NAKAI


 
「私にとってターンムはまさに沖縄の味。
最初にここのパイを食べたのは、人から頂いて。
すごくおいしくて感動したから、
それ以来、自分もお土産として買うようになったよ。
 
これで1200円ってお得じゃない?
4人家族でも2〜3日は食べられそう」
 

 
「このお店は老舗だはず、昔からあって中部では有名みたい。
レストランもやってて、アメリカ風なステーキとかも食べられるんだけど、
ケーキやパイの販売もしてるわけ。」
 

 
「パイ生地がさくさくほろほろだから、ゆっくり切らないと。
パイの中身だけじゃなくて、この生地もとっても美味しいんだよね〜」
 


 
「ほら、パイ生地が繊細な感じでしょ。
しかも外側はかりっとしてて、そこもすごく好み。
中のターンムがこれまたトロっとしててね、
ターンムそのものの味がするところも好きなんだ。
パイなんだけど甘すぎなくて、お正月の味っていうか・・・
そうそう、沖縄は正月にドゥルワカシー食べるさ?
あのターンムのほんのり甘い味そのまんまなところがいい。
アメリカのパイって日本人には甘すぎたりするけどね、
ここのパイは甘さがちょうど良い。
 
他にもチェリーパイ、チーズパイ、ティラミス…色々あるけど
私はこれが一番すき〜」
 

 
「内地のお友達にあげたこともあるんだけど、
すごくおいしいって喜んでくれてた。
ターンムって内地ではそんなメジャーじゃないんでしょ?
だから、この味も珍しいんだはずね。
沖縄土産としてもすごくお勧め。

ターンムパイってさ、包み焼きタイプで個包装されてるのはよく見るさ?
でもホールタイプってあんまり見なくない?
家族がいるおうちに持っていくには最適だよね。
あと、内地から嫁いできた人とかも、
帰省するとき持って帰ったらすごく良いと思う。
ターンムって年齢層問わずみんな好きじゃない?
家族みんなで食べられるし、お茶にも合う。
パイだから、飛行機に乗せても安心だしね」
 

 
沖縄の名産品といわれて、
すぐにターンム(=田芋)を思い浮かべる旅行者は多くないだろう。
しかし、県民にとっては今も昔もソウルフードの一つ。
正月や盆といった行事のたびに作られる重箱料理には必ず登場するし、
沖縄スイーツ的な加工品も数えきれないほど。
 
しかし、田芋という響きが地味なのか、
マンゴーやパイナップル、さとうきびや紅芋ほど、
脚光を浴びてないようなのは気のせい?
 
沖縄に来たら誰でもいい、うちなんちゅをつかまえてきいてみて。
「ターンムって、おいしい?」
きっと皆、イチオシのターンム料理を教えてくれる。
ドゥルワカシー、リンガク、ドゥル天、
トゥンジージューシー、唐揚げ、そして、ターンムパイ。
 
うちなんちゅの生活に密接に関わり、
そして絶大なる人気を誇るターンムを使ったスイーツ。
持ち帰れば、沖縄の家族団らんを本土でも味わえる。
 

写真・文 中井 雅代

 
ミセスマーコの手作りパイの店
アメリ感☆アメリ館(アメリカン・アメリカン)

北谷町美浜3-6-6
open 10時~23時
close なし
098-936-0333
 

NAKAI


 
いやあ、泣いちゃいました。
 
最初は「大草原の小さな家」か??という感じでしたが、もう、馬がかわいい。
 
馬のジョーイが人間以上に感情豊か。
 

 

 
動物感動ものに戦争が加わり、また役者が見事な演技を見せるわけ。

主演のジェレミー・アーヴァインのみずみずしい演技が光るのはもちろんなんだけど、主演は彼だけではなく、ジョーイが出会うすべての人々がメインになって物語が紡がれていくのです。
 

 

 

 
いろんな国に話がどんどんつながっていく映画はいろいろありますが、これは見せ方が自然です。
 
しかし、どの国にいってもみんな英語を話しているので、ちょっと、わかりにくいところはあり。
 
誰が一体、どこの国の人なのか?っていうのが、いまいちはっきりしない。
 
最初にジョーイが出会うのは、ニコラス大尉。
トム・ヒドルストン、今までみたなかで一番素敵。
 

 
彼のお話から次に移る感じも実に自然。
 
兄弟愛の話でお兄ちゃんを演じたデヴィッド・クロス。見たことあると思ったら「愛を読むひと」の彼ですね。
成長したなあ。
 

 
ここの話もなかなか切ない。
 
馬同士の友情もあります。素敵だなあ。
 
それぞれが素晴らしい演技をさらりと見せてくれていますが、やはり圧巻なのはエミリー・ワトソン。
 

 
なんでこんなにうまいんですか、この人は。
 
さすがに老けたけど、すごいね、まったく。力強く優しい母親を抑えていますが、圧倒的な存在感でみせてくれます。
 
フランスでの農場のニエル・アレストラップも、さすがです。
 

 
キャスティングも脚本もいいんだろうね。
 
実際にこんなことはありえない!!と思っちゃいながらも、最後には、もう涙、涙です。
 
奇跡の馬、と言われるほど、ジョーイは守られていく。それはジョーイ自身の力であるんだけどね。
 
あ~、馬に乗りたくなった。

 

KEE



 
 
<ストーリー>
農村に住む少年アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)の愛馬であるジョーイが軍馬として騎馬隊に売られ、フランスの戦地に送られてしまう。敵味方の区別を知らないジョーイの目に、戦争は愚かさで悲惨なものとして映るだけだった。一方そのころ、アルバートは徴兵年齢に満たないにもかかわらず、ジョーイと会いたいがため激戦下のフランスへ旅立つ。  
 
