いんです」
 
miyagiya
 
miyagiya
「このジャケットはジム通いするときに着たいと女性が購入。『人と同じのがイヤなのよ!』とおっしゃって(笑)」
 
実際、訪れる客はカップル率が高いと言う。
 
「『Tシャツかわいいじゃん』と言っていた彼氏さんが食器を、『うつわも素敵だよ』と言っていた彼女さんが逆にTシャツを3枚まとめ買いしたことも(笑)」
 
また、アパレル業界で長年活動してきた宮城さんも納得の質と値段も嬉しい。
 
「やわらかくて質の良いコットンを使っていたりするのに、アイテムのほとんどが5,000〜6,000円代。無地のTシャツは2,000円台が主と値ごろ感も良いんです」
 
miyagiya
 
miyagiya
 
miyagiya
 
miyagiya
 
miyagiya のやちむんは、幅広い世代が楽しめるものばかりだ。
カフェオレボウルに、パスタ皿に、こちらはガトーショコラが合うかも? と、次から次に用途が浮かんでくる。
 
「毎日のように気軽に使えるやちむんをご紹介いしたいんです。
そういうやちむんを作る作家さんをクローズアップすることで、これまでやちむんに興味がなかった人にも来ていただけたら嬉しいですね。
 
うつわも洋服も、若い人にも興味を持ってもらえるようにしっかり提案して、定期的に『編集』していこうと思っています」
 
店頭にはさらに、雑誌、CD、アロマキャンドルにカトラリーなども並ぶ。アイテムのジャンルは実に多岐にわたっている。
 
miyagiya
 
miyagiya
デンマークのデザイナーKAY BOJESEN(カイ・ボイスン)のカトラリー。「シンプルで美しく、デンマーク王室御用達。デザイナーも参考にするフォルムと言われているのですが、実は日本で作られているんですよ」
 
miyagiya
 
miyagiya
日本でも扱っている店の少ないスペインのライフスタイル・カルチャーマガジン「apartamento」。「この雑誌が店づくりにも少なからず影響を与えていると思います。抽象的なアートな感じじゃなく、わかりやすい誌面が好み。ラフでカジュアル、わかりやすいのに新鮮。店でもこういう表現ができるんじゃないかな?と考えています」
 
miyagiya
 
様々なジャンルのアイテムが、カテゴリーにしばられず自由に展示された 店内の雰囲気は独特だが、宮城さんと話をしていると次第に合点がいく。店の輪郭が明確に浮き出てくる。
 
ここはまさに、宮城さんの「部屋」なのだ。
 
いつも使っているお気に入りを、大きなスーツケースにありったけ詰め込んで持ってきて並べた、そんな空間。
デザインが利いていて使い勝手のいいうつわ、オリジナリティあふれる服、繊細なカトラリー、毎日聴いても飽きないCD、肌触りの良いタオル。
どれも実際に宮城さんが愛用しているものばかり。
だから、どのアイテムにも語るべきストーリーがたくさん詰まっていて、水を向けると宮城さんは嬉しそうにその物語を語る。
 
でも、生活していれば、家主の好みや興味も変わる。
そうすると店のアイテムにも変化が生まれる。あるときには新しい作家のうつわが加わり、あるときには新たなジャンルのCDが置かれる。
私たちにはその変化が楽しい。店に変化が生まれる度に、私たちは新しい世界を発見できる。
 
miyagiya
 
今後は様々な作家の企画展も予定していると言う。
 
「東京で活動なさっている木工職人の嘉手納重広さんの作品を秋頃に展示できたらと考えています。
何かの種のような形が特長的なこちらの作品は小さな入れ物。民芸調というよりデザイン的な要素が大きくて素敵なんです。
ただ展示するんじゃなくて、どう『編集』するかが僕の宿題。嘉手納さんの作品に何かをからめていきたいんです。
ガラスと組み合わせてみたりして、ナチュラルとは逆の雰囲気で展示してみたら、今まで興味がなかったひとも面白いと感じていただけるんじゃないかな? というふうに、今一生懸命考えている最中なんです」
 
miyagiya
 
「将来的にはやりたいことが沢山! ギャラリーもしたいしカフェも開きたい、老後には図書館という壮大な夢もあるんです(笑)。
海外に旅行したとき、図書館を併設しているカフェがあったんです。カフェの奥に書棚があって、写真集やアート関連の本も豊富にそろっていました。5ユーロほどのデポジットを先に支払えば貸し出し自体は無料。アートやデザインの本って結構な値段しますから、買わずに借りられるようにしたらどうかな?って。……これ、楽しそうでしょ?(笑)
また、miyagiya の壁が白いのは展示スペースとして使うため。店の雰囲気に合うような作品を募集中です。
店のアイテムだけでなく展示も定期的に変え、毎週来ても楽しんでいただけるように」
 
