NAKAI

 
 
私は常日頃いろんな方々、そしてモノに憧れを抱きます。
 
tous les jours
 
島根県で作陶する安部太一さんの作りだすこちらの青。
このたびお店に届いた青の器は、私が初めて出会った時よりもアンティークを思わせる雰囲気が加速していました。
透明感を感じる青もいいけれど、まるで額縁に入った絵のような、そんな青もいいでしょう。
 
 
いつどこで自分の感性にピタッとはまるものに出逢えるかわからないものです。
私の場合は、たまたま見た拝見したネットショップの画像の中にありました。
画面越しながら見た瞬間につらぬかれた気持ちと、「百聞は一見にしかず」という言葉を頼りに、この器に会いに2年前倉敷で行われていたクラフトフェアへ訪ねました。
 
 
tous les jours
(2011年フィールドオフクラフト倉敷にて)
 
 
どこかの国で使われていたのかなと、自然と時代背景を思いめぐらせてしまう安部さんの器。
この感覚はどこからくるのだろうか。
 
 
こちら、古い時代に使われていたオイルポットを参考に作ったそうです。
一輪ざしに良さそうです。
思い思いの空間をつくって。

 
 
tous les jours
(オイルポット)
 
 
小瓶にキャンドルスタンド。
必ずしも必要なものではないはずなのに、置いたその瞬間から空間が作られていく、そんなふうに感じる。
そこに置くことで意味をもたせるような。
次に「なるほど」と、すっと腹におちる感覚がやってくる。

 
tous les jours
(キャンドルスタンド・小瓶)
 
 
口の大きなピッチャー。
コーヒードリッパーがちょうどセットできる大きさです。
ポットのように使っても。
また、無造作に切り花を生けてもきれい。
 
 
tous les jours
 
tous les jours
 
 
日々目にする文章や耳にする言葉、そして映像はどれもあわただしく右から左へ移行し、気がつけば過ぎしことになっていて。
だからこそ心の網に引っかかった言葉や、その時見た景色はとても大切で。
 
 
tous les jours
(花瓶使いによさそうなピッチャー)
 
 
直接お会いして交わした言葉は多くはありませんでしたが、
安部さんとのメールのやり取りや頂いたお手紙に胸を打つ表現があります。
紡ぎだされる言葉や文章は情感にあふれていて、羨ましくもある。
琴線に触れるってこういう時に使うのだなあと感じます。
 
 
tous les jours 
 
 
現在店内は安部さんの器がたくさん並んでいます。
静けさ、実直さを感じる安部さんの陶器に是非会いに来て下さい。

 
安部太一 
1975年島根県生まれ
27歳の頃まで音楽活動をして、その後、陶芸をはじめる
安部宏(父)のもとで5年程度技術を学び、2006年頃から展示会等、活動を始める
現在は、島根県松江市に工房移転、在住
 
Taichi Abe art of potter
http://taop410.com
 
写真・文 占部 由佳理(tous les jours店主)


 
tous les jours(トレジュール)
那覇市首里儀保町2-19
098-882-3850
open:水~土
12:00-18:00
(変更あり。毎月の営業日をブログでお知らせしております。)
blog:http://touslesjours.ti-da.net


関連記事:ひとつ先のくらしを提案するtous les jours(トレジュール)

NAKAI

「豊永盛人と石川昌浩」展
 
3月15日(金)〜24日(日)
11:00~20:00
注:15日はイベントの為、18時閉店。
19日火曜日は店休日です。
 
岡山くらしのギャラリー本店にて。
http://ameblo.jp/okayama-mingei
初日と翌日、在店しています。
 
・ライブペインティング
在店中の15日、16日の二日間、豊永が石川の硝子に即興で絵付けします。出来た物は会期中に販売致します。
 
・トークイベント
15日(金)PM19:00から城下公会堂3F「リョパ」にて、豊永と石川を囲み、おしゃべりしながらのお食事会です。
会費5000円、おみやげ付きで、定員20人です。予約が必要です。
 