<キャスト>
ジェレミー・アーヴァイン
エミリー・ワトソン
デイヴィッド・シューリス
ピーター・ミュラン
ニエル・アレストラップ
トム・ヒドルストン
パトリック・ケネディ
デヴィッド・クロス
 
<沖縄での上映劇場>
サザンプレックス
098-835-6600
島尻郡南風原町字宮城371-1
HP:http://www.startheaters.jp/southernplex
 

NAKAI


 
「この店の香りを持ち帰るには、どうしたらいいのかね?」
 
来店した初老の男性が店主に話しかけていた。
 
「あまりにも良い香りだから、家でもかぎたいと思うさ」 
 
パンやスコーンは出したそばからどんどん売れていくため、
店の奥ではいつも何かしらが焼かれ、
香ばしいにおいが立ちこめている。
 

 
オープン当時から、販売するパンは食パンのみ。
 
手でちぎろうとすると、想像以上に強い弾力性に驚く。
そして食感はふんわり、歯応えはもっちり。
ソフトで滑らかな手触りに魅了され、
思わず顔に近づけ、その香りをかぐ。
 
海。
大地。
草原。
 
風景がたちのぼってくるような不思議な香り。
 
北海道産の高級小麦「はるゆたかブレンド」を使用しているが、
硬水である一般的な沖縄の水はそれに合わないため、
試行錯誤の上、大宜味村喜如嘉の地下天然水「七滝の水」にたどりついた。
 
「日本では珍しい中硬水で、粉の甘みが引き立つんです」
 
また、久米島産天然塩「白銀の塩」を使用しているのは、
 
「沖縄に沢山の塩がありますが、
海水を採取する場所や作り方によって味が変わります。
白銀の塩はミネラルも多く含まれ、
塩の甘さの中に辛さもしっかり感じます。
とてもバランスのとれた塩です。
粉自体が甘さを感じる特質をもっているので、
味を引き締めるために少し辛めの塩を使っています」
 
小麦、塩、水、天然酵母という4つの素材だけで作られた食パンは、
シンプルでありながら滋味深い味わい。
乳製品、油類、糖類、卵、添加物は一切使用していないというのに、このリッチ感。
 

 
シフォンケーキは、繊細なことこの上ない。
吹けば飛んでいく泡のように軽く、きめ細やかな生地。
北海道産薄力粉「ドルチェ」、三重県産「あいのう卵」
種子島産「洗双糖」、熊本産「無農薬菜種油」
という選りすぐりの4つの素材が、繊細さの立役者だ。
 

 

 

 
店主の西村さんは琉球大学農学部を卒業後、
環境アセスメント関係の仕事についていた。
 
「騒音を測定したり、ヤンバルクイナやノグチゲラの調査をしたりしていました」
 
しかし、ものづくりに携わりたいという気持ちは昔からあった。
結婚を機に、その想いと再び向かい合うことになった。
 
「結婚したときの二人の夢が
『自分たちの手でものを作り、店をやること』。
最初はお互い漠然とその夢を抱いていましたが、
実際に口に出して、夢が共通していることがわかってからの行動は早かったですね(笑)
できることをお互いやっていこうと決め、
僕はパン、妻は料理を勉強することにしました」
 
包丁すら使えなかったという西村さんは、
サラリーマンとして生活しながら、
辻調理師専門学校の通信教育を受けたり、パン教室に通ったりした。
 
やがて二人で上京し、剛さんはパン屋で、
奥様は横浜・鎌倉で料理と製菓の修業を始めることにしたが、
 
「当時僕はすでに30歳。
そんな年齢で受けいれてくれる店自体あまりないんですよ、
使い物にならないからって。
みんな大体17歳くらいから入ってきますから」
 
知り合いのパティシエに紹介してもらい、横浜の店で働き始めた。
 
「その時の同期は18歳(笑)。
年功序列ではなく、店に入った順の世界ですから、
10代や20代の先輩にももちろん敬語で話していました」
 

 
6年間の修業を経て、5年前に沖縄で店をオープンさせた。
 
他の仕事も経験してから門を叩いたパン作りの世界だが
すぐに違和感なく溶け込み、直感が「これだ」と告げ、
迷いは一切なかったという。
 
「考えてみれば、僕が小学生のころの夢の第三希望がパン屋さんだったんです(笑)」
 
そんな西村さんに寄り添う妻の美奈子さんは、
 
「このひとについていけば大丈夫っていう信頼感があるから、
不安もないし、後悔もありません」
 

 
美奈子さんが担当しているのはお菓子。
中でもスコーンに力を入れている。
 
「実は、スコーンってずっと苦手なお菓子だったんです。
自分が好きなスコーンに出逢えてなかったんですね。
だからなかなか手が伸びない。
そうなると逆にどうしても食べたくなって(笑)」
 
美奈子さんのスコーンは、パサパサ感とはほど遠いしっとり食感。
外側はカリッと香ばしく、
なかはぽろりとほどよくまとまった歯触り。
小麦や卵など厳選された素材たちを、
北海道産の「よつ葉バター」がまとめあげている。
 
いちじく、オレンジ、レモンといった季節を感じさせる素材も取り入れ、
一般的なスコーンの倍はあろうかというボリュームながら、
次々現れるフレッシュな素材の味わいに、
最後まで飽きることなくぺろりと平らげてしまう。
その味わいは「リッチ」の一言に尽きる。
 