 
センスの良い友人の部屋を訪ねるような楽しさがあるから、また足を向けてしまう。
 
「あれ? 宮城さんってこういうのも好きなんだ?」
「そう、最近ハマっちゃって。カッコ良いでしょ?」
 
なんておしゃべりしながら、宮城さんが加え続ける「編集」を楽しみたい。
 

写真・文 中井 雅代

 
miyagiya
miyagiya – bluespot
那覇市松尾2-12-22
Tel/Fax 098-869-1426
open 11:00-20:00 
close 水(8月は無休です)
HP http://magasin-miyagiya.com

 

NAKAI


 
日本は世界有数の発酵文化を持つ国。
温かくて湿度が高いというのが微生物が喜ぶ環境のようで、
一年を通して気温も湿度も高い沖縄は、
微生物にとってはパラダイスだハズ~。
 
実際、沖縄に来てから、自家製酵母パンが簡単に作れるようになりました。
と言っても見た目はイマイチなんですが…
 
パン好きでよく酵母を起こしている人のおウチには、
微生物がたくさん生息するようになるので発酵しやすいんだそう。
実際、よく麹を作っている方のお宅の壁には
緑色の麹カビが付着しているそうです♪
 
かつて酒蔵や味噌蔵には麹菌が蔵の中にいっぱい生息していて、
発酵を助けていました。
しかし菌はすべて汚いものと考えた国は
塩素を使って殺菌消毒するよう徹底指導。
毎月、保健所がやって来て、酒蔵も味噌蔵も消毒されました。
これまで使っていた木製の樽も不衛生という理由から、
琺瑯やプラスチック製のものに替えられてしまったそうです。
 
蔵に生息していた菌たちがいなくなってしまったせいで、
菌のバランスが崩れ発酵がうまくできなくなり、
それまでの天然の菌では酒も味噌も作れなくなってしまいました。
現在、ほとんどの酒・味噌・醤油は
科学的に培養された麹菌を使っています。
 
でも、国の監視を免れた地域がありました。
宮古島です。
マルキヨ味噌さんを見学したときにこのことを知って
すごい!天然菌だ~!と狂喜乱舞する私を見て、
マルキヨ味噌のご主人が逆に殺菌消毒のことを驚かれた…ということがありました。
 
沖縄本島もちゃんと調べたら天然菌で作っている味噌屋さん、
あるかもしれないですね。
 
さてさて
酵母液作り、簡単なのでぜひやってみて下さい。(前回を参照下さい)
何度も酵母液を作っていたら、
おウチの中に良い微生物たちが生息しはじめるはず。
そんなおウチなら自分自身も家族も良い発酵ができそうです♪
は~ワクワクしてきますね。
 
というわけで、
今日は前回の南国フルーツ酵母液を使って、
今、流行りの非加熱、ローフード・パスタを作ってみましょう☆
ニンジンや大根などを輪切りにして、
『サラダッコ』というアメイジングなクルクル・スライサーにかけて
野菜パスタを作ります。
もちろん千切りでもいいんだけど、
なぜかサラダッコでクルクルにすると野菜が妙においしくて、
いくらでも食べられるんです。
まだまだ蒸し暑い日が続きます。
酵素たっぷりのパスタで元気をチャージして下さいね☆
 
 
<材料>
きゅうり、ニンジン、大根、ズッキーニなど 適量
フルーツ酵母液 適量
梅酢or酢 少々
オリーブオイル 適量
塩 少々
ナッツ (なくてもOK)
 
<作り方>
1 輪切りにした野菜をサラダッコでスライス。
 

 
2 酵母液にオリーブオイル、梅酢、塩を入れ、よくかき混ぜる。
 

 

 
3 野菜と酵母ソースを混ぜ合わせ、ナッツをトッピングして出来上がり~☆
 

 

 
 
☆9月5日、『頭が良くなると顔も良くなる!?坂下さんの小顔シャンプー講座』@浮島ガーデン 開催します♪
 
 

Text by 中曽根直子(浮島ガーデン フードデザイン)




浮島ガーデン
那覇市松尾2-12-3
098-943-2100
open:14:00~24:00
close:火
HP:http://ukishima-garden.com
ブログ:http://ukishima.ti-da.net
 

NAKAI

小顔シャンプー法 浮島ガーデン
 
日程:9月5日(水)14時~16時
場所:浮島ガーデン2階 琉球畳の間にて
参加費:1ドリンクご注文下さい☆
ご予約:info@ukishima-garden 
 
「顔のゆがみは頭のゆがみ」「顔の小じわは頭皮のたる
み」から…って、知ってました?
良いシャンプーを使って正しくシャンプーするだけで、
顔の小じわも歪みも取れて小顔になれちゃうんだそうです。
でーじアメイジング!!でもどうやって?

