NAKAI


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4月22日(日)
10:00~16:00
@豊見城市瀬長174
(瀬長島空の駅物産センター)
 
年に1度のウージ染め体験できるおまつりです。
染め体験イベントやってます。

10:15~シルクショール染め体験 3,000円
13:00~エコバック染め体験   1,500円
  
染め体験参加者募集しております。
人数達し次第締め切りますので
早めにお申し込み下さい。
 
連絡先098-850-8454
 

 
<その他イベント>
織り体験や捺染体験、香袋作り体験など
エイサー演舞、フラダンス、フォークダンス、
Rayライブ、おたのしみ抽選会などもあります。
 
HP:http://www.u-jizome.jp/index.html
 

NAKAI


 
「アイスの甘みって塩せんにすごく合う!
ちょっとじゃなくて、これくらいたっぷり乗せたほうがおいしい。
子どもたちはディップする感じで食べるのも楽しいはずね」
 

 
「この薄いタイプの塩せんは最近見るようになった。
ほら、オーソドックな塩せんは厚みがあるでしょ?
あれの薄いバージョンなんだけど、
手軽に食べられるし何よりおいしい!
 
内地の友達が沖縄に遊びに来たら、
帰るときに県産品をお土産にあげるんだけど、
これもよくあげてる。
好評だよ、きっとみんな好きな味だと思う。
しかもいっぱい入ってるから、自宅用にもよく買うよ〜。
おいしいからすぐなくなるんだけどね」
 

 
「チョコもいいけど、バニラの方が合う気がする〜。
シンプルな味同士、合うのかも。
こうやって食べると本当に止まらなくなるよ、おいしくて」
 

 
「塩せんといったら、
うちなんちゅはチョコと合わせることが多いよね」
 

 
「このチョコ、『いっせんまちやー』で昔は10円で売ってたな〜。
今は20円なってる。
塩せんも1枚10円とかでバラ売りしててさ〜。
小学生とかってお金ないから、
いかに低価格でおいしいの食べられるかって考えて、
みんな塩せんとチョコをセット買いしてたよね。
なつかしいな〜」
 


 
「昔ながらの厚みのある塩せんは
上にチョコをのせてそのまま食べてたけど、
薄焼きバージョンは挟んでみようかな」
 

 
「う〜ん、おいしい!
でも・・・昔たべたあの味とはちょっと違うね。
うす焼きの方が少しだけ塩っけが強いかな?」
 

 
「うん、そうそうこの味。思い出す〜!
私たち世代が小学生の頃にはみんなやってたよね〜。
今食べてもおいしいね。そして懐かしい。
うす焼きでも普通の塩せんでも、
お土産に買うならぜひこのチョコとセット買いしてほしい!
塩せんはチョコがセットでついてるのもあるけどね。
 
あとさ、これは中部のひとしか知らないかもしれないけど・・・」
 

 
「乾燥梅干しと一緒に食べるとおいしいわけ〜。
梅干しを塩せんにこすりつけて味をうつす。
・・・いかにも子どもが考えそうなことでしょ?(笑)
スッパイマンはちょっと堅いから、
白っぽい乾燥梅干しの方が良いかも。
こんなの、最初に考えたの誰なんだろうね?
わからんけど、私が小学・中学生のころはみんなやってたよ(笑)」
 


 
「どんな?」
「・・・ほんとだ! おいしい!」
「でしょ〜? 梅干し味の塩せん、世代を超えたね(笑)
これ、本当においしいってば。
子どもながらよく考えたな〜と思うよ」
 

 
「チョコと言えば、沖縄はハーシーズのチョコもよく見るよね。
それでもおいしいはずね」
 

 
「ん〜・・・
ちょっと味が高級チックかな?
やっぱり20円チョコの方がいいかも(笑)
 
そういえばこの塩せんさ、
職場に差し入れで持って行ってもすぐなくなるよ。
どの世代にも人気なんだね。
 
何もつけないでそのまま食べてもおいしいけど、
こうやっていろんなのつけて食べると面白いよね。
しかも昔のこと思い出して、大人のうちなんちゅは懐かしいでもあるはず。
そういえば、ぜんざいのトッピングとしても出てくるよね。
 
・・・ん?あんたたち二人何やってるの?
塩せんのトッピング研究?(笑)」
 

 
「マーマーが梅干しこすりつけてたみたいに、
チーズをつけてるの。
ピザみたいな味になるんじゃないかと思って」
 
「それならスライスチーズ乗っけて食べた方がはやいと思うんだけど(笑)」
 
「違う〜、こするのが楽しいわけ!」
 

 
「ほら〜、やっぱりおいしいさ〜。
マーマーも食べてみる?」
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
がっしりと厚みがあり、食べごたえ十分の塩せんもおいしいけれど、
パリパリと手軽に食べられるうす焼きバージョンもいい。
 
特別変わった味や形状ではないのに、
県外でその姿を見ることはほとんどなく、
オーソドックスなおいしさでありながらご当地ものという、
お土産には最適のお菓子。
県内どこのスーパーでも販売しているのは、
県民にも人気で値段も手頃である証拠。
 
