NAKAI

 
 
リネンのハンカチ。
その感触にどっぷりはまったのはいつのことだったか。
 
 
tous les jours 
 
 
柔らかく、やさしい肌触りや選びごたえのある豊富なカラーバリエーションに
定評のある「リーノ・エ・リーナ」のハンカチ。
 
なんとなく「素敵だな、きれいだな」と思っても身につけるには抵抗のある色も
リネンのハンカチならすんなり取り入れることができる。
 
沖縄の短い春を堪能するなら手元にシャーベットカラーをどうぞ。
 
tous les jours
 
「長い日差しの季節に負けない」そんな意志を感じるカラー。
 
tous les jours
ハンカチならこんな華やかな色だっていいよね。
 
シンプルシックが好きな方へ。
 
tous les jours
ぶれないという響きに憧れを覚えます。
 
夏を意識するボーダー。
 
tous les jours
ストライプの幅の太いもの、細いもの、
ブルー系だけが夏というわけではないのです。
 
ハンカチだけど、お弁当包みに。
ハンカチだけど、首元にくるっと巻いてポイントに。
水分をぬぐう以外にも活用してみる。
 
自分用に、ご家族用に、誰かへの贈り物として。
 
tous les jours
 
手に取る人、それぞれの暮らしの中へ。
 
tous les jours
 
リネンのハンカチです。
 
写真・文 占部 由佳理(tous les jours店主)


 
tous les jours(トレジュール)
那覇市首里儀保町2-19
098-882-3850
open:水~土
12:00-18:00
(変更あり。毎月の営業日をブログでお知らせしております。)
blog:http://touslesjours.ti-da.net


関連記事:ひとつ先のくらしを提案するtous les jours(トレジュール)

NAKAI


 
「アースデイ沖縄 2012」
日時:4月22日(日) 11:00~
場所:浮島ガーデン
詳しくはブログにて。
  ↓ ↓ ↓
http://ukishima.ti-da.net
 
今年は福島ほか各地でアースデイが立ち上がると聞きました。
そろそろ本気で地球を護る活動をしていかなければ
子供たちに美しい自然環境を残せそうもないのが今の現状です。
 
浮島ガーデンは「食べることを通して未来を変えてゆきたい」という想いで、
農家さん、そしてアースな物を創っているアーティストさんたちと一緒に
「アースデイ沖縄 2012」を行うことにいたしました。
 
まず誰もができるコト、それは食べ物を見直すこと、変えることだと
思っています。
 
地球にいいものは人の体にもいい。
地球によくないものは人の体にもよくない。
無農薬・無化学肥料で大地を汚さず栽培している農家さんたちの
新鮮で安全なお野菜のハルサーズ・マーケットや
オーガニック野菜を使ったフードコート。
 
他にエコでアースなグッズ販売、虹色草木染め・kittaの素敵なお洋服、
桑村ヒロシ写真展やライブ、
キャンドル・ナイト用にペットボトル・キャンドル・ホルダー作りなど、
楽しい催し物もご用意していますので、ぜひいらして下さいね。
 
一周年の感謝を込めて
浮島ガーデン☆中曽根直子

 

NAKAI

真夜中百景1
木下晋也・著   リトルモア  ¥1,260/OMAR BOOKS
 
― こんな夜、あるよね ―
 
4月も半ばを過ぎた。
新しいことづくめで知らず知らず気を張って過ごしている人も多いのでは?
そんなとき、ほっと肩の力が抜けるような一冊を今回はご紹介します。
 
人気漫画家・木下晋也さんの『真夜中百景1』はシンプルな8コママンガ。
真夜中の、私たちの身近によくある風景を切り取ったものが100篇収められている。
こんな夜、こんなこと(人)ある(いる)よね~とぷっと吹き出すことが何度も。
いつでも中断できるように軽い気持ちで読み始めたら、
次はどんなんだろうと気になってあっという間に読み終えてしまった。
 
例えばこんなシチュエーション(想像してみてください)。
 
「今夜は一人で、のんびりビールでも飲みながら
DVDでも観て過ごそうとお風呂上りくつろいでいたら、
友達から電話があり今から遊びにうちに来ると言われる。
しょうがないなあ、2人で楽しむかと
友人のビールを用意していたらチャイムが鳴る。
扉を開けると目の前には近所に住む友人たちが勢ぞろい」
(本編にこの場面はないです)
 
それを木下マンガでは夜空を背景に短いセリフだけが配される。
 
「いくら近いからって全員でこなくてよくない?」
 
たったこの一言で苦笑いする主人公のその状況や絵が目に浮かぶ。
 
他にも真夜中の美術館の警備員の奇行、
タクシー運転手のよくある話、
子供の寝静まった夫婦の会話が笑いを誘う。
 
その切り取り方の妙は読む人問わず楽しませてくれること間違いなし。
 
今この時間、みんながそれぞれの夜を過ごしている。
そう考えるとどこか安心してしまうのは私だけだろうか。
変わり映えしない、何千回、何万回を繰り返されるどこにでもあるような毎日。
この本はこのことをさりげなく、そして温かく肯定している。
 
