NAKAI

スヌーピーたちの人生案内
 
チャールズ・M・シュルツ/著 谷川俊太郎・訳  主婦の友社  ¥1,300/OMAR BOOKS
 
―長年愛されるのにはちゃんと理由がある―
  
 大きな黒い耳を持つ、どこか飄々とした出で立ちの白い犬。
スヌーピーを最初に知ったのはいつだろう?全く思い出せない。
 
知った時にはもうすでにこの喋る犬はスヌーピでしかなかったし、その彼の飼い主は弱音をはいているいつも何だか頼りないチャーリー・ブラウン、またそんな彼とは正反対の気の強いルーシー、といった感じで漫画『ピーナッツ』の登場人物たちを少しずつ知っていった。
他にもライナス、サリー、ペパーミント・パティにシュローダーと魅力的な人物たちが登場する。
誰でも友達同士でどのキャラクターが好き?という話をしたことがあるはず(ちなみに前はシュローダーが好きだった。今はチャーリー派)。
 
数多くあるスヌーピー本の中でも特におすすめしたいのが今回の『スヌーピーたちの人生案内』。原題は「GUIDE TO LIFE」。
目次には人生・自助(self-care)・用心・愛・生きる味わい、などと並んでいてその項目ごとに場面とセリフが配されている。
ウィットに富んだ言葉の数々が笑いを誘い、時にじん、とくる。
そして肩の力の抜け具合が絶妙だ。
 

 
シンプルかつ分かりやすい言葉で人生を楽しく生きるコツを伝授してくれるこの本。
訳者にも注目。
日本に漫画『ピーナッツ』が紹介されてから40年もずっと手がけている谷川俊太郎さんによる日本語訳によるところも大きい。
一見能天気で、気楽に聞こえるセリフも実は人生の深いところを突いている。
 
○ときにはいい気分になるためにちょっと自分を甘やかすことも必要だね/ライナス
○見つめていてもご飯皿はいっぱいになったためしがない/スヌーピー
○人生という本にはうしろのほうに答えが書いてあるわけじゃない/チャーリー・ブラウン
 
機嫌の悪い時には美味しいものを食べればすぐご機嫌になる彼ら。
調子のいい時もあれば、失敗して落ち込んだりもする。
それでもめげずに笑いとばして起き上がる。
スヌーピーとその仲間たちは私たちの仮の姿だ。
それがスヌーピーたちが長年愛されてきた理由。
不器用な彼らの姿に出会うとどこかほっとして、また次がんばろうかな、と思えてくる。
 
この本にはもう一つ、「物」としての魅力も。
コンパクトな正方形に、白黒のコントラスト、紙ざわりもいい。
ついつい何度もめくりたくなる仕様。
 
ちょっと元気のない友人に何か本を贈るとしたらこの本。
また自分のためにも手元に置いておきたい、人生の明るい指南書です。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

Day1 
沖縄スナップ
ワンピース、ショールともに:インポート、詳細不明
 
 
Day2 
沖縄スナップ
ワンピース:kalyan(カリアン)
ショール:アンティーク
ジーパン:OMNIGOD by Domingo
靴:不明 
ネックレス:シェルネックレス
 
 
Day3 
沖縄スナップ
羽織り:nitca(ニトカ)
インナー、パンツ、靴ともに:不明
ネックレス:ヴィンテージ
 
沖縄スナップ
 
 
 
Day4 
沖縄スナップ
ワンピース:KERRY GRIMA(ケリー グリマ)
ショール:不明
レギンス:無印良品
ネックレス:アンティークのオニキス
靴:Melissa(メリッサ) 
 
 
Day5 

沖縄スナップ
トップス:MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)
インナー:NO CONTROL AIR(ノーコントロールエアー)
パンツ:インポートもの、詳細不明
 
沖縄スナップ
沖縄スナップ
ブレスレット、ネックレスともに:アメリカのアンティーク、ベークライト素材
 
沖縄スナップ
サンダル:不明
 
  

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「着やすさ一番! カットソー素材が好き。
アイロンがけが嫌いだから、パリっとした素材の服は着ない、シャツも着ない。
ゆるコーデが一番好き」
 
服の好みがはっきりしているしょうこさん。
着る、着ないの線引きも明確だ。
 
食堂かりか(関連記事:本格ネパール料理を新原ビーチのパーラーで)で働くときは、動きやすさ重視のパンツスタイルがほとんど。
 
「仕事中も基本的には普段とあんまり変わらない格好をしてるんですけど、ひらひらした服を着ていると(食堂かりかのシェフの)主人が怒るんです(笑)。だから、シンプルなパンツコーデが多いですね」
 
沖縄移住前は黒い服ばかり着ていたという。
 
「上から下まで黒一色のコーデも多かったんですよ。
でも、沖縄に来たら太陽がまぶしいから明るい色が着たくなって。
赤やオレンジの暖色系アイテムが増えました」
 
今後挑戦したいスタイルは?と問うと
 
「(デザイナーの)マーガレット・ハウエルさんが着てるようなスタイル!」
 
とにっこり。
…え〜っと、それってどんなスタイルですか?
 