お求めの際は是非、チョコや乾燥梅干しとご一緒に。
「沖縄の子ども達はこうして食べるんだって!」
と、沖縄フリークでもなかなか知らない情報も添えて。

 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI

 
武田百合子・著   中央公論新社 ¥760/OMAR BOOKS
  
― 人生の交差する瞬間  ―
  
今手元には2冊の本がある。
古びた単行本と真新しい文庫本。
どちらも『犬が星見た ロシア旅行』武田百合子・著。
 
セピアがかった古い方の下部には
「♡ 図書館 ♡ 犬が空見た。」という落書きがある。
以前勤めていた図書館で、処分扱いになっていたこの本を
何となく捨てるに忍びなくて持ち帰った。
だからラベルも貼られたまま。決してきれいとは言い難い。
存在すら忘れていたある時、読む手持ちの本がなくなりしょうがなくこの本を手に取って読み始めたら止まらなくなった。
結局捨てるどころか、何度も読み返す一冊になった。
  
今回紹介するのは、著名な作家・武田泰淳の妻・百合子さんが
夫やその友人とロシアの旅に同行した際の紀行日記。
横浜の港から船で出発するところから始まっている。
 
この本の素晴らしさを少ない言葉で伝えるのはとても難しい。
日記はこんな風に書かれている。
 
―朝食。
○パン○大きなソーセージとじゃがいもの裏ごし○グルジアチーズ(硬い)
~省略~
女給仕は早口でしゃべる。
「この海老は腐っている。食べない方がいいと思う」
~省略~
「もう武田は5匹、なまのまま食べています」
皆、気の毒そうに主人を見た。―
 
―売店でウォッカやぶどう酒を買う。絵葉書き7枚、13カペイク(ロシアの通貨)。―
 
こういう細かい出費を綴っているのも何だかいい。
また個性豊かな参加者たちが(こう言ったら失礼だけど、みんないい年をした大人たち)旅行会社のガイドを困らせたり、地元の人とのやりとりが微笑ましい。
 
一見、他愛のないこと。
それが彼女の手にかかると人も出来事も、ロシアの街の風景も、
そこに住む人々の営みも皆、活き活きとして新鮮で、どことなく可笑しい。
 
長い旅程を一日一日丁寧に記録した本書を読んでいると、
次第にこの本に流れる豊かな時間に愛しさを抱くようになっていく。
旅も終盤に近づきページが残り少なくなっていくのに哀しくなっている自分に気付いた。
 
旅はいつも終わることが前提にある。
旅が終わればもう二度と会うこともない人たち。
 
例えば、一度死んだ人が息を吹き返すとき、
私たちはそれを「奇跡」だというけれど、
本当はこういうたまたま出会った人たちの人生の交差する瞬間を「奇跡」だと言うのではないだろうか。
 
そして著者を始めこの本に登場する人たちはほとんどもうこの世にいない。
でもこの本の中では彼らは今でも生きて輝いている。
 
タイトルがなぜ『犬が星見た』なのか。
あとがきを読むとそれが分かる。
このあとがきがまた、ほのかに明るい切なさに満ちた、
滅多にない名文です。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI


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坪数を尋ねることを思いつかないほど広いLDK、
これは家?
まるでギャラリーかインテリアショップのよう。
 
この家がJAの支店だったなんて、誰が想像できるだろう?
葛原さんは売りに出ていたJAをそのまま購入し、自ら改築している。
 
「今はまだ改築中。特に急ぐ必要もないのでゆっくり進めています」
 
道路に面した壁には自動ドアが残り、
奥の部屋には金庫もある。
 
「つくりがすごくしっかりしている建物なんです。
建築関係の仕事に携わる友人が来るといつも
『今から2階でも3階でも増築できるよ。
これくらいの建物を今建てようとすると、相当な費用がかかるよ』
と言うんですよ」
 

 

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「リノベーションというと、
ほとんどの人が中古住宅を探すんですが、
住居だった物件はすでに間仕切りがなされているので、
改築するにも限界があります。
 
こういった元店舗や倉庫だと間仕切りがほとんどない。
自分で仕切るぶんには簡単ですからね。
壁を作ればいいだけですから」
 
葛原さんはいとも簡単という口調でおっしゃるが
自分で壁をつくり、仕切るのが簡単?
そんな、まさか。
 
「だって、本当に誰でもできることですから」
 
謙遜とは思えない本気の口ぶりだが、
なかなか同意することができない。
 
しかし、中古住宅ならぬ中古店舗のリノベーション。
きけばきくほど魅力的に思えてくる。 
 

 
奥に設けた事務所スペースで仮住まいしながら、
ゆっくりと手をいれてここまでできあがった。
 
家具はすべて、家具職人である葛原さんによる手づくり。
 
手製の家具はいわずもがな、
飾られているインテリアの美しさやセンスの良さにも目を見張るばかりだが、
 
「わざわざ用意したというものはありません。
こだわり? そういうものも特にない気がしますね」
 
息をのむほど見事な調度を前にして、その言葉もやはり信じがたいが、
こぢんまりとしたキッチンを見て、少し納得がいく気がした。 
 

 

 

 
技術が高く、つくりが繊細でつい忘れそうになるが、
手づくりであることには違いない。
 
毛沢東のレリーフは
 
「文化大革命時期のアジテーション的な看板です。
シンガポールで手に入れ、木工職人である藤本さんと額装しました」
 
これも手製なのだ。
 

 

 

 

