NAKAI

丸親建設
 
「健康は家から守られると私たちは考えています。
現在の沖縄ではRC造(=鉄筋コンクリート造)住宅が主流で、その中で育って来たひとがほとんどですから、木造が良いと言葉を尽くしても簡単にはご納得いただけないかもしれません。
 
日本の大学でRC造と木造、それぞれのケージにマウスを放った実験が行われたのですが、その生存率に大きな差が出ました。
古来、生物は木と共存してきましたし、木そのものが生きている。一方、コンクリートは人工の物質で無機質、生物にとってはどうしても不自然な住環境になってしまうため、ストレスの受け方がまったく違うんです。
 
沖縄で生まれ育ったお客様にも木造住宅の良さを体感してもらうため、モデルハウスを建ました。くらしを実体験していただくため、宿泊もできるようにしています。木造住宅の住み心地を体感してもらうには、そこで実際にご飯を食べたり眠ったりしてもらうのがいちばんじゃな
いかと考えたんです」
 
丸親建設
「まず、空気のクリーンさを感じると思います。また、蓄熱傾向が強いコンクリートと違って室内が涼しい。外壁が熱を持たないのでクーラーの効きも違います。実際に木造住宅を建てられてからはクーラー自体使っていないというお客様も」
 
丸親建設
一泊大人2,000円、小学生以上1,000円で宿泊体験が可能
 
丸親建設の新垣正明さんは、木造住宅の利点を一度話し始めると止まらなくなる。
以前は多くの建設会社同様、RC造住宅を主に建築していた新垣さんが木造住宅をつくり始めたきっかけは、意外にも「作り手である職人の利益確保」のためだった。
 
「現在の沖縄の住宅はRC造が主流ですが、昔は赤瓦の木造住宅がほとんどでした。
アメリカ統治を境に変わったと言われており、RC造は台風にも強いなど、うちなーんちゅにはありがたい利点も備わっています。
 
しかし、RC造は木造と比べるとどうしてもコストがかかってしまう。使用する資材が高いのです。
私たちは建築屋ですから、最初は設計事務所から発注を受けていました。しかし、RC造に特化した建築屋ばかりなので適正価格が守られにくくなってきたのです。特にバブル後のダメージは大きかったですね。
 
設計事務所は複数の工務店に見積もりを出し、だいたい7〜8社の中から選ぶことが多いのですが、どの工務店も競って値段を下げてくるのです。そうなると、どうやってコストを下げるかが問題になってくる。そこで職人の工賃を下げてしまうと、職人が職人じゃなくなってくるんです。それはなんとしてでも避けたいと感じていました。そこで、設計事務所から仕事を請け負うという流れをやめて設計士を雇い、RC造だけでなく木造住宅の建築も始めました」
 
FFC 丸親建設
 
また、コスト削減のために、安価な資材ばかりを選択していた流れにも終止符を打った。
 
「資材というのはどんなものであっても、A品〜D品というようにそのクオリティはピンからキリまであるんです。値段もA品なら一つ二万円だけどD品なら七千円という風にまったく違う。
しかし、安いからという理由だけでいつも資材を選んでいると、それは最終的に施主のためにならない選択になってしまいます。値段が安く済んだからといって、必ずしも施主が得をするわけではないのです。そういう家づくりはしたくないといつも感じていました」
 
「健康は家から」という新垣さんの言葉にも通じるように、良い家を建てることは健康なからだづくりにも似ている。値段だけで判断してからだにとってよくない成分を多分に含んだ安価な食品ばかりを摂取していると、そのつけはいつか自分が払うことになる。すべての資材を高級仕様でそろえなければならないというわけではないが、肝となる部分で出費を惜しみ、脆弱な我が家を手に入れようという人はいないはずだ。 
 
「家の善し悪しというのは十年経ったくらいからしか判別できないんです。そのころになると技術がきっちり入っているかどうかが徐々にわかってきます。
私たちは設計も施工も自社でおこなっているので、お客様に寄り添って最初から最後まで責任をもって家づくりに携われます」
 
職人のモチベーションを維持するための努力も忘れない。
 
「美しく仕上げ、長持ちさせること。これが職人の仕事です。でも予算のない工事ばかりさせられていると、職人の意識がどうしても下がってきてしまう。釘一つとっても、ステンレスやめて鉄製に…というように、下へ下へと流れていってしまう。そうなると職人じゃなくなってしまうんです。同じ意識でいられるメンバーでいつも仕事にあたっていますし、意識が低下しないように良いモノを作るという目的を見失わないようにしています」
 
FFC 丸親建設
 
木造住宅の良さを知る新垣さんだが、建築実績の6〜7割ほどは鉄筋住宅だと言う。
 
「高温多湿な沖縄の気候には本来木造建築の方が合うと思うんです。実際、戦前の住宅のほとんどは木造。通気性も良く、風土の特質に合った家を建てていました。
沖縄で木造住宅を選ばない人の多くは、その理由を『台風』に言及します。
しかし、今では工法が進化し、構造材や集成材も多様化しており、木造でも強度は十分あります。また、台風時の強風を受けたとき、木造住宅だと木がしなるのでインパクトを分散させる効果もあります。

木造住宅が避けられないのは音の漏れです。コンクリートに比べると気密性が弱いからです。しかし、逆に捉えるとそれは通気性が良いというメリットにもなります。空気が行き来するのでカビにも強い。鉄は気密性が高いため、外からの音だけでなく空気も遮断します。近年は『高断熱、高気密』をうたった住宅が多いのはそのため。家の外と内を完全に別の空気にしてしまうので、外の影響は受けないけれど、魔法瓶の中で生活しているような感じになります。
エアコンを頻繁に稼働させないと、壁内結露が出てカビも発生しやすくなります。
外の空気を中に取り入れて循環させながら生活する木造住宅の良さは一度体感してもらいたいですね」
 
また、丸親建設では室内の壁、床、天井で使われる木材にすべてFFC加工という技術を施している。
 
「FFC(=水溶性二量体鉄塩)を建材の組織内に浸透させることで、からだにとって有害な化学物質を分解除去します。実際にお住まいの方からは、鼻炎が治った、アトピーが改善したなどの嬉しい報告も。加工費用は40坪あたり20万円ほどと安価なのも魅力です」
 