残業や試験勉強で頭を使い過ぎてクールダウンしたいとき、
あるいは昼間につらいことがあった夜などにこの本を開いてほしい。
日中の疲れも沈んだ心も読みながらくすくす笑っているうちに
すっかり軽くなっていることに気付くと思う。
 
心の重石を取り除いてくれる真夜中の優しい物語。
もしかしたらあなたの夜もこの中に見つけることが出来るかもしれない。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

Day1
沖縄スナップ
Tシャツ:COMME CA ISM 
 
沖縄スナップ
ハンチング:NEWYORK HAT スカート:MAITRESSE
 
沖縄スナップ
バッグ:genten 
 
Day2
沖縄スナップ
ショール:「虹の家」で買った布地で自作
 
沖縄スナップ
靴:ビルケンシュトック
 
Day3
沖縄スナップ
ワンピース:VintageYard(ビンテージヤード)
 
沖縄スナップ
 
沖縄スナップ
靴:repetto  靴下:靴下屋
 
Day4
沖縄スナップ
ワンピ:H&M  レギンス:無印 靴:repetto
ショール:「虹の家」で買った布地で自作
 
沖縄スナップ
バッグ:Max Mara
 
沖縄スナップ
ハンチング:NEWYORK HAT イヤリング:used
 
Day5
沖縄スナップ
ワンピ:自作
 
沖縄スナップ
バッグ:自作
 
沖縄スナップ
靴:nakamura(東京にあるオーダーメイドの靴屋)
 
撮影:魔法珈琲
 
Day6
沖縄スナップ
ワンピ:自作
 
沖縄スナップ
 
沖縄スナップ
バッグ:自作
 
沖縄スナップ
靴下:Ayame’(アヤメ)
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
とにかく布が好き。
それが理由で、布地を販売する店で働いていた。
 
「給料を頂いても結局お店で使っちゃう(笑)。
デザインを見るのも好き、触るのも好き。
だから、働いている時間もずっと幸せでした」
 
ワンピースを自作できるほどの縫製の腕前も持つ。
 
「お友達に頼まれて服を作ることもあります」
 
今年は、自分のブランドの服を販売するウェブショップを立ち上げる予定だ。
 
ミシンなんて持ってないし・・・という方にも真似できるのが自作ショール。
 
「自分の大好きな柄の布地を必要な長さだけ購入して、
端の糸を何本かほどいてフリンジ風にするだけ。
三角に織って羽織ればショールになります」
 
おしゃれ費の中で、もっとも予算を割くのはバッグと靴。
 
「この2つだけは安物買いはしないようにしています。
良いものは使えば使うほど味も出ますし、長く使えるから」
 
 
また、ぱっと目をひく小物遣いも秀逸。
イヤリングもピアスも可愛いが、
最たるものは靴下!
 
「好きなんですよね〜。
特にDay6で履いた靴下のブランド『Ayame’(アヤメ)』はおすすめです」
 
小技をぴりりと効かせると、
一気にファッション上級者という風情になるが、
小物だけにとりいれやすい手軽さも。
 
あなたの靴下入れにはどんな色がつまっているだろう?
白、ベージュ、黒、グレイ・・・
そんな無難なカラーばかりで埋め尽くされているとしたら、
今年の夏は靴下で遊んでみては。
ビビッドカラーを差し色にしてもいいし、
薄手の靴下をヒールサンダルに合わせても。
 
メンズライクなパンツやデニムにスニーカーではなく、
ビビッドカラーの靴下とヒールサンダルを合わせれば、
定番アイテムも新しい表情になる。
 

写真・文 中井 雅代

 

NAKAI


 
「パン粉焼きにしたり色々試したけれど、白身魚は結局、シンプルなソテーが一番おいしいなって」
 
下味はぬちまーすとピパーチのみ。表面がかりかりなのは弱火でじっくりと焼いているから。高級な素材を用いているわけではないのに、その味わいには凛とした品がある。
 
とろりとしたソースは「豆乳とキャベツをベースに、もずくでとろみをつけました」。
 
魚ともずく、海の幸同士の組み合わせは互いの良さを引き出し合う。
 
「ソースになかなかとろみが出ず、思いつきでもずくをいれてみたらとろみが出ただけでなく味にも深みがでました」 
 
ご飯、サラダ、スープもついて760円という低価格も嬉しい。
 

 
舌触りがまろやかなのでパクパク食べすすめていくと、後からじわじわと辛さがやってくる。最初からその辛さに気づかないのは、ふんだんに入れられた野菜の甘みが辛味を調和しているからかもしれない。
 