 
玄関口ではインコが高い声でさえずり、
見事な音響システムから流れる豊かな音楽が広々とした空間に響きわたる、
ここはまさに別世界。
 
緑に囲まれた玉城の中でも一段とのどかな土地に、
こんな空間が広がっているとは。
なんだかキツネにつままれたようだ。
しかしご本人含め、葛原さん一家にそんな意識は微塵もないよう。
 
「私にとってはこれが普通なので、なんとも思わないんです(笑)。
私よりさらに麻痺しているのはあの子ですが」
 
と、6歳のお嬢さんを指して葛原さんの娘さんは言う。
 
 
葛原家には、広大なLDKの他に個室も3部屋ある。
 

 

 
一般的な家のLDKほどはあろうかという広さの客間。
 
「よく人が泊まりに来るんですよ。
でも、特別に用意したものは置いていません。
余り物だったり、昔から持っているものだったり」
 
この空間がアフターだとすると、
長男一家との同居に際して現在手を入れようとしている隣の部屋がビフォー。
 

 
まさにこれと同じ状態から、ご自分の手であそこまでつくりあげたのだ。
 
「時間さえあれば誰でもできることです」
 
時間。
そしてセンス、実行力、イマジネーション、さらに器用さも必要なのでは・・・
 
部屋を見回して100回くらい感心しながら、
葛原さんの言葉に心の中で突っ込む一方で、
葛原邸と同じ完成度とはいかずとも、
自分たちが住むには十分な等身大のおうちなら
もしかしたら自力でリノベーションできるかも?
と、どこかで希望を抱く自分がいた。
 
葛原さんの口ぐせ、
「誰にでもできます」
は、そう思わせてくれる魔法の言葉だ。
 

 
一歳に満たないかわいらしいお孫さんが寝ているベビーベッドの
つくりの美しさに目を奪われた。
もしかしてこれも手づくり?
 
「もちろんです(笑)」
 
広いLDKの各所に、お孫さんやご家族の写真が飾られていて、
葛原さんは目を細めて写真を見つめながら、家族のことを教えてくれる。
広い部屋一室まるまる客間にするのは、来客を歓迎している証拠。
流れている音楽のことに話を向けると、お勧めのアルバムを新たに選び直して聴かせてくれる。
玉城に住む友人たちとのもあいの話も素敵だった。
 
葛原さんのさりげない、でも心からのもてなしや愛がつまった家。
 
リノベーションについては
「たいしたことじゃない」「誰でもできる」
さらり言い放つ葛原さんだが、
 
「僕、料理は結構する方なんですよ。
地域の祭りのあとにうちにみんなで集まったりしてね」
 
と、少しだけ得意げな顔をのぞかせた。
 
こんなおうちを建て、家具をつくる手がこしらえる料理、
絶対おいしいに決まってる!
葛原さんの料理に舌鼓をうちながら、
店舗リノベーションの話、もっとききたいな。
 
そう思って気づいた、
だからみんな集うんだろう、この家に。
魅力的な家だけが理由ではない、
家主のさりげない愛に触れて。
 

写真・文 中井 雅代

 

 

NAKAI

文:幸喜 朝子 写真:大湾 朝太郎

 
4月に行なわれるウチナーンチュ作家の展示会LOOCHOOに参加する作家さんを
実行委員会メンバーであるブエコこと幸喜朝子が紹介します。
 
今回は、那覇市の首里で、オリジナルの器を制作販売しているdeccoの仲村盛隆さん、聡子さんと、YOKANGのテキスタイルデザイナーの田仲洋さんを訪問。
 
 
LONDON meets decco
 
白い壁にかけられた白い一輪挿し。
並べられたマグやお皿、スプーンなんかも、ぜんぶ白。
磁器作家のdeccoさんは白い作品しか作らない。
だからなのか、曇りの日でもショップはとても明るくて気持ちがいい。
おなじく明るく気持ちのいい笑顔で仲村さんご夫婦が迎えてくれました。
 

 
deccoは仲村盛隆さんと聡子さん夫婦2人の創作ユニット。
卵の形の一輪挿しやボタンがちょこんとあしらわれた豆皿、
フォークみたいな薬味置きなど、
どこかファンタジーで可愛い作品を作っています。
その可愛らしい世界観からてっきり
女性が作っているのかと思っていたのですが。
 

 
盛隆さん
「制作はだいたい僕で、妻がショップ店長。
僕、かわいいもの好きな“乙女オジサン”なんですよね(笑)」
 
聡子さん
「彼がショップにいるとお客さんも
『なんでいるの、このおじさん?』みたいな空気なんです(笑)」
 

 
乙女オジサン、かわいいネーミング!
思わず作品の説明を聞きながら一緒にきゃぴきゃぴ。
今でこそ白い磁器しか作っていませんが
以前は色や柄の入った陶器も制作していたというdeccoさん。
 
盛隆さん
「大学の頃は色のついた陶器も作ってたんです。
でも陶器はかけやすくて。
自分が作りたいのは壊れにくくて、かけにくい薄い器だと気付いて
それで素材を磁器にしたんです。
白という色も、ムダを省いていったら自然と行き着きました。
デザインが素敵でも使いにくいものって結局
食器棚のうしろの方に置いちゃうんだよね。
僕らが作りたいのは毎日気軽に使えるもの、
ハレの日とケの日があったら、ケの日に使ってもらえるもの。
棚の真ん中に置いてほしいからさ」
 