そんな小顔シャンプー法を教えてくれるのは、
沖縄大好き・美容学校の先生としても活躍中の美容師・坂下文夫さ
ん。知りたい方はぜひ来てたぼれ~♪
 
ところで坂下さん、めちゃめちゃ若く見えるんです…
小顔シャンプー法、早く知りたい~~
当日は、うちの松原店長も愛用している
素晴らしいビューティー・グッズの販売もあります。
たぶん…!
 
☆ケアウォーター(アトピーが治る人もいる。美のお水)
http://www.kenkosha.jp/shouhin/carewater.htm
☆マザーアースのシアバター(これなしでは生きられないくらい良いです)
http://www.mother-earth-site.com/index.html
 
2012年は女子力アゲアゲでいきましょう!
皆さまのご参加、お待ちしています☆
 
 
 坂下文夫 プロフィール
 昭和31年5月17日 福島県会津若松市生まれ。
 川崎市にて美容室2店舗とセレクトショップ、総合商社経営。
 海外や日本国内各地の理美容学校・理容室にてセミナー及び
 経営コンサルティングを実施。
 マイナスイオンドライヤーブームを創り、
 独自の観点から製品開発にも携わり常に業界をリードし活躍中。
 *沖縄大好き人間・・過去170回以上沖縄に来ています!!
 

NAKAI

rat and sheep

 

県産やぎと豚のあいびき肉を使用した、その名も「ピンザハンバーグ」。ピンザとは宮古島の方言でやぎのこと。オープン当初からある看板メニューだ。

 

「やぎ汁」や「やぎ刺し」といった一般的なやぎ肉のメニューは、その独特な臭みからうちなーんちゅの間でも好みが分かれるが、ピンザハンバーグで初めてやぎを食した人は、やぎ肉の大きな特長の一つが臭みであるとは思いもよらないだろう。

 

じゅわっとしたたる肉汁にも、弾力のある肉にも、臭みはまったくと言っていいほど感じられない。こりこりとした歯応えも絶妙で、奥深い旨味はやはり一般的なハンバーグとは一線を画している。

 

「フライパンで焼きながらこまめに肉汁を取り除くことで、だいぶ臭みが消えるんです。また、やぎ肉の皮もミンチにしているのでほどよい歯応えとコクが出ます。ピンザハンバーグを定番メニューにしたのは、当店ならではの特色あるメニューを、と思ったのが理由の一つ」

 

オーナーの平良淳さんは、もう一つの理由を次のように語る。

 

「沖縄では昔からやぎを食す文化があって、自宅で飼っているところも少なくない。うちの祖父も飼っていました。雑草だけでも十分育つことから貧しい時代にも飼いやすかったようです。家の完成祝いにヒージャー汁をふるまったりと昔はうちなんちゅの生活に密着した食べ物でしたが、今の若いひとたちの間ではやぎ離れが進んでいますよね。その原因の一つはアレンジが限られていることじゃないかと思ったんです。そこで、ヒージャー汁ややぎ刺しだけでなく、どうにか洋風にアレンジできないかな?と考えました」

 

最初はラムチョップの要領で焼くことも考えたが、県産やぎは痩せている上に脂身が多く、チョップには向かなかった。

 

「そこでハンバーグを思いついたんです。日本人にも馴染み深い洋食メニューなので、やぎ肉に興味のある観光客の方も試しやすい。このハンバーグが入り口になれたらと」

 

rat and sheep

 

平良さんは自身の肩書きをたずねられることが多い。

 

「本職は飲食店? それともカメラ?」

 

rat & sheepのオーナーとして、また写真家としても忙しく過ごす平良さんだが、学生時代にはそのどちらも人生の選択肢としては浮かんでいなかった。

 

「中学、高校ではサッカーに夢中だったのですが、体をいためて続けられなくなったんです。最初は悩みましたがうまい人は他にも沢山いる、他の道を探そうと、高校卒業後は大阪外国語大学のモンゴル語科に進みました。語学の中でもメジャーではなく、いったいどんな言葉がイメージがつかない言語が良くて」