「最初に野菜のスープを作るんです。イーチョーバー(フェンネル)やハンダマーの茎などをたっぷり入れて煮出した、薬草スープみたいなもの。そこに、とろみがつくまでことこと煮込んだにんじんをたっぷり入れています」
 
辛味は島唐辛子とピパーチで。
 
「ピパーチというのは八重山に自生する胡椒のこと。沖縄のハーブや野草を沢山使った料理を出したくて店名につけました」
 
八重山出身の安信(やすのぶ)さんは、高校生の時から「まるでお風呂に入るのと同じように」料理をしていたと言う。
 

「温玉を乗せるとまろやかになりますよ」カレーはサラダ付きで650円
 

タイム、ピパーチ、ローズマリーをシーズニング、1日以上漬け込んでから焼くハーブマリネのポークステーキは870円。「私はこれが一番のお気に入りメニューです」と妻のマリヤさん
 
「八重山では、高校生はみんな一度帰宅してお昼ご飯食べるんですよ。これって島ならではかもしれませんね。でも、家に着いてもご飯が用意されてるわけじゃなくて、母が切った野菜が置かれてるんです。それを自分たちで炒めて昼食にしていました。炒めるのって2〜3分じゃないですか? 簡単料理です。これが我が家の教育でした、母がラクするための(笑)。でもそのおかげで、料理するのは当たり前でしたね、僕だけじゃなくて兄弟みんな」
 
高校生の安信さんにとっては、料理は生活の一部でしかなかったが、大学進学を機に上京し、バイトで飲食店に勤めたのがきっかけで一気にのめりこんだ。
 
「料理を作るのが楽しくて、ずっと働いていました。もともと絵を描いたり粘土をしたりと、手を動かして何かを作ること自体も好きなんです」
 
店で使用する食器も、すべて安信さんの手づくりだ。
 

 

 

 
知り合いの紹介でアメリカの寿司屋で働いたこともあるという。
 
「店で出してるのは日本食だったけど、まかない料理が面白くて。メキシコ人が沢山働いてたから、メキシコ料理もよく食べました。すごくおいしかったし、彼らの作り方が僕にとっては斬新だったんです。玉ねぎの切り方一つとっても違っていて、衝撃でした」
 
その後大阪の韓国総菜屋でも働いて経験を積み、2011年12月、沖縄にもどって店をオープン。
 
コンセプトなど明確に決めていたわけではなかった。
 
「漠然と考えていたのは、とにかく気軽に入れるお店。だから、カフェというよりは定食屋のようなお店にしようと。そして、県産品を使った料理をお出ししたい、そう思ってオープンさせました」
 

副菜は県産芋のはちみつレモン煮、ゴーヤとキャベツのスペイン風オムレツ、もずくの煮こごり、クレソンのしらあえと野菜たっぷり
 

 
メニューは週替わり。魚、豚肉、鶏肉がメインのものと、カレー、やんばる鶏の親子丼の5種だ。
 
「魚と肉は必ず、そして野菜もなるべく県産のものを使っています。野菜を多品目使うことも心がけていて、
カレーと親子丼以外のメニューには副菜も4品おつけしています」
 
米にもこだわっている。
 
「毎日精米したての米を届けてもらって、一日何回も炊いています。朝一気に炊くのではなく、営業中もずっと炊いていて、1日7回くらいは炊いてますね。ご飯屋さんは米が命だと僕は思っているので」
 
男性客への配慮も。
 
「カフェだとお腹いっぱいにならないという男性が多いと思うので、当店では特に男性にはご飯を多めによそい、ご要望があればおかわりもお出ししています。せっかく来ていただくのですから、満腹で帰っていただきたいなと思って」
 

 
食後に100円で飲めるコーヒーも、自家焙煎するほどこだわっている。
 
「ホットはインドネシアのマンデリンを単一使用、アイスはブラジル、コロンビア、インネシア産をブレンドしています」
 

焙煎後に殻を飛ばすのも手作業
 

 
「当店のコーヒーは陶器焙煎です。この焙煎器は、陶芸の先生が作ってくださったもの。シーサーの形なんですよ(笑)。陶芸教室で、一休みのときに先生がコーヒーを淹れてくださるのですが、それがとてもおいしくて。一口飲んですぐ、『これは普通のコーヒーじゃないな』と。うかがったら陶器で焙煎しているんだよとおっしゃって。それから焙煎のしかたなども教えて頂いたんです」
 

 
ふんわりとまるみのある味わいなのに、そこはかとない深みもある。不思議な感じがするのだが、文句なしにおいしい。喉にひっかかるような渋みがなく、後味もおだやかで優しい。
 