 
普段使いにこだわるだけあってdeccoさんの作品は本当に使いやすい。
人気のmugシリーズはちょうどいい口当たりのなめらかな薄さ、
しっくりなじむ持ち手、そしてレンジでも温められる便利さで
買ったその日から我が家の食器棚のセンターを勝ち取っています。
 
 
もちろん、deccoさん自身も暮らしの中で作品を使っているのだそう。
実感を持ってお客さんに作品を勧められるからね、と。
反対に、こんなの欲しいね、という会話から作品ができることも。
その一つが長い柄が特徴的なオリーブスプーン。
口の狭い瓶からでもオリーブが取り出しやすいように、と
オリーブ好きの聡子さんからの提案です。
 
聡子さん
「口の広い瓶だと全然意味ないんですけどね〜(笑)
でもお客さんはおもしろがって買ってくれたり。
オリーブ嫌いだけどマドラーに使うっていうおばちゃんもいたよ」
 
 
deccoさんの作品はシンプルなのに
2人の遊び心のスパイスが隠し味になっている。
だからきっとこんなに魅力的なんだろうなぁ。
お客さんにも遊び心が伝わるのか、
自由に使い方をアレンジして楽しむ人が多いそう。
 
 
聡子さん
「これにお菓子入れようね〜って豆皿を買っていった人が
今はアクセサリー入れにしてるよ、ってあとで報告してくれたり。
eggシリーズはボウルにもなるし茶碗にもなるし、取り皿にもなる。
そうやって使う人に自由にアレンジしてもらえるのが嬉しい」
 
 
中には作品自体がお客さんとの会話で
変わっていくこともあるんだとか。
使う人と一緒に作品が成長していくのを楽しむdeccoさん。
創作のテーマは「きほんのきほん」。
 

 
盛隆さん
「僕らのキャッチフレーズは『きほんのきほん』。
きほんって言うと型にはめるとか枠にはめるとか
ネガティブなイメージを持つ人もいると思うんだけど、
僕は基本に戻るとムダがなくなったり
自分の心を整えられると考えてて。
空手でも型を覚えてこそ自由なスタイルに挑戦できるさ。
deccoは単なる普段使いじゃなくて
もっと自由な暮らしへ向かうための原点になりたいんです」
 
 
こういったコンセプトを掘り下げて考えたのは
LOOCHOO展がきっかけだと言う2人。
 
 
聡子さん
「LOOCHOOに出品することになって
自分たちの作品づくりの根底を考えることが多くなったんです。
そもそも英語で「器」って何って言えばいいんだろう、
食器ともちょっとニュアンスが違うし…とか。
いろんなことを考え直しました」
 
そんなdeccoさんの気になる出品作品はまだ内緒!
 
盛隆さん
「内容はまだ明かせませんが、
一輪挿しのベースと本を使った展示をしようと思って
みんなからとにかく本を集めてます。
ロンドンでは一輪挿しの概念もないらしいから、
花を一輪で飾る美しさ自体も伝わるかどうか、楽しみだよね」
 

 
きゃぴきゃぴ、ほのぼの進んだとても楽しい取材の時間。
ロンドンで白い器たちと一緒にお客さんたちの
自由な反応を楽しむdeccoさんの姿が今から目に浮かびます。
 
 
———————————————————
 
 
LONDON meets 田仲洋
 
 
鮮やかで力強い。でも、どこか繊細。
染色家・田仲洋さんの作品を眺めていたら、
なんだか「いのち」という単語が浮かんできた。
 

 
LOOCHOOに染色家として出展する洋さんは
沖縄を代表するブランドYOKANGのテキスタイルデザインと染色を担当しています。
奥さまであるカンナさんがデザインし洋さんが染色するYOKANG。
2人が生み出す世界観はとても斬新で
県内外、さらには国外にも熱狂的なファンを持っています。
いつかYOKANGのワンピースをさらりと着こなしてみたい!
そう想う女性は多いはず。もちろん私もその一人。
だから洋さんへの取材は数日前からワクワクしっぱなし!
 

 
もともと設計会社に務め店舗デザインをしていたという洋さん。
個人的に作る作品も立体物ばかりだったそう。
 
 
「染色を始めたのはYOKANGを立ち上げてから。
カンナと結婚して2人でできることを考えた時に
服を作ることになって。俺が仕事やめて
カンナについていくことにしたんだよね(笑)。
彼女のお母さんがオートクチュールの紅型を作ってたから
紅型を取り入れたのは必然だった」
 
 
そう、カンナさんのお母様は40年以上も前から紅型の
ファッションを提案する「マドンナ」のデザイナー。
これまた根強いファンがいるブランドです。
 
 
もちろん、洋さんのデザインは柄も手法も古典的な紅型とは違う斬新なもの。
一般的な紅型は図柄の中央しか使わないところを
YOKANGでは周りの捨てる部分もパターンとして使用。
さらに通常では2,3日かかる制作の工程を
洋さんならではの方法で3時間に短縮してしまった。
 

 
 
「染めに2,3日かけると商品の値段が高くなってしまう。
だから染めの工程をエアーブラシにしてるんです。
そうするとほんの3時間でなんの遜色もない紅型に仕上がる。
僕はこれをエアー紅型って呼んでます(笑)
もちろん、『それは紅型じゃない』って言う方もいると思いますが
高くて手が出なかった紅型の値段を下げられますから」
 