 

一人暮らしをきっかけに自炊するようになり、それまでしたことのない料理の楽しさを知った平良さんは、在学中、様々な飲食店でアルバイトを経験した。

 

「特に料理が自分に向いているとは思いませんでしたが、楽しかったんです。目の前に食材があって、それが人の手を経て変わっていくというプロセスが好き。同じ食材でもさまざまな料理に変身するでしょう? 例えばトマトがトマトソースになったりカプレーゼになったり、中華なら炒め物になったり、和食だとまた別のものに。人の創造性によってさまざまなメニューに変わるところが興味深いと感じたんです。だってトマトをただ摂取しようとするならそのままかじればいいだけの話。それをこんなに多様に変化させて、しかも飲食店ともなると自分だけじゃなく人に味わってもらって喜ぶ世界ですから、これは面白いなぁと」

 

rat and sheep
もちっとした食感がクセになる手づくりのパンも人気

 

ラーメン屋から始まり、イタリアンレストラン、フレンチレストラン、寿司屋、日本料理店、うどん屋と、ジャンルを問わず色々な店でアルバイトを経験したが、その時もこれを生業としようとは考えていなかったと言う。

 

「料理人を目指していたわけじゃなかったんです。ただ、色んな国の人たちが考え出した料理を知りたい、食べてみたい、それだけ」

 

それにしても、高校まで料理をしたことがなかったという平良さんが、大学進学後すぐに飲食店で働き出したというのは少し不思議な気もする。妻の真寿美さんがその種明かしをしてくれた。

 

「主人の母は本当に料理上手な人。ずっと働いているのにいつもマメに料理をしていたみたいで。だから、主人は幼いころからきちんとしたものを食べて育ってるんだと思うんです」

 

母親の手づくりの味が、平良さんの舌を育てていたのだ。

 

rat and sheep

 

rat and sheep

 

大学時代、平良さんは友人に誘われて入部した写真部で写真の世界にであった。

 

「それまではずっとサッカー一辺倒の生活でしたし、写真に特に興味があったわけではありませんが、先輩方や友人たちに色々と教えてもらい、その楽しさを知りました。当時はまだデジタルカメラが出始めの頃。アナログ写真の暗室作業なんかも面白かったですね。カメラ片手に知らない街をぶらぶらしながら、写真を撮り歩くことも多かった。沖縄から出てきて、まだそれほど友だちもおらず、街は大きくて知らないことだらけでしたが、写真を撮っているとだんだん街が見えてくるし友だちも増えました」

 

卒業後は写真で食べていければと、大阪に残って雑誌カメラマンや新聞社の募集に応募したりつてをあたってみたりしたものの、採用まで到ることはなかった。

 

「需要の多い東京に出ようかとも考えましたが、ふと気づいたんです。自分は写真の仕事をしたいわけではなく、自分の写真を撮りたいだけなんだなって」

 

平良さんは帰郷を決意。大学進学時は狭い沖縄から出て広い世界を見たいと思っていたが、自分の足もとを見つめ直す必要があると感じたと言う。

 

rat and sheep
島野菜のグリーンカレー。「週変わりのメニューだったのですが、好評だったので変えずにやってます(笑)」

 

「沖縄に戻ってからはとりあえず働かなければと、沖縄市にオープンするレストランの店長募集の広告に応募しました。結局7年ほどそこでお世話になったのですが、20代後半から30代にかけての働き盛りの時期だったので、体力も十分あったし、懸命に働きました」

 

辞める前の二年間は那覇店の店長も兼任し、多忙を極めていた平良さん。当時、妻の真寿美さんは那覇店のホールスタッフとして共に働いていた。

 

「あまりに忙しくて、店長だった彼がどんどん痩せていくんですよ。ガリガリの店長が愚痴一つ言わずみんなの倍働いていました。そんな姿をいつも目にしていたので、お店の雰囲気も変わり、スタッフも団結したように感じました」

 

と真寿美さん。

 

「そういえば、お客様から『あんた、食べ物屋ーなのにこんなに痩せて。これ食べなさい』と差し入れを頂いたこともありましたね(笑)」

 

と平良さん。

 

rat & sheep の厨房に立つ平良さんの姿を見ていると、店長時代の働きぶりを彷彿とさせ、二人の話もさもありなんと納得できる。平良さんは激しく燃えるような情熱を感じさせるタイプの料理人ではないが、食材に対しても客に対しても実直なことがひしひしと伝わってくる。どんな些細なことにも手を抜かない、抜けない人なのだろうなと思う。