予約は、くらしのギャラシー本店まで。
 
くらしのギャラリー本店
岡山市北区問屋町11-104
tel:086-250-0947
 

NAKAI

そうはいかない 佐野洋子
佐野洋子・著 小学館 ¥1,575
 
 遠くばかり、あるいは近くばかりを見ていると遠近の感覚が変になるように、仕事のこと、家庭のこと、プライベートのこと何かひとつにどっぷりとはまってしまうと、どこかずれてしまっている自分に気付く。
 
そんなときは軌道修正とばかり他人のエッセイを読みたくなる。それも日々の生活を綴った、くだらなければくだらないほどいい。
 
フィクションなのか本当のことなのかは佐野さんのエッセイの場合、もうそんなことはどうでも良いのです。それより次、また次と繰り出される毒がピリッと効いた人間模様。誰もが持っているかっこ悪かったり、ずるかったり、弱いかと思えば強かったりする部分。そこをピンポイントでつついてくるその絶妙な語り口に中毒になる人は多い。
 
今回ご紹介する本も例にもれず、ふっと笑いがもれたり、ちょっとぞっとしたり、うんうんと共感したり、しんみりさせられたり、と堪能させて頂いた。
「100万回生きたねこ」の作者として彼女の絵本しか知らない人はきっと驚くはず。いやあの絵本の作者らしいと、納得するかもしれない。
  
目をそらさない人、なんだろう。人は複雑な「いきもの」でそんなにきれいなものじゃない。家族、生活、年をとること。誰もが直面する日々の出来事。その中にはときに見たくないこと、認めたくないことだってある。
でも彼女はそんなときこそ、目をそらさずにじっとその対象を見つめる。「私、もっと変な人を見ていたい」と。
そしてその彼女の視点の独特さ、鋭さで、人の生々しい、どろどろした部分もカラッと明るいものに変えてしまう。その手際の良さ!
  
佐野さんがエッセイで人を描くベースには、滑稽で情けないからこそその存在が愛おしいという想いがあって、読者にはっきりとそれが伝わるからこそ、オブラートに包まずあけすけに語られても嫌味がない。逆にそれが魅力にもなる。一つ一つのエピソードを読むと、人ってそんなものだよね、と元気をもらう。
 
本人によるイラストレーションが挟まれた33篇の物語エッセー。惜しくも2010年に亡くなられ、その彼女の最後の一年を追ったドキュメンタリー映画も作られた。彼女の人となりを知って後読む「100万回生きたねこ」はまた違った風に楽しめるかも。
 
同著『役に立たない日々』、『シズコさん』も合わせておすすめです。

OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

LEQUIOデザイナー 嘉数 義成

 
 
使うということは消耗すること、
すり減っていくという事だと思う。
すり減って来たら新しいものに交換しまた消耗して行く…。
 
 
でも使う事で消耗というマイナスではなく、育てるだったり
自分の物になって行くというプラスの感覚が有ると思う。
新しいスーツなどは吊り(お店にハンガーで吊るしてある状態)で真っ新な状態よりも、少し着慣れて生地の表面が毛羽だって来て、少しクタッとした感じになってくると、着ている人にいい感じにハマッて来ると思う。
革等は分かりやすい。
 
LEQUIO
LEQUIO
 
LEQUIO
 
使うに連れて経年変化を起こし色が変わってきて…
 
LEQUIO
 
LEQUIO
 
段々使う人の仕草のクセが道具に写し出されていく。
いわゆる「味」。
真っ新な状態から自分の生活や自分の為の道具になる感覚は、
消耗というより育てて行く感覚だと思う。
買ったばかりの時は赤ちゃんで、使うに連れて大人になり年をとるごとに年期というか、いい味がでてきて何とも言えない魅力を感じる。
どういう生き方をしたか、しわや残った傷跡がしみ込んで魅力になって人生が顔ににじみ出てくる。
 