美奈子さんは、毎回とても緊張しながらスコーンを作ると言う。
 
「買う人のことや喜ぶ笑顔を想像しながら作っているからです。
私たちが確認できるのはお買い上げいただくところまで。
家に帰って実際に召し上がる様子まではなかなか拝見できませんから、
ちゃんと笑顔で食べていただけるように焼けるだろうかと考えると、
やっぱりどうしても緊張します」
 


 

 
西村さんが食の安全性を重視する背景には、
大学時代や前職で培った知識と経験がある。
 
「農学部卒業なので、農薬の安全性と危険性、からだへの影響など、
色々勉強しました。
大切なお客様に食べて頂くものだから、
自分たちが作るものは無添加で安全なものをと思っています」
 
修業時代、食パン以外のパンを作って販売していた頃もあった。
 
「でも、毎日食べていたら飽きてくるというか、
色々な食材と合わせようとしても合わないことがあったりして。
特別ではない、毎日の食卓に合うパンは何だろうと考えたら、
それはやはり食パンかなって」
 
シンプルな素材で作るシンプルな食パンは、
ippe coppe の看板メニューとなり、
店のドアはひっきりなしに開閉され、
次々と売れていくほどの人気だが、
 
「今の ippe coppe はまだ途中経過に過ぎません。
何年後かにはまた違うかたちのお店になっているかも。
人との繋がりからさまざまなことが始まっているので、
沖縄産の無農薬のベイビーリーフやいちごといった他の素材とコラボして、
サンドイッチやスコーン作ったりしているんです。
 
これからもこうした繋がりを大事にしていきたいですね。
北窯の作家さんのうつわにコーヒーをいれたり、食べ物を盛ったりというコラボも考えているんですよ」
 
「ippe coppe」の語源は、
西村さんの故郷である鹿児島の方言「いっぺこっぺ」で、
「あっちこっち」または「一生懸命」という意味。
 
西村さん夫婦の、誠実でまさに「一生懸命」な姿勢に惹かれた多くのひとびとが、
「ippe coppe」の変化に寄り添っている。
店の香りを持ち帰りたいと願うチャーミングな常連さんも、その一人なのだ。
 

写真・文 中井 雅代

 

ippe coppe(イッペコッペ)
浦添市港川2-16-1
098-877-6189
通販:http://www.ippe-coppe.com/通信販売
HP:http://www.ippe-coppe.com
ブログ:http://ippecoppe.ti-da.net
 

面包虽然只有一种,可是十分注重材料,味道非常好。
司康饼,雪纺蛋糕也很受欢迎。

The feature of this bakery is the special bread which contains well selected ingredients, such as high-grade flour, wild yeast, sea salt and natural water.

NAKAI

文:幸喜 朝子 写真:大湾 朝太郎

 
4月にロンドンで行なわれるウチナーンチュ作家の展示会LOOCHOOに参加する作家さんを、実行委員会メンバーであるブエコこと幸喜朝子が紹介します。
今回は、陶芸家の伊是名さん、ペーパークリエイターのちひろさんをご紹介。
 
 
LONDON meets 古堅ちひろ
 
これをしてると落ち着く、という瞬間は誰にでもあると思う。
お気に入りのソファで本を読むとか、アロマを焚いて音楽を聴くとか。
 
それが「紙を眺めること」だと言うのが自他ともに認める紙フェチ、古堅ちひろさん。
 
そんな紙フェチの彼女は「紙」で普通の人が思いつかないようなものを作る。
 

 
「幸せですね、紙があるだけで。
疲れたら紙サンプルを見る、みたいな(笑)
眺めてて気付いたら1時間ぐらいすぐ経ってます。
特に好きな紙はニューウエブロン。
合皮の紙で耐水性があって…」
 

 
さすが、本物です!!
初めてちひろさんの作品を見たのは今年2月に開催された
クリエイターによる紙の祭典KAMI・GAKARIでのこと。
ペーパージュエリーという紙でできた繊細なネックレスを制作し
その斬新なアイデアとクオリティの高さはたくさんの人の足を止めた。
でも、それを制作したのは紙フェチ意外にも理由が。
 
「私は金属アレルギーでアクセサリーがつけられなくて。
それがすごくコンプレックスで、アクセサリーで
お洒落してる人がうらやましかったんです。
それで皮とかプラスチックとかノンアレルギーの素材を探してて。
100%紙のジュエリーを作ろうと思ったきっかけは県立芸大の卒業制作の時。
大学の図書館でたまたま開いた本に
外国人の女性が胸に紙をかざしている写真を見て
これだ、ってひらめいたんです」
 
紙フェチというだけではない、金属アレルギーだからこそ
生まれたペーパージュエリー。
6年前に初めて作ったという蝶や花をモチーフにした
指輪とネックレスを見せてもらうと、すでに高いクオリティ!
ジョイント部分だけで50パターン以上制作し微調整を重ねて完成させたそう。
繊細な線をカットする作業も一筋縄ではいかない。
 

 
「レーザーカットで作ってるんですが、線が小さすぎると
全部つぶれちゃったりしてすごく大変です。
繊細さを出すためにつぶれるかつぶれないか、
ぎりぎりのところを調整してるんです。
自分が着けたいと思えるものを作りたいですからね」
 
大学の卒業制作で生まれたペーパージュエリーが
6年の時を経てロンドンへ。
ちひろさんのアイデアはさらに昇華されています。
 
「今回は紙を燃やそうと思っています。
LOOCHOO展自体のテーマが『time』なので時間の経過を伝えたくて。
紙って燃えてなくなるはかないものなんですが
ジュエリーっていう永遠のものを組み合せることが面白いかな、って。
アイデアの素は実は「ウチカビ」です(笑)
沖縄には紙を燃やす習慣があるんだぞ、ってことで」
 