「マーガレット・ハウエルさん、見たことありません?!
よく雑誌にのったりもしてるんですけど、シャツ着てるけどヨレっとしてて、雰囲気があってカッコイイ。あんな格好したいなーって。
パリっとしたシャツは苦手だけど、マーガレット・ハウエルさん見てると洗いざらしのシャツをさりげなく着こなしたいなーって思うんですよ。
上質な服をさらりと着られるようになりたいですね」
 
 
おまけ
沖縄スナップ
 
この日のランチはしょうこさんが「一番好き」だと言う「豆カレー」に。
ふんだんに入れられた多種多様なスパイスが次々と口の中でその存在をアピール!
ゆっくりと時間が流れる静かな新原ビーチで、冷たい水と交互に口に運ぶスパイシーなネパールカレーは病み付きになるおいしさ。
暑い日ってどうしてカレーが食べたくなるのかなぁ。
また行きます☆
 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

『ターチ祝い』展
 
7月12日(木)〜24日(火)
tituti OKINAWAN CRAFT
那覇市牧志1-2-6
 
『ターチ祝い』展
クリックで拡大します
 
tituti OKINAWAN CRAFT
那覇市牧志1-2-6
TEL&FAX 098-862-8184
営業時間 11:00~19:00
定休日 水曜日
www.tituti.net
 

NAKAI

ホタルノヒカリ
 
もう何も考えずにみれる映画が見たい!と「一枚のめぐり逢い」と迷ってこっちにしました。
 
一枚の、、、ももちろん見る予定ですが、面倒くさそうな恋愛そうなので(笑)今日はこちらに。
 
 
ドラマファンなら楽しめる出来。
 
わざわざ映画館にくるほどのものか?といわれれば、別に、な感じ。
 
私はドラマが好きだったので楽しめました。
 
蛍は抜群にかわいいし、ぶちょおも素敵☆
 
ホタルノヒカリ
 
ホタルノヒカリ
 
イタリアの名所もみれますが、別にイタリアでなくても???という風でもある。
 
まず、必見なのは、ぶちょおのダンス。
 
お相手は、あの 我らが、JONTE☆MOANING(ジョンテ モーニング)ですよ!
 
ホタルノヒカリ
  
私、出てるのも知らなかったので驚きました。JONTE、普通に男性役でスーツ着てるんだけど、小さい(笑)。
 
ハイヒール姿しかみてなかったので、びっくり。
 
この二人のダンスが意味はないんだけど、面白い。藤木直人が意外にダンスがうまい。
 
一番の見どころはここ??
 
イタリアで会う、干物女は 松雪泰子。
 
ホタルノヒカリ
 
ホタルノヒカリ
 
ホタルノヒカリ
 
このひとも、最近コメディづいてますが、そつなくこなしております。
 
日本のシーンでは、 板谷由夏 安田顕 の二人も相変わらず素敵カップルの役を好演。
 
ホタルノヒカリ
 
ホタルノヒカリ
 
ぶちょおと蛍の息もぴったり。
 
ホタルノヒカリ
 
so what?(だから何?)と言われればそれまでですが、息抜きに気軽にみれる映画です。
 
綾瀬はるか、かわいいっす。
 
ホタルノヒカリ
 
ホタルノヒカリ

KEE

 

 
<ストーリー>
紆余(うよ)曲折を経て、同居人にして上司である高野部長(藤木直人)と結婚した蛍(綾瀬はるか)。しかし、すてきな奥様を目指して家事や料理に励むどころか、干物女としてさらなるパワーアップを遂げてしまい、家でゴロゴロしてばかりいた。そんな蛍たちも普通の夫婦のように新婚旅行に行こうと、イタリアへ。旅先でイタリア版干物女とでもいうべき莉央(松雪泰子)と弟の優(手越祐也)と出会って奇妙な親睦を深める中、高野部長が何者かによって誘拐されてしまう。
 
<キャスト>
高野 蛍 – 綾瀬はるか
高野 誠一 – 藤木直人
冴木 優 – 手越祐也
二ツ木 早智子 – 板谷由夏
二ツ木 昭司 – 安田顕
冴木 莉央 – 松雪泰子
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
MIHAMA 7 PLEX+ONE
098-936-7600
中頭郡北谷町美浜8-7
HP:http://www.startheaters.jp/mihama7plex

NAKAI

おおやぶみよ
 
きらめく気泡に目を奪われて思わず手に取ったコップを、つい手から離せなくなってしまう。
吸い付くような感触、なめらかな質感、すっぽりと手におさまりの良いカタチ。
ガラスのうつわというとシャープでクリア、クールでドライな雰囲気を想像するが、日月のうつわから受けるイメージはそのほぼ対極にある気がする。
柔らかなフォルム、気泡を閉じ込めた部分は美しく不透明、温かみとみずみずしさをあわせもったガラス。
 
日月 おおやぶみよ
日月 おおやぶみよ
 
おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
全国に多くのファンを持つ「日月 -HIZUKI-」。
作家のおおやぶみよさんは吹きガラスという技法を用い、たった一人でひとつひとつ作品を生み出している。
その工房にお邪魔すると、強力な扇風機の風すらその役目を果たさぬほどの熱気に一瞬で包まれる。
 