人間と一緒だと思うんです。
 
 
「完成されているけど赤ちゃん」
「消耗する事で完成に近づく」
矛盾していると思いますが、
その感覚は物を所有するという事に1つ楽しみというか
そう感じることで別の見方で価値を感じる事が出来る。
消耗して行くことで持ち物としての価値が高まる。
 
LEQUIO
 
使って消耗して行くとそろそろかな?と寂しい気持ちよりも
「いい感じに汚れてきた」
「いい感じにすり減ってきた」
「やっと自分のものになってきた」
「この傷がカッコいい」
「これはあのときに付いた傷だ」
そう思うと、使い込む楽しみが出来る。
 
LEQUIO
 
未だ履いてるの?と言われますが中学の時に初めて買ったGパンをずっと履いている。
当時どうにかこうにかお金を貯めて買った2万円くらいの自分が好きな真っ新なGパンを買って。
その当時はサイズが大きくてぶかぶかに着ていたが、今はピッタリ。
 
LEQUIO
 
LEQUIO
 
すり切れたり色あせや
生地が履き込む事で表面がすり切れて起毛する事で出来る「ヒゲ」や、
履き込んで自分の膝の位置で出来上がる「クセ」。
 
LEQUIO
 
最近は直したり使い続けるよりも
本当にコレ必要かな?と思うものが自分自身の身の回りに増えて来た感じがする。
本当に必要なものに絞り込むと
身の回りがシンプルになっていく。
自分以外の他人との共有物なら抵抗が有るが
自分のための物であれば気兼ねなく長年使い込むことで「持ち物」としての価値が高まると思う。
 
大事に使われて来たものは少し古びていたり壊れていても魅力的なもの。
 
どういう用途で使用していたものなのか?
どんな人が使って来た物なのか?
コレからどんな人が使うものでどんな風に成長するのか?
大切に使ってくれる人に出逢ってほしいと思う…。

 


 
LEQUIO(レキオ)
宜野湾市喜友名2-28-23
TEL/FAX (098)893-5572
open 11:00~20:00
年中無休
駐車場有り 
HP:http://www.lequio-r.com
ブログ:http://lequio.muse.weblife.me/wlwp1
 

NAKAI

アルバート氏の人生
 
これはすごいですよ。グレン・クローズがライフワークとして映画化を実現した作品。アルバートを演じる彼女は、今までの集大成ともいえる演技を目だけで演じるのです。
 
アルバート氏の人生
 
アルバート氏の人生
 
アルバート氏の人生
 
ちょっと何を考えているかわからないミステリアスな表情が彼女の魅力なんですが、この映画ではすごい特殊メイクをして完全に男性になっています。
 
「こんな男性いるよ~」と思ってしまうほど。
 
声もすごいです。低音ですごくアイリッシュなまりです。
 
彼女は彼になってひたすらホテルマンとして働き、お金を貯めます。
近い将来自分の店を持ちたいという夢を持って。。。
 
この夢のシーンも素敵なんだよね。本当にこんな店が持てたらいいな。
 
衣装もよいですよ。素晴らしい。
 
ミア・ワシコウスカのOUTFIT(=着こなし)がかわいい。
 
アルバート氏の人生
 
ミア・ワシコウスカが演じるメイド、ヘレン。アルバートが彼女と生涯を共にしたいと思うのだけれど、ヘレンは、だめんずのジョーに夢中。
 
アルバート氏の人生
 
実生活では23歳年上の奥さんと二人の子供を持つ、アーロン・テイラー・ジョンソン。
奥さんの名字をミドルにいれちゃって、すごいなあ。
 
ますますかわいいんだけど、この映画では最悪な感じ。それでも彼にも暗い過去があるのだけれどもね。。。
 
 
もう一人、忘れてはいけないのが、ジャネット・マクティア。
男装の麗人か?
身長も186cmもあって、とにかくかっこいい!!!
 