 
使用する紙も大好きなニューウエブロンではなく
沖縄ならではの月桃紙にこだわった。
和紙は個性がありすぎて苦手だけど、
ロンドンの方に沖縄の紙を知ってほしいというちひろさん。
苦手だと言いながら新しい紙への挑戦もなんだか嬉しそう。
そのイキイキとした様子はロンドンに行くプレッシャーを全然感じさせません。
 
「いえいえ!そこはもう、プレッシャーだけです!
他の作家さんがすごい方ばっかりなので。
本当は誘って頂いた時に恐れ多くて断ったんです。
そしたらうちの社長(伊是名淳さん)が捨て台詞で
『今やらんでいつやるの?』って…
思わず『待ってください、やります!』って答えてました」
 
ちひろさんの背中を押してくれた淳さん、
初めてペーパージュエリーを見た時に「金の臭いがする!!」と言ったんだとか(笑)
その淳さんの想いも昇華して、ロンドンではペーパージュエリーの販売も。
 

 
「7種類あるのでどれが一番売れるのかも楽しみですね。
初めての海外だし、素晴らしい方に囲まれて緊張はしてますが
…やっぱり幸せですね、紙があると(笑)」
 
紙への愛がバシバシ伝わってきたちひろさん。
彼女のアイデアはロンドンでさらに昇華され洗練されそうです。
 
—————————————————————–
 
LONDON meets 伊是名淳(いぜな あつし)
 
初めて伊是名淳さんにお会いしたのは6年前。
一緒にお仕事させていただく中で幼い23才の私は衝撃を受けていました。
 
「大人って、こんなに自由でいいんだ…!」
 
淳さんは首里にあるVIVACEの代表取締役であり、陶芸家であり、
さらには「バカオトナイト」というとってもバカバカしくて
素敵なイベントの開催者であり、いつもFeelin’Goodなブログを書いてる方。
そのポジティブで自由な生き様に憧れて私は大人になりました。
 

 
だからきっと、LOOCHOOの作品も
陽気で楽しいアイデアに溢れたものだろうと思っていたら。
 
「俺が作るのは『厨子甕(じーしがーみ)』。
亡くなった人の骨を入れる沖縄の骨壺」
 

 
厨子甕とは昔から伝わる骨壺で、魚や花、獅子、竜など
豪華な装飾が施されている、すこぶる沖縄らしい陶器。
淳さんは厨子甕にツノを付けて大胆にデザイン。
すごくおもしろい作品に仕上がっていますが
陽のオーラを発する淳さんのテーマが「死」とは、すごく意外。
でもこのコンセプトはとても自然な流れで決まったそう。
それは淳さんの大学生時代にまで遡ります。
 
「学生の頃、アーティストとして売れるために
海外でアートの“事件”を起こそうと思ってて。
話題になって海外で評価されれば日本でも注目されるからさ。
何をやろうかと思っていたらある時、陶芸家が
窯で人を焼いて自首した事件があって。
そうか、窯で人を焼けるなら俺は陶芸家だから
俺が死んだら自分の骨を焼いて釉薬(ゆうやく)にして、
それを使って弟子に陶器を作ってもらおうと思ってたわけ。
だけど弟子はでーじプレッシャーだよな、
こいつ、いつ死ぬば〜?みたいな(笑)
でも、LOOCHOO展の場所を見て、やるなら今だと思った」
 

 
そう、実はLOOCHOO展の開催場所、クリプトギャラリーは
1822年に建てられたセントパンクラス教会という歴史ある建物で
今でも557体の遺体が眠っています。
「死」というテーマがこんなにも合うギャラリーは他にないかもしれない。
 
「やるなら今だと思った。
でも、俺の骨は焼けないさ、死んでないから(笑)
それでお骨を入れる厨子甕を作ろう、と」
 
もともと、海外の人たちのアートへの感心の高さは
宗教から来る死生観にあると考えていた淳さん。
一人一人が自分の死をきちんと捉えているから今日を一生懸命に生きていて、
それがアートへの理解にもつながっているんじゃないかと。
そんな海外の人に何をぶつけられると考えたとき、
沖縄の「祖先崇拝」へとコンセプトがつながった。
世界でも類をみない祖先崇拝という沖縄の精神社会、風習を表現するため
淳さんは厨子甕とあわせて「火ヌ神」セットも制作。
もちろん、淳さんらしいシンプルでデザイン性の高いもの。
 
「沖縄の人は仏具への思い入れは強いのにデザインは全然重視しないさ。
盛り塩もめっちゃ適当、みたいな(笑)
その結果、デザイン性を重視する若い人達が火ヌ神とか置かなくなる。
神事にデザインの手を入れることを
いけないと言う人もいるけど、廃れたら意味ないよね。
沖縄のこの精神文化をいかに無理なく
次世代に伝えていくかが大事だと思うからさ。
今作ってる火ヌ神セットを使えば、盛り塩も美しくできるわけよ(笑)」
 

 
美しい盛り塩、ぜひとも盛ってみたい!
そう感じるのは私だけじゃないはず。
せっかくお洒落に整えたキッチンだったら、
火ヌ神もお洒落に溶け込んでくれた方がうれしい。
祖先を拝み崇拝する心を子供へ、孫へつないでいくのは
もしかすると、時代にあわせて少しずつ変化していくデザインかもしれない。
 
今回の制作を通して「死」を意識しはじめたという淳さん。
 
「『死』を意識しはじめると、いろんなものに意味があると思えてきた。
 自分らしく生きないといけなって再認識したね。
だからLOOCHOOは俺の転換期になりました」
 