 
 
その新しい手法から最初は叩かれることも多かったというYOKANG。
でもカンナさんのお母さまは「おもしろい、もっとやれ!」と応援してくれたそう。
「お母さんが一番ぶっ飛んでるからね〜」と洋さん。
そうして10年前に立ち上がったYOKANGは
すぐに人気セレクトショップBEAMSのバイヤーの目にとまり全国へ。
今ではアジアでも展開するなど快進撃は止まらない。
 

 
 
その独特の世界観を作っている一つの要素が個性的な柄。
「普通の紅型では使わないものばっかり」と洋さんが言うように
タツノオトシゴやハブクラゲの柄も!
古典で使われる鳳凰も尾だけを大きくトリミングするなど
洋さんならではのセンスがYOKANGデザインを生み出しています。
 
 
「作る時に心がけてるのはいい意味での裏切りですね。
見る人が「こんなことできるの!」って感じるようなこと、
他の人が考えつかないようなことをやりたい」
 

 
 
2011年から個人での活動も始めた洋さん、
LOOCHOOにはYOKANGとしてではなく田仲洋として参加。
布ではなく和紙に染め幾重にも重ねた作品を展示します。
 
 
「壁に飾るんじゃなくて、作品を使って空間を作ります。
そこに生まれる光と影の陰影を見て欲しいですね。
僕の展示は入口からすぐの場所なのでお客さんが最初に目にする。
だから難しいことを伝えたいんじゃなくて
鮮やかな色とか柄とか、まずは沖縄を感じてもらえたら」
 
 
ほの明るいクリプトギャラリーに浮かび上がる鮮やかな紅型。
その美しさはきっと沖縄の気持ちいい風景や
おおらかな空気をロンドンに運んでくれる。
 
 
——————————————–
 LOOCHOO展
 日時:2012年4月25日〜30日
 場所:ロンドン クリプトギャラリー
 HP:http://loochoo.ti-da.net/
——————————————–
 
 
■プロフィール
【decco】仲村盛隆:磁器作家 仲村聡子:店長
 
02年よりアトリエをかまえ、03年沖縄では珍しい磁器制作・販売のオンラインショップdeccoを設立。07年にオフラインショップ(実店舗)を那覇市首里に開店。10年6月には初の個展を宜野湾市MIX Life-Styleで開催。11年6月に宜野湾市MIX Life-Styleで二度目の個展。同年10月に千葉県で開催された「第9回・工房からの風」に出展。同年12月東京日本橋ヒナタノオトで企画展出品。12年2月宜野湾市[そ]で企画展に出品。現在県内6店舗のギャラリーや雑貨店で作品の購入が出来、瓶入りオリーブ用に作った柄の長いスプーン等ユニークな作品が多く新しい沖縄産のおしゃれな磁器として女性を中心に人気を集める。
 
http://www.decco.jp/2010/index.php decco HP
http://decco.ti-da.net deccoブログ
 
【田仲洋】:YOKANGテキスタイルデザイナー/染色家
東京で設計会社勤務。沖縄に戻りデザイン会社を設立し、店舗デザイン等を多数手がける。02年よりアパレルブランドYOKANGでテキスタイルデザインと染めを担当。伝統工芸の紅型、藍型の技法を独自のスタイルで昇華させ新しいスタイルを提案。08年より伊是名淳とTHAIを結成YOKANGとして国内外で多数のコレクション発表とともに受賞作も多数。沖縄県出身の歌手や女優等の衣装デザインも手がける。田仲個人として11年には石垣ペンギンギャラリーにて初個展。同年9月にプラザハスGLOBAL GALLERYで万華鏡作家角敏郎氏と紅型で参加。その緻密なタッチと色彩は近年の若手作家の中で最も伝統工芸としての紅型に近いが、独創的なデザインは他に類をみず熱狂的なファンをかかえる。1969年 那覇市出身
 
http://www.yokang.jp/index.html YOKANG HP
 

NAKAI


 
「これ、嬉しい!
食べ終わったあとに気づく感謝のメッセージ。
いいアイディアだね」
 
発売まで残りわずか。
さまざまなパッケージ案を前に議論も白熱!
肝心のもずくのテリーヌはというと… 
 

 
「すごい!」
「こんなに美味しくなるなんて、想像以上!」
 
最後となる4回目の試食会では、
モニター全員が口々にその味を絶賛。
 
「もっと食べてもいいですか?」
 
と、おかわりまで要求する好評ぶり。
ついには、用意した試作品はすべてなくなってしまった。
 
「食べ尽くしちゃったね(笑)」
「できれば家族にもお土産で持って帰りたかったけど・・・」
 
その言葉を聞き、担当者の目には思わず涙が・・・
 

 
4回に渡るモニター会、思い返すともずくの既存イメージの払拭に苦労した。
私たちにすりこまれた「もずく=酢の物」というイメージは思いのほか根強かった。
一回目の試食会のあと、
寒天で寄せたゼリー状のテリーヌ案が見送られ、
豚肉ベースとすることに方向性が定まってからも、
 
「寒天で固めるタイプも捨てがたい」
「酸っぱみがあったほうがもずくらしい気がする」
 
という意見は後を絶たなかった。
 

 
沖縄ではさまざまなもずく商品が販売されており、
メニューの品数を増やすのにもってこいな手軽さもあり、
食卓に上がることも多い。
定食屋では小鉢に入っているし、
居酒屋にいけばお通しで出て来ることも。
 