丸親建設
 
丸親建設
 
FFC 丸親建設
 
FFC 丸親建設
 
FFC 丸親建設
 
沖縄では「木造はシロアリが心配」という声もよく聞かれる。
 
「RC造だからといってシロアリの害と縁がないわけではありません。シロアリはコンクリートのちょっとした継ぎ目やひびからも簡単に侵入してきますし、実際沖縄でも多くのRC造住宅のシロアリ被害が報告されています。
床下を高くしたり、一階部分のみRC造にするなど、構造面からの対策もできますし、室内の木材には化学物質を使わないよう心がけていますが、土台にはしっかりと防虫処理を施します」
 
実際、木造と家度毎年訪れる台風にびくともしない赤瓦の古民家はいくつもある。
その理由は人がもぐり込めるほどの高さのある床下。湿度や温度が一定に保たれた場所にしか生息できないシロアリにとって、通気性がよく外敵にも見つかりやすい床下は決して居心地のいい場所ではないのだ。
逆に、コンクリートで覆われた気密性の高い床下は、一度入り込めば格好のすみかとなる。
 
「木造がシロアリのエサになりやすいという点は否めません。しかし、そのデメリットを補って余りあるメリットがあると思っています」 
 
FFC 丸親建設
事務所に併設された「nokoto cafe」では、添加物等を使用しないカフェメニューが人気。店内には様々な材質や色合いの木材が使われ、家づくりに興味を持つ人も多数訪れる
 
FFC 丸親建設
「他社で建築中の方も多くいらっしゃいますよ(笑)。実際の木材を見て触れられるので、多くの方にご利用頂きたいですね」
 
FFC 丸親建設
 
「RC造の良さもありますし、木造のデメリットもあります。どちらを優先するか、どちらがより魅力的かはお客様によって違いますし、ご自身にご判断いただいています。
ですがどちらを建てるにしても、家づくりは何でも話せる人たちととことんやってほしいと思っています。
家づくりは普通の買物感覚ではできませんよね。お客様にも色々とご説明した上で深く知っていただく必要があります。
 
値段を重視したローコスト住宅もいいでしょう。実際私たちも『この値段の範囲でできませんか』と頼られると俄然燃えます(笑)。ただ、言われるがままの業者であってはいけないと思うんです。住むひとのことをしっかり考えて、ただコストを抑えるだけではない、こういう作り方をすれば安全に予算を下げられますよと提案できる会社でありたいと思っています」
 
家づくりに関わってもらうために、建築中であっても施主に鍵を預けているという。完成した家に対する満足度はいずれも高い。
 
「みなさん建築中のご自宅をこまめに見にいらっしゃるので、仕上がってから『なんでこんな風になったの?』ということがないんです。気になることがあればその場で指摘できますし、10年以上同じ業者・職人とともに工事に当たっていますから、施工側であるこちらのやりとりもスムーズです。
家づくりは財産づくり、失敗してほしくないからお客様にも色々知ってほしい。私たちもそのためにこれからも努力を続けます」
 

写真・文 中井 雅代

 
FFC 丸親建設
有限会社 丸親建設
那覇市小録1-17-23
TEL 098-858-4848
FAX 098-858-6121
HP http://www.marushin4848.com

 

NAKAI

大きな魚をつかまえよう
四月社 ¥1,890/OMAR BOOKS
 
―「ひらめき」の種明かし―
  
 この人の頭の中は一体どうなっているんだろう?
とんでもない作品を見たり、聞いたりしたときそんな疑問が湧く。
小説然り、音楽然り。そして映画でもまたそんな出会いがある。
 
映画ファンなら知らない人はいない、デヴィッド・リンチ。
代表作は『エレファントマン』『ブルーベルベット』『ツインピークス』(こちらはテレビドラマ)『マルホランド・ドライブ』他多数、とあまり映画は見ないという人でもどれか一つは聞いたことがあるはず。
これらの作品が世に衝撃を与え、特にその後のアート全般に及ぼした影響は大きい。
  
とにかく不可思議な、独特な世界に見る人を引きずり込むのがリンチ作品の魅力。
見るたびにほんと驚かされる。映画監督としては敬意を表するけれど、個人的にはあまり近づきたくないタイプかもしれない。
そう思っていたら、この本を読んでがらりと彼に対する印象が変わってしまった。
  
今回ご紹介する『大きな魚をつかまえよう』ではこれまで彼がどうやって作品を作ってきたか、が種明かしのように語られる。
生みの苦しみがあるのは当然で、その手助けになったのが、TM(トランセンデンタル・メディテーション)という瞑想方法だという。
 
瞑想、というとつい敬遠しがちな人も多いけれど、宗教ではなく、技術として広く知られているTM(トランセンデンタル・メディテーション)という瞑想を生活に取り入れることが、彼自身に良い作用を与えたのは事実。
そこで彼がその経験で得たのは、アイディア(ひらめき)は魚のようなもの。以下、引用。 
 
―小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。でも大きな魚をつかまえるには、深く潜らなければならない。
  
アイディアは実は自分の中にあってそれをうまくつかまえるコツみたいなものがいる。
それをシンプルな文章で、自身の映画の裏側を例に出しながら説明してくれる。
 
アクシデントの効用(トラブルの回避方法など)についてでは、考え方次第でそれが最大の結果を生むということを教えてくれる。
 
またストレスフルなことの多い日々の生活。セルフ・ケアにも役立つとリンチさんは太鼓判を押す。子どもの教育にもいいとして財団を設立するほど。
 
それはそれとして、カラフルな付箋紙(ポストイット)が並んでいるような本の装丁にも惹かれたのもこの本を手にした理由の一つ。表紙カバーをめくるとまたかっこいいのです。
 
「明かりを点ければ闇も消える。」
 
今何かに煮詰まっている人、この本を読んでみることをお勧めします。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