それはまるで、安信さんの人柄そのもの。
 
「実は私、ずっとコーヒーが飲めなかったんです。本当に1年くらい前まで。でも、安信の陶器焙煎したコーヒーがすごくおいしくて、それから飲めるようになりました」と、妻のマリヤさん。
  

 
夜も昼と同じメニューが食べられるが、これからは夜のメニューを増やしていきたいと言う。
 
「夜はお酒も出しているので、スモーク系のメニューを充実させようかなと検討しています」
 
「私はスイーツを作ってお出しできたらいいなと思っているのですが…。できるかぎり頑張って、皆さんにもっと喜んで頂きたいですね」
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 
若い夫婦だが、驚くほどに実直だ。二人で手づくりしたという店の内外装は「誰でも気軽に入って、ゆっくり寛いでいただけるように」。メニューもコンセプトも「いっぱい野菜を食べていただきたいから」。いつも食べるひとのことを第一に考えている。自分が大事にされている、そう感じさせてくれるマリヤさんの接客もまた、素晴らしい。居心地の良さの最大の理由は、二人の思いやりの深さなのだろう。
 
安信さんは手先が器用なだけでなく、几帳面な性格でもあるようで、盛りつけ時も真剣そのもの。長身を曲げ、陶芸に没頭しているかのような姿勢で丁寧に盛りつける。料理を一口食べれば、その几帳面さ、丁寧さ、実直さのすべてがありありと伝わってくる。
 
「誰でも気軽に入ってほしい」という二人の願い通り、年配の常連さんも多い。
 
老若男女すべての年代に愛され、毎日通いたくなる店。二人の打ち立てたコンセプトにはなかったかもしれないが、ピパーチキッチンは必然的に、そういう店になりつつある。
 

写真・文 中井 雅代

 

ピパーチキッチン
住所:那覇市西2-6-16
電話:098-988-4743

 

営業時間:
月〜木:11:00-16:00(ラストオーダー15:30)
土日祝 :11:00-16:00(ラストオーダー15:30)
     18:00-22:00(ラストオーダー21:00)
定休日:金曜日
ブログ:http://piparchikitchen.ti-da.net

 

NAKAI

文:幸喜 朝子 写真:大湾 朝太郎
(※松堂今日太作品画像、pokke104画像を除く)

 
4月にロンドンで行なわれるウチナーンチュ作家の展示会LOOCHOOに参加する作家さんを、実行委員会メンバーであるブエコこと幸喜朝子が紹介します。
今回は、ガラス作家の松堂今日太さん、イラストレーターのpokke104さん、画家の大城英天さんを訪問。
 
 
LONDON meets 松堂今日太
 
光を受けてきらきらと輝くガラスのオブジェ。
一見ティアラのように見える作品のタイトルは「見えない境界」。
沖縄に居座り続ける米軍基地を、ガラスの有刺鉄線で象徴的に表現している。
 

 
ガラスに限らず透明なものが好きというガラスアーティストの松堂今日太さん。
 
「ガラスだけじゃなくて水とか海とか空気とか、
透明なものが好きなんです。
目の前に透明のかたまりがあるだけで幸せ(笑)」
 
そう話す今日太さん、初めてお会いした第一印象は驚くほどやわらかい。
紳士的な物腰と丁寧な口調が好印象で
少し話せばきっと誰もが引き込まれてしまう、そんな方です。
あんな激しさを持つ作品がこんなにも穏やかな方から生まれるとは。
 

 
「作品で毒抜きしてるんです(笑)
僕は現代美術の中でも社会派。
社会へのメッセージや批判を言葉じゃなく
もっと余白を入れながら作品で提案したい」
 
余白を入れるというのはつまり、見る側に考える余地を与えるということ。
ダイレクトに答えを迫るのではなく、相手にゆだねる。
ああ、なるほど、やわらかな物腰で鋭いメッセージを放つ…
今日太さんのガラス作品はまるで今日太さん自身のようだ。
初めは真逆に思えた作品と今日太さんの個性が、話を聞いていて重なった。
 

 
「もともと社会学科出身なので作品に社会的なメッセージを
折り込むべきだと思って」と話す今日太さん。
強烈な作品を見て賛否両論、むしろ批判されるのが楽しみで
批判がないと「失敗だ〜」と思うこともあるんだとか(笑)。 
 
今日太さんは大学卒業後、東京ガラス工芸研究所に入るも
お金が続かず1年で退所。日本におけるガラスの発祥地長崎で
観光客向けの器を制作していましたが
もっとデザインを学びたいという思いからニューヨークへ。
そこで運命的な出会いと体験が待っていた。
 