ツノ付きの斬新な厨子甕、そしてシンプルで美しい火ヌ神セット。
それはきっとロンドンにポジティブなショックを与えてくれるに違いない。
 
 
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 LOOCHOO展
 日時:2012年4月25日〜30日
 場所:ロンドン クリプトギャラリー
 HP:http://loochoo.ti-da.net/
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■プロフィール
【伊是名淳】:陶芸家
誰かのためになる事が、想像以上に自分の為になる事に気づき、2002年首里石嶺町に“活き活きとした”がコンセプトのカフェ、エステ、デザインスタジオ、ショップの複合型ビルVIVACEを設立。10年には東京・渋谷表参道にVIVACE TOKYOを開店。県産商材を使ったエステや地元の食材が楽しめるカフェを備え、沖縄の魅力を発信する店舗を展開。現在は代官山に移転。また設立以前は中学校美術教諭として勤務。08年には陶芸家としてアパレルブランドYOKANGの田仲洋と染物と陶芸を融合させたデザインユニットTHAIを結成。THAIとして同年12月に沖縄デザイン戦略構築促進事業へ参加し沖縄展示会出展。翌年には同事業の東京展示会にも出展。09年オリオンビール「麦職人」のキャンペーン商品に採用。10年開院の豊見城中央病院付属健康管理センター全フロアのアート制作を手がける。過去の作品では握力の弱いお年寄りや子供でも持ちやすいマグカップや果物を長く保存出来るフルーツボウルなどを発表。機能するデザインの視点を持つ。VIVACE代表取締役でもある
1970年 那覇市出身 九州産業大学 芸術学部デザイン学科
http://www.vivace-life.jp/ ビバーチェHP
http://feelingood.ti-da.net/ 伊是名淳のFeelin’ Good!
 
【古堅ちひろ】:ペーパークリエイター
1984年生読谷村出身
沖縄県立芸術大学デザイン科卒業
VIVACE専属デザイナーとしてグラフィックデザインを主体に、
企業のイベントフライヤーやパンフレット、パッケージ等の紙媒体のデザインを行う。
紙の魅力を伝える紙の祭典「KAMI・GAKARI 2012」へ参加。
出品作品のPaper Jewelly(ペーパージュエリー)は
金属アレルギーの女性の為にデザインされた100%紙のジュエリー。
紙の魅力に魅了された自称「紙フェチ」が紙を纏う暮らしを提案をする。

NAKAI


 
2つのくるみぼたんの付け方しだいで、
さまざまな表情を見せるワンピース。
静かな光沢を放つ生地は綿。
さらりとした着心地と軽さも魅力。
 
「畳むととてもコンパクトになるので、
旅行などの着替えとしても重宝しますよ」
 

 
「最近は、着ていてラクなものしか着たくないの」
という大林さんが、「ラクラク」をテーマに作ったサルエルパンツ。
動きやすさや着やすさを重視しつつも、
デザイン性、エレガントさもあきらめなかった。
 

 
台湾出身の大林さんは、
沖縄で出逢った南国の植物からインスピレーションを得て、
2005年に「木bocca花」を立ち上げた。 
 

 
600年の歴史をもつ中国・台湾古来の型染め「印花布(いんかふ)」は、
沖縄の紅型(びんがた)や藍型(えーがた)のルーツとも言われているが、
手間がかかること、技術習得に時間がかかることなどから、
中国・台湾でもその技術の継承者は減少し続けている。
 
そこで大林さんは中国・台湾と沖縄の職人の力を合わせ、
沖縄のデザイナーに協力を依頼、
中国・台湾の伝統工芸と南国的なデザインを融合させ、
「藍印花布」という新たな表現を確立した。
 
「印花布の繊細さだけでなく、
大らかでほのぼのとしたデザインが魅力です。
また、染めはもちろんですが素材にもこだわり、
着心地の良さを追求しています」
 
その品質の高さは評判となり、
藍印花布は 木bocca花 の主力商品となった。
 

藍印花布のベビースリングも人気商品の一つ。藍染めのため、抗菌・紫外線防止効果も
 

今年の新作、藍印花布のシューズは「どれだけあるいても疲れないから、これを履いたら他の靴が履けなくなったの」と大林さん
 


 

 
「お客様から染めに関するお問い合わせが入ると、
これまではその都度職人に確認をとってお答えしていたのですが、
自分で対応できるように染めの勉強にも出向きました」
 
有松絞りで有名な名古屋の有松に赴き、
世界的ファッションブランドの染色も手がける工場で染めを学んだ。
 
「仕事としてうかがったのですが、
染めの奥深さ、面白さにのめりこみました。
もちろん一筋縄じゃいきません。
でも、だからこそやりがいのある仕事です」
 
いまでは自身で染めを手がけるまでになった。
 
「染めるには、染められる側の状態も重要。
上等な素材は素直なので美しく染まりますが、
そうでない素材は反発してムラが出たりする。
人間とも似ていますね(笑)」
 

ダブルガーゼを使用したチュニックワンピースは、暑い沖縄の夏も快適に過ごせる
 

好みの形に変形させられるネックレス。「髪をまとめてヘアアクセサリーとして使っても素敵なんですよ」
 

 
大林さんの表現は衣服類に留まらない。
 
「ライフスタイルをトータルで提案できたらと思っています」
 
モットーは
「服も雑貨も使い方は一つではない。
工夫次第で幾通りもの用途が生まれる」。
 


 
「こんな小さな茶碗、なにに使うんだと思われそうですが、
何も飲み物を入れる器としてのみ使わずともいいんです。
ひっくり返せばほら、上品な箸置きになります」
 

 
藍染めの座面を外すと小さなテーブルにもなる椅子は、
スタッキング可能で収納にも困らない。
 

 
「素材感も重要です。
同じ素材同士をくみあわせるのではなく、
木製のトレイに陶器の器を複数並べると、
このようにリズムがうまれます」
 

 
大林さんが大事そうに持って来てくれたのは
中国・台湾の伝統的なろうけつ染めの作品をまとめた本。
 
「古くからの伝統柄ばかりですが、どれも古くさくない。
良いものは長く愛されます。
そして、どんな工芸生地も昔はすべて普段使いされていました。
丈夫で上等なものほど普段着に向いています。
アメリカのジーンズと一緒ですね。
 