沖縄料理教室 冬瓜
 
うちは家族みんな冬瓜が大好きなのよ。
このおつゆは冬瓜と豚肉があればできるし、手順も簡単。
子どもたちも好きでよく食べるよ。
すぐなくなるから沢山作るんだけど、今日は一家族ぶんくらいにしようね。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
豚肉は食べやすい大きさに切って。
うちの場合は一口カツと同じくらいの大きさかな。あまり小さく切らないんだけど、好みの大きさでいいよ。適当でいいの。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
かつお節でだしをとります。
だしが出るのを待つ間に冬瓜を切ろうね。 
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜って大きいけど、おいしいし、色んな料理に使えるからすぐなくなるのよね。
昔は義父が畑で作っていたのよ。だからすぐ手に入ってよかったけどね〜。今はスーパーに買いに行ってるさ。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜の種はこんなふうに、リンゴの種を取るような要領で取り除いて。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜も大きめで大丈夫よ。
うちの義母は煮る前に塩をふっていたけどね、しんなりさせるために。
今は減塩、減塩と言うでしょう。だからふってないよ。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
一煮立ちしたらかつお節をとってね。
使う水の量もあとから調整できるから適当でいいよ。シブイからも水が出てかさが増すしね。 
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
先にお肉だけ入れます。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
やわらかくなるまでふたをして炊くよ。10分くらいかねぇ。
 
このおつゆはお嫁に来てから義母に習ったの。
だから子どもたちが小さい時からよく作っているよ。
甥や姪たちが遊びに来たときにも出したことがあるんだけど、家に帰ってから
「なんか、お肉が入ったお味噌汁が出たよ、おいしかった」
とお母さんに報告しよったって。
嬉しいね〜。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
肉から出るアクはとってね。
しばらくしたら箸を刺してかたさを確かめて。やわらかくなっていたら冬瓜を入れます。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
冬瓜は火が通ったら透き通ってくるから、それくらいまで炊くよ。
またふたをして、さらに10分〜15分くらいかな。
沖縄料理は煮込むものが多いから、結構時間かかるね。でも、普段はその間にもう一品作れるからそんなに手間とは感じないよね。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
彩りのためにチリビラー(ニラ)を入れようね。
私、ニラも大好きなのよ、チャンプルーでもなんにでも入れる。
お肉がないときはシブイとチリビラーだけの簡単なみそ汁を作ることもあるよ。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
シブイに火が通ってきたら、ちょっと味をみてね。
物足りないときは少しだけだしの素を入れてもいいよ。
でも、かつお節とお肉から良いだしが出てるからね、何も入れなくても大丈夫。
これくらい透き通ってきたらオッケー。
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
味噌を入れて…
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
チリビラーを入れたら、ふたをして火をとめてしばらく置いておくの。
冷める時に素材に味がしみるからね、できたてよりしばらくしてから食べたほうがおいしいのよ。 
 
沖縄料理教室 冬瓜
 
私は豚で作るけど、牛肉でもいいと思うよ。
彩りに使う野菜もあるものでいいの。
冬瓜がなくなる季節まで、うちの食卓にはよく登場する人気の一品だよ。
食材は豚肉と冬瓜、調味料はかつお節と味噌さえあればできるからぜひつくってみてね〜、簡単よ〜。

 

NAKAI

デンジャラス・ラン
 
かっこいい!!!
 
ものすごくスリリングな映画です。
 
しかも最後のほうは、涙 ホロリですよ~。大体、日本で公開されるまで待ちくたびれちゃったよ。
 
キャストが最高だし、アメリカでの評判が高かったので、今か今かと待っていて、やっと本日公開。
 
いや~、レベル高いです。
 
こう、誰も信用できない感じがよい。
 
 
デンゼルさすがに老けましたが、うまい!!!もう、うますぎる。
 
デンジャラス・ラン
 
デンジャラス・ラン
 
この監督、ダニエル・エスピノーサ。私、全然知らないんだけど、スウェーデン人なんだね。
最近、スウェーデンの監督、熱いよね。
 
すごい。
 
南アフリカが舞台なんだけど、色が、南アの感じなのよ(いったことないけど)。
 
なんだろうなあ。
 
デンゼルの圧倒的な演技は、少々悪いほうが光る。
画面を通しても、威圧感を感じるんだよね。
 
眼光がすごい。
 
この映画、みんな目だけで伝わるような演出なのか演技力なのか、目のアップが多いのか、語らずともな感じ。
 
デンジャラス・ラン
 
それでも、ドキドキする緊迫感は半端ない。
 
ライアン、、、、、素敵なんだよね。
 
アクションしてても、子犬のような表情。
 
デンジャラス・ラン
 
デンジャラス・ラン
 
デンジャラス・ラン
 
たまりませんなあ。
 
彼の苦悩も繊細に描かれていて、文句なし。
 
だんだん二人の間に絆のようなものも生まれるんだけど、お話が嘘っぽくなく、リアルに感じられるのも魅力な映画です。
 
デンジャラス・ラン
 
カーチェイスは、また恐ろしいほどの車のぶっ壊れ方です。
私、ちょっと交通事故はトラウマがあるので、怖いんだけど、この映画は大丈夫でした。
 
ムチウチにならないのか??と心配にはなりました。
 
アクション好きにはおすすめです。是非!劇場で。

KEE

 

 
<キャスト>
デンゼル・ワシントン
ライアン・レイノルズ
ヴェラ・ファーミガ

 
<ストーリー>
CIAの新米職員マット・ウェストンは隠れ家の管理という閑職に辟易していた。ある日、思いがけなく隠れ家に大物犯罪者が護送されてきた。
その男の名はトビン・フロスト。元CIAの超エリート諜報員にして、今は国家機密を密売する危険人物として世界中から指名手配を受けていた。
そんな時、隠れ家が武装した男たちに襲撃される。命からがらマットはフロストを連れ出すが……。
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
サザンプレックス
098-835-6600
島尻郡南風原町字宮城371-1
HP:http://www.startheaters.jp/southernplex
 

NAKAI

WRENCH
 
「高校2年くらいにはもう、自分の中で進路が決まってたんです。『店をデザインする人になりたい』って」

インテリア・プロダクトデザイナーの徳嶺さんは、石垣島で育った学生時代インテリア雑誌を読みあさり、その美しさに夢中になった。
 
「当時はミッドセンチュリーが流行っていて、イームズのチェアーなどが取りざたされていました。
そういう本ばかり読んでいたので、建築の知識はなかったけれど、家具の知識はこの時期にある程度身に付いていたとおもいます」
 