「ある日、N.YのBOOK-OFFで立ち読みしてたら
演出家の宮本亜門さんが沖縄に家を建てた、っていう記事が載ってて
「やられた!」と思ったんですね。
その家は海辺にあって、いろんなアーティストや工芸家、舞踊家が集っていて、
すごく自分もやりたいと思ってたサロンのようなスタイルだったから。
それで亜門さんのことを知ってたんですが
そのあと偶然、N.Yの日本人のグループ展のギャラリーでご本人に出会ったんです」
 
その後2人はAMON&KYOTというユニットを組むことになり、
偶然の出会いは必然となった。
もう一つ、N.Yでの運命的な体験は9.11、2001年の同時多発テロ。
テロが起きたまさにその時、今日太さんは航空機が突入した
世界貿易センタービルの対岸にいた。
 
「僕、その時ちょうど対岸にいたけど何が起こったか知らなかったんです。
すごく晴れた気持ちのいい日で、
いろんな人がカフェテリアでコーヒーを飲んでいたし
みんな気持ちのいい日常をすごしていた。
だから家に帰ってテレビであのテロを知って、なんで!?って。
信じられませんでした」
 
さらに日本に戻り活動拠点を東京に移した今日太さんは
昨年3月11日、東日本大震災をも経験する。
その時制作していたのはガラスの「心臓」だった。
 

 
「これは『1/7,000,000,000』(70億分の1)
というタイトルがついてるんですが
昨年、世界の人口が70億人に達したんですよね。
これって人類の歴史上最高の数じゃないですか。
自分はその中の1人なんだと思って。
3.11を経験してもまだ生きてる、今でも生かされてるんだって」
 
繊細な心臓はパイレックス(耐熱)のガラスを用い酸素バーナーで作る。
レースを編むようにつくるこの技法はとても難しく、高度な技術を要する。
でも今日太さんはその技法を習得して3ヶ月で「心臓」を制作。
周囲からは「3ヶ月でこんな大作を作れるなんて、あり得ない!」と言われたそう。
 
 
しかし、まさにその制作中に3.11は起きた。
心臓は奇跡的に無事だったものの、しばらく物作りができない状態が続いた。
どんなメッセージもモノ作りもあの大震災の前に無力に思えた。
 
そんな時、スタジオにあったのが世界でも希少なウランガラス。
ごく微量のウランを含んだガラスで、紫外線をあてると美しい緑色に発光する。
これを今使わないでどうする。
今日太さんはそんな想いに突き動かされ「壊れたDNA」を制作。
「ウランガラスでできた壊れたDNAが、合わせ鏡によって延々と続く」
というコンセプトで、地震によって安全神話が崩壊し
生命の根源DNAさえも脅かすこととなった原発への痛烈なメッセージだ。
 
 
 
9.11と3.11。大きな節目を2つも経験した今日太さんが
LOOCHOOで展示するのは沖縄流の「Say Hello!」。
 
「クリプトギャラリーがもともと教会で
今も577体の遺体が眠っていると聞いたから
その577人の見えない人達に
Say Hello!を言うための沖縄らしい儀式として
ウチカビを床にしきつめてヒラウコウを置いて(笑)
そして僕のセルフポートレートとしてガラスの心臓を置く。
琉球人の私がご挨拶にきましたよ、っていうインスタレーションです」
 
ウチカビを段ボール2箱分も買って(!)
公設市場のおばちゃんに怪しまれたという今日太さん。
ロンドンの人が見たら「なんで死んだ人にお金あげるの?」って
ユニークに感じるはず、と笑顔。
この島には県外や国外など沖縄の外に出たからこそ
見える良さがあると言う。
 
「僕は沖縄にいる外国人の友だちがすごく多いんですけど
みんな沖縄を愛してるんですよね。ある意味沖縄の人以上に。
なぜなら沖縄って世界と比べてもものすごいユニーク。
特に信仰とか基地のバックグラウンドがありながらも
琉球王国の文化が根付いてるユニークさにはみんな興味を持つ。
だからロンドンの人からどんな反応がくるかすごい楽しみ」
 
 
床に敷き詰められた黄色い紙と、とまどうロンドンの人たち。
そんなロンドンの一場面を想像してワクワクするのは今日太さんだけじゃないはずだ。
 
————————————————————

LONDON meets pokke104
 
 
「小学校の頃はマンガ部だったんですよ。
マンガ読むだけの部(笑)」
 

 
花や珊瑚、ジュゴン、葉っぱ、蝶。
pokke104さんのイラストは自然のモチーフがほとんど。
それこそキャンバスから溢れるほどに自然が描かれていて、とても賑やか。
だから花や木々に囲まれてのびのび、沖縄版ハイジのような
少女時代を過ごしたんだろうなぁと想像していたのですが
意外や意外、マンガばかり読んでいたという。
 