 

 

2007年、レストランで働きながら友人とともにLPという写真雑誌を発刊したことをきっかけに、写真家としての仕事が徐々に忙しさを増してきた。

 

「レストランに勤めながらだと自分で時間を決められないし、写真をやりたいという強い気持ちもあったので、このままだとどっちつかずになってしまうなと感じました。でも、写真だけで生計を立てるのは難しかったので、自分の場所を作ろうと考えたんです」

 

rat and sheep

 

ごはんはみんなが必ず毎日食べなければいけないもの。自分の料理をふるまう店を持ち、そこで色々な人と交流できたら。そう考えた平良さんは店長として勤めていたレストランを辞め、浦添市にrat & sheep をオープンさせた。

 

「洋食をメインにすることは決めていました。あとは、お客さんと話しやすいカウンター席を中心とした店にすること、夫婦二人でできる規模にすること、内装やメニュー等できるだけシンプルにすること」

 

また、「週に一回は来て頂けるように」と、価格もおさえていると言う。

 

rat and sheep
オレンジ色のアイスクリームは自家製のバニラ。「卵の黄身が多い部分はオレンジ色に、そうでない部分はもっと薄い色にとムラがでるのですが、それも手づくりならではだと思っています」

 

rat & sheep のメニューは、ピンザハンバーグをはじめとして、島野菜のグリーンカレーや山原若鶏のグリルといったように、県産品をメイン食材にしたものが中心だ。

 

「昔から沖縄で食べられているものを再確認したいと思っているんです。沖縄的な調理法にしばられず、洋風にアレンジすることで新たな魅力を発見できることもありますし、間口が広がればいいなと」

 

沖縄の食材をつかったうちなー料理がおいしいことは言わずもがな。しかし、どんな食材にも無限の可能性がある。様々なジャンルの飲食店で経験を積み、各国の味を学んだ平良さんだからこそ、島の食材という制約にとらわれることなく、自由で楽しい発想で私たちの舌を楽しませてくれる。

 

また味付けがこの上なくシンプルであることも、平良さんの料理の特筆すべき特長だ。

 

rat and sheep

 

キッチンに置かれている調味料は、塩と酒のみ。

 

「母はうちなんちゅですが味付けはいつも薄めだったし、大学時代を過ごした大阪も関西なので薄味。味が濃いとどうしても食べ飽きてしまうし、できるだけシンプルにしたいと思っています。

 

また、洋食にはソースがつきものですが、僕が作る料理はソースに頼らないものが多い。なるべく他のものを足さずに素材の旨味を引き出すよう心がけています。足していくのではなく、逆に引いていくような感じですね」

 

言われてみれば確かに、洋食屋のハンバーグであれば普通ソースがかかっているものだろう。しかし、平良さんのハンバーグを食べるとき、食べたあと、違和感を感じないどころかソースがかかっていないということに気づきさえしなかった。それは、素材の味を最低限の調味料で巧みに引き出しているから。

 

rat and sheep

 

「今後は自家菜園ができたらなと思っています、自宅の庭を利用して。まずは簡単な野菜から始めて、季節ごとで違う種類を少しずつ植えていって…。

 

あとは、イートインだけでなく、加工品の開発、販売もできたらいいですね。生産、加工、消費の各過程がそれぞれ有機的に循環するようになればいいなーと思うんです。そうすれば、本土の方にもピンザハンバーグを召し上がって頂けますから」

 

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rat and sheep

 

平良さんが食材に向かう姿を見られるのは、カウンター席の大きな特権のひとつ。食材を切る、ピザ生地をのばす、ハンバーグを成型する、カレーを盛る…動作のひとつひとつがどれも丁寧に、心を込めて行われるので、見ているとなんだか心地よくて、飽きることなくいつまでも眺めていられる。

 

例えば、20代の若いカップルが多そうだなとか、大人の女性向けだなとか、店にはそれぞれターゲットとなる年齢層がある程度決まっていることが多いが、rat & sheep の空間に身を置いていると、不思議なほどそういう固定層が浮かばない。実際、子どもを連れた30代の女性、若いカップル、落ち着いた夫婦、大人の男性、70代の常連客もいると言う。

 

老若男女、あらゆる世代に好まれる、新しい「沖縄料理」がここにある。

 

写真・文 中井 雅代

 

rat and sheep
rat & sheep
浦添市港川2丁目13-9  
tel/fax098-963-6488      
open 17:00~24:00     
close 日、祝日の月曜

 

ブログ http://ratandsheep.ti-da.net