高校卒業後、専門学校の建築科インテリアコースに進学したが、建築家になりたいと思ったことはなかったと言う。
 
「職人の仕事に興味があったんです。ものづくりに携わりたいという想いが強かったんですね」
 
専門学校を卒業後は日本でも有数の家具の生産地、福岡県大川市の「丹創社」に就職した。
 
「木工職人や家具職人になりたいなと思っていたんです。木工の工場もあるのでそこに就職を決めたのですが、1年目から東京勤務になって(笑)。内装を管理する現場監督の仕事に携わることになりました。」
 
希望とは異なる部署で勤務することになったにも関わらず、徳嶺さんはくさらなかった。自分のやりたいことから遠く離れてはいないと感じたからだ。
 
「空間をデザインしたいという想いはいつも根底にありましたし、家具もその空間に含まれる要素の一つ。トータルバランスが重要なので、箱を知らないと良い家具もできないと思ったんです。だから監督という仕事をやりたくないとは思いませんでしたし、むしろ良い経験になると思いました。
それから5年間、現場監督として勤務しましたが、最初のうちは先輩から何を教わっても右から左に流れるような感じで何もわからない状態でした。それが3年目くらいから色々とわかってきて。とても楽しかったし、有意義な時間を過ごせたと感じています。
5年間というと長い期間ですが、迷いはなかったですね。道を逸れているという感じがしなかったんです。これ以外の仕事に就くことは想像できませんでしたし」
 
WRENCH
 
WRENCH
 
その後、徳嶺さんは会社を辞めて沖縄に戻り、那覇市のデザイン事務所に就職した。
 
「監督をしていた時にも図面上ではデザインにふれていたので、自分でもできるという意識はありました」
 
居酒屋や美容室といった店舗施設のデザインに携わったが、当時をふりかえると思うところがあるという。
 
「その時はもちろん最善を尽くしてデザインしてたのですが、今思うとお客様の想いより、時代やはやりを意識しすぎていたようにも思います。東京の雑誌に影響を受けてつくったり…。でも、そんな雑誌の中のデザインへの愛着や想いは、僕の中にもお客様の中にもないんですよね。
お客様が心から求めているデザインで、本当に良いものであれば、はやりすたりは関係ないはずなんです。そこにはちゃんと愛着が残りますから」
 
3年後、徳嶺さんはMIX-life style の設計室に就職した。
そこでも多くの出会いがあり、新たな価値観も生まれたと言う。
 
WRENCH
 
「プラスしていくのではなく、けずるデザインを意識するようになりました。
例えば、土間に床の材料をはるのは当たり前だと思われがちですが、コンクリートそのままでも良いと思うんです。壁もブロックむき出しだって良い。天井もそう。
その人にとって余計なものって絶対あると思うんですよ。
手をかけるところにはしっかりとかける、でもかけなくてもいいところからは引き算する。そういうメリハリをはっきりとつけることで生まれる空間の魅力を学びました」
 
店舗デザインをする上で、主人公として据える人物にも変化が生まれた。
 
「それまではどうしても買い物に来るお客様のことを中心に考えてデザインしていたんです。スタッフはあくまでも販売する側、というふうに捉えていました。
でも、店ですごす時間が最も長いのはオーナーやスタッフですよね。ですから、彼らを真ん中に据えてデザインすることを心がけるようになりました。働く人が過ごしやすく、居心地良い空間であれば、お客様にとってもそうなるはずだ、と考えるようになったんです」
 
来店する客の趣味・嗜好は千差万別だ。しかし一度店に足を運んだ人で、その後もリピーターとなって二度三度と来店する人は、店のコンセプトや店主の趣味などに少なからずシンパシーを感じ、「自分の好みと合う」「ここにいるとなんだか落ち着く」などと感じた人に限られるだろう。施主の想いを追求することで、施主だけでなく常連となるであろうひとびとにとっても居心地のいい空間が作れるのだということに徳嶺さんは気づいた。
 
2011年7月、徳嶺さんは独立し、那覇市泊に事務所を構えた。

 
WRENCH 
 
WRENCH
 
徳嶺さんは空間をデザインする際、コンセプトを定めるまでのステップを重視している。
 
「殆どの方がご依頼時に大まかなイメージは持っていらっしゃいます。そこでさらにつっこんでうかがい、お客様の伝えたいことを引き出します。お客様によっては『特になにもない、おまかせします』という方もいらっしゃいますが、そういう方にも必ずご希望はありますから、そこを聞き出すんです。特にお店をやりたいという人はかならずその人ならではの『アク』があります。聴いてきた音楽や観てきた映画など、お客様の背景を伺って細かな情報から分析していくんです。
コンセプトの設定にはそれだけ長い時間をかける価値があると僕は思っています。ここさえしっかり固まれば、そのあとはわりとスムーズに進みます。
僕とお客様との間にコンセプトというルールが設定されれば、そのルールからあまり外れることがないよう注意して、デザインの方向性をしぼりこめるようになるからです」
 
コンセプトが決定し、設計図が完成していざ工事が始まっても、徳嶺さんの仕事は終わりではない。デザインした空間の現場監督は、かならず自身でおこなうのが徳嶺さんのこだわりのひとつだからだ。
 
WRENCH
 
WRENCH
一軒家や集合住宅のリノベーションの依頼も多い
 
「実は、効率の観点からみるとあまりいいこだわりとは言えないのです。一人で兼務するとどうしても効率が落ちますから。
でも、お客様にとっては利点が多いと思います。デザインした本人が工事に関わることで、細かい点までおざなりにせず、しっかりこだわることができますし、職人のかたに直接直しを依頼することもできる。
また、お客様と一緒に現場をみながら『ここをこういう風に直して欲しい』というご要望があれば、その場で図面を書き直すこともできます。
デザインしてそれで終わり、というのがどうしてもできない性分なんです。最後までしっかり携わりたい」
 