「スラムダンクとかスポーツマンガが好きでした。
でも一番好きなマンガは『マンガ日本昔話』!
絵とか声とか、見てて安心しますよね〜」
 
地味な色味の印象があるマンガ日本昔話ですが
今でもDVDが欲しいぐらい好きなんだそう。
さらにテレビからも影響受けてますよ、とpokkeさん。
 

 
「ドラマの『裸の大将』見てました!
あれって、山下清がいろんな所に行ってちぎり絵で作品を描いて
おにぎりをもらってみんながハッピーになって…
私もそういう生活したくって(笑)」
 
絵を描いておにぎりをもらう大人にはならなかったものの(笑)
pokkeさんの転機のひとつである2006年のサントリーミュージアム賞の
受賞作品がちぎり絵なのは、もしかするとこのドラマの影響かも…しれない。
 
 
それにpokkeさんの作品はちぎり絵ではないけれど、たくさんの色で構成されている。
例えば私には白一色にしか見えない白鳥の羽も、
ピンク、水色、オレンジ、紫、黄色…たくさんの色数。
pokkeさんはどうやってこの色をイメージしているんだろう?
 

 
「あ…私はこれが普通だと思ってました(笑)」
 
そう笑うpokkeさん、信じられないことに高校生の頃まで
色使いが苦手でコンプレックスだったそう。
 
「高校の先生に色作りを徹底して教えてもらったんです。
映画とか見てて色使いがかわいいと思ったら『色をメモする』。
この色を作るには、これとこれ、っていう風に
配合を自分なりに書きとめて。
お料理と一緒で、この料理には砂糖何グラムで
塩が何グラム、って配合がありますよね。色も配合が大事なんです」
 

 
そうして色作りをマスターしたpokkeさん。
苦手だった色使いはむしろゆるぎない個性となった。
 
pokkeさんが描きたかったのは「海」。
 

 
「20歳の時にダイビングで海の色に感動して
ブダイとかイソギンチャクとか、すごく描きたかった。
私は色を通して『この島に生まれてよかった』と思ったんです」
 
たくさんの眩しい色で溢れる沖縄だからこそ生まれたpokkeさんの作風。
LOOCHOOに出す作品のタイトルも「産まれる喜びの色たち」。
結婚式でおなじみの「かぎやで風」からインスピレーションを得ています。
 
「『今日の喜びを何とたたえる事ができましょう。
まるで蕾の花が朝露を受けて
ぱっと咲き開いた様な心持ちです』
 
このかじゃでふう(かぎやで風)の歌詞って、
日常できれいなものを見た時に
幸せって思う感覚と同じなのかな、って。
こういう当たり前の感覚を
もっともっと大事にしたいと思ったんですよね。
だから踊る時の衣装の紅型の模様とか房指輪とか、
かじゃでふうに関するいろんなモチーフを
キャンパスの中につめ込んだんです。
この作品が私なりの「沖縄の色」なんですよね。
LOOCHOOに来てくれた人が
あ、沖縄にいる、って感覚になってくらたら嬉しいな」
 
 
初めての海外もわくわくが大きすぎて不安は感じないというpokkeさん。
 
「つねに新しいこととか楽しいことをやっていたい。
マラソン選手とおんなじで、やらないとなまっちゃう。
臆病なんでですよ、きっと」
 
そう語る瞳はロンドンに向けたわくわくで
素敵な色に輝いていた。
 
 
—————————————————————
 
 
LONDON meets 大城英天
 

英天さんのアトリエに向かったのは夜22時。
右手にはパソコン、左手にはビールとブエノチキン。

「取材OK、飲みながらな!」
 

 
そんな英天さんからのメールによりビールとおつまみ持参です(笑)
夜の闇に浮かび上がる灯り、雑然と並ぶたくさんの大きな絵たち。
作家さんご本人の作品を見ながらの取材はなんとも贅沢。
制作中の作品に囲まれながら(飲みながら)取材スタート。
 

 
※鍋のブエノチキンを取り分けてるのが筆者のブエコ
 
英天さんの作品はいつも“ライブ”だ。
ライブペイントはもちろん、アトリエで描く時も
その時のインスピレーションで描いていく。下書きはない。迷いもない。
 
「描くものに間違いはないからね。
絵を描くのは『電話しながら落書きしてる』感じ。
ライブペイントが一番そう。
音を聞きながら落書きしてる」
 
英天さんの「落書き」の感覚は
絵を初めて描いた頃から変わらないのかもしれない。
 
「最初に描いたのは小学校3年生。
Tシャツに『釣りキチ三平』描いた。
欲しいTシャツがなかったからさ。超似てたよ(笑)」
 

 
今でこそ当たり前のアニメTシャツを数十年前に作っていたとは!
さらに中学では友だちのジーンズ、高校ではクラブの壁と
英天さんのキャンバスはどんどん大きくなっていった。
でも、そのまますんなりと画家の道に進んだわけではない。
専門学校を卒業後、鉄の美しさに魅せられ鉄筋工へ。
 
「実は高校生の時に鉄筋工のアルバイト行ったわけよ。
それがきつすぎてさ、一生したくない仕事だと思った(笑)」
 
二度とやりたくないと思ったはずの鉄筋工の仕事を12年も勤め、
英天さんは知識と技術を極めた。
そして31歳になり、絵の道へ。
もともと30歳で鉄筋工を辞めると決めていたそう。
だからこそ英天さんはきつい鉄筋工の仕事をしながら絵を書き続けた。
 
「仕事のあと他の人がキャバクラとか行ってる間に
自分は絵を描いてて、50点はあった。それで個展をやったわけさ」
 

 
そうして2002年、描きためた作品で初の個展を開いてから
つぎつぎと縁や人脈がつながり、
県内外はもちろんN.Y、香港など海外でも個展を開くまでに。
先日もモンゴル800のキヨサクさんを中心としたセッション集団
「The NO PROBLEM’s」のメンバーとして
タイでライブペイントをしてきたばかり。
 
「もちろん鉄筋工やってる時は
俺なにやってるんかな〜って思うこともあったよ。
ずっと応援してくれてるMIMU de OMUの
OMUさんにも『いつ絵やるの?』って言われたし。
でも、鉄筋工をやってたから今があるわけさ」
 
英天さんの言葉通り、今では鉄の作品が様々な店舗に置かれ、
絵にも鉄のモチーフが活かされている。
取材の数日前には久茂地にオープンする飲食店に
鉄の大きな鳥かごを納品したばかりだという。
ちなみに取材したのはLOOCHOOの作品〆切り2日前。
にも関わらず、まだまだ他の仕事があると言うから、その多忙ぶりに驚く。
いつLOOCHOO作品描くんですか!?
 
「いつも夜中3時ぐらいまで描いてるよ。
そのあと5時までアニメ見て、8時に子供と起きる。
でも疲れてる方が作品も進むんだよ。
自分はヒマなのがだめだわけさ。
一生止まれないマグロと一緒(笑)」
 
動けばお金も回るからさ〜と笑う英天さん。
どんどん動くことで様々な人とつながってきたそう。
LOOCHOOに出す作品に描かれた“電波”も、つながりを表している。
 

 
「(作品の)3つの円は過去の太陽、未来の太陽、今の太陽。
でも結局どれも同じ太陽ってことを表現してる。
これ(太陽の横のモチーフ)は電波。
みんな電波を出してるから、つながるんだよ」
 
 
下書きなしで描く絵のように、
人生もつながりと感性に身を委ね大きく飛躍していく英天さん。
ロンドンでどんなつながりが生まれるのか楽しみです。
 
 
——————————————–
 LOOCHOO展
 日時:2012年4月25日〜30日
 場所:ロンドン クリプトギャラリー
 HP:http://loochoo.ti-da.net/
——————————————–
 
 
■プロフィール
【松堂 今日太】:ガラスアーティスト
大学で社会学を専攻。東京ガラス工芸研究所を経て、長崎県のガラススタジオで吹きガラス制作・デザインを担当。渡米し、ニューヨークのナショナル・アカデミー・オブ・デザイン・スクール・オブ・ファインアーツに通うかたわらアーバングラスでガラスを制作しギャラリーやショップで作品を展開。04年日本クラフト展入選。帰国後は演出家の宮本亜門氏のオペラ、ストレートプレイ、ミュージカル演出のアシスタントをしながら、自身のガラス作家としての活動もこなす。
07年琉球ガラスと漆を融合させたLaglassのデザイン。08年に宮本亜門氏と「ゴッドデザイン展 」で 透明性のあるガラス、アクリル、プラスティックを用い、11年には「 Unseenミエナイモノ展 」を開催。近年はパイレックスガラスを使用した作品を展開している。
 
http://www.commons-sense.net/blog-08/ 
インターナショナル ファッション マガジン
「commons&sense」松堂今日太オフィシャルブログ
 