アルバート氏の人生
 
アルバート氏の人生
 
おいしいとこどりの役です。
うまいです。助演女優賞にもたくさんノミネートされてますね。
 
 
とにかく切ないこの映画。こんな人生あっていいのか?
アルバートは自分を殺して生きてきた。いつか夢を実現するために。
しかし、結局、孤独がつらかったんだろうなあ。
別に同性愛者ではないと思うんだけど、妻を持ちたいと思うというところが、ちょっと私にはわからない。
 
一度だけ、ドレスをきて、海辺を走るアルバートが印象的です。
やはり、天才的ですね、グレン・クローズ。
いい映画ですよ。
 
ジョナサン・リス・マイヤーズがかなりどうでもいい役で出てたことに、がっかりびっくり。

KEE

 

 
<ストーリー>
19世紀のアイルランド、アルバート(グレン・クローズ)は、ダブリンにあるホテルでウエイターとして働いていた。だが、人付き合いが苦手で、もの静かなアルバートには誰にも明かすことのできない大きな秘密があった。ある日、アルバートはホテルの改装工事にやって来た陽気で端正な容ぼうの塗装業者ヒューバート(ジャネット・マクティア)と出会い……。
 
<キャスト>
グレン・クローズ
ミア・ワシコウスカ
アーロン・ジョンソン
ジャネット・マクティア
ポーリーン・コリンズ
ブレンダ・フリッカー
ジョナサン・リス・マイヤーズ
ブレンダン・グリーソン

 
<沖縄での上映劇場>
桜坂劇場(3/31~)
那覇市牧志3-6-10(旧桜坂シネコン琉映)
098-860-9555(劇場窓口)
 

NAKAI

ダイニング&バー エージュ
 
2013年3月9日(土)~ 2013年3月17日(日)
営業時間: 18:00~21:00(最終入店20:30)
@リーガロイヤルグラン沖縄 ダイニング&バー エージュ
那覇市旭町1番地9
098-867-3331
 
ダイニング&バー エージュ
ダイニング&バー エージュ
 
リーガロイヤルグラン沖縄、ダイニング&バー エージュでは、かけがえのない大切な人と過ごすホワイトデーに、フレンチのクラシック料理をアレンジしたコース ”Elegant” 、そして、シェフのオリジナリティ溢れる ”Gorgeous” の2つのコース料理をご用意しました。
  
地上14階から那覇の夜景とモダンな店内で、ホワイトデーディナーに舌鼓を打ちながら優雅な時間をお過ごしください。恋人、ご夫婦のみならず、ご友人同士でのご利用もお待ち致しております。
 
お電話にて3日前までの事前予約制となります。
 
ダイニング&バー エージュ
 
< Elegantコース >
♡本日のアミューズ
♡鮮魚と帆立貝柱のタルタル バジル風味 サラダ添え
♡ポタージュ ガルビュール
♡牛ホホ肉のビール煮込み
♡チョコレートシブーストとリンゴのコンポート イチゴと赤ワインのソルベ添え
♡パン
♡コーヒーor紅茶
お一人様:5,000円(税サ込)
 
 
< Gorgeousコース >
♡本日のアミューズ
♡帆立貝柱のタルタル、サーモン包み サラダ添え レフォールドドレッシング
♡ズワイ蟹とカリフラワーのフラン 甲殻類のクリームソース
♡鮮魚のポワレ 根セロリのピューレ添え ハーブの香り
♡牛フィレ肉の網焼き 温野菜添え 赤ワイントマトソース
♡チョコレートシブーストとリンゴのコンポート イチゴと赤ワインのソルベ添え
♡パン
♡コーヒーor紅茶
お一人様8,000円(税サ込)
 