しかし、伝統をそのままの形で継承するのは難しい。
どんな伝統も時代によって変化し、進化していくものだと私は思います。
現代社会で受けいれられ、さらに後世へと受け継ぐためには、
必要な変化もあるのではないでしょうか」
 
2つの国で育った大林さんは、両国を結びたいという想いも強い。
 
「私は台湾で生まれましたが長い年月を沖縄で過ごしました。
さまざまな形で2つの土地が融合し、
ともに新たな可能性を模索できたらと思っています」
 

 
ブランド設立前、大林さんは女友達とお茶を飲みながら、将来について語り合っていた。
 
「『私たちは女だから、いつまでも花のように咲いていたいわよね』っていう話になって、ウッド・ローズ(花が咲いたまま実のなる花)のことを思い出したの。
それで、『ウッド・ローズ=木花』と名付けたんです」
 
大林さんの年齢をきいて驚かないひとはいないだろう。
実年齢よりもずっと若々しくパワフルなだけでなく、
まさに花のような上品さに溢れているからだ。
 
木bocca花 を訪れる女性の年齢層は幅広い。
「いつまでも咲いていたい」
と思う気持ちに、年齢は関係ないのだろう。
 
歳を重ねてなお、凛と輝き続ける大林さんの目はいつも
中国・台湾と沖縄、過去と未来、伝統と今を見つめ、
変化と挑戦を恐れず、
新たな世界へ続くドアへ、私たちをいざない続ける。
 

木bocca花(ボッカ)
那覇市天久2-14-3-407 D’グランセ天久エクゼコート
090-8838-5950
Show Room営業時間: 事前予約をお願いします。 年中無休(県外・海外出張時以外)
メール: vickymcs@aol.com または vickymcs@docomo.ne.jp
HP:http://www.bocca-okinawa.com
ブログ:http://www.bocca-okinawa.com/blog

 

NAKAI


 
3月28日(水)〜 4月1日(日)
@古書の店・言事堂
那覇市若狭3-7-25
098-864-0315
火ー日 11:00-18:00
(土・日は19:00まで/日曜不定休)
 
作家在店日:水曜日の午前中と、土曜日以外は
なるべく居るようにいたします。
 

クリックで拡大します 
 
記事:展覧会も開く本屋。「美術」がもっと身近に。
HP:http://www.books-cotocoto.com
ブログ:http://journal.books-cotocoto.com
 

NAKAI


 
相変わらず、センスのない邦題にびっくりするが、
メリル・ストリープ、まずはオスカー受賞おめでとう。
 

 

 
いや~、たまげましたよ、相変わらずの化けっぷり。
 
これはメイクアップ賞も獲っているので、もちろんすごいんだけど、
この本当は顔立ちなども似てないのに、
しぐさも話し方も本当にそっくり。
 
どれだけ研究したんでしょうか?
 
若いころのサッチャーを演じているアレクサンドラ・ローチなんか、
本当は全然違う感じなのに、やっぱりすごく面影がある。
 

 
サッチャーというか、メリルに似ている。
 
それにしても、すごい人だ。
私のイメージでは、独裁政治をして、増税をした、
っつ~ことくらいしかなかったけど、
国家の一大事、戦争の時代に決断しなくてはいけないっていうのは
どういうプレッシャーがあるのだろう。
 
しかも、女性。
 
今でこそ女性議員も珍しくないけど、当時はね~。
彼女のブルーの衣装が、ダークスーツの男性陣のなかでひときわ輝く。
 

 
ご主人がとってもチャーミングに描かれてます。
デニス・サッチャー。一体どういうひとだったんでしょうか。
 

 
あんなに強く生きていくには、
こういう支えがないと無理なんだろうな。
 
私なんか、自分の今日のスケジュールもなかなか決められないのに、
決断力のあるひとって憧れます。
 
私は行動力はあるので、やはり、優れたリーダーのもとで働きたいタイプなんだよね。
 
まあ、私のことはともかくとして、
この手の映画にはめずらしく、さくっと終わってくれるのが何よりありがたい。
史実の映画って、だらだら長くて寝ちゃうんだよね。
 
これも、一瞬うとっとしましたが。
 
いかんせん、やっぱり家族がいろいろ大変だったんだろうなあ、と思います。
 
実際のところは本人しかわからないんだろうけど、
この時代に世界を動かした女性、本当に尊敬します。
 

 
私も強くならないと。

 

KEE


 

 
<ストーリー>
イギリス史上初の女性首相で、その強硬な性格と政治方針から「鉄の女」と呼ばれたマーガレット・サッチャーの半生をメリル・ストリープ主演で描いたドラマ。父の影響で政治家を志すようになったマーガレットは1975年、50歳で保守党党首に選出され、79年にはイギリス初の女性首相となった。国を変えるため男社内の中で奮闘するマーガレットは「鉄の女」と呼ばれるようになるが、そんな彼女にも妻や母としての顔があり、知られざる孤独と苦悩があった。
 