しかしそれは、ひとりですべてを完成させたいという意味ではない。
 
「逆に、いろんな人たちが一緒になって一つのものをつくりあげることに興味があるんです」
 
と徳嶺さんは語る。
 
WRENCH
 
WRENCH
 
「木工職人、鉄職人、工務店、植物のプロ…。周りには様々な分野の第一線で活躍なさっているひとがいるので、そういう方々とジョイントして仕事をしたいと考えています。
一人でやるとどうしても限界がある。アイディアだって一人よりも二人のほうが出てきます。
だからといって自社スタッフを増やすのではなく、別ジャンルの方と組んだ方がおもしろいと思うんです。
もちろん予算がありますから、みんなでつくれば予算もわけることになりますが、手取りが減ってもチームでいいものを作って次に繋がる方が僕は良い。その方がクオリティが高い空間ができると思うし、やってる僕らも楽しいと思うんです」
 
新都心のティールーム「8ism(ヤイズム:関連記事「こだわりの茶葉で淹れる家庭的な紅茶をアンティークな空間で」)」の店舗デザインに携わった際、メインとなるカウンターの製作は LITTAI metal works(リッタイ メタルワークス:関連記事「ステンレスという選択」) に依頼した。
 
「LITTAI の仲地さんにご相談し、普通の銅板ではなく独自の加工を加えようと、塩水や醤油など様々なものをかけて酸化させ、錆び方を検証するという実験を行いました。より錆びさせることで面白い雰囲気が出ると思ったんです。
その結果、一般的な亜鉛銅板とは違う、独特の質感を出すことができました」
 
店で使う椅子にはクッションを敷き、その上にレザーをかけようと考えたが、細部は LEQUIO(レキオ:関連記事「どこか崩れてて未完成。シンプルだけど遊びもあるモード服」)の嘉数さんに相談した。
 
「しっかり作りこんだカバーをかぶせるのではなく、切れっぱしのような状態で、自然にさらりとかけるほうがカッコ良くなるよ、などアドバイスしてもらいました。ボタンをつけて脱着式にするなど、僕が考えつかないようなアイディアを色々
出してくれました」
 
WRENCH
 
WRENCH
 
WRENCH
 
もともと職人になりたいと考えていた徳嶺さんは今、その想いに再度向き合っている。
 
「オリジナルの家具やプロダクトを製作しています。いずれは展示会もしたいですね。
『WRENCH』という社名も六角レンチに由来しているんです。家具を組み立てる時に最もよく使う工具ですね。
モノを作ることから離れたくないんです、いつもモノづくりのそばにいたい、携わっていたい。図面をひくだけというのは僕にとってはどうしても物足りないんです、だから現場にも出向きます。現場で実際に空間を作るのは職人さんですが、その近くにいたいので」
 
徳嶺さんの作る家具はとてもシンプルだ。
素材と素材を組み合わせただけ。そんないさぎよいシンプルさが心地よく、普段使ったり目にしている家具は、余計なものも盛りこまれていることが多いと気づかせてくれる。
 
「シンプルさを追求していくと、不必要なものが削られてていって、最終的に残るのは素材なんです。素材がよければ色をつける必要もありません」
 
今後は、プロダクトデザインの面でも他ジャンルで活躍する人々とともにとものづくりしていきたいと語る。
 
「木工職人は木材のプロ、鉄職人は鉄のプロ、そういうジャンルの違うプロが協力すればさらにクオリティの高いプロダクトができると思うんです。
そういうジョイントの組み合わせ次第では可能性は無限ですから、楽しみですね。
 
また、空間をトータルでデザインすることにもチャレンジしたいと考えています。カフェならその空間だけでなくメニュー、看板、制服…と、トータルでデザインしてみたい。
それも僕だけじゃなく、色んな人と一緒にできたらいいですね」
 
WRENCH
 

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WRENCH の事務所はもちろん徳嶺さんがデザインしたものだ。
床はコンクリートそのまま。むしろ、古い質感を出したくてスポンジで黒く汚したという。
シンクを照らすシンプルなライトも手製。
工事現場などで使われるライトをアレンジした。
テーブルはシンプルな板にアイアンの足をとりつけただけ。
 
「その人にとって無駄な部分というのは必ずある」
 
という言葉が印象的だった。
空間というのは公共施設でない限り、万人に必ずしも好まれる必要はない。
そこで働く人、住まう人、訪れる人。そういうある程度限られた人々が居心地がいいことが何より大事なのだ。
 
自分にとって居心地の良い空間とはどういう場所だろう?
そんなシンプルな問題に、初めて考えを巡らせた。
 
その問題を私たちとともにじっくりと突き詰め、そして空間づくりに最後まで携わってくれる。
デザイナーであると同時に、職人でもある徳嶺さんだからこそ。
 

文 中井雅代

 
WRENCH
WRENCH(レンチ)徳嶺吉紀
那覇市泊2-21-9 1F
TEL/FAX 098-943-4297
MAIL info@6wrench.com
HP http://6wrench.com
 
 

 

NAKAI

風景の匂い 島袋克史
 
島袋克史、約2年ぶりの個展。沖縄の自然の風景から感じた匂いをテーマに皿やカップなどの日常の食器をはじめ小壺やオブジェなどを展示販売する。
 
9月15日(土)〜9月23日(日)
■営業時間 :10:00 – 13:00 / 15:00 – 19:00 (13:00 – 15:00昼休み)
■入場無料
 
※作家在廊日15sat・16sun・23sun 

■会場 :GARB DOMINGO
■住所 :沖縄県那覇市壺屋1-6-3
■tel / fax :098-988-0244
■URL :http://www.garbdomingo.com