 
【池城由紀乃 pokke 104】:イラストレーター
沖縄の伝統工芸や植物、海の生き物、自然に深くインスパイアされ、それらをモチーフにした独特のタッチと色彩で知られる。ライヴペイントや児童からお年寄りまでを対象としたワークショップ、広告媒体イラスト、壁画、テキスタイルデザインなど活動は多岐にわたり、県内の女性イラストレーターの第一人者ともいえ、その活動は県内外で評価され、ウォルトディズニー社とのコラボレイトなどでも広く知られる。06年の大阪アートストリームライヴペイントにてサントリーミュージアム賞受賞。今回はHCCTでのアートワーク活動も決定。
沖縄市出身
 
http://www.pokke104.com/ pokke 104 HP
 
 
【大城英天】:画家 
ペンキ、色鉛筆を使用した作品と鉄筋を素材としたオブジェ等を創作。02年から精力的に毎年個展開催。08年7月初の海外個展をNEW YORKで開催。10、11月NEW YORKでグループ展開催。     12月沖縄のアーティストバンドMONGOL800のCDジャケットを手がける。09年6月宮古島ロックフェス(後夜祭LIIVE PAINTING参加)7月東京銀座Jtrip Art Galleryで波紋開催、9月プラザハウスグローバルギャラリーにてSTEEL WORKS EXHIBITION。10月MONGOL800gaFES, What a Wonderful World09にLIVE PAINTINGでの参加。11年那覇市さいおんスクエア内カーゴスギャラリーで第一回の作家として個展を開催。 同年10月に田仲洋やpokke104等と再度MONGOL800主催のWhat a Wonderful Worldにライヴペイントで参加。県内若手を代表する画家。豊見城市出身
 
http://www.eiten-style.com/ 英天HP
 

NAKAI


 
講師 佐野まりも(トータルビューティーアドバイザー)
http://sanomarimo.ti-da.net/
 
場所 大人の寺子屋 時代屋かなすけ塾室 
(宜野湾市真志喜) 
 
日時 月2回/火曜日 13時~15時 
受講料 5,250円 入会金 2,100円
 
ご予約・お問い合わせ
時代屋かなすけ
店主KANASUKE(川上加奈子) 
098-899-1550/090-7585-8542
http://jidaiyakanasuke.ti-da.net

 
★5 月は体験レッスン!! 
5月8日(火)13時~15時 「前髪とポイントメイクでイメージが変わる」 
5月22日(火)13時~15時「姿勢とコーディ ネイトでマイナス3kg&マイナス5歳!?」 
※体験レッスンは1回のみの受講可能。(1回2,800円)入会金も要りません。
 
 
 

NAKAI


 
先日、久高島へ行って来ました。浜辺にはアーサがびっしり。
島のいたるところに桑の実が鈴なって、ニガナやセンダン、カタバミ、ハマゴウなど、野草満載。道草を喰いながら散歩していたら、ふと、ボーダーインクの聞き書き・島の生活シリーズ『野山がコンビニ』という本を思い出しました。
 
わざわざ買い物に行かなくても食べるものってこんなにあったんだ…!
ほんとに『野山がコンビニ』だわ。
 
でも、野草の中には毒性の強いものもあるので、不安に思ったらヤギに聞くと良いそうです。ヤギは毒のあるものはくわえても出すそうですよ。
 
『野山がコンビニ』を読むと、昔の子供たちって賢かったんだなぁってちょっとした感動を覚えます。食べられる木の実は全部知っていて、競って食べていたそう。特に桑の実やヤマモモなど格別においしい実のなる木はどこにあるのか見つけたら、内緒にしてこっそり食べていたとか。
 
今の子供たちにもこの知恵を授けて欲しい。
大きな災害があったとき、自給率20%の沖縄はあっけなく食糧難に陥るでしょう。
どんな環境でも生きていけるよう、ジンブン(生きてく知恵)を身につけたい。
何が起こってもおかしくない、そんな時代になっている気がします。
 
長命草=サクナも、どこにでも生えていますよね。
「一株食べれば一日長生き」と言われ、体の酸化を防止する栄養価の高い薬草です。
ひとクセある味わいなので、それを活かしたメニューを考えてみました。
フーチバーなどその辺にある野草も一緒に入れて作ってみて下さい。
『野山がコンビニ』を実感できると思います。
 
 
「サクナのパッタイ」
 
<材料>
サクナ 適量
玉ねぎ、ニンジンなどの野菜 適量
伊江島小麦麺(焼きそば・沖縄蕎麦麺でもオッケー)
ゴマ油 適量
白ゴマ 適量
万能ソース(前回のレシピを参照)
 
<作り方>
1 麺をゆがく。
 

 

 
2 ゴマ油をしき、野菜を炒め、万能ソースを半分絡める。
 

 

 
3 ②に麺を投入し、混ぜ合わせ、残りのソースを入れ、塩で味を調える。
 

 
4 白ゴマ、イーチョーバーなどをトッピングして出来上がり~☆
 

 

Text by 中曽根直子(浮島ガーデン フードデザイン)




浮島ガーデン
那覇市松尾2-12-3
098-943-2100
open:14:00~24:00
close:火
HP:http://ukishima-garden.com
ブログ:http://ukishima.ti-da.net