つまり、沖縄県民にとっては非常に慣れ親しんだ食材。
しかし、そのほとんどが酢の物の味付け。
たまに珍しいもずく加工品も目にする事があるが、
今のところメジャーではない。
 
「私実は、心のどこかであまり期待してなかったんだ。
もずくと豚肉を合わせておいしい商品ができるなんて想像できなかった。
だって、酸っぱくないもずくなんて想像できないもん」
 
と、モニターの一人が打ち明ける。
 
「だから本当にびっくりした。こんなにおいしくなるなんて」
 

 

 
途中、
「なんだか物足りない気がする」
「加工途中のような・・・」
と、味の決め手に欠けるという意見が。
そこで出たのが
「沖縄ハーブ使用案」
さらに、県産品を使用して素材にはこだわってほしいという要望も。
 

 
最終試食会では、アグー、ぬちまーす、県産ハーブ(ローズマリーとタイム)を使用したテリーヌが登場。
冒頭で記したように好評を博した。
 
「お肉ベースでおいしくて、
その上おしゃれな沖縄土産って今までなくない?」
 
沖縄の豊かな風土に育まれた魅力的な県産品の数々。
組み合わせ次第で、その可能性はさらに広がる。
そう教えてくれるお土産になった。
 

 
大切なひとにあげたいお土産か?
もらったら嬉しいか?
自分へのご褒美としても?
そして、
沖縄の「おいしい!」がつまっているか?
 
そのすべてに「YES!」と言える、
私たちが作ったもずくのテリーヌ、
皆さんにお目見えするまであとわずか。
どうぞご期待ください。
 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI


 
素晴らしいの一言。
 
ハリウッドの女優陣の底力に圧倒されました。
 
オスカー受賞のオクタビア・スペンサーをはじめ、
この映画の女優すべてが、最高に素晴らしい演技をみせてくれるのです。
 
個人的にビオラ・デイビスの魂にふれるような演技が好きなんですが、
今作も力強さと心を揺さぶる演技、
そして繊細さも地味ではありますが、群を抜いています。
 

 

 
この作品、146分と実に長いです。
しかし、エンディングのメアリー・J. ブライジの歌う、” The Living Proof(リビング・プルーフ)”が終わるまで、一瞬たりとも退屈しません。
 
そんな昔のことではないのですが、
アメリカ南部ではひどい人種差別がありました。
今もいろいろあるんだけど、
この「HELP(ヘルプ)」といわれるメイドたちの話は、
本当につらく想像すらできないものです。
その現実を描きながらも、この映画には非常にユーモアがあふれていて、
見る人の心を輝かせ、また勇気を与えてくれる魅力があります。
 
誰も語らなかった現実を、ひとりの女性、ビオラ・デイビス演じるエイブリーンが重い口を開きます。

彼女の母はメイドで、
そのまた母はHouse slave(ハウススレーブ)だったと話し始めるんだけど、
House Slaveってすごい名称だよね。” 家の奴隷 ”。。。
 
どれだけの勇気をもって彼女が語り始めたのか、それは命がけである。
 
次に、友人のミニー、オクタビア・スペンサーがユーモアたっぷりに演じてます。
彼女はこの作品で各賞を総なめにしてますが、
彼女の演技でスクリーンが輝くのです。とにかく素敵です。
 

 

 
” Eat my Sh*t “というセリフは、しばらく語り継がれることでしょう(笑)
 
今回、同じくいろんな賞をとっているのがジェシカ・チャステイン。
かな~りチャーミングです。
今、勢いがとまらない女優のひとりです。
 

 
エマ・ストーンもそうですね。今やハリウッド若手女優ナンバーワン。
声がかっこいいんだよね。気負わない演技がいつもいい。
メイドの声をはじめて本にするという行動を起こした、スキーターを公演。
 

 

 
その母を、アリソン・ジャネイ。この人も最高にかっこいい。
 

 
この家の元メイドを演じているのがシシリー・タイソン。
久々にスクリーンで見ました。
黒人女優のパイオニアで、人権問題でもいろいろ活動している大女優です。
なるほど、の配役でした。本当に敬服します。
 

 
そして忘れてはいけないのが、
今やいやな女を演じたら右に出るものはいないと私が思っているブライス・ダラス・ハワード。
相変わらずのビッチぶり。
もういい人の役はできないのでは?と思うくらいハマってました。
 

 

 

 
実際の悲惨な出来事を描き、
現代を生きる私たちにそれを訴えるという強いメッセージ映画ではなく、
勇気をもって行動すること、もちろん同じ間違いを二度と繰り返さないこと。
一歩踏み出すこと、など、たくさんの愛と勇気を与えてくれる1本です。

感じ方は人それぞれ、
映画をみてそれぞれ感じることがあれば、
それが何かのひらめきになるのでは?と思います。
 

 

 
見てよかったと思える作品です。劇場で是非。

 