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作家プロフィール

島袋 克史  SHIMABUKURO Katsushi
1975年 6月 沖縄県生まれ
2001年 3月 沖縄県立芸術大学 大学院造形芸術研究科 生活造形専攻 陶磁器専修 修了
2006年 4月 〜2009年3月 沖縄県立芸術大学 工芸専攻 陶磁器コース 助手
2009年 7月 沖縄県宮城島にて工房設立
活動歴
1996年 9月 現代沖縄陶芸展 入選
1997年 3月 染,織,陶 7人展(東風平民族資料館)
1997年 9月 現代沖縄陶芸展 入選
2000年 9月 現代沖縄陶芸展 入選
2000年 10月 APPROACHー土によるそれぞれの表現ー5人展(壺屋焼物博物館)
2001年 2月 金沢・わん・OWN大賞2001(石川県) 入選
2001年 7月 2001世界工芸コンンペティション金沢(石川県)入選
2002年 9月 レインボー・2002若手作家交流展 (愛知県)(名古屋市民ギャラリー矢田)
2002年 12月 第二回 金津創作の森 酒の器展(福井県)入選
2003年 9月 ヤキモノチカラ展 (パレット久茂地、リウボウホール)
うつわ展 (パレット久茂地、美術サロン)
2004年 6月 アサヒ・アート・フェスティバル2004「沖縄工芸作家展」(東京・スパイスカフェ)
2004年 11月 ヤキモノチカラ展 (パレット久茂地、リウボウホール)
ヤキモノチカラ展  小品展(元麻布ギャラリー)
2005年 9月 ヤキモノチカラ展  (パレット久茂地・リウボウホール)
2006年 10月 沖縄県立芸術大学開学20周年記念 平和祈念公園 芸術祭(平和祈念公園)
2007年 12月 彫刻の五・七・五 (沖縄県立芸術大学附属芸術資料館)
2008年 6月 「陶三人展」(沖縄県立芸術大学附属芸術資料館)
8月 朝日陶芸展(愛知県)入選
2009年 8月 「手の掌」展(桃林堂 東京・表参道)
2010年 6月 個展 (GARB DOMINGO・沖縄)
7月 器展 (ARANCIA・沖縄)
8月 「手の掌」展 (桃林堂 東京・表参道)

NAKAI

琉球手まり
 
「針と綿糸さえあればいつでもどこでもできるんです。人にさしあげても喜ばれるし、何より丸い形がいいの、和むのね。コロコロとしたまりに針を刺していると夢中になって、そのうちイヤなことも忘れてしまう。色糸の組み合わせがきれいなので、気持ちも明るくなるんですよ。作る楽しみ、さしあげる喜びがあるので、次々と作り続けることができるのです」
 
琉球手まりは戦前、娘の十三祝いに親が手づくりしたことから「十三マーイ(=まり)」とも呼ばれる。
 
「『玉の輿にのれますように』『幸せな結婚生活をおくれますように』という願いを込め、ひと針ひと針心をこめて刺繍するのです」
 
琉球手まり保存会会長の宮城さんが琉球手まりと出会って40年近くが経とうとしている。
 
琉球手まり 宮城玲子
 
琉球手まり 宮城玲子
 
琉球手まり 宮城玲子
 
「私に教えてくださったのは当山美津様。
沖縄における完全看護の助産師第一号になられた方で、ご苦労なさりながら息子三人を立派な医師に育てられた賢母として知られていました。また、琉球人形(ウミナイビ)を考案なさった方でもあります。
美津様は首里工芸学校を卒業なさっていますが、手まりの作り方をいつ習われたのかははっきりしていないんです。娘さんは『おそらく工芸学校でじゃないかしら』と。
一からからすべて学校で学ばれたというより、ご自身で創作しながら築き上げた手法ではないかと思います。
 
戦後、当山美津様より習った主婦や戦争未亡人の方々が内職として作っていたそうです。
その華やかな美しさに惹かれた米軍の将校夫人たちが、本国へのお土産に買い求められたそうです。

主人の母のところにいらしていた美津様にお願いし、義母とともに私も一緒に教えていただくようになりました。もともと手芸は好きでしたし、楽しかったですね。
一週間に一度、半年ほど習いました」
 

 
琉球手まり 宮城玲子
 
琉球手まり 宮城玲子
 
琉球手まり 宮城玲子
琉球手まり 宮城玲子
 
その精緻な模様や細やかな作業を見ていると、学んだ期間がたった半年というのはとても不思議な気がするが、「そんなに難しいものではないんですよ」と笑う。
 
「作るのに時間はかかりますが、丁寧に刺せば誰でもできます。
美津様から教えていただいたあと、自分なりにあれこれ工夫して5~6年、今のスタイルにたどりつきました」
 
手まりを作るにはまず、その球体の表面に「地割り」と呼ばれる分割線を引く。
 
「模様のデザインによって4等分、6等分、8等分という風に引いていきます。
それから一定の法則に従って糸を刺していきます。
手まりは全国各地にあるのですが、作り方の基本はほぼ一緒。刺し方が似ている地域もあります。
琉球手まりの模様は幾何模様。明るくて鮮やかな色合いが特長で、紅型などで見る伝統的な色彩がよく合います。現在は25番の刺繍糸をリボンのように面にひろげて刺していきます」
 
琉球手まり 宮城玲子
 
琉球手まり 宮城玲子
 
作った手まりはバザーに出したりお土産にと贈ったりしていたが、それでも気づくと300個以上の手まりが家にたまっていた。
 
「娘達が『お母さん、ただ作っているだけではもったいないよ、みなさんに見ていただいたら?』と言ってくれて」
 
2008年に那覇で個展を開き、5日間で1000人以上が来場、そのうち教えてほしいという希望者は約100名にのぼった。
 
「それで『琉球手まり保存会』を発足しました。
当時は手まりの作り方を教える教室がなかったのですが、デザイナーの仲井間文子先生が声をかけてくださり、展示会から約半年後、新報カルチャーで教え始め、現在も続いています」
 
6ヶ月コースが修了してからも「もっと続けたい」という受講生の声に応え、那覇市の安木屋でも教室を開講した。
 
琉球手まり 宮城玲子
 
琉球手まり 宮城玲子
 
教室には、30代から80代までと幅広い世代の受講生が通う。
和やかな雰囲気で、おしゃべりをしてもとがめられることなどないのに、一様に手の中のまりに夢中になっている様子が印象的だ。
手順の確認やデザインの相談などを別にすると、みな黙々と手まりに針を刺している。
 
手まりを一つ手に取れば、受講生の気持ちがなんとなくわかる気がする。
木綿の肌触りが優しい。
手に収まりの良い丸いかたちに心が休まる。
一針刺すごとに、着実に完成へと近づいているという手応えを感じる。
「イヤなことも全部忘れてしまう」という宮城さんの言葉に納得する。
 
「趣味として楽しむには最適なんです。
面の取り方が同じでも、糸の色や刺し方を変えれば組み合わせは無限大。終わりがないから自分なりの創意工夫が楽しい。だからこそ、40年近く飽きることなく続けて来られたのだと思います。
 
あまりお金がかからないのも魅力の一つ。刺繍糸のセットは100円均一のお店で買えますし、手まりの中身はシュレッダーにかけた紙くずをまるめてビニール袋に入れ、毛糸と木綿糸で巻いたもの。
 
沖縄風俗史研究家の崎間麗進先生は『昔はえーきんちゅ(金持ち)の奥さんしかできない趣味だった』とおっしゃっていました。作るのに手間がかかりますから、時間に余裕のある人しかできなかったということでしょう。
でも、今は時代が変わり、忙しい人でもちょっとした時間を見つければ気軽にできる良い趣味だと思うんです。お休みの日、家でテレビを見てるばかりじゃなく、こうして手を動かしていると豊かな時間が送れます。
 
歳を重ねていくと特に、おうちでできる趣味があると人生楽しいと思うんです。ご年配の方だけでなく若い方にもおすすめです、心が落ち着くんですよ」
 
琉球手まり 宮城玲子
 
宮城さんが会長を務める琉球手まり保存会では、ウチナーンチュ大会や県人会の集いなどにも、会員が作った手まりを贈呈している。
 
「毎年4月に行われる平和祈念堂での『御清明(うしーみー)』にも奉納しています。
琉球手まりは祖母が母に、母が子に伝える平和のバトンでもあると思うの。手まりを通して平和の尊さを伝えたい。私はいつまで教えることができるかわかりませんから、みなさんに受け継いで欲しいですね、そして手まり作りを楽しんでほしい」
 
 
戦前、手まりを作っていた沖縄の母親たちのことを考える。
娘へ贈る祝いの品として作り始めたのに、作り終える頃にはすっかり手まり作りの楽しさの虜となり、二つ、三つと作っては知人や友人に贈っていたのではないだろうか。
しかしそこには必ず、作り手の願いが込められている。
今も昔も変わらぬ想い。
 
これからも幸せであるように。
ずっと平和であるように。
 
想いはここから繋がっていく。未来の沖縄にもずっと。
 

写真・文 中井 雅代

 

 
琉球手まり 宮城玲子
琉球手まり教室・宮城玲子
問い合わせ:090-9783-8845
【琉球手まり安木屋教室】
那覇市牧志1-1-14 安木屋ビル6F
毎週水曜日 14時~16時、月4回、¥6,000

 

NAKAI

the books
ミシマ社・編 ミシマ社 ¥1,575/OMAR BOOKS
 
―本は巡る、カレンダーのようなブックガイド―
  
 ぽっかり空いた休日、たまには本でも読んでみようかなんてとき本選び、困ったことはありませんか?そんな方に心強い一冊を今回はご紹介します。
  
春先に一本届いたFAX。
「本屋さんがこれだけは、どうしても届けたい一冊を教えてください。」という内容。
送り主は一冊一冊丁寧に世に送り出しているミシマ社さんという出版社。
一冊だけというので迷ったすえ、お店の名前の由来になった本を取り上げてもらった。
 
このやり取りが全国で交わされ出来上がったのがこのブックガイド。
なぜ365人なのかというと、本を開くとすぐ分かる。
一ページに一人一冊のコメントが日付とともに紹介される日めくりカレンダーのようになっている。なので本の大きさ自体はコンパクトな作りながら400ページ弱というボリューム。ただ使われている紙が薄く、片手で持ってもそんなに重さを感じさせない。
  
この本の魅力は何といっても、普段一番本に近い場所で働く人たちの生の声が聞けるところ。
それぞれの直筆コメントが添えられ、熱い思い入れが語られる。
出てくる本は小説から絵本まで時代もさまざま。
タイトルだけ聞いたことのある本、遠い昔に読んだことのある本、友人が読んでいる本、自身も好きな本がこの中に含まれているか確かめてみるのも楽しい。
そうしてめくっているうちに誰でも少なくとも一冊は読んでみようかなという気になってくる。
  
またこの本を作ったミシマ社さんも大変だったろうなと想像する。
本を愛する人たちの熱意の賜物。
しかし、この世にはこんなにもいろんな本が存在することに驚く。本屋を営む身でありながら、三分の二は知らない本だった。
巻末には紹介した365人の働く全国の書店MAPも併録。
  
一年を本で巡るこの新しいタイプのブックガイド。
ページをめくるたびに本の奥深い世界へ。
さて今日の本はなんでしょう?
あなたを未知なる場所へいざなってくれる一冊です。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

「There is no place like home. 」東恩納 美架 展  〜 やっぱり おうち が いちばん 〜
 
9月7日(金)〜17日(月・敬老の日)
10:00〜19:00/会期中無休・入場無料
 
@陶・よかりよ 那覇市壺屋1−4−4 1F
        ☎098−867−6576
        http://www1.ocn.ne.jp/~yokariyo
 
「There is no place like home. 」東恩納 美架 展  〜 やっぱり おうち が いちばん 〜
 
タイトルは映画「オズの魔法使い」(1939年・米国)主人公ドロシーが北の魔女グリンダ(良い魔女)から教わった呪文。カンザスの家に戻る時に靴の かかとを3回鳴らし「 There is no place like home. 」=(訳:家ほど良い所はない。)と唱えると夢から覚めるという場面から引用しています。
東恩納美架 的 解釈では「 やっぱり おうちが いちばん。」と、捉え 心地良い暮らしをイメージして、大好きな植栽に関する鉢や鉢カバーなど、また壁面を飾るミラーフレームなど部屋を彩る小物の類い、もちろん人気のパステルカラーのうつわも沢山作ってます。
東恩納 美架 、よかりよでの5回目の個展となります。絶えず、新しい方向性を模索して自らの世界を拡張し続けるタイプの作家です。自身のリラックスできる自宅をテーマに、会場のレイアウトも考えている様です。どうぞ お楽しみに!
 