<キャスト>
メリル・ストリープ
ハリー・ロイド
ジム・ブロードベント
アンソニー・ヘッド
リチャード・E・グラント
ロジャー・アラム
スーザン・ブラウン
オリビア・コールマン
ニック・ダニング
ジュリアン・ワダム
アレクサンドラ・ローチ
マイケル・ペニントン
デビッド・ウェストヘッド
リチャード・ディクソン
ヒュー・ロス
 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
 

NAKAI


 
4月14日(土)18:30開演
4月15日(日)14:00開演

会場:大劇場 
舞台形式:プロセニアム舞台

入場料:一般:3,500円 (全席指定)
チケット発売日:2012/03/01(木) チケット販売所
 
古典の技芸を継承してきた先達の創作作品を若手舞踊からが披露する創作舞踊。そして、若い世代が脚本・演出・出演をてがける新作組踊「十六夜朝顔」をご覧いただきます。
今年3月には東京国立劇場での上演を果たし、沖縄伝統芸能の晴れやかな未来を予感させる本公演の地元、沖縄での凱旋公演が実現します。
【監修:織田 紘二】
 

クリックで拡大します 
 
-演目-
 
第一部 創作舞踊
【14日】 
1.「舞方」
2.「ヤカラ」
3.「す玉貫玉」
4.「茶屋ぬ月」
5.「恋のいさり火」
6.「与那国旅情」
 
【15日】 
1.「若衆笠踊」
2.「木綿花」
3.「馬場」
4.「太鼓ばやし」
5.「早口説」
6.「与那国旅情」
 
【踊り手】
阿嘉修・東文子・新垣悟・大湾三瑠・川満香多・神谷武史・喜納かおり・儀間美明・金城奈津子・小嶺和佳子・志田真木・城間千恵美・高嶺敦子・玉城盛義・津波ありさ・仲程めぐみ・永山玲緒奈・眞境名由佳子・松原和美・宮城愛佳・宮城りつ子・山川昭子
 
第二部 新作組踊「十六夜朝顔」
監修:崎間麗進 脚本・演出:嘉数道彦 振付:佐辺良和 音楽:新垣俊道
 
【あらすじ】
不治の病の妻乙樽の看病のため官職を辞し、人里離れて暮らす友利大主には、虎千代という中国に留学中の息子がおりました。あるとき、大主のもとへ、お尋ね者の「鬼虎」を捕らえて欲しいと人相書が届きますが、そこに描かれていたのは、なんと息子虎千代の姿でした。
互いを思いながらもままならぬ運命に翻弄される友利大主、虎千代、そして乙樽…。三人は、十六夜の月夜の晩、ついに切ない再会を果たすのでした。
「十六夜の月夜に咲く朝顔に願いをかけると叶う」という言い伝えを題材に、親子の情愛を描いた作品です。
 
【配役】
友利大主:神谷武史
乙樽:新垣悟
虎千代:川満香多
耕作当マチャー:大湾三瑠
カマド:阿嘉修
赤崎の比屋:玉城盛義
 
【地謡】
歌三線:新垣俊道・上原睦三・照喜名朝國・仲村逸夫・花城英樹
箏:池間北斗・名護みのり
笛:大城貴幸
胡弓:玉城和樹
太鼓:久志大樹
 
問い合わせ 国立劇場おきなわチケットカウンター:098-871-3350
 

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3月31日(土)
10時から17時まで
 
場所
南城市佐敷(詳細は、弊社に問い合わせていただくかたちとなります)
 
住宅の新築を考えておられる方、間+impressionの提案する空間に興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。
住所等の詳細は、お手数ですが弊社までメールにてお問い合わせください。
学生・同業者の方々も参加可能ですが、事前にご連絡くださるようお願いします。
<問い合わせ・ご連絡先>
間+impression
openair@forest.ocn.ne.jp (儀間 徹)
 
間+impression
HP http://ma.grrr.jp
記事:デザインと機能を両立させるためにとことん話し合うから。クレームの出ない設計事務所。
 

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リビングに設けられた階段をのぼると子供部屋。
その下はなんと、子どもが立って歩けるほどの高さのある「蔵」。
 
「建築基準法で、高さ1.4m以内かつ1階の床面積の1/2以内の広さであれば床面積に含まれないと規定されているので、室内に蔵をつくるとその分コストも抑えられるんですよ」
 
もちろん、収納力も抜群。
 
「ここに大容量のスペースがあるので、
他でこまごまと収納場所を確保する必要もなくなります」
 

 
中二階を設けているため、天井も高い。
 
「温かい空気は上昇するため、これぐらいの高さがあると夏も快適に過ごせるんですよ」
 

 
「和室はやはり、リビングに隣接しているほうが便利な場合が多いですよね」
 

 
落ち着いた色合いでまとめられたシックなキッチン。
 

 

 
「僕、ここからの眺めが一番気に入っているんです」
 
と、代表の儀間さん。
 
「子供部屋からリビングの様子が一望できるだけでなく、
リビングの向こう側にある両親の寝室に繋がるドアも見える。
主寝室のプライベートは保たれつつも、
繋がっているという安心感を感じられると思います」
 
もちろん、子供部屋には引き戸もついている。
 
「成長するに従って、お子さんも自分の空間が必要になりますから。
また、急な来客時にもさっと戸をひけば中が散らかっていても気になりませんよね」 
 

 

 