KEE




 
<ストーリー>
南部の上流階級に生まれた作家志望のスキーターは、当たり前のように黒人のメイドたちに囲まれて育ったが、大人になり白人社会に置かれたメイドたちの立場に疑問を抱きはじめる。真実を明らかにしようとメイドたちにインタビューを試みるスキーターだったが、誰もが口を閉ざすばかり。そんな中、ひとりのメイドがインタビューに応じたことから、社会全体を巻き込んだ大きな事態へと進展していく。
主演はエマ・ストーンとビオラ・デイビス。監督は「ウィンターズ・ボーン」などにも出演している俳優のテイト・テイラー。第84回アカデミー賞でオクタビア・スペンサーが助演女優賞を受賞した。 
 
<キャスト>
エマ・ストーン
ジェシカ・チャステイン
ビオラ・デイビス
ブライス・ダラス・ハワード
アリソン・ジャネイ
オクタビア・スペンサー 
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
 
MIHAMA 7 PLEX+ONE
098-936-7600
中頭郡北谷町美浜8-7
HP:http://www.startheaters.jp/mihama7plex

NAKAI


 
ヨーロピアンな家具やアンティーク雑貨の中に、
バランスよく配された花や緑。
ともすると非日常的な空間にもなり得そうだが、
不思議と日常からそうかけ離れた感じがせず、居心地が良い。
 
ここにあるアイテムを持ち帰ればその雰囲気を自宅でも再現できそうで、
気づくとなにか物色している。

那覇新都心安謝の「fleur(フルール)」、同じく新都心天久の「6月の庭」、
浦添の「die farbe(ディ・ファルベ)」という3店舗のオーナーでありフローリストの平識麻紀 (へしきまき)さんは、
 
「実は、最初から花屋がやりたかったわけではないんです」
 
と言う。
 

 

 
– – – アルバイトのつもりがいつしか10年 
 
「以前はスタイリストの仕事を10年ほど。
 
その前に旅行会社に1年くらい勤めていたのですが、辞め、
知り合いにアルバイトを頼まれたのが広告制作会社。
そこで2週間くらいバイトしてくれないかという話でしたが、
結局、10年近く勤めることになりました」
 
スタイリストとしてこなしていたファッションショー、ブライダルショー、各種撮影といった仕事の中で、花を使う機会も多かった。
 
「花は昔から好きではあったんです。
特に庭を見ることや庭作りに興味があり、
小さい頃から雑誌や図鑑などを見ていました。
自宅にも庭がありましたし、
思い返すとずっと興味のある分野だったようです」
 

 

 

 
– – – 退職、独立。ブライダルのオファーがきたものの…
 
仕事のなかで疑問を感じることもあったと言う。
 
「広告やイベントの仕事でスタイリストとして花を飾ったりしていたのですが、
スチールやビデオの中の世界を作ることと
生の世界を作りあげることの違いを感じ始めました。
 
また、雑誌などで見る花の業界と沖縄の状況に、
当時はだいぶ差があったようにも思います。
雑誌には載っているのに沖縄には入ってこない花も沢山あり、
『どうしてだろう?』と。
 
そういったことから、
もっとお花を勉強してみたいという気持ちに駆り立てられました」
 
会社を辞め、1年ほど休業期間をとった。
 
「今後のことをしっかり考える時間をとりたかったんです。
東京で資格をとったり、
ヨーロッパに行って花屋やインテリアショップを見たりしました。
そうしているうちに『自宅でやろう』と気持ちが固まり、
1999年に自宅で花を教えるようになり、
スタイリストの仕事もフリーで始めました」
 
独立後しばらくすると、ホテルのレセプションの花を飾って欲しいという依頼が入った。

「会場にはお客様としてブライダル関係者も何名かいらしていて、
ブラダイルの仕事のオファーを頂いたんです。
でも、最初は一度お断りしました」
 

 

 

 

 
「そんな大役を一人でこなせるのだろうか?
という不安がありました。
ブライダルの仕事には特別な緊張感があります。
人生の一大イベントで、一回きりですから。
最初に頂いたお話をお断りした後、
また別の機会に同じ会社の方からオファーを頂き、お受けすることにしました」
 
実際にやってみると、
スタイリストとして活躍していた経験も生かせることがわかった。
徐々に仕事のオファーが増え、家中が花で埋め尽くされるようになり、
店舗を構えることを決意、
浦添に「die farbe(ディファルベ)」をオープンさせた。
 

 

 

 

 
– – – 「斬新すぎる」」と、受けいれてもらえないことも
 
その3年後に「6月の庭」をオープン。
はじめのうちは、その斬新なスタイルを受けいれられない人も少なくなかったと言う。
 
「当時も今もやっていることは変わっていないのですが、
オープン当初は私たちのようなスタイルの花屋が少なく、
アレンジメント、ラッピング、リボン・・・すべてが新しすぎて理解できないととられる方もいらっしゃいました」
 
それでも中には共感し、喜んでくれる人もいた。
さらに5年後にはインテリアショップ「 fleur(フルール)」をオープン。
 
「私がこれまで見てきたパリのお店の雰囲気を再現したくて、
フランスやベルギーのテイストを織り交ぜています
当店の商品を置くだけで空間がうるおい、優しい雰囲気になるよう
商品をセレクトしています。
インテリアというトータルで考えると植物も入ってくると思うので、
花や緑もとりいれた空間を提案しています」
 

 

 

 

 
「fleur を立ち上げるときに意識したのは、
私自身が行ってみたい、
こういうところで働きたい、と思えるお店。
置いてある雑貨もそうですね。
私も自分の部屋に置きたいと思えるアイテムを選んでいます。
 