NAKAI

Day1 
沖縄スナップ
ワンピ B.C STOCK(ベーセーストック)
帽子 GLOBAL WORK(グローバルワーク)
 
沖縄スナップ
 
沖縄スナップ
靴 COEN(コーエン)
 
Day2 
沖縄スナップ
帽子 不明(もらいもの)
シャツ COEN
パンツ B.C STOCK
 
沖縄スナップ
靴 B.C STOCK
 
Day3 
沖縄スナップ
帽子 あしびなーの帽子屋さん
羽織シャツ B.C STOCK
白シャツ 無印良品
 
沖縄スナップ
パンツ あしびなー
靴 B.C STOCK
 
Day4 
沖縄スナップ
ワンピ B.C STOCK
レギンス 無印良品
 
沖縄スナップ
 
沖縄スナップ
カチューシャ メインプレイス
 
Day5 
沖縄スナップ
帽子、トップス、パンツ、靴、すべて B.C STOCK
 

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「スカートは苦手、体にピッタリフィットする服も。
好きなのはシャツにパンツの組み合わせ。毎日それでもいいっていうくらい!」
 
白い肌にぱっちりした大きな目、お人形みたいにかわいらしい彼女の口から語られる意外な服の好み。
確かに彼女のコーデには、ひらひらレースも花柄もつるつる素材も登場しない。
 
「素材は綿が好き。しっかり洗っても大丈夫な服。
テロンとして扱いに気をつけないといけないような服は殆ど着ないですね。
DAY4みたいなデザインの服を買うのはすごく珍しいんです。もうすぐ友人の結婚式があるので、そこで着られるかな? と」
 
可愛らしい外見とは裏腹に、好みはボーイズライクの彼女に兄妹構成を尋ねると、彼女以外男ばかりの5人兄妹と判明。
なるほど、そういうことなんですね。
 
「確かに兄達や弟の影響はあるかもしれない。
お姉ちゃんが欲しいな〜ってずっと思っていたから、お姉ちゃんがいたらもう少し女の子らしい服にも興味を持っていたかも」
 
最初こそ外見と好みに少しギャップを感じたが、可愛らしい見た目にボーイッシュなスタイリングは好相性。
むしろガーリッシュすぎるコーデだと甘×甘になって難しいのかも?
 
「でも、これからはスカートにももっと積極的にチャレンジしてみたいな。
今はゆるゆるなワンピしかもっていないから、ちょっと大人っぽいスカートも履いてみようかな? って」
 
やっぱり、それはそれでカッチリハマりそう!
キレイなお姉さん系コーデの彼女に会える日が楽しみ。
 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

桐島、部活やめるってよ
 
なんだかすごい映画だった。
 
面白い。
 
「桐島」がめっちゃ気になる。しかし、映画の中ではずっと桐島が不在なのだ。
 
「桐島」という言葉がとにかく出てきて、話は桐島中心にまわってるのに、桐島はいないままだ。
 
一人の人間が周りに影響を与える力ってすごいんだな~と思いつつ、「桐島」という人物が、何でもできて、かっこいいという人物だから特別なのか?とも思う。
 
「できるやつは何でもできて、できないやつは何にもできない」
 
と劇中、やはり「できる」側の宏樹がいう。
 
「そんなことはない」と思いつつ、「いや、そんなことあるかな」と思う自分がいる。
これはある意味、事実だよね。
 
「桐島」事件が起きる金曜日、をいろんな人物の視点から何度も観客は見せられる。
 
点と線がつながったりもする。
 
しかし、私の周りには高校生などいないので、日本の高校生の会話が聞き取れない(笑)
 
桐島、部活やめるってよ
 
おそらく、この映画の高校生たちは、かなりリアルな会話をしているとおもわれるが、アクセントの違いか、言葉の違いか、女子高生たちの会話が私の耳にはいってこないのだ。
これはかなりの問題だ。
私がおばさん化してるのか? 日本語が変化しているのか?
 
私は、いつも邦画のセリフがききとれず、DVDで鑑賞するときは、字幕を出して鑑賞する。
映画館ではそうもいかないので困ってしまう。
 
今どきの高校生、恐るべし。
 
それにしても、神木隆之介はどんどん存在感のある、器用な役者になっていく。
この人、いつの間にすっかり子役から、若手俳優になったのだろう。
 
桐島、部活やめるってよ
 
桐島、部活やめるってよ
 
桐島、部活やめるってよ
 
桐島、部活やめるってよ
 
映画部、っていうのもそそられる。
アメリカのコメディに出てきそうな、オタクな集団。
私が高校生だったら是非、映画部に入って、彼らがつくっているような、ゾンビ映画をつくってみたいものだ。
 
桐島、部活やめるってよ
 
桐島、部活やめるってよ
 
桐島、部活やめるってよ
 
とにかく、予告で、「衝撃のラスト10分」とか流すのはやめてほしい。
期待をしてしまう。
 
衝撃は、私には少なくともなかった(笑)
 
なかなか面白い作品ですよ。
機会があったら是非観ていただきたい。

KEE

 

 
<ストーリー>
田舎町の県立高校で映画部に所属する前田涼也は、クラスの中では静かで目立たない、最下層に位置する存在。監督作品がコンクールで表彰されても、クラスメイトには相手にしてもらえなかった。そんなある日、バレー部のキャプテンを務める桐島が突然部活を辞めたことをきっかけに、各部やクラスの人間関係に徐々に歪みが広がりはじめ、それまで存在していた校内のヒエラルキーが崩壊していく。
 
<キャスト>
映画部:神木隆之介(前田涼也)、前野朋哉、岩井秀人(顧問)
バドミントン部:橋本愛(東原かすみ)、清水くるみ
吹奏楽部:大後寿々花、藤井武美
帰宅部:山本美月(飯田梨紗)、松岡茉優(沙奈)、落合モトキ(竜汰)、浅香航大(友弘)
バレーボール部:太賀(小泉風助)、鈴木伸之、榎本功
野球部:東出昌大(菊池宏樹)
 
<沖縄での上映劇場>
桜坂劇場(10月上映予定)
那覇市牧志3-6-10(旧桜坂シネコン琉映)
098-860-9555(劇場窓口)