「一度作り始めたら途中でやめられないんです。
この熱気だから食べ物を胃に入れると気分が悪くなっちゃう。
だからいつも、お昼ご飯は抜き。
一段落つくまでは手をとめず、作りつづけます」
  
みよさんの仕事をいつもそばで見守るギャラリー担当の由紀子さんをして
「みよさんは本当にストイック」
と言わしめる働きぶり。
  
今はガラス一筋のみよさんだが、その経歴をきくと
  
「私、実はモード学園を卒業しているんですよ(笑)」
 
と、思わぬ答えが。
京都出身。高校卒業後に大阪のモード学園に進学、4年間は服作りに没頭して過ごした。
 
「でも、ファッションの世界ってコレクションも毎年春夏と秋冬の2回あるし、どんなに新しいものを買って着ても、いつの間にか古くなって着なくなっちゃう。在学中もコンテストばかりで常に斬新なものを追い求めて過ごして…。そうやってめまぐるしく変わっていく世界が果たして自分が本当に求めている世界なのかな?って疑問を感じて、卒業後も就職しなかったんです」
 
そんな折、素材としてのガラスに興味を持ち、全日制のガラス講座を開講している石川の「能登島ガラス工房」の門を叩いた。
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
「他の機関だと何年も勉強が必要なのですが、吹きガラスだけを集中して1年で習得するというコースがある学校だったんです。
また、全寮制なので集中して勉強できました。
服作りを学んですぐにガラスを学び始めたわけですが、服もガラスも素地から作り出すもの。そういう意味では共通点があったのかもしれませんね」
 
ガラス工芸といえど、その技法は吹きガラスのほかにも電気炉を使うキルンワーク、ガラスに砂を吹きかけて磨りガラス状にするサンドブラスト、カット、ミルフィオリガラスなど様々。
その中からみよさんが吹きガラスを選択した理由は、
 
「せっかちな性分に合うから(笑)」
 
熔解炉で溶かしたガラスを吹き竿で素早く巻き取り、息を吹き込んで成形する。
 
日月 おおやぶみよ
 
「技法によっては冷めるのに3日かかったりと完成まで時間を要するものもあるのですが、吹きガラスは吹いた次の日には結果がわかるのが良い。
また、素早くつくらないと冷めて固まってしまうし、即興的な要素が強い技法でもあります。
そういうところが私の気性に合ってるみたい。
他の技法も学びましたが吹きガラスが一番楽しいし、ずっとやってるのに飽きないんです」
 
ガラス工房でのコースを修了後、大阪のガラス会社に就職した。
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
「20名ほどいる職人の多くは雪駄にはちまき姿が似合う60歳前後の方ばかり。集団就職の時代を経て若いころからガラスを吹いてきた熟練の職人に囲まれて仕事ができたのは、私にとってとても良い経験でしたし、その後の制作活動にも大きな影響を与えてくれました。
当時は実家のある京都から始発に乗って出勤、先輩方の吹き竿を磨くことも仕事のひとつでした。休日は練習していいと社長に言われていたので休みもなく毎日出勤していましたが、本当に楽しかったしすごく勉強になった。
今は気泡を入れた作品を多く作っていますが当時は泡ひとつ入れてはいけなかったり、グラム単位で寸分違わず同じものを作らないといけなかったりと、規格に対しても厳しい会社だったんです」
 
会社に勤めながら、みよさんは独立したときの青写真を描くようになった。
 
「京都出身なので骨董市などにもよく通いましたし、割烹料理店を営む実家も古さのあるたたずまいなので、もともとアンティークの雰囲気が好き。
それでアンティークに似た質感が出せる再生ガラスを見にいってみよう!と」
 
沖縄は本土と比べると廃ガラスを扱う業者が多く、量も沢山手に入る。
 
「本土ではこうはいかない。
沖縄の青い海や澄んだ空に憧れてというわけではなく、再生ガラスが入手しやすいということが一番の理由で移り住んだんです」
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
みよさんの作品のコンセプトは、そのブランド名「日月-hizuki-」にも表現されている。
 
「地球という規模でみると沖縄という場所は小さな点に過ぎないわけですが、狭い視点にとらわれて作品を作らないようにしようと。と言っても沖縄じゃなくて『日本全体』というのでもなく、もっと別の視点で。
日と月ってどんな場所でも上り、沈みますよね。そうやって太陽と月が上るところであればどんな場所にもしっくり馴染む作品を作りたいと思っています。そのためにはひとりよがりではなく、客観的な視点が必要だと思うんです。
作る際、『使い勝手がいいように』ということは意識しますが、使う人や使われるシーンについては考えません。県外にお住まいのお客様も多いので、自分が沖縄に住んでいるからといって沖縄の風土にだけ合うように作ってしまわないよう、またあまり突拍子のないものは作らないように、どこで使ってもぴったりくるようなものを作ろうと思っています」
 
日月のガラス作品は琉球ガラスではないとみよさんは言い切る。
 
「技法も違いますし、作品をつくりだすときの意識も違うと思います。
私は自分が作りたいもの、お客様に使って頂きたいものを作っています。
ずっとガラスと向き合い、毎日作っていても飽きないけれど、ガラスとは何ぞや?!というような重厚な探究心のもとで制作しているわけではないし、自分の興味が服からガラスへと移ったように、今後ガラスから何かへと興味が移っても不思議ではないと思っていて。それくらいのラフさでガラスと付き合っています」
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月のうつわは食卓で一層その魅力を放つ。
自身もコップや皿などを愛用しているギャラリー担当の由紀子さんは言う。
 
「何しろ使い勝手がよくて。
何を盛っても食材の色を引き立ててくれるし、大きさも丁度良い。
お皿ってデザインは良いのになんだか使いづらくて登場しないものってありますよね。みよさんのはもう常に出しっぱなし! しまうのが寂しいくらいで。
大きめのボウルには果物を盛っていつもリビングに出しているし、グラスも定番で子どもも一緒に毎日使ってます。これで飲むと何でもおいしく感じちゃう。お客様からも同様のお声をよくいただきます」
 
その高いデザイン性だけでなく、使い勝手の良さから飲食店からのオーダーも多い日月のうつわ。
理由はみよさんの育った環境にも由来するようだ。
 
「実家が京都で割烹料理店を営んでいるので、鉢、蓋物、蒸し碗、さしみ用皿…と様々ななうつわが大量にあり、うつわ用の倉庫があるほど。京都のお膳って数がもう半端ないんです。
また、両親の仕事が忙しいと『料理を皿に盛ってー!』と手伝わされたり、『昼ご飯は自分で作ってね』と小学生の時から料理を作ったりしていたので、おのずとお皿のサイズ感や高さについての感覚が備わった気がします」
 

みよさんの制作現場を見ていると、それが一朝一夕にできるような技法ではないとわかるのに、「やってみたい、なんだか自分にもできそう」とつい思い込んでしまう。みよさんがいとも簡単にひとつひとつの過程をこなしていくからだ。
それはもちろん、これまでの努力と経験に裏打ちされた熟練の技。
  
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
日月 おおやぶみよ
 
まるで楽しい音楽に合わせてステップを踏んでいるかのように、軽やかにリズミカルに、みよさんは作品を作り続ける。顏だけでなく腕や首筋と身体中に浮かぶ玉のような汗を目にしてやっと、溶解炉と真夏の沖縄が生むもわっとした熱気はやはりみよさんをも包んでいるのだという当たり前のことを意識する。
 
私も同様にその熱を肌に感じながらも、みよさんの動きから目が離せず、その場から足を動かせなくなってしまう。
 
「子どもたちにとってもすごくおもしろいみたいで、もう食い入るようにして見てますよ(笑)」
 
日月 おおやぶみよ
 
最近はパリでも企画展に参加した。
クリスタルなどシャープなフォルムのガラスに親しんでいるパリっ子たちにも日月のガラスは人気で、多くの人が買い求め、「太陽と月がのぼるところならどこでも馴染む」という日月のコンセプトが実現されていることを証明した。
 
「海外での個展もまたぜひやりたいですね。
ゆくゆくは色んな表現方法を試してみたいと思っています。
素材も再生ガラスにだけこだわっているわけではないですし、技法も違うものを取り入れてみたい。
組み合わせたり二次加工を加えたりして表現のバリエーションを増やしたいと思っています」
 
その見事な仕事っぷりはなんだか男らしささえ感じるほどだが、生み出される作品は女性的でやわらかな雰囲気に包まれている。
 
手に吸いつくように馴染む作品を手離したくなくなるのは私だけではないようで、ギャラリーを訪れる多くの人が並べられている商品を片っ端から手にとり、大事に両手で包み込んでその感触を確かめる。
そしてみな、自宅の居間やキッチンを思い浮かべて真剣に悩み始める。
 
「こっちの色合いのほうが家に合うんじゃない?」
「あのコースターにはこれがピッタリだと思うんだけど…」
 
日々のくらしにすぐに持ち込みたくなる。
日月にあるのはそんなうつわ達。
 

写真・文 中井 雅代

 
日月 おおやぶみよ
日月-HIZUKI-
読谷村渡慶次273
098-958-1334
open 10:00〜17:00
close 土、日 
 
※日月では土日にギャラリーで働けるスタッフを募集中。
詳しくは上記連絡先、担当平井さんまでお問い合わせください。

 


 

NAKAI

浮島ガーデン
 
去年、スカイマークが宮古島に就航してくれたおかげで、
めちゃくちゃ安く宮古へ行けるようになりました。
航空券が安くなったから行ってみよう!
それぐらいの気分で行った宮古島でしたが、
野菜もフルーツも妙においしいし、海も空もめちゃくちゃキレイ☆
土地のエネルギーも何だかスゴイし、
何より出会う宮古んちゅーがみんな面白すぎて、
すっかりハマってしまい、この8カ月、ほぼ毎月通っています。
 
宮古島の中でも、特に好きなのが伊良部島です。
島そのものも好きだけど、
この島で、無農薬・無化学肥料でハーブを育てている
『伊良部島ハーブベラ畑』の近角(ちかずみ)さんの人と成り、
彼と奥さんのみどりさんが作るハーブ・ペーストがとても好きです。
 
近角さんは自然の中に仏の慈悲の心を見、
自然の中の大きな光に生かされていると言います。
そんな近角さんのハーブ・ペーストは格別においしくて、
食べているとしあわせ気分がこんこんと湧きあがってくる感じ。
 
近角さんのハーブのように、
波動の良い、エネルギーの高い食べものは、
ほんの少し食べるだけで体の気が満ちてくるのを感じます。
 
これからは小食の時代。
エネルギーの良い食べ物を少し食べれば十分。
そんな体にシフトしてゆきたい。
小食・不食を目指す人には近角さんのペースト、絶対うれしいはず~。
なんと非加熱で作っているので、酵素たっぷりのローフードなんです。
 
というわけで、
今回は近角さんのハーブ・ペーストを使って
サラダピザを作ってみました。
ピザ生地は「白神こだま酵母」で一次発酵させたものを
フライパンで焼くだけ。実に簡単です。
 
サラダピザは浮島ガーデンでも召しあがっていただけます。
ハーブ・ペーストも販売中☆
 
「サラダピザ」
 
<ピザ生地 材料>
地粉 250g
全粒粉 250g (全粒粉を少なくするとフワっとした生地になります)
白神こだま酵母 8g
水 300cc
塩 小さじ2
 
<サラダ 材料>
生野菜 適量
ナッツ 適量
オリーブオイル 適量
ハーブ・ペースト 適量
梅酢 少々
ワインビネガー 少々
塩 少々
 
<作り方>
 
1 ボールに小麦粉と酵母、塩を入れ、水をいっきに入れて捏ねる。
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
2 15分ほど捏ねてツヤが出てきたら、4つに分割してビニール袋に入れ、30分発酵させる。
(使わないものはそのまま冷凍。自然解凍して使えます)
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
3 1.5倍の大きさになったらフライパンの大きさに合わせて丸くのばす。
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
4 よく温めたフライパンにオリーブオイルを敷き、弱火で両面10分づつ焼けばピザ生地の出来上がり~☆
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
5 冷ましたピザ生地にオリーブオイル、ハーブ・ペーストを塗り、軽く塩を振る。
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
6 ボールにハーブ・ペースト、ワインビネガー、梅酢、塩少々を入れ、混ぜ合わせ、生野菜に絡める。
 
浮島ガーデン
 
浮島ガーデン
 
7 ⑥を生地にのせ、ナッツなどを散らして完成☆
 
浮島ガーデン
 

Text by 中曽根直子(浮島ガーデン フードデザイン)




浮島ガーデン
那覇市松尾2-12-3
098-943-2100
open:14:00~24:00
close:火
HP:http://ukishima-garden.com
ブログ:http://ukishima.ti-da.net
 

NAKAI

GIBO CAFE

 

「実は私、テビチが食べられなかったんです」というみささんはうちなんちゅだ。

 

GIBO CAFEの看板フード「ちまぐぅのスープ」。「ちまぐぅ」が沖縄の方言だということは何となくわかるが、これまでに聞いたことがなく、その意味を尋ねた。

 

「ちまぐぅとは、テビチ(豚足)のつま先部分のこと。私は山羊とテビチだけは昔からどうしても食べられなくて。でも、テビチってコラーゲンがすごく豊富でしょう?友人のお母さんたちにお肌つるつるの70代の方が何人かいらっしゃるんですが、聞くとみんなテビチを食べてるって言うんです。それで、どうにかテビチを克服できないかしら?と思い、考案しました」

 

試行錯誤を重ねるうちに、ラードとゼラチンをキレイにわける方法を発見した。

 

「不要なラードを除き、ゼラチンのみを使ってスープを作ったときに、初めて『おいしい!』って思ったんです」

 

トマトと豆、さらにドライフルーツ、ハーブ、ミンチ肉を加え、現在のレシピが完成。みささん同様テビチが苦手という他の人にも試食してもらったが、大好評だった。

 

一口たべると想像以上にサラッとした口当たりで、ほんのりスパイシー。それぞれの具材の個性が、口の中で楽しく広がっていく。

 

 

その魅力は豊富なコラーゲンと味以外にも。

 

「これ1カップで140キロカロリーしかないんです。小腹が空いたときにお菓子をつまむのではなく、ぜひこのスープをお勧めしたいですね。またゼラチンのスープなので、冷めるとゼリーのように固まってテイクアウトもしやすいんです」

 

冷めると固まり、温めると溶ける、コラーゲンたっぷりの美容スープ。みささんのお肌はその効果を証明するかのように、艶やかで張りがある。

 

スープに手作りのパン、ドリンクがセットに。ランチはそのほか、肉か魚を選べるボリュームたっぷりのプレート、カレーなども用意している。

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE
ケークサレ

 

GIBO CAFE

 

持ち帰りできるデリメニューも豊富だ。ショーケースには野菜をたっぷり使ったキッシュやケークサレ、ラタトゥユ、サラダ、ピクルスなどがカラフルに並ぶ。

 

「持ち帰り用のデリは必ず販売しようと決めていました。子育てに奮闘していた頃、子どものお弁当の一品にしたり、翌日の朝のおかずに使えたりするお惣菜がすごく便利だったんです」

 

子育てをしながら働いていたみささんならではの経験と想いが生かされている。

 

GIBO CAFE
かぼちゃとさつまいものサラダ、ラタトゥユ、塩麹の豆サラダ

 

「このあたりはお年寄りが多いのに、商店が少ないんです。向かいのおじいちゃんや、近くに住んでいる大家さんもよく買いに来てくれるんですよ」

 

デリには野菜をたっぷり使用。食材は、糸満や宜野座など県内のファーマーズマーケットを回って仕入れる。最近では、好きなデリを選んで詰め合わせる持ち帰りセットの販売も始めた。

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

昔から、料理やパン、スイーツを作るのが趣味だったというみささん。東京に住んでいた時期にパン教室に通い、講師の資格も取得した。しかしその頃は自分の店や教室を開きたいとは考えていなかったと言う。

 

「講師の資格を取得したのは24年前。もうどっぷりハマっちゃって。自分が作ったものを家族や周りの人が食べて、おいしいって喜んでくれることが何よりの喜びでした」

 

16年前に沖縄に戻り、東京にいたときと同じように身近な人に作ってあげたり、頼まれたときに作り方を教えたりしていたが、趣味である食べ歩きをしてあちこちの店に行くうちに、自分も店をやりたいという気持ちがだんだん膨らんでいったという。

 

「でも、私の作ったものをお客さんが喜んでくれるだろうか? という迷いがあって。そんな時、友人が『あなたの味を好きな人が来てくれれば、それでいいじゃない』と言ってくれて」

 

その言葉に背中を押され、物件を探し始めた。

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

一目で気に入った首里の物件は築年数40年。表が店舗、奥は和室の住居という造りだった。文具店や美容室として使われていたこともあったが、ここ10年以上は空き家になっていた。

 

「決め手はそこにある井戸。琉球石灰岩で作られているんです。今でも汲み上げて、散水などに使っています」

 

GIBO CAFE

 

建物の持ち味をいかしたいと思い、そこまで大きく手は加えなかった。昔のままの姿を残したカウンター前の木枠や井戸に繋がる引き戸からは自然の光が優しく差し込み、古い建物特有のゆるやかな時間が流れている。

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

「私は首里の出身ではないので、よそ者がこんなことをして!と思われないかなって最初はちょっとドキドキしたんですが、大家さんを始め、首里に昔からお住まいのお客様も喜んでくださって。
『ここは前は文房具屋さんだったんだよ〜』『美容室だったこともありますよね?』と話しかけてくださったり、『この場所をよくいかしてくれたね』と言っていただいたことも。すごく嬉しかったです」

 

GIBO CAFE

 

GIBO CAFE

 

店に訪れるお客さんの層は、実に幅広い。コーヒーを飲みながらのんびり過ごす学生さん。ちょっと遅いランチを味わう会社員の男性。デリをよく買いに来てくれるというご近所の主婦の方。いつもカウンターに座る、2人のお孫さんを連れたおばあちゃん。ゆったり優雅に食事を楽しむおじいちゃん。

 

いろんな人の思いを受け継ぐ建物を大切にいかし、再生させたみささんの店は、すでに多くの人に快く受け入れられ、温かく深い絆を築き始めている。

 

文:仲原綾子 写真:中井雅代

 

GIBO CAFE
GIBO CAFE
那覇市首里儀保町1-37
駐車場あり
098-988-8686
open 11:00~18:00
close 月曜
ブログ:http://gibocafe.ti-da.net

 

NAKAI

とかげ
吉本ばなな・著  新潮文庫  ¥380/OMAR BOOKS
 
― 決まって夏に読みたくなる ―
  
 夏らしい夏が来た。アスファルトの照り返しが眩しい。
こうなるとついつい冷房の聞いた室内に閉じこもりがちに。
ずっと窓を閉め切った同じ部屋の中にいて、そこから外に出てみるとさんさんと降り注ぐ光と騒がしい蝉や車の音が一斉に耳に飛び込んできて、あまりの熱気にうっとなる。
それがまた気持ちいい。一気に解放感に包まれる。
つまり換気ですね。
久しぶりに、今回紹介するこの本を読んでその感覚に近いものを感じた。
 
この『とかげ』はひらがなの「よしもとばなな」になる前の初期の作品。
6つの短編と少ないながら彼女の小宇宙が広がっている。
 
ある種の閉塞感みたいなものにとらわれている人たちが主人公。
読む人は彼らの中にどこかしら自分の姿を重ねる。
前にも後ろにも進めずがんじがらめになっている状況にある変化が訪れる瞬間を描いている。
 
最初に読んだのが夏だったので、夏の記憶とごちゃまぜになって体に染みついている。
だから決まって夏に読みたくなる。
少なくとも5回以上は読んでいるのに、あの頃分かっていたようで全然分かっていなかったんだなあと今回も発見することがあった。
 
自分の変化に気づくことは、同じ本を時間をおいて読む楽しみの一つだ。
あの頃の自分に再会できる喜びとでも言えばいいだろうか。
懐かしい!という気持ちとこんなエピソードあったっけ?と何度も立ち止まり、記憶を確かめながら読んだ。
 
またこの中の「らせん」という短編の中で、花火の出てくる好きな場面が実は花火じゃなかったことに初めて気づく。
思い込みってすごい。頭の中ではくっきりと暗い夜空に花火が上がっていたのに。
 
ばなな作品を読むといつも、誰にでもドラマティックに生きたいという願望はあって、でもそれを求めて探しに行かなくても日常は十分ドラマティックなものであふれているということを思う。
見方(受け取り方)の問題。
 
女性の支持が多いばなな作品。
でもこの本はきっと男性にも受け入れられやすいはずです。
だいぶ前の作品なのに色褪せない、今読んでも胸に響くこの短編集。
初心者にもおすすめします。
だらだらと汗をかきながら、木陰でアイスを食べつつ読んでみてはいかが?

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

Flagship沖縄
 
「当店では沖縄の、日本の『誇り』と言える商品だけを扱っています。
気をつけているのはいわゆる王道のお土産品を置かないこと。
セレクト感のある、デザイン性に優れたものだけを置くこと」 
 
プラザハウスの平良由乃社長は、信念に満ちた表情できっぱりと言い切る。
Flagshipとは「企業の商品やブランドの中で最上級、最高級のもの」を指す。
 
琉装女性のラベルがかわいらしい「琉球謹製 AwaRam」は、世界で初めて粉末化されたさとうきびと泡盛のコラボ酒。スコッチに似た味わいで泡盛が苦手なひとにも人気。合成着色料や保存料は一切使用していない。
深い焦げ茶色の液体が艶やかに光る請福酒造の「珈琲琉球流」。八重山の島産米使用の泡盛に、奄美大島産の黒糖、選び抜かれたアラビカ種の豆をブレンドしたコーヒーリキュール。ミルクで割る、バニラアイスにかける、お菓子作りに使うなど、楽しみ方は多様。
 
由乃社長が中心となってセレクトした商品が並ぶ店内は、広々として天井も高い。
 
「以前はギャラリーとして使っていたスペースなんです。
土産物ではなく芸術品に近いものを選んでいるのは、この場の持つ力も影響しているかもしれません。
日常に特化するのではなく、誰かに『献上』できる特別な品だけを置いています」
 
酒、調味料、石けん、ガラス、陶器、漆器、織物、染物・・・
沖縄県内外を問わずさまざまなジャンルの、しかし最上級の品だけが集められている。
 
フラッグシップ沖縄
つるりとした手触りと美しい光沢はガラスを思わせるが、実は陶器。「岐阜県のぎやまん陶です。私も何種類か持っていて自宅で愛用しています」
 

 

日本工芸師・親川唐白氏のうつわ。「朝鮮花三島という技術からヒントを得て『琉球花三島』と名付けた技法を沖縄のやちむんに施しています。抹茶碗はお茶の先生もよくご購入くださり、特に人気ですね」
 

與那原正守氏のうつわ
 

 
Flagship沖縄は、沖縄県の事業としてポータルサイトから始まった。
「リアルショップを開き、お客様の手と目に触れるようにしたい」
という想いから、店舗を構えるに至ったと言う。
 
「うつわは作家の顔が見えるこだわりの作品を、
食品はパッケージのデザイン性が高いものや、素材から厳選して作られているものを選んでいます」
 

岩手の老舗「佐々長醸造」による生醤油とつゆは、防腐剤、添加物等一切使用していない
 

極上の小麦粉を使用した富山の手延べ素麺、「大門素麺(おおかどそうめん)」
 
日本の伝統的な美しさが光る商品も多数置かれている。
 
「沖縄の商品だけを並べていたときよりも、相乗効果で互いに良い影響を受けているように感じます。
全国から商品をセレクトしているのですが、一カ所に偏らないことでそれぞれの土地の商品をより深く理解できるようになる気がします。
また、日本各地のものを置くようになって、お客様の滞店時間も長くなったように感じます」
 

福岡の錫(すず)器。「錫にはイオン効果と水を浄化する効果があります。昔は井戸の中に入れ、水の鮮度を保っていたそう。また、イオン効果が酒をまろやかで柔らかい味にするといわれ、宮中の御神酒器にも使用されています」
 

 

 

與那原正守さんのうつわ
 

 

皿は琉球松、フォークやスプーンはカンヒザクラを使用
 

 

 
4月からフラッグシップ沖縄でのみ販売を開始した「黄金金楚糕(くがにちんすこう)」の売れ行きが好調だ。
 
フラッグシップ沖縄
フラッグシップ沖縄
 
商品自体は3年前に誕生していたが、由乃社長のアイディアで生まれ変わった。
 
「2011年の初夏、『くがに菓子本店』の方がちんすこうを持っていらして。
食べてみたらものすごくおいしくてびっくりしたのですが、パッケージと包材のデザインが少し気になり、なんだかもったいないなあと。
そこで『パッケージをうちで作らせていただけませんか?』とご提案しました。
 