とは言え、私の好みだけだと偏りが出てしまうので、
お客様に喜んでいただけそうなものをさらにセレクトしています」
 

 

 

 
フローリストである平識さんは
「花を飾るということには、別に特別感はない」
と言う。
 
「例えばここに造花を一輪飾るのと、
生きている花を飾るのとではぜんぜん違うんです。
生花にはパワーがある。
リビングでコーヒーを飲んでいるときでも、
テーブルにグリーンがあるだけで違う。
本当にちょっとしたことですが、空気がうるおうんです。
それがあるだけで空間に付加価値がつくというか。
  
それは何も特別なことではありません。
気負ってやる必要はないのです。
花を飾る行動そのものではなく、その時の心の状態がむしろ重要です。
 
花を飾ると心もうるおうんです。
例えば水を換える時、花と向き合っている瞬間は時間が止まるんですね。
その瞬間に自分をリセットすることもできるし、気持ちが優しくなり、心に余裕が生まれます。
教室の生徒さんもよくおっしゃるんです。
『お花を飾るような私って素敵!(笑)』。
『花を飾るからおうちを掃除しよう、きれいな状態をキープしようと思える』って。
 
これはインテリア全般に言えるのではないでしょうか。
この家具や雑貨を置くにふさわしい空間にしたい、という風に」
 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
平識さんの話を伺ったあとすぐ、
私は自宅でほこりをかぶっていた造花を捨て、切り花を買った。
フリージアとトルコギキョウ。
2つの花瓶に分けて入れ、リビングと玄関に飾った。
生花を飾ることで得られる効果を、私は初めて実感した。
花が空間に与える影響より、心に与える影響の方が確かに大きかった。
 
花は人と違って見返りを求めない。
文句も言わず、ひたむきにただ咲こうとする。
花は鏡のようにこちらの愛情を映し返すだけ。
手をかけたぶんだけ美しく咲き、
そして、遅かれ早かれ散る。
その無償の輝きが、私たちの心を癒す。
できるだけ長く美しく咲いていられるようにと、
丁寧に世話をしたい気持ちにさせる。
 
思いやりや愛情とは本来こういうことなのかもしれない。
見返りを必要としない想い。
 
空間が変わればそこで過ごすひとの心も変わるのだと、
強く実感した。
 
シャビーな額縁を壁に一つ、
ベッドサイドにアンティークのランプを、
リビングに花を一輪…。
 
さあ、あなたの心にどんな変化があらわれるだろう?
想像以上に大きな心への影響を、
fleur のアイテムとならきっと体感できるだろう。
 

写真・文 中井 雅代

 

fleur(フルール)
那覇市安謝1丁目10-26 #101
098-860-8787
open 10:00〜19:00
close 無し
HP:http://www.d-farbe.com

 

NAKAI

松浦弥太郎・著  朝日新聞出版  ¥1,365/OMAR BOOKS
 
―軽やかに生きるためのルール ―
 
4月。何かと慌ただしいこの季節は、
新生活が始まる人、環境が変わる人も多い。
この時期にぜひお薦めしたいのが松浦弥太郎さんによる仕事術についての本。
私自身最近まで何度も読み返していた。
  
内容は著者が考える仕事、あるいは仕事への向き合い方についてまとめられた本。
彼がこれまで仕事をしてきた中で学んで得たことが
シンプルな文章で綴られている。
 
書店経営者、『暮しの手帖』現編集長、文筆家など
いくつもの顔を持つ彼の哲学がつまっていて、
それでいて決して押しつけがましくないところが著者の文章の魅力。
読んでいて片っ端からノートに書き写したくなってしまった。
 
その徹底した自己管理、マイペースぶりに憧れる。
もともと彼のそういう性格によるものなのかというと違う。
彼自身が十代から今にいたるまで様々な仕事をしてきて、
失敗や挫折を経験し、そこから自分の生き方のルールを作ってきたのだということが、この本を読むとよく分かる。
だからとても説得力がある。
例えばこんなこと。
 
―仕事とは「自分」を役立てること。
役に立たなければひとりよがりの自己満足にしかならない。
「自分は何がしたいのか?」ではなく「自分を社会でどう役立てるか」。
 
―最優先すべきは自分の体と心の健康。
おろそかにするとパフォーマンスが下がる。
そのためにも休日を充実させ、センスを磨く。働くために遊ぶ。
 
―流されないために人にあまり会わない。
(大事な仕事の数日前から集中力を高めるために親しい人にも会わないようにしているそう。せっかく準備をしっかりしても直前に誰かと喧嘩をして感情を乱されたりするのを避けるため。)
 
上はほんの一部。これらは当たり前のことかもしれない。
でも出来ているかといわれるとそうじゃないのが現実。
 
人は生きていく上で人と関わる以上、
どうしても周りの影響を受けてしまう。良くも悪くも。
後者だった場合、自分さえしっかりしていればそれも最低限で済む。
要は自分の心と体を気持ちのいい状態に保っておくこと。
そのためには自分のベストを知ることも必要。
 
特に、がんばっているのに何だかうまくいかない、という人に読んでほしい。
 
「ルール」が好きな人は滅多にいないと思うけれど、
軽やかに生きていくための、自分だけのルールはあってもいいなと素直に思えた一冊。
仕事の仕方が変わります!

OMAR BOOKS 川端明美

 

OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
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