♡♡両コース共通ホワイトデーディナー特典♡♡
グラスシャンパン(ロゼor白)1杯&グラスワイン(赤or白)1杯
 
HP: http://www.rihgaroyalgran-okinawa.co.jp
FB: www.facebook.com/rrgokinawa
 

NAKAI

my home town わたしのマチオモイ帖
 
会場名:古書の店 言事堂
会場所在地:沖縄県那覇市若狭3丁目7番25号
会場URL http//www.books-cotocoto.com/
会期:2013年3月1日(金)~3月23日(土)
会場時間:平日11:00~18:00 土・第2日11:00~19:00
※期間中、3(日)4(月)、11(月)、17(日)、18(月)は
お休みです。
 
 
日本全国13ヶ所+サテライト会場で、各地のクリエイターが
自分の思いのある「町」を冊子や映像で紹介する展覧会です。
沖縄地区のクリエイターの制作した作品は、
古書の店言事堂にて展示を行います。
 
大きな都市だけではなく、日本各地に無数に眠る思いや価値を、
一人ひとりの視点で見つけ出していくことを目的とし、
北海道から沖縄まで、足元にあるマチオモイを丁寧に見つけ、
その思いを通じて、ゆるやかに、あたたかく全国の人たちと
繋がりたいと願っています。
ガイドブックにも載っていない町や、ふるさとの町、
学生時代を過ごした町、今暮らす町を、日本各地のクリエイターが
自分の視点で紹介することで、
今まで見たこともない景色や、新しい日本が見えてくるはずです。

日本中の人の心に眠る 誰も知らない宝物を 
いっしょに見つけましょう。
 
【参加クリエイター】
COLORS HOUSE「KOZA帖」
JIRO「なかがみ帖」
Okinawa Creators Yui「うりずん横町帖」
saniya-mari「マチナト帖」
新垣誠「続首里城下町帖」
ウチマヤスヒコ「首里城下町帖」
荻海芹香「ナカガミ帖」
樫山和彦と屋部アサギ会「屋部帖」
喜名盛起「なかんだかり帖」
共同売店ファンクラブ「ヨナ帖」
ぐりもじゃ・サスケ「沢岻と経塚と大名帖」
幸喜ブエコ朝子「ウチマ帖」
河野哲昌「うるま帖」
島尻一成「しおざき帖」
鈴木律子×藤井千加「栄町帖」
手手編集室「大宜味帖」
まなべゆう「マエガネク帖」
 
わたしのマチオモイ帖web http://machiomoi.net/
 

NAKAI

星降る震災の夜に ある精神科医の震災日誌と断層
岡崎伸郎・著 批評社 ¥1,700 (税別)
 
時間を置いてそのときのことをふり返る、という作業は必要だ。
その「事」の渦中にいるときは見ているようで見落としていたこと、あの時の誰かの言葉や行動に意味があったことに初めて気付かされる。
時間や距離を置くことで自分のことも、周りの人や状況を客観的に、冷静に受け入れられることもある。   
  
3月に入って東日本大震災の話題が増えてきた。だからというわけでもないけれど、最近タイトルに魅かれて手にした本をご紹介します。
今まで無意識のうちに避けていたのだろうか、震災関連の本をあまり読まずに来たところがあって、それがこの本を目にしてふと読んでみようかという気になった。
 
「その日」の夜は降ってくるような満点の星空だった、というプロローグから始まる。
仙台の医師である著者が地震のあった当日、病院から原付バイクでようやく家に帰宅する途中に見上げた空に声を呑む。
周りは電気が途絶え真っ暗闇。
著者は今自分が立たされている状況も全て忘れて、ただ圧倒的な数の星々に包まれる感覚を抱く。
その後は無我夢中の日々が続く中で、あの夜見た星空が強く印象に残っている、という冒頭から読み進むに連れどんどん引き込まれていった。
 
日誌とその当時、またその後通常の生活に少しずつ戻っていく中で考えてきたことが、感情に流されず淡々と綴られていく。
あまりの出来事に無力感、徒労感に苛まれながらも同僚や患者や家族、友人たちとのやりとりの中で生まれた精神科医としての思索の記録が後半には収められている(「生き延びるための第六感」「何が心を癒したか」「『知の敗北』に学ぶために」他)。
  
その中のエピソードの一つ。
散在した自宅のCD類の中で、無事だった何枚かを夜寝る前に何回も繰り返し聴いていたという音楽と、たまたま枕元に置いていたという詩集について。
具体的で生々しい出来事に見舞われたときは、抽象的な例えば音楽や詩はとても心に沁みたという。
当事者の話は何よりも力がある。
 
被災者は忘れられることが一番つらいとよく言う。
せめて、本を通して彼らの記憶を一緒に辿ることもわずかでも意味のあることなのかもしれない、と思わせてくれた一冊です。


OMAR BOOKS 川端明美




OMAR BOOKS(オマーブックス)
北中城村島袋309 1F tel.098-933-2585
open:14:00~20:00/close:月
駐車場有り
blog:http://omar.exblog.jp
 

NAKAI

ゼロ・ダーク・サーティー
 
オスカー残念でしたね、ジェシカ・チャスティン。

私の予想では、彼女が獲ると思ってたんだけど。
 
ゼロ・ダーク・サーティー
 
まだ、「世界にひとつのプレイブック」を未見なので、オスカー受賞したジェニファーがどれだけすごかったのかを語れませんが。

キャスリン・ビグロー監督はすごいですね、この手の映画の臨場感を出すことにおいては素晴らしい。
 
サスペンスな要素が多いのかと思いきや、立派な戦争映画のようでした。
 
完全に戦争ですからね。
 
911から時間がたっていたため、ビンラディン確保のニュースを目にしたときは、正直「え、今?」という思いがあったのを覚えています。
いったい実際は何があったのか?
 
本当は、その報道さえも信用できない、と思っていたのだけれども、この映画をみると、これが真実のような気がしてきます。
 
こんな若いCIAのスペシャリストがいたとは。

ジェシカ・チャスティン、ほぼノーメイクのような感じですが、美しい。
とにかく美しいのね。
 
ゼロ・ダーク・サーティー
 
ゼロ・ダーク・サーティー
 
ZERO DARK THIRTY
 
恐ろしく早口です。
天才的な分析官というイメージにぴったり。
後半は、もう、執念のようにヴィンラディンに迫っていきます。
 
この人の表情が、ほんとうによくて、うまいなあ、と感心させられました。
 
途中から突然核心にせまって、ほんと、いきなりすぎてちょっと拍子抜けもしましたが、そのあとのカナリア軍団(canaries)の襲撃がリアルで長いため、ここで尺が使えなかったのかな? と思ってしまった。

ここから本当に迫力あります。canaries はいわゆるネイビーシールズです。
 
ゼロ・ダーク・サーティー
 
ゼロ・ダーク・サーティー
 
しかし、いつものように、暗い画面がずっと続くと眠たくなってしまうんですよね~。
ちょっとウトウトっときました。
 
長いので、時間と気持ちに余裕があるときにどうぞ。
 
見ごたえあります。

KEE

 

 
<ストーリー>
ビンラディンの行方を追うものの、的確な情報を得られずにいる捜索チーム。そこへ、人並み外れた情報収集力と分析力を誇るCIAアナリストのマヤ(ジェシカ・チャスティン)が加わることに。しかし、巨額の予算を投入した捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく。そんな中、同僚の一人が自爆テロの犠牲となって命を落としてしまう。それを機に、マヤの中でビンラディン捕獲という職務が狂気じみた執心へと変貌。ついに、彼が身を隠している場所を特定することに成功するが……。
 
<キャスト>
キャスト
ジェシカ・チャスティン
ジェイソン・クラーク
ジョエル ・エドガートン

 
<沖縄での上映劇場>
シネマQ
098-951-0011
那覇市おもろまち4-4-9 那覇メインプレイス2F
HP:http://www.startheaters.jp/cinemasq
MIHAMA 7 PLEX+ONE
098-936-7600
中頭郡北谷町美浜8-7
HP:http://www.startheaters.jp/mihama7plex

NAKAI

U.F.B
 
青いパラソルと植木の緑が白壁に映える玄関。
使い込まれた家具に囲まれたダイニングキッチン。
「U.F.B」オーナー・moe さんのお宅だ。(関連記事:U.F.B 作る楽しさも伝えたい。心を元気にするアイシングクッキー。
 
U.F.B
 
アンティークな雰囲気のインテリアが好きだというmoeさんの家には、ほどよく使い込まれた家具があちらこちらに。
 
「家具のほとんどは、移住時に本土から持ってきました。
でも、このソファーは別。沖縄にお住まいのおしゃれな方に、格安でお譲り頂きました」
 
U.F.B
 
U.F.B
 
U.F.B
 
U.F.B
 
U.F.B
 
U.F.B
U.F.B
 
U.F.B
 
U.F.B
 
奥の部屋には、moeさんが仕事で使う道具類や、日々の暮らしでも使用しているうつわが大切にしまわれている。
食器棚は、読谷の「Indigo」(那覇にも宜野湾にもない家具を、読谷から)で。
壁に立てかけたカラーボードには、お気に入りの雑貨を飾って。
 
「賃貸だと、壁に色を塗ったり画びょうを刺したりできないでしょう?
カラーボードを置けば、その代わりになるんじゃないかな? と思って」
 
U.F.B
 
「いずれはこのフレームに写真を入れて、ボードに飾ろうと思っています」
 
U.F.B
 
皿もカップも素敵なものばかり! 本土から持ってきたうつわたちに混じって、読谷の市で購入したやちむんの姿も。
 
「料理も楽しいけれど、料理を盛るお皿を選ぶ時間も大好き!
うつわに限らず、生活雑貨全般が好きなんですよね〜」
 
 
U.F.B
 
U.F.B
 
キッチンのとなりには、外人住宅ならではの広いランドリールームが。
青い棚は本来、店舗で使おうと思っていたものだと言う。
 
「大きな籐籠が三つピッタリ入るので、収納スペースとしても重宝しています」
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 
部屋数も多く、広々とした家だが、どの部屋もすっきりとした印象。
モノであふれておらず、スペースにも余裕がある。
 
また、moe さん一家はモノをとても大事にする。
 
「大きな家具は輸送費がかさみますが、沖縄で買い替えることは考えませんでした。
使い慣れたものに囲まれて生活したほうが、心も落ち着きますから」
 
U.F.B
使い込まれたテーブルには、手づくりのスコーンやスイーツが並ぶ。
 
U.F.B
 
「丁寧に暮らす」「シンプルな生活」という言葉を、よく見聞きするようになって久しい。moe さん一家は、その両方ともしっかり実践しているように見受けられる。

時間に余裕があるから、心にも余裕があるのかしら? とつい考えてしまうが、そういうわけでもないらしい。moe さんもご主人も、仕事は多忙を極めている。
 
憧れの暮らしを実現できているのは、「家族」を暮らしの中心に据えているからかもしれない。
moe さん夫婦は娘さんとの時間をとても大切にしていて、時間が許すかぎりプレイスペースで一緒に遊ぶ。
夫婦間の会話も優しい雰囲気に満ちていて、ケンカになることはまずないと言う。
 
心の状態は、そのひとの家に表れるのだなぁ。
物件情報には一言、「風通しが良いです」と書かれていたという家。
そこに住まうmoe さん一家のくらしにも、心地よい風が通っているように感じられた。

 

写真・文 中井 雅代