ちんすこうって沖縄を代表するものなのに、スターじゃないっていうイメージが私はあったんです。
宮廷菓子で由緒正しい伝統菓子だし、味もおいしい。
条件はそろっているのに、なんだか少し寂しいというか…。
でも、くがに菓子本店さんのちんすこうからは、熱い気持ちで作っていることがひしひしと伝わってきました。
素材にもちゃんとこだわっていて、小麦粉、砂糖、ラードと材料の顔ぶれはシンプルですが、いずれも国産の最高級のものを使用。
かたちも琉球王朝に献上されていたころの原型とされる丸形に成型し、すべて手焼きしています。
 
フラッグシップ沖縄
 
「土産商品ではOEM生産(他社ブランドの製品を製造すること)方式がよく採用されています。しかし今回の商品はくがにさんの努力があってのもの。実際に生産なさっている方々のこともしっかりPRしながら販売したいという想いがあります」
 
オリジナル商品ではなく、あくまでもくがに菓子本店の商品として販売を促進している。
 

「箱が一張羅なら、袋入りは普段着カジュアルウェアのちんすこうね(笑)」
 
パッケージには由乃社長デザインのエンブレムを使用した。
 
「特別感を演出するために箱にもこだわりました。
ジュエリーボックスのイメージで作りましたが、くがに菓子本店の担当の方からは『玉手箱』と呼ばれています(笑)。
贈答用に使っていただけるよう、重ねてリボンをかけても良し、4つ並べても良しの正方形に。
デザインでは悩みませんでしたが、コストとの戦いでした。
観光市場に出せるプライスレンジではありませんから、購入できるのは当店だけ。
このちんすこうを召し上がって、沖縄のお菓子を今一度見直して欲しいなって」
 
店頭においてある試食用ちんすこうを試した女性が、
「他の店には置いていないんですか?」
と社長に話しかけた。
「当店のみでの販売なんです」
と頭を下げると、
「いえ、それが嬉しいんです。色んなところに置くよりも特別感があって。
私、ちんすこうはあまり好きじゃなくてほとんど食べないのですがこれはすごくおいしくて驚きました。家族にも食べさせてあげたい」
そういって数箱を購入。
 
店を後にする女性を見送りながら、
 
「ああいう風におっしゃって頂けることは本当に嬉しいですよね。
一般的な価格と比べるとこのちんすこうはお高め。
それでも贈りたいと買ってくださる。
頑張って良かった、と思います」
 


上質な植物性オイルを使用し、伝統的製法で作られた自然派石けん「La Cucina(ラ クッチーナ)」
 

 
「商品のセレクトには実際頭を悩ませます。
若い作家さんの作品を扱うショップはけっこうあるのですが、当店では重厚なものやクラシカルなデザインのものもはずしません。
でも、デザイン性はもちろん重視してセレクトしています。
選ぶ基準は単純に『好きか嫌いか』。
私の個人的な好みではなく、30年に渡ってバイヤーの仕事を続けてきた経験から、店頭に並べたときのバランスや雰囲気、他の商品との関係性も大事にして買い付けています。
 
セレクトは慎重に、しっかりと時間をかけます。
観光客の方だけでなく、沖縄の人に喜んで頂くためには新作も置かなければなりません。

沖縄に来て、もしくは沖縄に住んでいて、良いものを持ち帰りたいと思ったときに選んでいただくためには、『語る力』のある商品でないといけません。
 
沖縄って、ちやほやされて有頂天になっている部分が少々あります。
そんな雰囲気にのまれることなく、謙虚に技を磨き続けている作家があり、作品がある。
県外にももちろん。
そういう商品を厳選してご紹介し続けていきたいですね」
 

インドに起源を持つエキゾチックな江戸更紗。「本土でいうところの紅型、でしょうか。伝統的な美しさが共通しています」
 
手頃なものが売れる時代だ。
器なら「食べ物や飲み物を入れられればいい」
ペンなら「書ければいい」
道具なら「機能を果たせばいい」
 
大切なひとに「これが沖縄の誇りです」と胸を張って、そういう商品を手渡せるだろうか?
贈り物を選ぶとき、「自分がもらって嬉しいと感じるもの」を基準にすることも多いだろう。
作り手のこだわりが詰まった商品はやはり魅力的だ。
使いたい、口にしてみたいと思う。だからこそ、使ってもらいたい、口にしてもらいたいと贈る。
 
しかし自分の周りを見渡せば、値段は手頃であるが誇りを感じない商品に囲まれてはいないだろうか?
 
誰かを想うことは、自分を顧みることでもある。
大事なひとへの贈り物を厳選するように、自分にも上質なものを贈ってみては。
 

写真・文 中井 雅代

 

Fragship沖縄
沖縄市久保田3丁目1番12号 プラザハウス内
098-932-4480
open 10:00〜20:00