 
洗面所には収納スペースがたっぷり。
タオルだけでなく、下着やパジャマなどをしまってもなお余裕がある。
 

 

 

 
玄関に設けられた靴棚の容量も圧巻。
 

 
主寝室に繋がる階段の突き当たりにはもうひとつトイレが。
今はまだ若い夫婦が歳を重ねても、快適に暮らせる工夫のひとつ。
 

 
「縁側の幅も広めにとりました」
 
リビングの床材と似た色合いの木材を使うことで、
リビングとの一体感が生まれ、さらに広がりを感じられる。
 

 
どこをとっても便利でいうことなし、
「この間取りのまんま、私にも家を建ててください!」
と言いたくなってしまうのだが、
それは今回に限った事ではない。
 
施主の要望や未来図を詳しく聞き取り、
細部までとことん話し合うから、後悔がうまれない。
間+impression(まアンドインプレッション)が建てた家はどれも
100%の満足とともに施主に引き渡される。
 
儀間さんのモットーは、
「自分が建てた家の前をこそこそせずに堂々と歩けること」
実際、引き渡し後も旧知の友人の如く
「儀間さん、たまにはお茶を飲みに来てくださいよ」
と施主に誘われることも少なくないんだとか。
 
そしてまた、儀間さんが胸を張ってその前を歩くことのできる家が一つ完成した。
 

 
蔵のある家を建築した中部から場所を大きく南に移し、
今回は南城市にて住宅見学会が開催されます。
その名も「大きな庇の家」。
なんて素敵な、興味をそそられるタイトル!
 
デザインと機能性、そのどちらもあきらめない 間+impression の家。
二次元の写真だけでは伝えきれない空間性を、是非体感してください。
 

写真・文 中井 雅代

 
「大きな庇の家」
3月31日(土)
10時から17時まで
 
場所
南城市佐敷(詳細は、弊社に問い合わせていただくかたちとなります)
 
住宅の新築を考えておられる方、間+impressionの提案する空間に興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。
住所等の詳細は、お手数ですが弊社までメールにてお問い合わせください。
学生・同業者の方々も参加可能ですが、事前にご連絡くださるようお願いします。
<問い合わせ・ご連絡先>
間+impression
openair@forest.ocn.ne.jp (儀間 徹)
 
間+impression
HP http://ma.grrr.jp
記事:デザインと機能を両立させるためにとことん話し合うから。クレームの出ない設計事務所。
 

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ヴァネッサ・ディフェンバー 著  ポプラ社 ¥1,680/OMAR BOOKS 
 
― かたい蕾が花開くとき ―
 
ラナンキュラス。
最近憶えたばかりの花の名前。
開きかけのきゅっと丸まった姿がかわいらしい。
花言葉は「そのままのあなたが素敵」。
今回紹介するのは物語を彩る花言葉がたくさん出てくる小説です。
 
主人公のヴィクトリアは生まれてすぐに母親に捨てられて
里親のもとを転々として育つ。
人に少しでも触れられるのが怖い彼女が、唯一心を許せるのは「花」。
 
グループホームを出て住む場所も、仕事も、頼る人もない彼女は
ふとしたきっかけで小さな花屋「ブルーム」で働くことになる。
店を訪れる客たちはみな何かしら悩みを抱え、
そんな客たちにヴィクトリアは花言葉を添えて花束を渡していく。
 
ようやく平穏な生活を手に入れたヴィクトリアと周りの人々にも変化が訪れるが、後半に進むにつれて彼女の過去の秘密が明らかになっていく、といったストーリー。
 
この本の魅力はミステリアスな、
ぐいぐいと引き込む展開のストーリーはもちろんのこと、
主人公が花屋で働く様子や
出入りする市場や花農園に並ぶ色とりどりの花々を想像するのが楽しい!
 
子どもの頃くり返し読んだ
バーネットの『秘密の花園』を思い出して懐かしくなった。
花には秘密が似合う。
 
この物語に出てくる人たちは皆孤独であるがゆえ花を愛している。
そしてそんな彼女(彼ら)たちを結ぶのは花言葉。
 
ローズマリーは「記憶」、
白いカモミールは「逆境を乗り越える力」、
さくらは「はかなさ」など、
ヴィクトリア朝の時代から続くと言われる言葉たちが
物語の中に散りばめられ静かな輝きを放っていた。
 
かたい蕾のようなヴィクトリアの心が
次第に外の世界に向かって開いていく様子はまさに花そのもの。
 
その人がその人自身の花を開かせることが出来るには
太陽の光や水に代わるものが必要だ。
それは「愛情」でしかない。
 
与えて与えられて開く花々はどんな色でも、どんな形でも美しい、
そう伝えてくれるような小説。
 
巻末にはヴィクトリアの花言葉事典が付いているのもうれしい。
読み終えたら憶えたての花言葉を誰かに贈ってみたくなるはず。
 
最後に太宰治の言葉を。
「人間も、本当によいところがある。花の美しさを見つけたのは人間だし、花を愛するのも人間だもの。」/「女生徒」より。

OMAR BOOKS 川端明美

 
 
blooming at home -the scene of flowers- 暮らしに花を

期間:3/24(土)から 4/1(日)
open:14:00~20:00
close:月
場所:OMAR BOOKS
 
美味しいものや本や音楽。
私たちの生活には欠かせないもの。
お花もそうであってほしい。
あなたの毎日のワンシーンに、
お花を飾ってみませんか。
この期間だけ本屋がお花のある生活の場になります。
花と本の出会いをお楽しみ下さい。

 
ミニブーケ+本の限定セットもご用意してお待ちしています。

OMAR BOOKS 川端明美

 

OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp